自ら行動を起こす、強い共感を

▲数々の講演・セミナー、自社イベントに登壇し、ニトリの人事・組織について伝えている永島

ニトリでは、経験だけでなく、その人が「働くことで何を実現したいか」「どうありたいか」をお聞きすることを大切にしています。

永島の採用スタンスは、求職者に強い共感を引き起こし、具体的な行動を促すこともあります。永島の講演を聞いた求職者から、数十枚に及ぶITシステムの提案書が送られてきたと語ります。

永島 「我々が掲げる2032年ビジョンの実現に向けてITシステムをどうすればいいか、その人が自分のスキルをどう活かしたいかという想いを提案書にまとめてくださったんです。そんな提案をしていただける方も少なくありません。ありがたい話です」

2032年ビジョンは、売上3兆円3000店舗を達成するという目標です。達成にはグローバルな成長と、テクノロジーのさらなる活用が鍵と見ています。

永島「特に、テクノロジー分野は、ニトリがもともと強みを持ってきた領域です。グローバルな配送網を管理する基幹システムをすべて自社開発してきました。

たとえば、ニトリの基幹システムは、まだ海の上の船にある未来の在庫も数えることができ、お客様に納期を問われたときには『一週間後にお届けします』という約束をすることができます。

お客様に可能な限りの利便性を提供するこだわりを、自前主義で解決してきたニトリ独自の風土に溶け込んでもらうには、提案書を自ら書いてきてくれるような強い共感を持つ方でないと難しいのかもしれません」

“非連続成長”にはキャリア採用が欠かせない

▲「“非連続成長”とは、地続き的に徐々に伸びていく成長とは異なり、一気に飛躍するようなイノベーションによって大幅に成長することです」

ニトリの2032年ビジョンは、これまでの33期連続増収増益という成長実績をもってしても、かなりチャレンジングな目標です。成長曲線を描けばその傾きは極端なものであり、「非連続」成長のためにはキャリア採用が欠かせないと永島は語ります。

永島 「“非連続成長“とは、地続き的に徐々に伸びていく成長とは異なり、一気に飛躍するようなイノベーションによって大幅に成長することです。

我々のロマンに共感し、ありたい姿を描き、そのための挑戦を惜しまない経験ある人材をキャリア採用で確保していくことが、目標の達成には不可欠です。私たちが求める人物像を表すとすれば“想像&創造の好奇心型人材“でしょう」

Change(変化)、Challenge(挑戦)、Competition(競争)。これら3つのCを持つのが、想像&創造の好奇心型人材だという具体的なイメージを持っています。

永島 「33期連続で増収増益を達成してきたニトリは、業績の点から“安定的であること“や”堅実である“といったイメージを持たれがちです。しかし、そこには常にチャレンジがありました。

前年にうまくいったからといった理由だけで施策の予算は通らず、新しい目標のためにどんな挑戦が必要かを“想像&創造の好奇心型人材“が考えてきた結果が、業績につながっているのです」

永島はニトリに参画して以来、想像&創造の好奇心型人材を社内で育ててきました。しかし、さらなる成長が必要な今だからこそ、社外から同じロマンを持てる同志を求めているのです。

あなたは“社会課題”を見据えた挑戦ができますか──?

▲最近では、プライベートな時間を利用し、地域創生の活動に参加した永島

永島 「当社のキャリア採用では、求職者の方が、なんらかの社会課題を見据え、解決したいと思っているかどうかをお聞きしています。ニトリには“住まいの豊かさを世界の人々に提供する。“というロマンがあり、そのための社会課題解決を目指しています。

求職者の方には、そのニトリというステージを使って、それぞれが考える課題をどう解決できると思っているのかを伺うのです。どんなにスキルや実績のある方でも、その辺が空っぽだと、やっぱり一緒に働くのは難しいと感じます」

「わたしにどんなポジションを用意してくれるんですか?」という考え方で面接を受けに来る人は選考に落ちていく。そう断言する永島。

2013年にキャリア採用でニトリに入社後、近年、人事戦略を一手に担っています。

永島 「私が社会課題への意識を重要視しているのは、結局、働くことを通して得る自己実現は、社会課題の解決に結びついていない限り完結しないという自分なりの経験があるからです。

私はニトリへ転職した最初に、2年ほど店舗での接客などの業務を経験し、日々の仕事の中でその重要性を痛感しました。たとえば仮に商品を10個売ることができたとして、それでどれだけ世の中の役に立ったのか実感を得ることができないとしたら、仕事への意欲は長続きしないのだと思います」

求める成果が、お客様や社会にどうつながっていくのか。それは、ニトリの経営そのものです。

ニトリでは、社員が「ロマン(志)」と「ビジョン(目標)」を持っています。会長の似鳥昭雄は、「ただ、数字の目標を作っただけではダメ。人のために役に立つんだという志がそこになければいけない」と言います。すべてにおいて、その人の思想が一番基本にある。それがニトリ流です。

そこを突き詰めていけば、お客様が持つ悩み、その先にある社会課題に向き合っていくことは必然。そのため、永島はキャリア採用の基準においても社会課題をキーワードとして捉えているのです。

キャリア形成を共に考える

▲組織開発室では、「ロマン朝礼」と呼ばれる、社員が皆の前で自身のロマン・ビジョンを語る機会がある

ニトリでは、社員がロマン・ビジョンを考える機会として、「エンプロイージャーニーマップ」の提出があります。

永島 「年に2回、従業員として、ニトリでどんなジャーニーをしていきたいかを書いてもらいます。そのために経験したい部署があれば書いてもらい、適性をみて2~3年で配置転換していくという考え方です」

むしろ、ひとつの仕事を20年続けさせて課長になるというような目標の立て方は推奨していません。そうした目標の立て方をすると、たとえば、ライフステージにおける育休や介護の期間が、ご自身のキャリアを途切れさせてしまうことにつながりかねません。

永島 「じぶんのやれる範囲をできるだけ広げていって、一人ひとりいろんなことができるようになっていこうというのが僕らの考え方。結果的に個が立ってくるので、ニトリでは肩書きではなく、何をやっているか、やってきたかで人を判断し仕事を任せるんです」

配置転換を前提としたキャリアステップは、キャリア採用の中途社員にもあり得る話だといいます。

永島 「中途であっても、会社に入ってやりたいことが変わったなら、新しいチャレンジをすればいいと思うんです」

そのため、永島は採用フローの中でも、「何を実現したいのか」というビジョンを求職者に持ってもらうことを大切に考えています。

永島 「イメージで良いと思うんです。しっかりした形を持たせることは難しいですから。ニトリに入って、何年後にどんな風になっていたいなとか、どんな仕事をしていたいかというイメージをもってほしいんです。そこに明確な解を出すということよりも、そこをちゃんと常に考えているかどうかが大事ですね」

ときには選考を通じて求職者に伴走し、「何を実現したいのか」を一緒に探すこともあるといいます。

永島 「自分が何を成し遂げたいのか、考えられていないという人は実際多いんです。なので『一緒に考えよう!』というスタンスで接しています。何も“革命の志士“みたいな人だけを集めているわけではないんです。ニトリのロマンや、社会課題への向き合いに共感できる人であれば、ニトリで活躍していく可能性があると考えています」