ユーザーの声に耳を傾け、システムの使いやすさを追求していく
大森が所属するのは、JAバンク業務革新部 貯金班。JASETM(勘定系システム)と呼ばれる、JAバンクが全国で安定的にサービスを提供するための基幹インフラに関わり、貯金に関連する部門を取り扱っています。
大森 「JASETMは、JAバンクにとって生命線ともいえる存在。なくてはならない中核的なシステムです。その中でも私は、お客様の日常的な入出金や定期預金といった金融機関の窓口で取り扱っている貯金業務全般を担当しています。
事務効率化や、より簡易的で利便性の高いシステムをめざし、細かな要件定義や開発・更改を行っています。1年に1回のペースでJAバンクグループ内のユーザーからご意見をいただき、費用対効果などを検討しながら実装に向けて取り組んでいます」
大森のメインの仕事は、システムを使うユーザーとの折衝と、それを受けてシステムをどう更改していくかを考えること。仕事をする上で最も大切にしているのは、ユーザーの声だと言います。
大森 「現場の声に耳を傾けることを常に意識しています。実際にシステムをご利用いただくユーザーの方々は、われわれ開発側とはまったく違った視点でシステムを見てくれていて、思わぬところに不便さがあることがわかったり、改良の余地があることに気づかされたり。自分たちは気づき得ない角度からフィードバックをいただき、改善に活かしています」
キャリアとプライベートも両立したい。自分らしい働き方、生き方ができる場所へ
大学を卒業してメガバンクに新卒で入社した大森。半年ほど支店窓口で銀行基礎業務を習得した後、本店に異動となりリテール支店のデジタル推進に携わります。
大森 「多くの銀行がちょうどデジタル化を戦略的に進めてこうとしているタイミングで、オフラインからオンラインに切り替わる過渡期にDX化の業務に携わりました。どうすれば非対面でこれまでと同じ水準のコンサル価値をお客様に提供できるかを考えながら企画を出していくのが主な業務です。
メガバンクのリテール業務には、たとえばデジタル化で不要になったスペースの有効活用といったチャネル戦略やOMO戦略などやるべきことが無限にあります。『こういった施策を打ち出したら支店のモチベーションが上がるんじゃないか』『こうすれば顧客がアプリ使うきっかけとなり、さらに利便性が向上するのでは』と企画するのはすごく楽しかったですね。当時の業務に携わる中で、DX化をはじめとするデジタル系のおもしろさを知った気がします」
やりがいを感じながら仕事に取り組んでいた大森でしたが、入社から5年が経ち中堅と呼ばれる年次に差しかかったタイミングで、自身のキャリアやライフイベントについて立ち止まって考えることになります。
大森 「仕事自体はやりがいを感じており、キャリアを貪欲に積み上げていきたいと思っていましたが、結婚も出産もしたいという気持ちもあって。両方を実現するのであれば働き方を見直し、自ら環境を変えるしかないと思い立ち、転職を決意しました」
大森が転職活動時に軸としていたのは、メガバンクでの経験を活かせるかどうか。農林中央金庫にはその環境がありました。
大森 「当時の農林中央金庫は中期戦略としてデジタル化推進を掲げていました。それまで携わってきたチャネル戦略をはじめとする経験が活かせるフィールドがあることがありがたかったですね。また、腰を据えて働きたいと思っていたので、ITスペシャリストとして専門的な仕事をしていけることも魅力でした」
業務改革と研修の充実を背景に、農林中央金庫はますます働きやすい組織に
前職で培ったIT領域での経験を活かせる環境を求めて転職を果たした大森でしたが、配属先となったのはJAバンク業務革新部。慣れない業務に奮闘する毎日です。
大森 「前職では企画推進系の部署でアイデアを出す仕事だったのに対し、いまは勘定系システムの更改がメインの仕事。同じIT領域とはいえ業務内容がまったく違うので、日々勉強だと思って取り組んでいます」
とはいえ、前職時代の経験が活かされる場面もあると話す大森。次のように続けます。
大森 「農林中央金庫は2021年12月に新たなグループウェアを導入しましたが、それまでの連絡事項はメールで全員に送信するかたちで伝達していたんです。移行当初はチャットベースのフラットなコミュニケーションに戸惑う方が多かったのですが、私自身は前職でそうしたやりとりに慣れていたので、カジュアルなコミュニケーションを積極的に取るように意識していました。
チーム全体が次世代的な働き方へのシフトチェンジを意識した結果、些細なことでも上司に相談しやすくなったりWeb会議が主流になったりと、コミュニケーションがしやすい無駄のない働き方が少しずつ浸透してきていると思います」
ワークライフバランスの実現をめざして農林中央金庫への転職を決めた大森。入庫から約2年が経過したいまの職場環境についてこう語ります。
大森 「入庫前に思い描いていたとおり、無理なく働ける環境があると感じています。いま妊娠中なのですが、いつもと変わらないパフォーマンスが発揮できているのはテレワークが導入されているおかげ。ありがたいですね。
また、農林中央金庫は女性活躍や研修制度にも力を入れています。先日参加した研修も、『女性だから、子どもを産んだらリーダーになることをあきらめなければならない』という無意識のバイアスを取り払い、女性のキャリアに対する知識やマインドを育てようという主旨で行われたものでした。私自身、女性としてのライフイベントを経験したいとの思いから転職に踏み切ったこともあり、改めて背中を押してもらっている気がしています」
女性がリーダーをめざしやすい環境をつくるため、自分自身がロールモデルに
出産という大きなライフイベントを間近に控える大森。その後の職場復帰を見据え、自分自身がロールモデルになるという目標を掲げます。
大森 「男女問わず『女性にリーダーは難しい』と考える方、女性の昇進をポジティブに捉えられない方は少なくありません。しかし、これからの多様性の時代においては、多くの女性が備えている柔軟性や協調性は組織にとって必要なスキルです。
女性リーダーの自信のなさは個人の問題ではなく、構造や環境によるものだというのが私の考え。女性が積極的にリーダーをめざせるようになるためにも、まずは自分がロールモデルになることを強く意識していきたいと思っています」
また、前職で携わってきた推進系の企画にも挑戦していきたいと、業務の面でも意欲を見せます。
大森 「JAでは、まさに今デジタル化を推進中です。導入したてのアプリやインターネットバンキングをお客様にどう使ってもらうかなど、事務プロセスの改善にも携わってみたいと思っています。店舗数が多いので、きっとやりがいのある仕事になるはずです」
そして、かつての自分のようにキャリアとプライベートの両立がかなわず悩んでいる人に伝えたいことがあるという大森。
大森 「前職時代はプライベートであきらめていることが多かったのですが、『こうなりたい』というイメージを明確に持って転職に踏み切れたことで理想的な生き方にどんどん近づいていると感じています。
いま自信を持ってはっきり言えるのは、人生は変えられるということ。ライフイベントを経験したいがためにキャリアをあきらめようとしている方、あるいはキャリアを優先してプライベートの時間が確保できない方がいたとしたら、ぜひ環境を変えることも視野に入れてみてください」
葛藤と大きな決断を経て、理想的な環境を味方につけた大森。以前とはまったく違う景色の中で、これからも自分らしい働き方、生き方を模索し続けます。