念願の海外勤務。日本との違いに刺激を受ける日々

シドニーにある現地法人 農林中金オーストラリア。農林中央金庫で行われているプロジェクトファイナンスをオーストラリアで展開するべく設立されたこの会社で、駐在員として働くのが鈴木です。

鈴木 「プロジェクトファイナンスとは、簡単に言うと、発電所、高速道路、病院等のインフラの建設、運営を行うプロジェクトに融資をするもので、そのプロジェクトから得られるキャッシュフローを返済の原資とし、債権保全のための担保も対象プロジェクトの資産に限定する点が特徴です。

農林中金オーストラリアでは、日本の農林中央金庫本店からバックファイナンスという形でお金を借り入れ、プロジェクトファイナンスを行っています。このような金庫本店との資金のやり取りを含めた、社内の資金繰りを担当しています」

所属する企画総務班は、合計3名のチーム。内2名が鈴木を含む日本からの出向者、1名は現地採用のスタッフです。会社全体を見ても、日本から出向しているスタッフは半分以下。業務のほとんどが英語で進みます。

鈴木 「大学時代に留学経験があり、それなりに一生懸命英語を学んできたので、仕事で英語を使うことに対してはとくに抵抗感はありませんね。ただ、専門用語などはわからない部分も多いので、日々勉強です」

オーストラリアに来てまだ数カ月程度。少しずつ海外での生活に慣れてきた鈴木ですが、早くも感じている日本との違いがあります。

鈴木 「オーストラリアでは様々な国から来た人が働いており、自分が想像していた以上に多様性のある社会だという点に驚きました。当たり前の話かもしれませんが、『暗黙の了解』という考え方は通用せず、お互いが何を考えているのか、日本で生活する以上によくコミュニケーションをとって認識を共有する必要があると感じています。

これは業務においても言えることで、コミュニケーションを密にとり、認識相違のないよう仕事を進めていくことの重要性を改めて感じていますね」

次に仕事に取り組む人のことを考えて──自らチャレンジした業務改革

もともとは英語教師という夢があり、学生時代に留学をしていた鈴木。ですが、留学中のさまざまな経験を経て、「英語の先生になることだけが選択肢ではないかもしれない」と感じたといいます。視野を広げ、数多くの企業に目を向けた先に、農林中央金庫との出会いがありました。

鈴木 「一番インパクトがあったのが、『意味のある銀行』という農林中央金庫のキャッチフレーズです。『意味のある』の『意味』ってなんだろう?そう突き詰めていった結果、『自分で意味を作っていく』『自分でどんな意味があるのか、価値を創造していく』ということなのではないかと解釈しました。

そして、農林中央金庫に入り、自分の手で新しい価値を生み出していきたい!と感じ、入庫を決めました。また、中学生のころから農家の方のお手伝いをすることが多く、収入面などで苦労されている様子を間近で見て課題を感じていたことも、農林中央金庫を選んだ理由の一つです」

入庫後は本店業務部に配属となり、為替や出納、預金など銀行の基本的な業務を担当。金融機関業務において基礎となる正確な事務処理が徹底されていました。

鈴木 「今となっては当たり前のことですが、事務上の数字や指示書の内容といったことを間違いなく確実に行う。この精神がしっかりと身に刻まれました」

入庫2年目には、プロジェクトファイナンス部へ異動となり、既往案件のモニタリングや新規案件の分析に従事。自己査定や四半期決算に用いる情報を本店の部署に報告する業務も担当しました。

鈴木 「それまでの事務作業から、社外の様々な業界の方々と共に働き収益を作っていく業務となり、学生時代に思い描いていた『社会人の姿』により近い仕事ができるようになりました」

部内では一番の下っ端。とにかく業務を覚えよう、誰かの役に立とうと必死で動き回っていた鈴木でしたが、その思いが反対に困った事態を招くことも……。

鈴木 「いろいろな先輩に声をかけて、仕事をもらっていたんです。鈴木がいてくれて助かる、そんな存在になりたくて。一方で、仕事を託してくれた先輩が他部署に異動になり、引き継いだ内容を自分一人しか知らないような状況に陥ってしまいました。要は、一人で抱えすぎてしまった。それで仕事が回らなくなり、一時期パンクしてしまったんです。

見かねた上司が手伝ってくれてなんとか乗り切りましたが、誰か一人だけしか把握していない業務がある状態は良くないと気づけました」

そこで、いったん班内の業務を棚卸しし、定例業務のマニュアル作成や効率化の見直しなど、誰でも同じ仕事ができるような組織作りに取り組んだ鈴木。その背景には、鈴木が抱くチャレンジ精神と、次の代への想いがありました。

鈴木 「多くの会社でいえることかもしれませんが、プロジェクトファイナンス部も然りで、一番若手が基本的に多くの仕事を担当するという雰囲気がありました。でも、新規投資など前向きな仕事に若手が着手できる環境の方がより良いと思ったんです。

属人的な仕事のやり方は、自分の代で終わらせる。今行っている仕事を、次に担当する人がよりわかりやすく、より効率良くできるように……そんなことを意識して、業務改革に取り組みました」

モットーは「どんな仕事にも、自分なりの価値を付加すること」

本店業務部、プロジェクトファイナンス部、そして現在の農林中金オーストラリアと、幅広い経験を積み重ねてきた鈴木。もちろん、ここで満足するわけではなく、さらなる野望が広がります。

鈴木 「クレジットやオルタナティブ投資、債券投資などにも興味があるので、そのあたりの知識も貪欲に吸収したいですね。あとは、投資部門だけでなく、食農やリテールなど他部門の知識があると、より俯瞰的に物事が見られると思うので、積極的に学んでいきたいです。

これまで、本当に希望通りに異動させてもらってきました。このこと自体が驚きですし、入庫前の印象との良いギャップです。これは私だけのことではなく、農林中央金庫全体に通じることで、10年以上勤務していても、たとえ同期であっても、同じようなキャリアの人にはまず出会わない。先輩方もそう言っています」

自由度が高い社風に背中を押され、多くの経験を重ねた中で得た、鈴木が常に意識しているこだわりがあります。それは、「プラスアルファの価値を、自分自身で加えられているか」ということ。単に目の前の仕事をこなすのではなく、鈴木自身がやる意義を見出すようにしています。

鈴木 「以前、定例の報告書類を作成して上司に見せたとき、『この書類は見にくいよね』と指摘されたことがありました。これまでもずっと使われてきたフォーマットで作成した書類だったのですが、あらためて見てみると、確かに見にくい。なのに、どうしてその視点に気づけなかったのかを自問自答したところ、定例のものだからと数字だけ更新して横に流す……というマインドに原因があったと気づきました。その資料を受け取って、チェックする人がどう感じるかという発想がなかったんです。

このときの経験を経て、通常業務だったとしても、もっとわかりやすくできないか、もっと改善できないかというところまで気を配れるよう努めています」

自由な社風こそ、一人ひとりの「意味のある銀行」を形成する原動力

鈴木が4年弱、農林中央金庫で働いたなかで強く感じているのは、若手でも発言権があるということです。

鈴木 「金融という職種柄、農林中央金庫といえば、伝統はあるけれど自由度があまりないと思われがちなのですが、まったく違います。むしろ、ゼロベースで何か新しい価値を生み出したい、チャレンジをしたいと願う人に、とてもフィットする会社だと思います。

事実、私も若手のころから自由に発言させてもらいましたし、ちゃんと耳を傾けてもらえました。前述の業務の効率化などもそのひとつ。新卒中途、年齢関係なく、自分発信で会社を変えていくことが可能だと思っています」

これらの社風は、農林中央金庫で働く一人ひとりにとって「意味のある銀行」につながっています。私たちは、私たちの存在意義(パーパス)として「持てるすべてを「いのち」にむけて。~ステークホルダーのみなさまとともに、農林水産業をはぐくみ、豊かな食と暮らしの未来をつくり、持続可能な地球環境に貢献していきます~」を掲げています。

そのもとで、各々が「意味のある銀行」について考え、それぞれの領域で形作っていくことで、会社としてのさらなる発展とパーパスの実現につながっていくと考えています。

鈴木 「プロジェクトファイナンス部では、自分たちが分析した案件が環境問題の改善につながっています。今私たちが直面している環境問題に、そういった側面から少しでも貢献できているという点では『意味のある銀行』につながるような仕事ができているのではないか、と思います」

自分なりの価値を付加することを意識しながら、仕事に力を注いできた鈴木。農林中央金庫で働くやりがいについてこのように語ります。

鈴木 「目の前の仕事の意味を考えながら、業務に取り組む。その結果、収益に結びついたり、新聞などのメディアで取り上げられてたくさんの人に知ってもらえたり、企業の需要に応えることができる。それが地域のニーズを満たせるようなインパクトの大きな仕事に結びつけば、やりがいを得られると同時に、より一層働く醍醐味というものが感じられると思います」

新たな価値を創造するために、経験を重ね、邁進する鈴木。その背中は、常にチャレンジを続ける鈴木を追ってきてくれる仲間を心待ちにしています。