お客さまの使い方を想像し、起こりうる課題を想定・検証。すべては良い製品を届けるため

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▲スマートフォンを通してお客さまが快適にシステムを使用できる環境をめざして

2015年に日産自動車株式会社(以下、日産自動車)に入社したイ。R&D コネクティドカーサービスの開発部署に所属し、IVI(車載インフォテイメントシステム)の開発を手がけています。

イ 「所属部署では、ナビゲーションシステムやメーターやディスプレイなど、自動車に搭載されるシステムを幅広く開発しています。中でも私が所属する信頼性の開発グループでは、それらコネクテッドシステムの評価業務を担当しています。そこで私はBluetoothやWi-Fiなどの技術を用いてお客さまのスマートフォンとIVIとをつなぐための実験評価を担っています。

“評価”とひと口にいっても、業務内容はさまざま。スマートフォンとIVIを接続し、各機能がどんな環境下でも正しく作動するか確認するのはもちろん、その前段階として品質保証するための実験手法を立案するほか、問題点が見つかった際に設計部門にフィードバックし、改善後の再確認する業務にも携わっています」

IVIと連携させて使用するスマートフォンを開発するのは他企業。自社で制御できない部分が多く、簡単に接続できなかったり、接続が突然切断されてしまったりといったトラブルが少なくありません。そうした事象をなくして、お客さまが快適にシステムを使用し、豊かなカーライフを楽しむための環境づくりをめざしています。

イ 「評価計画を立てるときは、たとえば4人家族が山へキャンプに行くシーンなど、実際のお客さまのユースケースをイメージします。具体的にイメージできればできるほど、どんな場面でどんな問題が起こりうるかが想定しやすくなり、評価軸や実験内容もおのずと決まっていきます。検証を徹底し、問題を確実に解決した上でお客さまに製品を届けたいとの想いを強く持っています」 

車載デバイスの進化は、日進月歩。業界をリードする技術と言われるコネクテッド技術に携われていることに、大きなやりがいを感じていると言います。

イ 「IVIとスマートフォンの接続を確認し評価することで、お客さまにわくわくを届けられる過程に携われることが、この仕事の魅力です。以前、最新技術を用いて開発されたIVIを搭載する、日産自動車初のクロスオーバーSUV型の電気自動車「日産 アリア(ARIYA)」をお買い求めいただいたお客さまから『Wi-Fiにつながりやすい』といったレビューが届いたことがありました。そうした声をいただけると、大きな手ごたえを感じます」

グローバルかつダイナミックな業務に携われる点とダイバーシティが入社の決め手

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▲入社1年目のイ。栃木工場での自社イベントでGT-Rにも試乗した

日本のものづくり技術に関心があったことから、イは高校卒業してすぐに日本へ。 語学学校を経て大学に入学し、電気電子工学を専攻した後、大学で学んだ技術を活かし社会に貢献したいとの想いで就職活動する中で出会ったのが日産自動車でした。

イ 「まず惹かれたのが、ルノーなどとアライアンスを結んでいて、グローバルで働いたり、幅広い仕事に携われたりする機会が多いところ。また、会社説明会やOB・OG訪問する過程で、多くの外国籍社員や女性社員がいきいきと働いている様子を見聞きし、誰にでも等しく活躍のチャンスが開かれている社風に魅力を感じました」 

入社後に配属されたのは、いまも所属するR&D コネクテッドカーサービスの開発部署における信頼性の開発グループ。部署やIVI開発における実験業務という軸は変わりませんが、これまでさまざまな領域の業務を担当してきました。

イ 「はじめに、IOP(Interoperability、相互運用性)評価担当として、iPhoneやAndroid、中国製スマートフォンなど、IVIと接続される可能性のある、あらゆるスマートフォンとIVIの接続性を確認する業務に携わりました。次に担当したのが、IVIの新しいサービスであるApple CarPlay/Android Auto™といったアプリケーション評価業務。その後、EVに関連したルノーとのアライアンス部品開発の評価担当を経て、現在に至っています」

そうやってさまざまな業務が経験できたのは、日産自動車に自由な社風があるからだと言うイ。毎日がチャレンジングで刺激的だったと振り返ります。

イ 「日産自動車には、若い社員に積極的に仕事を任せ、成長のチャンスを与えてくれる環境があります。アプリケーション評価業務をしていたときなど、評価の計画を立てるところから、他部署とコミュニケーションを取りながら業務を推進するところまで、一貫して担当させてもらえました」

とはいえ、年次や経験の浅い社員にとって、自らが主体となって業務を進めるのは決して簡単なことではありません。果敢に挑むことができたのは、周りの手厚いサポートがあったからこそだとイは言います。

イ 「はじめての仕事に取り組むときは、自分が立てた計画に問題がないか不安を抱えたものでしたが、先輩社員や業務に関連する他部署の方からフィードバックをもらいながら、徐々に自信をつけていきました。成功体験を重ねていくうちに、難しいことに直面しても、『周りと助け合って解決できる』と、仕事に対して前向きに臨めるようになっていきました」

また、最新技術へのキャッチアップをサポートする社内制度にも助けられたと言うイ。

イ 「社内には、開発中の新しいシステムに関する基礎知識を習得できるような教育プログラムが用意されています。しかも、1回限りで終わりのものではなく、数カ月単位などまとまった期間をかけて学べるプログラムなので、技術を身につけ、それを実践に活かすサイクルを回しやすいのが特徴です」

課題解決のため北米での調査を提案。自ら出張を志願して得た手ごたえ

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▲北米への海外出張にて。アメリカ車のベンチマークのため自ら志願 

入社以来、挑戦を繰り返してきたイですが、とくに印象に残っている出来事があります。5年目に2週間の北米出張を経験したときのことです。

イ 「自動車を購入して間もないお客さまを対象に聴取して行われる民間の品質調査(IQS)があるのですが、当時、日産自動車の自動車に対して『Bluetoothの接続が切れる』などの声が挙がっていました。その問題を解決するためには、メインマーケットであるアメリカの自動車メーカーをベンチマークして気づきを得る必要があると感じ、自ら志願して行かせてもらったんです。

まず出張の準備段階で、Bluetooth切断後の再接続に弱点があることを確認。訪問先で、同様の場面で他社の自動車がどのような動きをするのかを確認したり、測定ツールを持参してログを取ったりしてきました。

帰国してデータを解析したところ、搭載されているBluetoothモジュールの種類によって結果が分かれることがわかったんです。開発段階で最初のモジュール選びのプロセスを見直す必要があることを突き止め、それ以降、システム開発に反映されました」

こうした実験・評価業務に日々取り組む信頼性開発グループ。チームワークが何より大事だと言います。

イ 「『ユースケースを想定して実験したところ、こうした挙動になったけれどお客さまの使い方上この動きで大丈夫でしょうか?』と設計担当に相談して議論することもあれば、レイアウトによってBluetoothやWi-Fiの電波が遮蔽される課題があった際には、関係部品の担当メンバーと議論し一緒に対策案を検討することもあります。

一方、他の部品に新しくBluetooth技術が適用される際、『どういった評価指標を用意すべきか』と他部署から尋ねられることも。そんなとき、自分の技術を役立てられる喜びを感じると同時に、そうした各担当との活発なコミュニケーションが技術を支えていることを実感します」

IVIを快適に使いこなせることが当たり前の世界に

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世界を股にかけて活躍し、ダイバーシティを体現する環境に惹かれて日産自動車に入社したイ。入社9年目を迎えるいまも、その印象は変わっていません。

イ 「自ら志願して北米出張が果たせたことからもわかるように、日産自動車には自分の意見や希望を伝えやすい風通しの良さがありますし、社員の意向を尊重してチャンスを与えようとしてくれるところがあります。

また、女性のマネージャーや、産休・育休を経て職場復帰される女性社員が多く、誰に対してもキャリアアップや成長の機会が開かれていて、長く働ける魅力的な会社だと思います」

そんな環境を追い風に、今後は担当領域の第一人者となってお客さまに向けてますます快適な体験を提供していくべく、技術や知識に磨きをかけていくつもりです。

イ 「当社の自動車には最新技術を活用した素晴らしいシステムが搭載されていますが、安心・安全面で克服すべき点がまだまだあります。スマートフォンを使うときのように、お客さまが簡単に快適に新しいコネクテッドサービスを満足してお使いいただけるよう、担当領域で力を発揮し貢献していきたいですね」

また、中堅社員として後進の育成にも力を入れていきたいと言うイ。

イ 「周りの方々にサポートしてもらっていまがあると思っています。後輩たちから頼られるような存在になれるためにも、信頼性開発グループの良い組織文化を後世に伝えていくためにも、メンバーとのコミュニケーションをよりいっそう積極的に取っていきたいです」