夢を見つけるまでの道のり

学生時代の私は、将来について明確な目標を持っていたわけではありませんでした。高校生の頃から大学4年生までコンビニでアルバイトをしていたのですが、それは単純に「生活費の足しになるから」という理由でした。
早くから自立した生活を目指し、引っ越し業者やプールの監視員など、さまざまな仕事を経験しました。そうした実生活に根ざした体験が、自分の“生きる力”を育ててくれたと感じています。
一方で、就職活動にはなかなか真剣になれませんでした。父と祖父、兄も経営者だったこともあり、一般企業の新入社員として働く自分を想像できなかったのです。漠然と「いつか自分も社長になるのだろう」と思ってはいましたが、具体的な将来像は描けずにいました。
ただ、周囲が就活を始める中で、自分も将来的な起業を視野に入れるようになりました。そして「事業を始めるには“ヒト・モノ・カネ”が必要」だと知り、当時の自分にはそのどれもが不足していると痛感しました。
そこで、まずは事業会社で経験を積み、必要な力を身につけようと考えるようになったのです。この「会社に入る」という選択は、自分にとって“修行”のようなものでした。
修行先は「採用のプロ」になることができる事業会社と決めていました。私自身が「採用のプロ」になり、「モノとカネ」は生み出せる人材を採用すれば良い。仮に自分が未熟でも、一流の採用力さえあれば事業は成り立つのではと考えていました。今思えば極端な発想ですが、当時の私はそれが見たい景色への最短ルートだと思い、そんな時に出会ったのがネオキャリアでした。ちょうど若手社員が次々に子会社を立ち上げていた時期で、「ここなら自分が求めている力と機会が手に入る」と直感しました。漠然としていた“社長になりたい”という想いが、はじめて現実的な目標として形を持ち始めた瞬間でした。
貪欲に挑み続けた営業時代

新卒で入社してからの3年間、私は求人広告の営業として企業の採用支援に携わっていました。「3年以内に自分で事業を立ち上げる」という目標を掲げ、日々営業スキルを磨いていました。
振り返ると、採用支援の営業という仕事は自分にとって非常に適性がありました。1年目でトップセールスを達成し、多くの顧客と向き合う中で、実践的な学びを得ることができました。その結果、「採用のプロ」としての手応えと図らずも「営業のプロ」としての自信と経験を積み上げることができました。
そんな折、独立の意思を所属していた部署の部長に相談したところ、次のような言葉をもらいました。
「今の経験は“モノをカネに換える”もしくは“カネでヒトを集める”という範囲にとどまっている。ビジネスでは、ヒト・モノ・カネが線でつながり、価値が循環するもの。採用や営業はその一つの手段にすぎず、本質はもっと広いところにある。まずは“カネを使ってモノを生み出す”経験も積んだ方が良い」
この言葉は、私の価値観を大きく揺さぶりました。自分は今まで“事業を生み出す力”に向き合っていなかったことに気づいたのです。
「本当に自分が創りたい未来を実現するためには、このままでは足りない」
そう感じた私は、新たなステージに挑戦する決意を固めました。部長の助言も後押しとなり、新規事業の立ち上げに本格的に取り組み始めました。毎週のように新しい事業アイデアの壁打ちを部長と続けていくなかで、現在も手がけている「MOCHICA」の原点となる構想が目に留まり、具体的に投資を受けて形にしていくチャンスをつかむことができました。
この期間は、ビジネスにおける価値創造の本質に触れた重要な時期でした。「お金を稼ぐ側」から「お金を活用して価値を生み出す側」へと視点が変わり、キャリアの転機を迎えることができました。
事業創造への情熱――新たな価値を、未来の日常へ

現在私は、事業開発部の部長として、新規事業やプロダクトの立ち上げを統括しています。2030年までに私が管掌している事業開発領域から売上100億円・事業利益10億円を創出するという目標に向け、挑戦の日々を送っています。
私の役割は、新しい価値を社会に届けるために、ブランディングと投資の両側面から事業を前進させることです。経営陣と連携しながら必要な予算を確保し、各プロジェクトマネージャーに対して戦略的な助言を行っています。また、社内外に向けて新しいブランドイメージを浸透させることも、私の重要な責務の一つです。
新規事業にはある種の“型”があると感じています。最初は「何者でもない」状態から始まり、明確なビジョンを発信し続けることで、ヒトとカネが集まり、モノが創られ、事業が形になっていく。
たとえば「MOCHICA」は、「LINEを使った就活を当たり前にする」という未来像を掲げ、「人と企業を、もっと近くに」というコンセプトのもとでスタートしました。そのビジョンを一貫して伝え続けた結果、プロダクトは世の中に受け入れられ、徐々に認知が広がっていきました。
印象的だったのは、就活生時代にエンドユーザーとしてMOCHICAを使っていた方が、社会人となって企業の採用担当になり、そしてMOCHICAの顧客になっていました。「実は就活の時に自分もMOCHICAを使っていました」と声をかけていただき、自分たちが描いた未来が、現実になり、社会に根づいていく。その実感が、今の原動力になっています。
とはいえ、道のりが常に順風満帆だったわけではありません。新たな価値を生み出す過程では、想定外の壁に直面することも少なくありません。しかし、困難に立ち向かい、チームと共に乗り越えてきたからこそ、これまでの歩みが意味のあるものとなっています。
私が大切にしているのは、“未来に続く価値”を創造することです。今取り組んでいる挑戦が、10年後、20年後には当たり前の存在として世の中に浸透している――そんな未来を信じています。
変革を起こし続ける――これからの挑戦が、未来を決める

短期的な目標の一つとして、採用活動に特化したメタバース空間「どこでもオープンカンパニー」の普及を目指しています。このサービスを通じて、企業が自社のワークスペースや働く環境を、ホームページなどで自然に公開することが“新しいスタンダード”となる世界を実現したいと考えています。働く場所や職場の雰囲気が可視化されることで、企業と求職者の間により深い相互理解が生まれる。そんな未来を目指しています。
また、2024年には、高校の部活動と地元企業をつなぐスポンサーエージェントサービス「Bスポンサーズ」を立ち上げました。地元企業が地元の若者を支援する仕組みが、社会に根づく未来を描いています。
一方で、私自身は、固定的なキャリアビジョンを持っていません。「好きな仲間と、持続可能な形で、心から面白いと思える事業を創る」ことに価値を感じています。大切にしているのは、どんなチームで何をするのかです。
私は常々、「これからが、これまでを決める」という考え方を意識しています。今の挑戦で結果を出せるかどうかで、これまでの取り組みが意味づけられると思っているからです。裏を返せば、成果を生み出せなければ、過去の努力やこれまで仲間と積み上げてきたものすら評価が変わってしまうかもしれない——そんな危機感を持って、日々いまに向き合っています。
私たちが向き合っているのは、まだ誰も答えを出していないようなテーマばかりです。王道から外れた、新しい道を選んでいるからこそ、簡単に成果は出ません。でも、だからこそ面白く、挑む価値があると感じています。
とはいえ、形にできなければ「やらなかった方がマシ」と思われてしまうことが新規事業では良くあります。だからこそ、覚悟を持ってやり抜くことが何よりも大切です。プレッシャーも大きいですが、それを力に変えて、これからも挑み続けていきたいです。
事業が形になるまでやり抜くしかないというプレッシャーの中で、私たちが求めているのは「会社を使い倒す」くらいの意志を持った方です。受け身ではなく、自らの意思でこの環境を活用し、「やりたいこと」「実現したい未来」、見たい景色へ辿り着くためにありったけを出しきる覚悟をもった人と一緒に働きたいと考えています。
この環境を最大限に活かし、新たな価値をともに創り出せる仲間との出会いを、心から楽しみにしています。