グラフィックデザイナーからスタート。新規分野にも果敢に挑戦

プロデューサーとして、大手通信企業やエンターテインメント企業を担当するほか、新規事業の開発にも取り組む日下 陽介(ひのした・ようすけ)。グラフィックデザインを学んだ後、デザイン会社、CM制作会社を経て、2016年にネットイヤーグループに参画しました。

新卒で入社し、約17年間在籍したデザイン会社では当初、企業広告、カタログ、フリーペーパーなどのグラフィックデザインを専門としていましたが、徐々に事業規模を拡大。ウェブ、映像、イベント・プロモーションなども手掛けるようになりました。

日下 「入社したのは、紙媒体のデザインを手掛ける会社でしたが、クライアントから相談されれば、他の分野でも積極的に受けていました。

入社当時6名だった社員数も増やし、ついには100名以上となり、社員を食べさせるためになんでもやらなきゃという想いでしたが、新たな分野に挑戦するのが楽しくてたまらなかったですね」

会社の規模拡大にともない日下も、グラフィックデザイナー⇒アートディレクター⇒プランナー兼プロデューサー⇒そして副社長へ、職種や役割が変化していきました。役職が変化してもなお、日常的にデザインやアイデアを考えるのがクセになっているという日下。それは、入社当初、デザイナーの先輩に言われた何気ないひと言がきっかけでした。

日下 「デザイナーの先輩に『俺と君の違いはなんだ?』と聞かれ、『キャリア』と答えたら、『それなら、君はずっと俺を抜くことはできない』と言われたんです。

『単なる傍観者や生活者として日常を過ごすのではなく、デザイナーという視点で仕事外の時間も過ごすことができれば、キャリアの差を縮めることができる』とも言われました。そのときからでしょうね、日常の生活からデザインやアイデアを考えるのがクセになったのは」

会社は本拠地の関西にとどまらず、日下が入社して10年目のころに、東京と九州にも進出。東京オフィスの責任者となった日下は、大手広告代理店と組んで、繁華街や鉄道をジャックする大型プロモーションやイベントを仕掛けるなど、一つひとつの仕事の規模を拡大していきます。

UXのメソッドを理解し、新しいビジネスを生み出すために転職

▲オンライン会議中の日下

副社長として東京オフィスの代表として、経営にも携わるようになった日下でしたが、会社の方向性とは異なるビジョンを描くようになり、退職を決意します。企画力を買われて、都内のCM制作会社に転職しますが、CM制作では飽き足らなくなり、約2年経過したところで転職エージェントに登録。そこで紹介されたのが、ネットイヤーグループでした。

日下 「正直、どんな会社かよく知らなかったし、自分のやりたいことと会社の方向性が一致するのか、そこが最も気になるところでした。給与や条件がどうだという前に、自分がその会社にいる意義を見いだせないと、入社しても仕方ないですよね」

面接では、「ユーザー視点でとらえるともっと多くのデジタル活用が実行できるのでは?」という想いもぶつけました。

日下 「デジタルによって、本来はもっと新しいものが生まれるはずだし、さらに新たな価値を発揮していかなければならないと思います。

それなのに、多くの企業が目先の利益にとらわれて、既存の枠を超えようとしない。そんなのぶち壊す、もっと先の可能性を追求したい、デジタルマーケットを変革するような、新たなビジネスを生み出したいと伝えました」

面接で経営陣に、「会社に新しい風を吹かせてほしい」と言われたことも、日下の印象に残っています。

日下 「ここでなら、既存の枠にとらわれずに、新たなことに挑戦できるのではないかと思ったんです。何を期待されているのか、何ができるかなど、面接で腹を割って話し合えたからこそ、入社を決意することができました」

ネットイヤーグループについて理解するうちに、日下が興味を持ったのが、UX(ユーザーエクスペリエンス)視点です。

日下 「UXという言葉がよく使われる前から、ユーザーの視点で物事を見る大切さを感じ、意識してきたのですが、僕の場合は感覚的な捉え方に留まっていたのかもしれません。ネットイヤーグループが確立したUXのメソッドを体系的に学びたいと思いました」

ネットイヤーグループに入社し、UXデザイン・UX視点について理解を深めた日下は、入社2年目にある大型チェーンのプロジェクトでアプリの開発に挑みます。

ユーザーが本当に求めているアプリを開発するために

日下が担当することになったのは、全国に店舗を持つ大型チェーン店のアプリ開発です。クライアントからはゲームや占いのアプリ、トップからは健康アプリ……など、さまざまな要望が飛んできました。

日下 「必要なのは、店舗とお客様がつながるツールです。良い体験を提供できなければ、ユーザーは利用してくれない。もっと店舗に行きたくなる、店舗に行くのが楽しくなる、そんなアプリを開発すべきだとクライアントには進言しました」

老若男女、すべての人が使いたくなるアプリという要望も、日下を悩ませました。

日下 「すべての人に受け入れられる、利用してもらえるアプリなんてありません。ターゲットを絞り、メインとする層を決めないと、アプリの目的がぶれてしまう。もし、ユーザーから否定的な意見があったとしても、そこを受けて改善していけばいいとクライアントには伝えました」

なんのためにアプリを開発するのか、クライアントにそのことを理解してもらうためにワークショップを開催。クライアントと共にUXの理解を深めた上で、“新しい買い物体験“を実現するアプリを提案しました。

クライアントのさまざまな部署の意見を聞きながら、自身がつくりたいアプリへの理解を求め、なんとか開発にこぎつけた日下。アプリのリリースは、入口にすぎないと、ユーザーに新たな体験を提供するため、第2、第3の作戦を進めました。ところが……

日下 「アプリをハブにしたデジタル戦略を提案したのですが、さまざまな事情があって、実現できませんでした。ネットイヤーグループなら、もっとユーザーの視点に沿ったプロモーションができたのに……と、本当に悔しかったです。成功していない、不完全燃焼のプロジェクトです」

ECでもリアル店舗でもない、まったく新しい買い物体験をつくりたい

▲カスタマーエクスペリエンス事業部 プロデューサー 日下 陽介

不完全燃焼となった、アプリ開発のプロジェクト経験が、プロデューサーという職種を見つめなおすきっかけになったと語る日下。

日下 「営業とプロデューサーの違いは何か。クライアントに予算を提示され、こんなことをやりたいと言われたとき、その予算内でできることを考えるのが営業です。

それに対して、予算うんぬんではなく、もっとこんなことをやろうと、求められている以上のビジョンや夢を見せるのがプロデューサーではないでしょうか。

場合によっては、『アプリをつくりたい』と言われても、『今はアプリなんかつくらないほうがいい』と言わなくてはならない。もっと他につくるべきものを提案でき、クライアントもユーザーもみんなが夢を持てるものをつくりだすのがプロデューサーだと思います」

悔しい経験も糧にして、新たなコミュニケーションを生み出そうと、日下は現在も奮闘中です。

日下 「コロナ禍で必要とされるのは、従来のECでもなく、いつ閉鎖されるかもしれない店舗でもない、まったく新しい買い物体験です。店舗でわざわざサイズや色を探さなくても、もっとスムーズにできる買い物があるはず。

最近は、オンライン上でアバターが接客するなど、さまざまなサービスがありますが、もっと楽しくて便利な買い物体験があると思います。新型コロナウイルスによって、世の中もビジネスも大きく変わりつつあります。

デジタルマーケティングという大枠の中で、どんな社会貢献ができるのか。1社だけがもうかるのではなく、社会全体を最適化するしくみがあるのではと考えています」

「2030年以降、自分の子どもが大人になっても継続可能な社会システムを生み出すこと」が日下の目標です。会社にもクライアントにも、しっかり意見を通す強気なプロデューサーの目は、ひたすら未来だけを見つめています。