新しい体験価値を追求するデジタルコマース

@hiroaki「デジタルコマースの領域というのは、社内でも重要度が増しています。特に『ニトリネット』をはじめとするECに対する期待をものすごく感じますね」

国内のネット通販市場規模が年々拡大するなか、ニトリにおいてもネットで商品を購入されるお客様は増加傾向にあります。そこで、社内の期待を背負って発足したのが、情報システム改革室 デジタルコマースチームです。

@hiroaki「求められていたのは、大きな開発組織の中でのデジタルコマース担当ではなく、自ら意思決定権を持ち、お客様に新しい体験価値を提供できる独立したチームでした。というのも、ニトリにおけるデジタルコマースは単にECの利便性を高めるといったものではなく、全国に500以上ある『店舗』という販売網を活かした新しい購買体験をつくることにあるからです」

「ニトリネット」や「ニトリアプリ」はデジタル版のサービスカウンターだと@hiroakiはいいます。例えば、最寄りの店舗に欲しい商品の在庫があるか確認することができ、在庫があればネット上で注文してから来店し、受け取ることも可能です。

「店舗」という商品のディスプレーにもなり倉庫にもなる拠点を構え、ほとんどのシステム開発を自社でおこなうニトリだからこそ、シームレスな購買体験の進化をけん引する可能性があります。

@hiroaki「お客様がいつでもどこでも商品を購入することができ、ネットであろうと店舗であろうと同じサービスが受けられる状態をシステム面からつくっていくことが我々のミッションなんです」

ニトリだから得られる手触り感がチームのモチベーションを高める

独立し、裁量を与えられたデジタルコマースチームは、「ユーザーに提案できる」集団を目指してチームビルディングをおこなっています。

@hiroaki「我々のユーザーとなるのは主に、『ニトリネット』を運営する通販事業部や、『ニトリアプリ』を運営するO2O推進室、コールセンターなど。買い物の利便性を高める企画をし、お客様の声をくみ上げ、改善へつなげることを使命とする部署です。彼らの要望をより良くかたちにするためにも、常に新しい技術やECのトレンドを吸収し、ユーザーニーズの先をいくようなシステム開発をすることが大切で、メンバーには常日頃からその想いを共有しています」

デジタルコマースチームの中途入社社員は、SIerの出身がほとんど。受注開発の経験が長い人こそ、ニトリでシステム開発を担う楽しさを強く感じられるといいます。何を隠そう@hiroakiもそのひとりです。

@hiroaki「これまでいろいろな業界のシステム開発をおこなってきましたが、小売は特に面白い。ECサイトひとつとっても、画面の見せ方や画像の表示速度、そういった細かい点がシビアに売上に響いてくるんです。逆に売上をシステムで伸ばすこともできる。ニトリのデジタルコマースチームは、お客様との接点が多い部署と密に連携しているため、反応がどのようなものか、良くも悪くもダイレクトに聞くことができます。その手触り感が一層のやりがいを感じさせてくれますね」

急激な需要増加へ立ち向かったデジタルコマースチーム

▲デジタルコマースチームのMTG風景

チームが発足した4月は、全国的な外出自粛による在宅勤務の増加で、人々の「住まい」への関心が高まった時期。ECの売上比率が急激に伸びたことで、チームは早くも困難な局面を迎えます。

@hiroaki「まずは『ニトリネット』を絶対にダウンさせないために、同じ情報システム改革室の技術チームと連携し、システムの監視を常におこないました。そのなかでも、目指したのは夜間のピークタイムでも安定して販売できる状態。また、注文が正しく処理できない場合を想定し、コールセンターと協働して特別体制を整えました」

結果として、サーバーへの負荷が高い状態が続いたにも関わらず、システムをダウンさせることは一度もありませんでした。一方で、前例のないアクセス急増は、デジタルコマースチームが今後注力していくべきいくつかの課題を顕在化させました。

@hiroaki「システムは正常に稼働していても、大量の注文を処理するバックエンド業務がパンクしかけるほどの状態になってしまったんです」

バックエンド業務とは、注文内容を処理し配送手配をおこなう業務のこと。現在ほとんどの注文の場合、バックエンド業務は自動処理できるようになっています。しかし、数パーセントは人の手で処理していかなくてはなりません。

@hiroaki「例えば、ご注文時に在庫の状況が確定できない商品が稀にあります。その場合、お客様は配達の日付選択ができないため、コメント欄に希望納期を入力していただくのですが、それらはオペレーターが1件、1件目視で確認していかなければなりません」

需要が増加するなかで、システムの保全にあたりながらも、少しでもコメントを自動処理できるよう、システム改善を繰り返したといいます。

@hiroaki「今後はAIの導入などによって、自動処理できる注文の比率をさらに高めていく必要があると痛感しました。また物流面でも納期の遅れなどが一部で発生してしまいました。デジタルコマースチームから、ニトリ全体の物流システムにも目を向けていく必要があるかもしれません。チームとして描く世界を実現するために、より広い視野を得られたような気がします」

常に「やるためにどうするか」という明るいマインドセットを

▲ニトリのECサイト「ニトリネット」のトップ画面(※2020年12月現在)

@hiroaki「ニトリネットでの注文数は一旦落ち着いてきてはいるものの、利用者数は依然として高いままです。これまでネットで商品を購入していなかったお客様にも、ニトリのECサイトの便利さに気付いていただけたのだと思います」

消費動向が大きく変化するなかで、チームのメンバーは、これまで以上にインサイトをとらえていく必要があります。

@hiroaki「最終的に目指しているのは、メンバー一人ひとりが“お客様にとって何が必要か”という方向性に向かってシステム開発の意思決定をしていけるチームです。それにはお客様と直接接し、システムを見ているだけではわからない難しい課題に自ら気付く必要があります。そして、その課題を『やるためにどうするか』、『明るい哲学』で挑まなければなりません」

「明るい哲学」とは、ニトリ全体に根付く言葉です。困難に直面したときに、「できない」ではなく、「どうやったらできるだろうか」と思考できる明るさ。特に、ニトリのビジネスモデルのアップデートに大きく関わってきたIT部門には、その文化が深く根付いています。

@hiroaki「私自身、ニトリに転職してから、一見無茶ぶりとも見えるオーダーに応えることで成長してきました。とにかく『実現するためにどうするか考える』という癖がつきましたね。それも結局は、その先にいるお客様により良いサービスを提供したいと考えているからだと思います」

まさにデジタルコマースチームは、この未曽有の事態のなかで急速にオンラインサービスに慣れていくお客様へ対し、新しい体験価値を提供していくという難題に出くわしています。しかし、それは同時にチームが大きく飛躍するチャンスです。@hiroakiはデジタルコマースチームの成長が、ニトリとお客様の新しい関係を築く鍵になると信じています。