若手時代に身につけた柔軟な発想が、“おもしろい”仕事をする姿勢の原点

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北海道で生まれ育ち、道内の大学に進学した高島。農林中央金庫に入社したのは、大学時代に学んだ公共政策と金融法の知識を活かせる、チャレンジングで、スケールの大きな仕事がしたいという想いからでした。

高島 「入社後は札幌支店に配属され、中小企業向けの融資を担当しました。2005年に東京の営業第二部へ異動となり、不動産ファンドへの投資やストラクチャードファイナンスなどを経験した後、農中信託銀行へ出向。不動産関連業務の立ち上げなどに関わりました。2013年に農林中央金庫へ戻って以降は、総合企画部でグループ会社の経営管理を、審査部でストラクチャードファイナンス案件を主に担当してきました。

そして2020年4月、再び営業第二部へ移って管理職に。2022年7月現在は、不動産ディベロッパーやREITへの融資業務に加え、サステナビリティや食農の分野で、さまざまな企業と連携しながらビジネスや地域・食の持続可能性に寄与する取り組みを進めています」

入社以来、金融マンとしての基礎を身につけつつ、さまざまな部署で新たなチャレンジを繰り返してきた高島。ビジネスパーソンとしての価値観形成に決定的な影響を与えたふたつの経験がありました。

ひとつは、リーマンショックです。

高島 「リーマンショックが起きる前は、ダイナミックに投資し、大きな収益を上げる意識で仕事に臨んでいました。しかし、リーマンショックにより、金融環境は大きなストレスを受け、農林中央金庫の経営環境も一変しました。担当プロジェクトの中長期的なビジョンを考えなければという思いに反し、必要な資金を対応できない悔しい場面もありました。リーマンショックを乗り切るために必要だったとはいえ、案件の特性に応じてどう対応すべきかを上層部ともっと粘り強く相談できればよかったという心残りがあります」

もうひとつが、最初の配属先となった札幌支店時代の出会いと経験です。

高島 「入社した2001年ごろは景気の影響もあって、融資の回収などの仕事が多かったんです。しかし、2年目や3年目に札幌支店に新しく加わったメンバーの影響で、『前向きな仕事、意義ある仕事をやろう』というマインドを取り戻し、お客様の新規開拓などを進めていくことができたのです。徐々に本部の理解も得ることもでき、自分たちが『おもしろい』と思える仕事に新しく踏み出すことの楽しさを知りました」

こうした経験がビジネスパーソンとしての背骨となり、高島は現在も“否定しないこと”と、“選択肢を狭めないこと”を意識しているといいます。

高島 「『それは無理でしょう』『これしかないでしょう』といった言葉はなるべく使わないようにしています。選択肢を減らしてしまうと、新しい発想が生まれませんから。『こうした案件には、この方法でいいですよね?』と部下から相談されたときも、もっとおもしろくしたいという想いから、『本当にそうだっけ?』と問い返します。面倒くさい上司だと思われているかもしれませんね(笑)」

高島から問い返されて、思考を柔軟に切り替え新しい提案を思いつくメンバーもいるといいます。そうやっておもしろがって仕事に向かう姿勢を、高島は自ら実践し、周りに伝播させているのです。

「お客様の近くへ」という思いで古巣へ。他社との協働によるシナジーを実感

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かつて在籍した営業第二部への復帰は、高島自身が希望したことでした。

高島 「総合企画部での仕事ではグループ会社やほかの銀行の方との関わりが中心ですし、審査部での役割はフロントとのやり取りが大半でした。外部のお客様と直接お話しする仕事がしたいという想いから、異動を希望したのです」

また、リーマンショックを経て、「農林水産業や生産者、地域に目を向けた仕事をしていこう」という考えが営業第二部が属する食農法人営業本部の中で強まっていたところにも惹かれたといいます。

高島 「ただ融資をするだけではなく、生産者の方の発展や地域創生のためにどのような貢献ができるだろうか、と模索していたところがあって。今の営業第二部なら、おもしろそうな取り組みができそうだと感じました」

古巣に戻り、新しい取り組みに積極的に携わっている高島。その代表例が、2020年に始まった“大丸有SDGs ACT5* ”プロジェクトです。

高島 「都市のサステナビリティは地方の生産者に支えられていて、逆に地方の生産者は都市での需要に支えられています。そうした都市と地域の持続可能な仕組み作りをさらに追求していきたいという想いを持って取り組んでいます」

中でも高島がとくに力を入れているのが、「SUSTABLE(サステーブル)」と呼ばれる企画。

高島 「食材の作り手(生産者)、使い手(シェフ)、食べ手(消費者)が一堂に会し、その食材を使った料理を食べながら、サステナブルな取り組みや食材への想いについて話し合い、共有しようというものです。募集枠がすぐに埋まってしまうほどの人気ぶりで、その場で知り合ったシェフと生産者が契約に至るケースもあるなど、大きな手応えを感じています」

ACT5には、不動産ディベロッパーをはじめ、さまざまな企業が参加。複数の異なる企業と協働することで、思わぬシナジーが生み出されているといいます。

高島 「これまでは農業協同組合(JA)、漁業協同組合(JF)、森林組合(JForest)といった系統組織の中で企画を検討することがほとんどでした。ところがこのプロジェクトでは、業種もSDGsへのアプローチもまったく違う数十社の企業が連携してさまざまな企画や発信をしていて、斬新なアイデアや知恵がたくさん集まってきているのを感じます」

*就業者約28万人、約4,300事業所が集う大手町・丸の内・有楽町エリア(「大丸有エリア」)を起点に、SDGs達成に向けた多様な活動を推進するもの。https://act-5.jp/

銀行員らしくない仕事が信頼関係を生み、本業へとつながっていく

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入社22年目を迎え、ベテラン社員となった今も常にチャレンジを続ける高島。思い切って一歩踏み出したときのワクワクした気持ちを知っているからこそ、それができると話します。

高島 「新しいことに挑戦するのは、とてもたいへんなことです。前例通りやる方が楽だし、ずっと平穏に過ごせますよね。けれど、社会人経験を振り返って考えると、自分がいきいきとしていたのは、新しいことにチャレンジしていたときなのですよね」

農林中央金庫の事業内容や考え方が大きく変化してきていることが、そんな高島の挑戦を後押しします。

高島 「リーマンショック以前の農林中央金庫は、組合員から集まる貯金を運用して、収益を上げて還元していくことが最大のミッションでした。今もそのミッションの重要性は同じですが、農業や第一次産業に対して何ができるのかをより直接的に考え、アプローチする姿勢に変わってきていると感じます。食や農の分野で新しいバリューチェーンを作ったり、生産者さんの所得向上に寄与する取り組みをしたりと、“農林水産業や地域にどう貢献できるか”という視点を重視するようになった。

そうした変遷がちょうど、『新しいことやおもしろいことをやっていきたい』という私の想いとマッチしているのだと思います」

以前は、仕事の大半が“どう融資をしていくか、どう稼いでいくか”を考えることだったという高島。今は生産者の優れた取組みを都市の人々に知ってもらい、仲間を増やしていくための方法やイベントの企画・運営について考える時間が、仕事の半分以上を占めるようになったといいます。

高島 「先日もACT5の企画で、教育版ゲームの作品コンテストに協賛しました。子どもたちに未来の農業について考えてもらって、農業にまつわる作品を作ってくれた子どもに賞を授与したのです。銀行員らしくない仕事をすることが多いからでしょうか、『高島さんは銀行員ですよね?』とよくいわれます」

しかし、そんな新しいアプローチが、回り回って融資の契約につながることも。

高島 「『SDGsや地域創生、農林水産業に興味はあるけど、どうやっていけばいいんだろう』というお客様の声に対して、一次産業と地域をバックボーンに持つ農林中央金庫ならではの知見やネットワークを活かして企画を提案することが信頼につながり、私たちの本業である融資の相談につながることもあります。

中でも、各金融機関が力を入れているESGファイナンスについて、『お世話になった農林中金さんにお願いしたい』といわれるケースが増えているのです。世の中にとって良いことをやるだけではなく、それがきっかけになり、お預かりしているお金をより正しく、しっかり果実もつけてお返しできる循環が生まれ始めていて、大きなやりがいを感じています」

誰かの未来の幸せのために、新しいこと、おもしろいことに貪欲でありたい

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2022年4月からは、営業第二部で副部長に就任し、今後ますますリーダーシップを発揮していくことを期待されている高島。

高島 「部下にとって刺激を与える存在でありたいですね。農林中央金庫だけではできないことでも、ほかの会社と協力すればいろいろなことができる。そんな働き方をする方が楽しいということを伝えていきたいと思っています」

時代の移り変わりとともに、幅広い仕事を手掛けてきた高島。これからの農林中央金庫に求められる経験やマインドについてこう話します。

高島 「まず中途採用に関しては、前提として銀行業をしっかりできる素地・素養があること。ベースである銀行業ができて初めて、ほかのことにチャレンジできると思っているからです。その上で、銀行業だけでは物足りなさを感じる人や、金融の知識を生かしながらSDGsやESGや食、農など、新しいことに取り組みたい熱意ある人に、農林中央金庫はうってつけの環境だと思います」

また、新卒採用のメンバーには、“農林中央金庫で働く理由”をしっかり持っていてほしいという高島。

高島 「地味な仕事もたくさんあるし、もしかしたら心が折れそうなほど辛いことに出会うかもしれません。でもそんなとき、自分がしている仕事が巡り巡って農業の振興や地域創生、あるいは田舎のおじいちゃんやおばあちゃんの幸せにつながると信じられたら、踏ん張れると思うのです。農林中央金庫は、土から生まれたお金をお預かりして、それをしっかり育て、育てた果実を土に返していくような循環を生む仕事をしています。そこに共感してもらえる人と一緒に働きたいですね」

SDGsなどの領域を中心に、新しいことやおもしろいことを今後もどんどん仕掛けていきたいと、高島は意欲的です。

高島 「SDGsやサステナビリティは、子どもたちの未来を良くする、とても意義のある取り組みです。でも、楽しくなければ持続可能とはいえないと思っているのです。何より楽しみながらでチャレンジし続けていく姿勢を自分もチームも持ち続けたいですね」

年次を重ねるごとに、挑戦への意欲をますます強めているように見える高島。仕事が楽しくてしょうがないという彼は、これからも前進を止めるつもりはありません。好奇心の向かう先に、よりよい未来があると信じて。