海外駐在を実現するために、現場での仕事に没頭し経験を積んだ

私は2020年現在、駐在員として日鉄物産のタイ現地法人(日鉄物産タイランド)に勤務しています。タイ現地法人では、鉄鋼に加えて産機・インフラ、食糧などのビジネスをしています。私は鉄鋼の営業で、鉄鋼製品の中でも主に薄板と呼ばれる品種を担当しています。

私が日鉄物産に入社した理由には、自分のバックグラウンドが大きく関わっています。私は日本とタイのハーフで、幼い頃から海外を身近に感じながら育ち、大学進学の際には将来海外でも仕事ができるように、海外留学できる大学を選びました。

海外への想いは就職活動時も変わらず、会社に入ったらいずれ海外駐在したいと考え、海外と関わることのできる企業を志望していました。
そこで日鉄物産に出会い、入社。

しかし、入社してみると海外で活躍されているのは30代〜50代のベテラン社員が多く、これまでの経験を活かして、海外に挑戦されている先輩方ばかりでした。しかも、その当時は女性駐在員がおらず、男性ばかり。自分に置き換えたときに、その年齢で海外に出たら、結婚や出産などのライフプランはどうなるんだろうと、はじめは悩みましたが、キャリアとライフイベントを両立するために、できるだけ早く海外に行けるよう努力しようと思いました。

入社早々「海外に行きたい」という私に対して、上司は「海外にはそれなりの経験を積んだスタッフもたくさんいる。駐在員はそういうスタッフと同等か、もしくは彼らをマネジメントする立場になるから、彼らからも知識や経験、人柄で尊敬される人間でなければならない。だから、もう少し日本で経験を積んでからの方がいい」と言ってくれました。
上司が私を海外に出してやりたいと思ってくれているのは、言葉だけでなく教育面からも伝わってきました。上司も先輩も私を女性扱いせず、男性社員と同じように育ててくれたことには、本当に恩を感じています。
そのおかげで、その後はキャリアを思い悩むことなく、自分の仕事に没頭できました。

努力を重ね知識を身につけた日々、高難度の資格にも合格するまでに

1人前になるまでの道は、平坦ではありませんでした。

入社してすぐに、専門的な知識が必要だと気が付きました。当時担当していた特殊鋼棒線という鉄鋼品種は、相応の技術的な知識が求められます。分からないことは分かるまで追求するようにし、お客様の工場や現場にできるだけ足を運ぶようにしていました。

幸い、私の部署では若手教育に特に力を入れていて、外部の講習会やセミナーへの参加を積極的に後押してくれました。外部団体には資格認定制度があることもわかり、身につけた知識を目に見える形にしたい、また対外的にも認めてもらう近道だと思い、特殊鋼販売技士と溶接管理技術者の資格取得にチャレンジしました。特に、溶接管理技術者資格は難易度が高く、最低4年の職務経験が必要となる資格です。勤務時間外の時間も活用して勉強しました。さらに、お客様の現場で現物を見て、実務の中で勉強させていただいた経験はとても役に立ちました。
メーカーの技術職の方がよく持っている資格なので、ちゃんとわかった上で仕事をしている証明になりますし、お客様も仕入先メーカーも私の技術知識のベースがしっかりできていることを信用してくれ、それからは技術的な相談や提案を相互に言い合える関係ができました。

これらの資格取得は私のその後の営業活動や取引先との関係に大きな影響を与えてくれたと思っています。

お客様目線で仕事をする、失敗から得た学びを着実に活かしていく

入社3年目のある時、フィリピンのお客様からボルトの注文を頂きました。私にとってボルトの輸出は初めての経験で、この時の失敗が今の仕事に対する姿勢の原点になっています。

ボルトが使用される工事現場はとても広い為、工区という施工エリアで区切られています。本来ならその工区ごとにボルトの梱包を分けて出荷するべきところを、それを知らずに、普段通りサイズごとにまとめてしまいました。

結果的に、納品されたボルトはお客様が現場で自ら振り分けすることになり、とても落ち込み反省しました。常にお客様目線で仕事をする大切さを痛感した経験でした。

その後は経験を活かして、お客様により満足していただく為にはどうすべきか、よく考えて仕事に取り組むようになりました。例えば、商談のポイントであったコストに対して、ボルトを載せるパレットをコンテナに積載した時に無駄なスペースが発生しないサイズに設計を変更するアイディアで、輸送費用を抑えることで成約に繋げました。受注後も、製鉄所~ボルトメーカー~現場まで一貫して納期を管理し、情報を共有することで、流動的な工事スケジュールに合わせたデリバリー対応ができました。

それからも、バングラデシュやスリランカの案件にも続けて採用していただき、ゼネコンの購買の方々には私がタイに駐在するまで本当にお世話になりました。お客様と信頼関係を築くことの大切さを教えていただきました。

失敗をしても、それを糧に自分のスキルを上げていければ、成果を出して次の新しいビジネスに繋げていくことができると思います。

お客様からの信頼が仕事のやりがいに、タイで新たな挑戦

着実に成長を重ね、入社から7年目の2019年、ついに海外駐在に行くことに。駐在先は母の祖国、タイでした。

タイに来て、タイ人と仕事をする──これまでと違う環境になって感じるのは、相手が変わっても、場所が変わっても、仕事の本質は変わらないということです。相手が必要としているものを読み取ったり、自分の想いや考えを正確に伝えることは、国が変わっても同じだと思っています。どこに行っても、コミュニケーションが大切なんです。

自分では伝わったと思っていても、100%伝え切れていないことは多々あります。日本人同士で仕事をしている中では、想像のつかないことが起こります。「当たり前」なんてないと、身をもって学びました。今では、タイ人と仕事をする時は、より相手に伝わるように英語とタイ語を交えながらコミュニケーションを取ったり、相手が正確に理解できたかを確認したりするようになりました。

キャリアとライフイベントの両立について今は、昔ほどあまり深く考えていません。

母が働きながら私を育ててくれたので、自分に結婚や出産、子育てといったライフイベントがきたらどうしようと思い悩むのはやめ、その時どんな風に生き、働いているかむしろ楽しみにしています。

今は自分の魅力や強みを発揮して仕事ができていると思いますし、学生時代から考えていた海外で働く夢も実現できているので、自己実現を含め、人生を楽しんでいるのは間違いないです。

お客様や取引先、上司や先輩・同僚、常に周りの人に恵まれて、楽しく仕事をしてきました。もちろん大変なこともありますが、あまり落ち込まず、いつも前向きに明るく取り組むようにしています。周りから頼られることに喜びを感じ、その期待に応えられたらもっと嬉しい──これが私のモチベーションです。