既存事業の維持拡大と新事業創出の推進
私が所属する消防防災グループは、その名の通り消防に関するシステム構築を手掛ける部署です。全国の消防指令センターに導入されている、火災や救急の119番通報を受け付けるシステムや、消防車や救急車に搭載されている車載システム、そして消防署の職員の方が報告書を作成する際の事務系システムなど、万が一の事故や災害に備えたシステムづくりに注力しています。中でも、私は事務系のシステムを担当しております。
また、現在の私は「プロフェッショナル」という肩書きがあります。これは、一般的に言うと課長職にあたるポジションで、当社の場合はプロジェクト全体の管理を行う立場を指します。プロフェッショナルとしての仕事の例は、プロジェクト計画を立て、計画通りに進んでいるかの管理です。進捗、品質、コスト、人員、リスクなどを管理していきます。管理面だけでなく、プレイヤーとして現場で動くことも可能です。メンバーとともにプロジェクトをいかに成功に導き、お客様との信頼関係が築けるかが重要だと考えています。
お客様の声から新たな価値が生まれ社会課題解決のきっかけになることがあります。たとえば、消防業務においては膨大な報告書の作成が必要となります。しかし、本来の仕事である人命救助に尽力するためには、事務業務の中で二度手間になっている作業が部分に対して負担軽減をする必要があります。
そこで、二度手間を解決できるソリューションの提供を行ったところ、その価値について多くのお客様から認めていただくことができました。そういったお客様の声の中で提供価値のあるものを見極めることや、成功体験により組織が成長していく過程を肌で感じることが、この仕事の魅力だと考えています。
やりがいは、「便利になった」という顧客からの言葉
私はNECソリューションイノベータに入社する以前から、消防システムの開発に携わっていました。その中で、地域のインフラを支え、人命救助にも貢献できる消防システムにおもしろさを感じ、さらに深く関わりたいと考え現在の職場に入社することを決意しました。開発しているパッケージの汎用性が高く、お客様の要望に柔軟に対応できる点も、当社で働くことを選んだ理由のひとつでした。
入社後は、消防システムの開発に携わりながらキャリアを重ね、九州支社内のDX人材実践研修などを通じてDXによる課題解決の手法についても学びました。DXの基礎から実践まで、一貫して支社内で学ぶことができたのはとてもありがたかったです。この研修の中で、消防系の新事業に関わる機会があり、そのまま自然な形で新事業創出のチームを率いることとなりました。新事業に関わり始めてからは、まだまだ自らの知識不足を痛感する場面も多くありますが、これまでの経験を活かしながらチャレンジを続けているというのが現状です。
近年、特に課題意識を持っているのが、消防・救急と病院の連携です。救急隊の職員は病院に連絡して患者さんの受け入れ先を探すのですが、特にコロナの蔓延時にも受け入れ先がすぐに見つからずたらい回しになっている間に悪化してしまう、というような悲しいニュースもたくさん目にしましたよね。これは感染症に限ったケースではありませんし、そうした悲劇を防ぐため、病院との連携が円滑になるようなシステムを導入できないかと社内でよく話しています。
具体的に言うと、お医者さんにいち早く正しい情報を届け、その場でアドバイスをもらえるようなシステムの構築です。これはまだまだ構想中の段階ですが、システムによって救える人をひとりでも増やしたいと常々考えています。
仕事をしている中で特にやりがいを感じるのは、やはりシステムを導入したお客様から喜んでもらえたときですね。煩雑な事務作業をシステムで整理したり、二度手間になっていた報告業務を効率化したりした際に、「便利になりました」という声をいただいたことは今でも心に残っています。人命が関わる消防系の仕事においては、ほんの1秒が生死を分けることもありますから。
これまでは消防署に戻らなくてはできなかった事務を消防車内で済ませられるようにするなど、職員の方のタイムロス削減に貢献できたときには、自分の仕事に誇りを感じました。
新たな知識の獲得をめざし、九州大学の地域政策デザインスクールで学ぶ
もちろん、新しい事業を生み出すためには、常に自分の知識をアップデートする必要があります。そうした想いもあって、会社から派遣される形で2022年度の7カ月間、九州大学の地域政策デザインスクールに通っていました。このスクールの目的は、新しい社会をつくるためのデザイナーの育成。卒業生や外部の方など、自治体の運営に関わる講師を招き、地域が抱える課題とそれを解決するための取り組みについて、実例を交えながら学んでいくというのが主な内容です。
このスクールには、各企業や大学院からさまざまなバックグラウンドを持つ人が集まっており、彼らとチームを組んで協力しながら学びを深めていくこととなります。実在する地域の課題を掘り下げてソリューションを検討し、チームで地域の代表者にプレゼンテーションを行う機会もありました。
準備中は、チームのメンバーと毎日のように連絡を取り合って夜中までグループワークを重ねましたね。熱意のある人たちが集まっているので、ときには衝突することもありましたが、協力してプレゼンテーションを完成したときには大きな達成感を味わうことができました。また、会社の外に出て異なる考えを持つ人と議論できた経験は、ダイバーシティを理解する上でも、自分自身の弱さを知る上でも、とても貴重な時間だったと感じています。
自部署でスキルをさらに磨きつつ、他部署との連携を強めていく
地域政策デザインスクールでの学びを仕事に還元したときに実感したのは、自分たちの力だけでは新しいものをつくることができない、ということでした。
社内には、技術に特化した部署や他地域の支社など、頼りになる存在がたくさんいます。そして、そうした部署・支社の方々と連携することによって、自分たちの考えたアイデアをより良い形で実現することが可能となります。そうした当社の強みを活かし、今後は消防防災グループの中だけで議論するのではなく、他部署とも連携しながら新しい事業を創出していきたいと考えています。
同時に、引き続き自分たちのスキルを磨いていくことも必要だと思っています。自分たちにできることを増やしつつ、頼れるところは他部署に頼って社内の連携を強めていく。そして、既存事業と新事業を両輪で動かしながら、消防防災グループとしての売上を伸ばしていくというミッションを今後は果たしていきたいですね。