“運用”という仕事の価値を正しくとらえ直す

運用サービスを実行している組織は事業部内に数多くあり、それぞれの組織に向けての情報発信や業務上のサポート、契約管理などを統括する運用サービスマネジメントチームの役割は重大。河野は、そのチームでマネージャーを務めています。

河野 「運用サービスマネジメントチームの業務は、いわゆるITサービスマネジメントです。構成は、私を含めて9名の社員と、協力会社の方々が26名。チームのミッションは、おおきく2つ。お客様システムの運用を通じて得られた、知見や経験にもとづく知恵の提供。もうひとつは、運用サービスを提供している当社の組織や、当社の担当の皆さんの成長を促進することです」

システム運用は、オペレーションと呼ばれる作業を提供することだけではありません。お客様向けのシステムを運用する中で気づいたことや現状分析から、お客様のビジネスに貢献する知恵を提供することが大切だ、と河野は語ります。そのためにも、運用サービスを提供する担当者一人ひとりの成長が重要です。

河野 「システム運用組織や個々人の成長には、ふたつの理念を掲げています。いずれもドイツ出身の建築家の言葉です。ひとつは『Less is more』、つまり『より少ないことはより豊かなこと』。余計なものを加えるよりも本当に必要なものだけを存在させる。シンプルな方が効率的でより豊かなものを生むという考え方は、システム運用にも通じると思っています。

もうひとつは、『God is in the details』(『神は細部に宿る』)。小さなほころびがすべてを台無しにする。森だけを見ない、枝葉まで見る、気を配る。そうした細かいところまでこだわることが仕事の完成度を左右するという思いから、このふたつを理念として掲げています」

現時点では、まだまだこうした思いやビジョンを充分現場に伝えきれていないと感じている河野。そのため、運用サービスマネジメントチームの活動を通じて、情報を発信し始めました。

河野 「これまでに私自身が開発や運用といった、いわゆるSE(システムエンジニア)としてのキャリアを積む中で感じた問題点を改善したいと思っています。システム運用はお客様のシステムを止めることなく変化に対応し、ビジネスを支えていくためには欠かせない仕事です。

しかし、そうした、とても重要なことをやっているのに周囲からあまり理解されていないように感じます。また、システム運用の担当者も自分たち自身でその仕事の価値を正しくとらえられていない点が、気にかかっていました。そんな現状を変えていきたいのです」

運用担当者は、お客様の声を直接聞くことができるポジション

NTTデータ ウェーブは、主に企業向けの業務システムを提供しています。大規模な企業になれば、製造システム、物流システム、営業活動のためのシステムや給与計算や勤怠管理など、機能やユーザー数、利用頻度も異なるさまざまなシステムが存在しています。そうした、システムを安定して使える状態を維持するのがシステム運用における最大のミッションです。

河野 「システムが担う機能は違っても、不具合や故障によってお客様のビジネスが止まるリスクは同じ。どれほど対策を施して、安定稼働の維持に努めても、ときにはトラブルが起きてしまうこともあります。

私たちのミッションは、あくまでもお客様のビジネスを止めないことです。そのための障害対応は深夜も早朝も関係ありません。自分たちがお客様の大切なビジネスを根幹から支えている、という責任感がやりがいや誇りにつながります」

システム開発という仕事では、一度完成して納めた後はそのシステムと向き合うことは多くありません。一方で、運用はそのシステムの担当者になるとお客様から直接声を聞くことができる。その点が大きな魅力だと河野は語ります。

河野 「当然ながら厳しいご意見もあり、ストレートに怒られることもありますが、同じくらい率直にありがとう、助かったという声をいただくこともできます。私の場合、開発と運用の両方を経験しているからこそ、この仕事の魅力をより感じるのかもしれませんね」

そんな河野にとって印象深いのは、開発プロジェクトからそのまま運用担当となったときの経験。基幹システムに障害が起き、1万人以上がログインできないという一大事でした。お客様と連携を取りながら何とか対処をしましたが、それだけでは監視と対応の暫定対処を繰り返すことになり、根本的な解決にはならないと感じた河野たち。

解決のためには、プログラムを大幅に改修する必要があるという結論に達しましたが、それには新たな費用が発生してしまう。そのことに河野はとても悩んだと言います。

河野 「このシステムの開発には、すでに多くの費用をかけていました。そこにまた新たに費用がかかる。そのことをお客様に伝えていいものか、躊躇していました。何か他に方法はないか。プログラム改修ではなく、費用をかけずに運用回避できないものかと悩みました。

そんなとき、お客様から『これは1万人が毎日使うシステムだ。そんな重要なシステムの不具合を根本解決するために費用が必要になるとしても、当然のことだ』と言われたのです。その言葉を聞いて、追加費用を気にするあまり、お客様にとって本当の解決になることを言い出せずにいた自分がとても恥ずかしく感じました。

この経験から、『お客様にとって本当に有益なことなら、自分たちはシステム運用のプロフェッショナルとして、それを正しくお客様に伝える責任がある』ということを学びました。私自身、『お客様にとってはとにかく安い方がいい。開発した後のシステム運用には、お金をかけてはいけない』と思い込んでいたことにも気づくことができたのです。

それからは、お客様にとって有益なこと、システムが稼働する上で適切であること、今後のシステム運用にも最適なことなら『この方法こそ最善です。』と自信を持って言えるようになりました。今のスタンスを作り上げる、貴重な経験だったと思います」

一人ひとりの心に宿る、強い責任感

世間一般には単調というイメージを持たれることが多いシステム運用という仕事。
そんな中で、NTTデータウェーブのシステム運用の現場はお客様と距離が近いことが魅力的だと河野は語ります。

河野 「当社のシステム運用現場では、お客様とダイレクトに接することができます。システム運用の担当者は、自分たちの運用業務の状況をお客様に直接報告します。報告の場では、お客様が困っていること、相談したいことを直接お聞きすることもあります。お客様はシステム運用の担当者に直接相談できる、担当者から直接回答を得られる。

システム運用の担当者は、単純なオペレーションだけではなく、当社の顔としてお客様とともにシステムを運用し、お客様のビジネスを支えていく。当社のシステム運用には、そういう側面もあります」

運用メンバーのキャリアや経験はさまざま。しかし、実直で責任感のある人が多く、そうしたメンバーのひとつひとつの丁寧な仕事の積み重ねが、会社の信用を根底から支えていることは確かだ、と河野は言います。

一見控えめな印象でも、情熱やプライドを胸に秘めて仕事をしているのだ、と。

河野 「システム運用は急なトラブルにも対応しなくてはならない大変なポジションですが、徹夜でも早朝からたたき起こされても、そういうことをサラッとこなして『やっときましたよ』『当然ですから』という感じなのです。予定外の対応であっても、お客様のビジネスを止めてはいけないとか、お客様が困っている状況を放っておけないとか、そういう責任感をメンバーからすごく感じます。

運用現場の担当者は、 各システムの専門家としての能力と知見を持った人たちですから、その仕事ぶりはとても信頼しています。そのため、あまり細かいことはいわずに、個々人の強みが発揮できる、そしてキャリアの中でちょっとした成長のきっかけになるような投げかけができるように心掛けています」

人や世代が入れ替わっても継続的に価値を提供し続けるのが未来の運用の形

河野にとっての今後の挑戦は、これまでのキャリアの中でお客様からいただいた信頼や実績を礎として、さらに仕事の幅を広げていくことです。

河野 「運用しているからこそわかる、システムの日々の使用状況や特性、傾向などを分析し、お客様のビジネスをより良いものにするために役立てる活動をしたい。それこそが、『ITサービス』というものの本来の意味であり、継続的に価値を提供していけるような活動に広げていきたいのです」

さらに、人が入れ替わっても世代が変わっても、継続的に価値を提供していく運用サービスを、組織的に行えるような会社であり続けたいと河野は言います。そうなることで、システム運用は単なる運用ではなく、その仕事自体の名称が変わる未来もあり得るほどに、お客様のビジネスを支えたり変えたりするために欠かせない存在となれるからです。

河野 「私がいま向かっていきたいところは、まだまだすぐに形にはならないかもしれません。でも、メンバーには『一緒にやろう!』と言いたいです。能力も経験もあり、いくつもの難しい課題や問題を解決してきたプロフェッショナルたちです。システム運用の未来を作っていく取り組みにも、きっとみんな一緒になってチャレンジしてくれるのではないか、と期待しています。

これからみんなとそんな話を頻繁にできるようになれたら嬉しいです」

運用を担当するSEにとって、自分のキャリアアップや成長を描くことに対して、悩むことがあるかもしれません。しかし、河野はその可能性や選択の幅を広げ、未来を描きやすい環境を作り上げていきたいと考えています。

河野 「システム運用の現場は単調で退屈というイメージで、事実そういう仕事があることも確かです。でも、そんな仕事をひとつひとつ分解したり、入れ替えたり、組み合わせを変えてみると、ひょっとしたらそれは人の手でやらなくてもいい部分が浮かび上がってくるかもしれません」

そうした発想自体が重要であり、それが本来のSEのあり方ではないか──河野はそう考えています。

河野 「SEとしてのキャリアを考えた時には、開発の現場というものを一度は経験した方がいいとは思います。しかし、開発の現場では設計書にしたがってプログラムをつくること、定められた手順で確実にテストすることが求められます。そのため、開発チーム間の制約だったり、納期や時間の制約もあり、自分の考えで何かを作ることはなかなかできないことも多いんです。

一方、システム運用の現場ではオペレーションはあくまでも仕事の一部。日々の稼働状況やお客様の利用傾向から課題や改善箇所を見つけ、その課題をじっくり紐解いて解決策や改善案を考えることが仕事の本質です。解決策や改善案を考えるときには、設計書も定められた手順もありません。

過去の事例や経験も活用しつつ、現在の状況を踏まえ、今後を見越した方法や手段を見つけていきます。システム運用には、そんな自由な発想で成長できる環境があります。システムとじっくり向き合える運用の現場は、実はとても魅力的なのです」

NTTデータ ウェーブはお客様との距離が近く、やりがいや達成感、仕事とじっくり向き合って成長したい人にとって活躍の場がある会社だ、と語る河野。

この会社だからこそできる「システム運用という仕事の価値や可能性を拓くこと」への熱い挑戦は続きます。