デジタル改革のど真ん中の事業の中で変化する市場環境と当社の役割

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2023年1月現在、私はとある省庁のシステム開発をチームとして継続的に担当しています。昨今、市場環境が目まぐるしく変化していく中で、デジタル改革の中核を担う私たちの役割も大きく変わってきています。

とくに顕著に現れたのは、デジタル庁が入ってきたことにより、縦割りや省庁間の壁がなくなり、「公平公正にフラットに社会価値を実現できる」という想いのもと、他省庁との連携が増加したことです。今までは、お客様から求められる範囲の中で「当社ができることは何か」を検討していました。もともとはクローズドだった市場環境の中で、お客様の要望に寄り添いながら、お客様と一緒に業務を作り上げていく。それが当社の顧客への提供価値でした。

それが今、閉塞された壁が取り払われ、オープンな環境になったことで求められる技術や価値観が一気に広がり、お客様の意識にも変化が現れてきました。また、当社も従来と違う競合が出てくるなど、新たな常識を作っていく必要がありました。そういった中で、「どういった社会価値を実現できるか」「当社が提供できる価値は何なんだろう」というところを、市場環境の変化に合わせて再設定し、ビジョンを作り直すということも行っています。

お客様も巻き込んで作り上げていく。日本初の取り組みにより新たな価値提供を

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省庁と聞くと書類が多いイメージがあるかもしれません。実際に私たちが担当するお客様の業務は書類中心でありながら、現在はデジタル化に取り組まれています。デジタル化といっても従来の書類の管理による運用は決まっており、単純にシステム化すると非効率な業務となってしまいます。ITに不慣れなお客様が多い中でいかに直感的でシンプルなシステムを提案するか、お客様と共に日々の業務を分析し、業務の合理化や効率化を図る取り組みも行っています。

たとえば、事案が発生した場合にお客様は膨大な書類を作成する必要があります。その作業の中には同じような情報を何度も入力、登録する必要がありました。私たちはいかに効率的で正確な情報の登録を促し、従来はデジタルデータとして取りこぼしていた重要な情報を今後の業務に活かすことができるか、これまで当社が培ってきた経験や独自の視点により、「今回のシステム化には、こういった工夫が必要になるよね」といった横断的な知識を活かしながら提案、システム開発を行っています。

また、新たな取り組みとして日本で初めての「犯罪予測システム」をデータドリブン活用し、システムとしてリリースしました。案件が稼働した当初は、初めての試みということもあり、お客様自身も導入できるか不安視していました。海外事例も確認しましたが、日本では犯罪情報は機微に触れるためクラウドに情報は上げられません。さらに、海外と日本では犯罪の発生率に何十倍から数百倍もの差があり、当然ながらデータ量も違います。海外のシステムはそもそも使えないということが改めてわかり、そこから日本で実現させるための施策を考えました。そうして産官学と連携しつつ、一つずつ問題をクリアしていきながら、お客様と一体になって日本の環境や治安に合ったシステムを作り上げました。

現場ではさまざまな立場のお客様が使うシステムなので、「それぞれがどう使うのか」「どう連携するのが最適なのか」といった操作性や機能性も、お客様を巻き込んで作り上げていきました。お客様を巻き込む力を身に着けてきたおかげで、こういった新しい価値提供ができたという成功事例が生まれました。

今後を担う後進の育成。ベクトルの方向と大きさを合わせるマネジメント

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現在は人材育成に一番力を入れています。私自身はSEとしてキャリアをスタートし、現場のメンバーと一緒になって、チーム全体を引き上げていくようなマネジメントを心掛けています。

メンバー育成において、とくに私が意識しているのは、“最初のきっかけ作り”です。何か課題が見つかった際、私も介入してサポートは行いますが、「一番最適な提案、手段はなんだろうか」というところは、自分自身で考えてもらうようにしています。ある程度の方向性は示し、「メンバーがどう作り上げていくか」に重きを置いて、自身の成功体験につなげていく。そこを一番大事にしていますね。また、個々の価値観を尊重し合うことも大切だと思いますので、メンバーとは積極的に会話をしながら、どのような考えを持っているのか聞くようにしています。そして、メンバーにも私自身の考え方や、「効率化を突き詰めていった結果こうなったよ」という自身の経験談も伝えるようにしています。このように個人の成果よりも、チームでの一体感を大事にしてきたことで、パフォーマンスを最大化できたことは私の強みにもなっていると思います。

ビジョンを示した上で、みんなのベクトルを合わせていくには、方向性だけではなく力の大きさをそろえることで、チームはもっと強くなると考えています。そのためには、メンバーの自主性を引き出してあげたり、チーム内の足並みをそろえたりすることも、ときには必要です。

ビジョンの実現には後進育成が何よりも重要だと思っているので、ボトムアップの体制で今のデジタル社会に通用する人材をどんどん輩出していきたいですね。 

「デジタル社会で豊かな社会を広げる」を信条に新たな価値を創造していく

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今後のビジョンとしては、「デジタル化で豊かな社会を広げる」を信条に、当社の技術力やノウハウなどを最大限発揮できるようにしていきたいと考えています。従来よりオープンな環境になったことで、私たちのチームも技術力がまだ足りていないと感じることもあります。ケイパビリティを満たすためには、技術に長けた部門の力がないと引き上げられないので、5年計画くらいでタッグを組んで進めています。

当社の強みは、さまざまな技術領域を扱えるところであり、それゆえに価値創造やおもしろいことができる可能性を秘めています。また、社会の中でデジタルの恩恵の裾野を広げるためには、「システムがどうあるべきなのか」「当社がどういう価値を提供すべきなのか」といったプレゼンスを高めていきたいですね。

チームの将来像にもリンクしていますし、その中で通用する人材を育てていきたいと思っています。従来のやり方や実績にこだわるのではなく、今求められているのは社会から必要とされる技術力の活かし方や価値創造だと感じています。

時代に合った新たな価値観を作り上げていき、私たちがリードしていくという強い想いを持って、ビジョンの実現に向けてこれからも邁進していきます。