どういう製品を作って行くのか考える側に回りたい。それが入社の決め手
──入社のきっかけを教えてください。
もともと、前職ではメーカーでSIPサーバーの開発に携わっていました。当時、国内でSIPサーバーを開発しているのは代表的なメーカー数社くらいしかなく、時代もあいまってわりと過酷な環境だったので、働きやすさを求めて転職したことがきっかけです。
──ネクストジェンをもともと知っていたのですか?
半分はい、半分いいえ、ですかね。エージェントから紹介を受けて、社名は知らなかったのですがネクストジェンのMCCソフトウェア製品は知っていました。「あぁ、これを作っている会社だったんだ」と。当時はSBC(※)という言葉もない時代で、正直SBCの普及は懐疑的に捉えていました。
──ネクストジェンへの入社の決め手は?
面接の中で、いろいろできそうだと思ったんです。開発として、言われたものをただ作るよりも、どういう製品を作っていくのか考える側に回っていきたいと思っていました。これまでの経歴も生かして、どう製品を作っていくかに取り組める。めざしていたモノと合致したことが決め手です。
※SBC(Session Border Controller)とは、IPネットワーク上での音声通信において、セキュリティを確保しながら異なるネットワーク間の相互接続を行うゲートウェイ装置
音声AIの第一人者として開発をリードする存在
──現在はどのような業務をされていますか?
もう担当して長くなりますが、現在は音声AIソリューションの研究開発を中心に、企画から営業支援、開発、構築、運用と技術面はほぼ見ている形ですね。当社では音声認識エンジンを開発するということはしていなくて、それぞれの会社の音声認識エンジンの特徴を生かした顧客提案をしているので、各エンジンの認識率調査や顧客要望に応じたエンジンやシステムの検討なども行っています。
──何か音声AIに携わるきっかけはあったのでしょうか?
いえ、ちょうど音声AIをやる人がいなかったんです(笑)。大学との協同研究を行っていて、そこからビジネスになりそうなものを探って出てきたものが音声認識。2017年当時、 社内では数名の方がノウハウを蓄積していましたが、まだ誰も音声認識を実用化できていない状態でした。自分自身、電話として音声を扱ってきた経験はあるし、学生のころにニューラルネットも扱っていたのでやってみようと思いました。
──きっかけは偶然だったのですね。ですが、今では音声AI開発をリードする社内での第一人者になられています。その点について思うことはありますか?
もともと、NWや暗号化の専門家になりたいという出発ではありませんでした。単にこれまで仕事で担当した結果そうなった。やれることをこなすだけではなく、「今後どういうことをしていけば良いんだろう?」と勉強したり、情報収集したりして取り組んできました。上司から言われたことだとしても、そのきっかけを自分の強みに変えていけると仕事が楽しくなる。そうすると、最終的に自分のやりたいことにつなげていけると考えています。
相談を受けたときに解決できる。何かと相談に乗れる人でありたい
──ご自身で大切にされている価値観はありますか?
何かと相談に乗れる人でありたいですね。設計・開発に携わる身としては、プロフェッショナルであるべき。「エンジニアとしてのプロってなんだろう?」と考えると、相談を受けたときに解決できる。「それは知っている。こうすればできると思う」と答えられる人でありたいです。
聞かれたり相談されたときに答えられるようになっていたい。音声認識については少なくとも社内での第一人者にならないといけないと思っているので、普段から勉強しています。音声認識の専門家になりたいというわけではありません。聞き先はほかにもありますが、一番聞きやすいのは社内の専門家です。
質問に答えられないと専門家とは言えないでしょうし、社内で相談先になれないような人は、業界でも通用する実力のレベルにはなれないと考えています。
"SIPのプロトコルに詳しい" 、"暗号化のところが強い" など、強みを持っていると意見もきちんと言える、頼りにされる。 技術者は、自分の強みを持っていないと誰かの指示を受けるだけになってしまいます。
自分のコアを持っていると、そこから仕事を膨らませていくことができる。自分の強みを作った方がいろいろ回せるようになるんです。
開発者には、準備と情報収集が大事
──勉強をしているとの言葉もありましたが、若手エンジニアに向けて、普段の取組みで実践していることや、どのように情報収集をされているのかを教えてください。
「作ってください」と言われるものは想像を超えるものじゃないので、あらかじめいろいろ予想や想定をしています。たとえば、海外で研究や開発がされたものが、ちょっと遅れて日本に入ってくるということも多いですよね。「○○を知っている」と言われる人のほとんどは、どんな注文が来てもすぐ作れるようにあらかじめ情報収集などの準備ができている人だと思います。
準備と情報収集が大事。情報収集としては、IETFなど規格を決めている団体の動向情報は収集しています。 あとは、技術者の集まりみたいなものもありますので情報交換をしている場所などに顔を出しています。
昔だとface to faceで会わないと得られない情報もあったりして、私自身も以前、勉強会を主催する側だったりして、月1回とかで勉強会もしていました。そういうつながりで情報ネットワークもできたりします。
ただ、最近はオンラインでのつながりも増えましたが、オンラインだと情報が双方向にならないこともあって、どんな情報交換の仕方が良いのか考えています。
──最後に、ネクストジェンにご応募いただく方にメッセージをお願いします。
自分が担当している音声認識は、音声認識の性能面は変わりましたが、理論や本質的な技術はほとんど変わっていません。ただ、「なにが必要とされるのか 」というのは世の中で変わっていく。製品をどこに提供するのかでお客さまの課題も変わるので、ここに柔軟に対応できることが重要だと思います。
これから先が見通せない時代。「なんとかなるんじゃない?」と前向きにやっていける人、ポジティブに考えていける人が良いと思います。
こだわるのは良いことだけれど、こだわり過ぎると変革の波に押し潰されてしまうかもしれない。プロフェッショナルで専門家だとしても1、2年でガラッと変わる可能性もあるから「専門家だけど、違うこともできます」という面を持っている方と一緒に働きたいなと思います。