「この仕事に自分は向いていない」と悩んだ20代から、キャリアの軸が定まるまで

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大学では文系の学部に所属し、情報処理やシステムに触れる機会はなかったという小牧。就職先としてシステム系の会社を選んだのは、専門性を身につけたいという想いからでした。

小牧 「新卒で入社したのは、とあるメガバンクのシステム子会社。そこで、プロジェクトマネージャーとして、銀行のシステム開発プロジェクトの計画やプロジェクトの進捗管理、外注先のシステム開発会社との調整などを担当していました」

その後、転職を経験し、システム開発のプロジェクトマネージャーとしてトータルで10年近いキャリアを築きながらも、「もともとシステムの知識がない自分に向かない仕事なのではないか」と悩んでいたという小牧。転機が訪れたのは、30歳のときでした。

小牧 「ビザ取得の年齢制限もあり、趣味であるクラシック音楽を通じて学生のころから憧れていたドイツに留学をしようと思い立って。当時勤めていた会社を辞め、1年間ドイツに行くことにしたんです。帰国後、いちから仕事探しをするにあたって、未経験でドイツ関係の仕事に就くことも考えましたが、「経験のあるシステムの仕事を続けよう」というのが、私の出した答えでした。そのほうが選択肢が広がりますし、条件面でも優遇されます。仕事は、興味があることよりこれまでのキャリアを活かせるほうを選ぼうと割り切る決断をしたんですね」

転職先として小牧が選んだのは、ネットバンクのシステム部門。そこで思いがけず、仕事をおもしろいと感じるようになったことをきっかけに、小牧の人生の歯車が動き出します。

小牧 「中堅のポジションで採用されたことで、できることの幅が広がり、それにともなってわかることも増えていきました。それが仕事のおもしろさにつながっていったんです。ようやく『これを軸に自分のキャリアをアップさせていきたい』と仕事に対して心から思えるようになりました」

当時、小牧は社内コンサルタントのような立場で、社内の困りごとに対する解決策の提案やその実現を支援していたといいます。

小牧 「課題解決にはさまざまな方法が考えられますが、その中でもとくにシステム化によって、困難な課題が解決できることにやりがいを感じていました。そのうち、自社だけでなく社外に対しても課題解決を提案する仕事をしてみたいと思うようになっていったんです」

視野を広げたいという考えもあって、コンサルティングファームへの転職を決めた小牧。証券会社や保険会社向けに新しいシステムを導入するプロジェクトに携わりました。

小牧 「コンサルは、とにかくスピード重視。たいへんな面もありましたが、限られた時間の中で何を優先するのか、依頼に対してどのようなアウトプットを返せば喜んでもらえるのかといった、要点を絞って仕事をしていく感覚が養われたと思います」

デジタル化に乗り出したばかりの農林中央金庫でなら、自分のスキルを存分に活かせる

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2年ほどコンサルタントを務めた小牧。クライアントが抱える課題解決のための提案はできても、提案を実現していくフェーズに関われないことに物足りなさを感じるようになっていったといいます。

小牧 「自分が『こうしたほうがいい、こうすべき』と考えたことが実現されるところまで、責任をもって見届けたいという気持ちが強くありました。コンサルタントはあくまで外部という立ち位置。事業会社に戻るのが、想いをかなえる近道だと考えて、再び転職を考えたんです」

そして2018年、小牧は農林中央金庫への入庫を果たします。

小牧 「これまでのキャリアを最大限に活かせるのは金融業界だろうと考えていましたが、かつて在籍し、何ができて何ができないかの勝手を知っているメガバンクを選択する気持ちにはなりませんでした。そんな中、農林中央金庫でデジタル人材が募集されていたんです。農林中央金庫ではデジタル化があまり進んでいないイメージを勝手に抱いていて、ここならスキルが活かせそうだし、変革のしがいもありそうだと考え、入庫を決めました」

小牧が配属されたデジタルイノベーション推進部は、当時新設されたばかりの部署。庫内では一部従来のやり方で事務作業が行われてはいたものの、当部署にはデジタル化を目指す仲間が集まっていました。

小牧 「入庫後すぐにRPAの新規導入プロジェクトを主導することになりました。デジタル化を進めていこうという経営方針の後押しもあり、他部署の皆さんも比較的興味を持って受け入れてくれたように思います」

当プロジェクトでは、全社から業務の困りごとについてさまざまな相談を受け付け、チームメンバーと共に、それらに一つひとつ、対応していったといいます。

小牧 「説明会も行いましたが、それだけでRPAについてわかってもらうのは難しいですし、なかなかニーズが出てこないものです。そこで、RPAで何ができるのかを知ってもらうために、どんな小さなことでも、相談があったことはできる限りRPA化に向けて対応していきました。実際に目に見えるかたちで効果を示していくことが大切だと考えていたからです」

RPA化のプロジェクトに関わる過程で、農林中央金庫には女性として活躍できる余地が大きくあると感じた小牧。

小牧 「説明会では、私が人前に立って説明を行ったのですが、庫内ではそれまで、女性が他の部署の人たちに向けて話す機会はあまりなく、そのこと自体にインパクトがあったようなんです。私の話すことを珍しがって聞いていただき、それが強く印象に残るのであれば、積極的に発信していく甲斐があると思いました」

社内のデジタル化への貢献が認められ部長代理に。これまでもこれからもやることは同じ

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2年目には、RPAだけでなくAIなども活用して業務効率化を行う“デジタルワーキング ”を自身が中心となって立ち上げた小牧。

小牧 「デジタルワーキングでは、各部門から上がってきたニーズに対してAIやデジタルツールを取り入れていくにあたり、実際に導入できるかどうかを判断するためのPOC(実証実験)を行います。たとえば、議事録の作成を簡略化したいというニーズに対しては、AIによる会議の文字起こしツールを提案し、精度の検証や実際の導入までをサポートするという具合です。デジタルワーキングの活動は、中途入社で社内に人脈がない私だけではとてもできません。チームのメンバーそれぞれのネットワークを活用しながら各部署に呼びかけて積極的に情報収集を行うなど、上司や同僚たちと力を合わせながら進めていきました」

そうした活動などが評価され、2020年からデジタルイノベーション推進部の部長代理となった小牧。しかし、社会人1年目からプロジェクトマネージャーとしてチームをマネジメントしてきた彼女にとって、意識の上で大きく変わったことはないといいます。

小牧 「関係者を集めてチームを作り、采配をとること自体は、これまでも自然にやってきたことです。私にとって、人にいわれたことしかできない状況はむしろ辛いこと。自分で何をするかを考えながら周りを巻き込み、その人たちが動きやすいよう調整することのほうが、性に合っているのかもしれません」

従来の生き方にはとらわれない。「一番おもしろい」と思える人生を送るために

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入庫して4年目を迎えた小牧。ここまで地道に、そして確実にデジタル化を推進してきたとはいえ、まだまだ課題は多いと話します。

小牧 「取り組むべき課題は少なくありませんが、だからこそ小さな変化であっても大きなインパクトを与えられるところがおもしろいですね。そうした小さな変化が積み重なって、いずれ大きな変化になっていくはず。その過程を体験できていることがやりがいにつながっています。大きな変化をどのように起こしていくのか、そのために自分は何ができるのか。いままさにそれを考えているところです」

そうやってやりたいことができるのは、農林中央金庫に働きやすい環境があるからこそだという小牧。次のように続けます。

小牧 「すごく恵まれた仕事環境があると思っています。農林中央金庫では、福利厚生の面で、働きやすさをサポートする制度がとても充実しているんです。そういった意味で社員を大事にしてくれる会社だと感じますし、だからこそ、もっと会社に貢献したいという気持ちにさせられますね」

女性管理職の立場から見て、庫内には女性が働きやすい環境もあるという小牧。女性の働き方について信念があります。

小牧 「多様性が重んじられる時代ということもあり、必ずしも女性は結婚や出産にこだわらなくてもいいのではないかと考えています。誰かがこうしているから、自分もそうしなければいけないということはありません。自分にとって一番おもしろい生き方がどのようなものか、それは本人にしかわからないこと。自分が本当に願う生き方、働き方に目を向け、それを実現するためにはどうすればいいのかを考えてみてほしいと思います。制度だって、後からついてくるもの。たとえいまはそれをかなえるための仕組みがないとしても、自分がルールを変えるくらいの気持ちでいればいいと思っています」

人生の節目で、自分が「おもしろい」と思う方を常に選んできた小牧。その結果、自身のキャリアの軸を見出し、培ったスキルを存分に発揮してきました。この先、デジタル化によって新たな未来を切り拓いていく農林中央金庫の先頭には、きっと小牧の姿があるはずです。