鉄鋼×産機・インフラで新たなシナジーを

▲製品サンプルをチームメンバーと確認する横山(左)

2020年12月現在、横山は産機・インフラ事業本部の産機・インフラ企画部に所属している。その他にも鉄鋼事業本部の自動車企画室、鉄鋼企画部鉄鋼IT推進課、企画管理本部のICT推進部も兼務しており、社内でも一番多い、計4つの部署を掛け持っている。

横山 「メインで所属している産機・インフラ企画課では、産機・インフラ事業本部全体の品質管理として、サプライヤーの品質指導・技術指導・工程監査、およびお客様への技術的な交渉を主に担当しています。

8割が品質・技術関連の仕事ですが、ときどき他の営業社員や客先から技術的な相談を受け、技術営業的な立ち位置で仕事をする場合もあります。

というのも、私は中途でこの会社に入社した際、産機・インフラ事業本部全体の品質管理および事業本部内でのビジネスの横展開の創出と、自動車関連分野への知見を生かした、鉄鋼×産機・インフラのシナジー効果創出というタスクを与えられていたんです。

会社としても新しい取り組みで、いずれの仕事も元々ひとりで行っていましたが、2019年からは品質管理の仕事においては部下を持ち、ふたりで分担して行うようになりました」

他方では、2018年に鉄鋼事業本部の自動車企画室に創設メンバーのひとりとしてアサインされた横山。ここでも事業本部間を超えたシナジー効果の発揮を目指して奮闘している。

横山 「自動車企画室は、鉄鋼事業本部の部隊と産機・インフラ事業本部の部隊がミックスされた組織です。自動車に関する当社ビジネスの総合的なサポートとして、マルチマテリアル対応や新需要の発掘、新技術への対応などをメインに取り組んでいます。

中でも私は鉄鋼×産機・インフラで新たにシナジーを生み出して、新しいビジネスにつなげられないかという観点で営業を行っています。前職での経験や知識を活かしながら、技術的な課題を解決して最終的に営業につなげる、言うなれば『技術営業』のような仕事です」

「グローバルな環境で働きたい」2度の就職活動を経て、日鉄物産へ

▲海外出張時、取引先関係者とテニス観戦へ

商社で4部署を掛け持つというキャリアを歩む横山。そのキャリアの始まりは、学生時代にまで遡る。

横山は学生のころはサイエンスに興味があり、その中で特に化学が好きだった。理系から文系への転換は利くが逆は難しいという考えから、理系にいれば可能性が広がると思い、大学では理系に進学する。

横山 「そのまま大学院へ行き、主に製薬などの研究を行っていました。その流れで就職活動時にも製薬会社を中心に動いていましたが、徐々に方向性の違いを感じるようになりました。

ひとつのことを深く突き詰めていくよりも、周りの人と関わってビジネスをしていくことに興味があったんです。また、就職した先輩たちの話を聞く中でも、狭く深く追求していく研究職のような仕事は、自分には向いていないのではないかと」

そんな横山は、グローバルな環境、事業開発・事業経営に興味を持ち、就職活動では商社を志望することに。しかし、第一志望の商社から内定をもらうことはかなわなかった……。そこで、当時内定をもらっていた会社の中で、先輩社員や他の内定者との交流を通じて最も親和性が高いと感じた自動車メーカーに入社を決めた。

横山 「入社当時はまったく知識も何もない状態だったので、そこに対してはとにかく勉強をしていました。新しいことを覚えながら一人前を目指して仕事をする日々は、充実していましたね。

ただ、3年や5年が経つと自分の仕事をこなせるようになり、余裕が生まれ始めました。そして、『その余裕を他の方向に振り分けたい』と考えるようになったんです」

年次が上がるにつれて、外の世界に対する憧れや欲求を自身の内で強めた横山は、会社の方向性とのズレを感じるようになった。

横山 「会社の規模も大きかったので、前職で勤め上げればしっかりとした人生を歩めるけれど、劇的なステップアップや大幅に仕事の領域が変わることはないだろうと思っていました。そこで、このままメーカーに勤めて専門性を極めていくよりも、ほかの分野にも関わってみたいという想いが生まれたんです。 

そして、自分のキャリアについて考えたとき、新規事業開発・事業経営をやりたいという原点に立ち返り、再度商社を志望しました」

転職活動を始めた横山は、前職で培った品質管理や自動車の技術的な知識など、自分の強みを生かしながら自動車関連のビジネスで幅広い業務に携われる会社を探していた。

しかし、自動車に特化したところは少なく、そもそも商社は中途採用の数が少ないという現実に直面する。

横山 「そんな中で、オファーをくれたのが日鉄物産でした。品質関係や技術的な相談でも対応できる人材を探しているということで、まさに私が探していたポジションを提示してくれたため、迷わず応募しました」

前職の経験を生かし、すべてのセクションに責任感を持って働ける環境

▲2020年現在の横山

2017年12月、横山は日鉄物産に中途入社し、産機インフラ事業本部に配属されて2020年現在に至る。

横山 「技術職として働いていた経験は、今の業務においても大きな助けになっています。当社は自動車の知識や品質管理に関するノウハウはもちろんのこと、周りを巻き込みながらチームで仕事をする力も活かせる環境です。

メーカーではひとりで仕事をすることは難しく、それぞれの専門性を活かしながら、多くの人を巻き込んで仕事をしなければなりません。人が増えれば増えるだけ問題や軋轢が出てくるので、そのおかげでそれぞれの意見を調整して仕事を進めていく能力がつきました。それが商社でも通用したのは嬉しかったですね」

チームとして仕事をしていくためには常に全体最適化を考えなければいけない。しかし、仕事を進めていくと、社外ではもちろんのこと、社内の部署によっても利害が発生する。

横山 「ここで、大前提として考えるのは全社的に利益があるかということです。チーム全体として、目指すべきゴールを考え、まわりを巻き込むことで、大きな仕事を成し遂げられるのです」

日鉄物産での働きを通じて、複合専業商社としての強みや商社の仕事の面白さを感じている横山。これまでのキャリアを起点に、その魅力をこう分析する。

横山 「まず挙げられるのは、営業部隊の裁量や権限、業務領域の広さです。前職ではお客様と打ち合わせとなったら、営業に加えて技術・品質管理・物流などすべての担当を集めて打ち合わせを行っていました。一方、日鉄物産では営業ひとりでそれらも含めてすべての必要ポジションを担っています。

このように商社の営業パーソンは、上流から下流まで事業のすべてのセクションに携われるため、仕事を自分で回している意識を強く持てるんです。

そのためセクショナリズムがなく、いろいろなことが学べます。ずっと商社にいる人は気付かないかもしれませんが、営業社員の一人ひとりが利益にこだわり、大きな裁量を持って幅広い業務に取り組む──これが少ない人数で利益をあげられる理由ではないでしょうか」

会社の"横串"として、社内シナジーの種を育て続ける

▲産機・インフラ事業本部 若手忘年会時の写真(横山は左から2番目)

横山が所属する産機・インフラ事業本部では、経営人材を育てていこうという方針を掲げている。事業本部内における売り上げの3割が本社、7割は国内外の関連会社のもののため、関連会社を育てていける人材が必要だからだ。実際、積極的に社員を関連会社に出向させて、現場で学んでもらうようにしている。

横山 「これは持論ですが、営業職である限りは、ある分野の完全なスペシャリストにはなれないと思います。しかし、産機・インフラ事業本部では本社でずっと仕事をするのではなく、出向先の現場で経験を積み、その後本社の経営部隊や関連会社の経営部隊として業務に当たることができます。商売のゼネラリストを育成しながらも、経営者としてのスペシャリストを育成するには良いフィールドが揃っているんです。

私は専門職の集まりであるメーカーから、ゼネラリストが集まる商社に転職した経緯があります。一方で新卒で商社に入社した人は入りがゼネラリストなので、まんべんなく能力を伸ばしてから、自分の専門性を見いだして伸ばしていこうとします。アプローチの方法が真逆なんです。その違いを理解しているのは私の強みかな、と」

そんな横山は、自身の強みを生かして、社内に横串を通す役割を担っている。部署の隔たりなく多くの人と関わり合いながら、コミュニケーションが上手くいっていないところの間に入り、専門性を活かしつつ様々なプロジェクトを推進させている。

横山 「今後の目標は、鉄鋼と産機のシナジー効果を生み出し、結果を出すことです。自動車企画部にはとくにそのシナジーの種があるのでは、と期待しています。鉄鋼と産機・インフラはもともと同じ出所であったこともあり、事業・商流などは基本的に同じで親和性は高いんです。

これを金属の種類の垣根なく、むしろ繊維や食糧など種類の異なる部署にもまたがって施策を行えればと思います。それこそ"横串"的に機能していきたいですね」

自身を串にして、さまざまな部署や人を結びつける役割に想いを巡らせる横山。現在の自身の立場から、これまでのキャリアをこう振り返る。

横山 「いま世の中で求められているのは広く仕事をしながら、時には狭く深い専門性を生かせる人材だと思います。いわゆるT型人材やH型人材と呼ばれる人材です。

私は偶然メーカーで専門性を学び、商社に転職することでそれを実現できたように思えます。そう考えると、寄り道をしながらキャリアを形成していくことも大切なのかもしれませんね(笑)。

今の社会は転職や出向、社内での異動など、さまざまな寄り道が許される社会です。ただ、なんの計画性もない寄り道では破滅してしまいますから、計画性のある寄り道が必要です。それが転職でも出向でも社内での異動でも、いろいろな形で寄り道をかなえることができるので、そういう形のキャリアイメージを入社前から持っておくと、いい社会人人生が送れると思います。

そのどこかで当社にマッチしたらなら喜ばしいことです。当社にはキャリアの枝葉を伸ばす土壌があるのだと、私自身がこれまでのキャリアで学んできましたから」

「寄り道」──自身のキャリアの変遷をそのように表現する横山。これからも、多岐にわたる道の中で自分の進む道を選択し続けていく。