仮説検証を重ねながら、自治体と伴走しスマートシティ化をめざす

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エンタープライズビジネス営業部で地域プロデュースを担当する佐渡島のミッションは、スマートシティ事業をNTT西日本の新たな柱とすること。スマートシティ案件の企画・プリセールスから納品まで一気通貫で携わっています。 

スマートシティは国家レベルの重点テーマになっていますが、いまはまだ黎明期。明確な提供価値や持続的なビジネスモデルはなく、それを模索することも佐渡島の役割です。

佐渡島 「ICT技術と世の中に溢れるさまざまなデータを活用することで、都市や地域の抱える課題解決・新たな価値創出につなげ、住民の方々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させる取り組みを、スマートシティと捉えています。

たとえば交通・モビリティを軸としたスマートシティを例に挙げると、郊外では人口減で路線バスなどの既存交通の維持が難しくなってきているという地域課題があります。この課題解決に向け、地域の交通利便性と経済的な持続性の両立をめざしてオンデマンドバスなどのMaaSサービスを導入し、あわせて住民個々人の属性や興味などのデータに基づいてお店やイベントをパーソナライズして情報発信することで、出かける目的も提供。

これらのICT技術および各種データを活用したサービス提供を通じ、交通課題解決に貢献するとともに地域経済活性化や出かけることによる健康増進にもつなげることができます。


これはほんの一例ですが、スマートシティが実現されれば、さまざまな面で生活の利便性・質を高めることができると考えています」

スマートシティ化の取り組みは、毎回が手探り。クライアントとなる自治体にヒアリングを行い、課題を整理することからスタートします。

佐渡島 「スマートシティを実現しましょうといっても、自治体様も何から始めたら良いのか、明確な形にならず、悩まれているケースが多くありますので、まずはスマートシティの構想化からご支援させていただいています。具体的な事例を示しながらお客様のヒアリングを重ねると、『こういうことをやりたいよね』とか、『ここが課題なんだよね』というような要望が次々と出てくるんです。

そうしてお客様のめざすビジョンやたくさんの課題、それに対するアイデアがでてきた段階で、実現のための課題に優先順位をつけながら、ロードマップ化やサービス具体化に向けたご提案をしていきます。

たとえば優先課題を解決するためのサービス具体化フェーズでは、どのような目標設定をし、それを達成するためのサービスは何かといった企画、そのための最適なソリューションを提案するといった流れでプロジェクトを進めていきます。その後の実装工程を経てサービスをリリースできたら、一つのスマートシティのパーツができあがります。

この工程をいろいろな分野・サービスで積み重ねていくことで、住民支援につながるサービスが立体的に完成し、スマートシティ構想が少しずつ現実のものになっていきます」

自治体様とは継続的なお付き合いになるのが通例。まさに伴走といえる関係が続いていきます。

佐渡島 「規模が大きく、長期間にわたる仕事ですが、社会的意義を感じられる取り組みも多く、やりがいがあります」

NTTだから実現できる、他社との共創

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新卒で入社した会社では経営企画部に配属された佐渡島。当時から、ICTを活用したさまざまな新規事業の企画・立ち上げに取り組んでいたと言います。

その後、大手ECサイトなどを運営する会社を経て、NTT西日本へ。同社への入社を決めた理由はふたつ。ひとつは、NTTグループのスケールを活かしてスマートシティを実現するというテーマの大きさに惹かれたこと。そしてもうひとつは、これまでのICTを活用した新規事業立ち上げスキルが活かせると感じたことでした。

佐渡島 「以前から『事業立ち上げをやりたい』との想いがあったわけではなく、最初のきっかけは受動的なものでした。いろいろな仕事を経験する中で、自分は新しいことを考えて立ち上げていくことが向いているし、好きだと思うようになったんです。それ以降はより意志をもっていまの仕事に携わるようになりました。

現在の環境では、単に会社の一事業としてではなく、より裾野の広い、街全体を良くするための構想に携われることが非常におもしろいと感じています。住民向けサービスの案件に携わっているので、身近な生活で価値を感じられるものを生み出している、というやりがいもあります」

スマートシティという大きな規模の取り組みを進める上で、一社でできることは限定的。そこで佐渡島は、会社の枠を超えた連携プロジェクトに力を入れています。

佐渡島 「もちろんNTTのグループ会社とも連携しますが、必要があればグループとしては競合にあたる他社と連携し、お客様にとって最適なソリューションを組み合わせた提案をすることも多々あります。

お客様のことを第一に考え、会社の枠を超えて最適な提案につなげていけるのは、NTT西日本にいるからこそできることだと思います」

発注者・受注者の壁を超え、信頼関係を構築

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大規模なスマートシティプロジェクトにやりがいを見出し、前向きに取り組んできた佐渡島。とくに印象に残っているエピソードがあります。

佐渡島 「当初、お客様はスマートシティ構想に向けて何から始めればいいのかわからない状態でした。そこで、コンサルティングから入らせていただき、お客様の複数部門へヒアリングを実施。実現したいことや課題の可視化・分析を行い、優先して実現すべきサービスについて、具体的な要件を固める部分もサポートさせていただき、すでに実証実験段階へ進んでいます。

0からの検討を一緒に伴走してきたこれらの活動を通じて、『スマートシティはNTT西日本とやる』と言っていただくなど、お客様とは発注者・受注者の壁を超えたパートナー関係を構築することができたと感じています。

現在、この案件は自治体様だけでなく、多くの民間企業も参画するスマートシティコンソーシアムに発展。何もない状態から、現在は数多くのスマートシティ案件化やプロジェクトに広がっています」

スマートシティは、佐渡島にとっても初めて取り組む領域。ゼロからイチを生み出す仕事と向き合う日々は、試行錯誤の連続だと言います。

佐渡島 「新規事業に取り組むときは、まずその分野のことを勉強するところから始まります。常に新しい情報を取り入れ、それをベースに仮説を立てた上で、お客様と話したり展示会で市場の声を聞いてみたりして、仮説をアップデートしていきます。

その仮説に基づいてPDCAを回していく中で、少しずつめざす方向性が具体化し、小さな実績につながっていく——その作業の繰り返しです」

そうやって事業を取り巻く環境や特性を把握しながら、結果を出してきた佐渡島。環境に助けられた面も大きいと言います。

佐渡島 「ありがたいのは、スマートシティのような新規事業にコミットして取り組んでいくという方針を、会社がしっかり打ち出してくれていること。私が入社してからも何人か経験者採用の方をメンバーに入れさせてもらうなど、リソース面を含めて活動しやすい土壌を整えてくれています。

また、いろいろな会社とフラットなお付き合いができますし、自治体様とのあいだにも強固な関係基盤があります。そうした環境が整っている状態で仕事ができるのはとても魅力的です」

スマートシティの事業モデル確立をめざし、チャレンジを続ける

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スマートシティの実現をめざし、新たな挑戦を続ける佐渡島。部署内にも、そうした人材が多いのだと話します。 

佐渡島 「私の部署には、いろいろな背景の人がいて、キャリア的にも人間的にも実にバラエティーに富んでいます。ただ、新しいことに臆することなく取り組むという共通点は持っているんです。

極端な話、別に失敗してもいいし、さらに言えば、失敗してなんぼ。それ以上に、チャレンジすることを大切にしています。これから入社する人材も、そうしたタイプが向いているのかもしれません」

新たなメンバーが加わる上で、NTT西日本が変革期にあることが、魅力的なポイントになると佐渡島は続けます。

佐渡島 「NTT西日本はグローバルや新規領域での事業成長にトライするという方針を出しており、会社の仕組みも大きく変えようとしています。

たとえば、リモートワークを基本とする新たな働き方として“リモートスタンダード”を導入しています。リモートワークでの業務運営が可能な一部組織は『勤務場所は社員の自宅』という新たな働き方の概念の下、転勤・単身赴任を伴わない働き方を拡大しようとしています。NTT西日本ほどの規模でこのような制度を取り入れている会社は珍しいと思います。

お堅くて保守的な会社というイメージをもっている方がいるかもしれませんが、NTT西日本は社内の文化を変えようとしていますし、人事制度も大きく変わりつつあります。私たちの目に見えるかたちで実行に移されていることが多く、社員の立場からするとワクワクしますね」 

変革を推し進めるNTTグループ、そしてNTT西日本。その一員として、佐渡島には成し遂げたいことがあります。

佐渡島 「スマートシティ構想はまだまだ道半ばの状態ですが、NTT西日本はその中でも恵まれたポジションにいると思います。グループ内のリソースや、外部のパートナー会社様との連携をフルに活用してお客様に新たな価値提供をしながら、いまよりもちょっとワクワクできる便利な社会を実現することがいまの目標です。

スマートシティの実現は社会にとって非常に価値のあることですし、NTT西日本にとっても、良い事業モデルを確立できる可能性があると思っています。いずれはいまより担当領域を広げ、スマートシティがNTT西日本の事業セグメントのひとつになるところまで進めていきたいですね」