三つの事業を柱にDX検討、新規事業開発を推進

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私は西日本支社第2グループの製造プロセスグループに所属しています。当グループが主に請け負うのは、いわゆるSoR系の開発。その中で、われわれDXチームは、新しい価値を提供するサービスの創出に取り組んでいます。2022年12月時点で、チームは5名体制。若手や女性など多彩なメンバーが所属し、ほかの事業ラインや他支社のメンバーと連携しながら、案件ごとに対応を進めています。以前、私がアウトソーシング事業の部門長を務めていたとき、首都圏のお客様から「新しい事業を検討したい」というお話をいただいたのをきっかけに、4、5年ほど前からいまの事業に関わるようになりました。新サービス、新事業を検討したいというお客様に対して、コンサル的な立場で企画検討をするうちに、「DX」という言葉が流通・普及し始めたことを受けて、自分たちがこれまでにやってきたことを「DX事業」として改めて位置づけるようになった形です。

新しい取り組みなので、まだ明確な方向性は決まっていませんが、その中で私が主に担当するのは顧客折衝、企画検討、プランニング、ディレクション、開発推進など多岐にわたります。まず企業の役員の方とお話した上で、各担当メンバーとともに動いています。いま進めている事業は大きく三つあります。ひとつ目は、お客様と共創というかたちでの新事業の立ち上げです。お客様が抱える課題感をもとに新しいサービスを企画し、検証しながらともに事業を進めていこうという取り組みです。現時点では主に文教の領域で進めていて、中四国のエリアの学校や教育委員会、PTAの会長さんを訪問し、現地の方たちと意見交換しながらプロトタイプを製作、デモイベントを開催するなどしながら新しいビジネスの仮説検証を行っています。ふたつ目は、地元企業の体質改善の取り組みです。「2025年の崖」などの未来予測を踏まえ、危機感はあるものの、手をこまねいている企業が多いのが現状です。そこで、新しい事業を検討するにあたって、ロードマップ検討支援、新事業検討の仕組みづくりや、これから求められるスキルを社員に身につけさせる人材育成などコンサルのようなかたちでお客様に伴走しながら支援しています。さらには、関係人口、地域活性化をテーマとした地域事業者との新規サービス検討。3大都市圏と比べて市場が小さく、経済的にも活力の面でも見劣りする中四国圏をどうすれば、地域の魅力をスポイルすることなくデジタルの力で盛り上げられるか。地方の経済圏が生き残っていけるようなモデルづくりに取り組んでいます。

私はこの取り組みを「BtoA(Buisiness to Area)」と呼んでいて、地域がまるごとお客様になるようなかたちを取りたいと思っているんです。そこで、座組みを考えながら、自治体や地域の商店街の方々、観光業の方々、学校、そして一般消費者など、地域の関係者を巻き込みながら検討を進めています。

技術者としてさまざまな事業ラインを経験。上流工程に関わったことが成長の糧に

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私は、NECソリューションイノベータの西日本支社の前身となる中国日本電気ソフトウェア株式会社に入社し、IBM社のWindowsシステムOS/2向けの統計解析ソフトウェア、メガバンク情報系システムなど、主にソフトウェアのパッケージ開発を担当しました。その後、インターネット黎明期から、あるインターネットプロバイダの各種サービス企画、開発、運用サポートに従事しています。その後、NECシステムテクノロジー株式会社に統合されてからは、UI、顧客接点系のシステムに関わるようになりました。ECサイトや会員制コミュニティの構築に関わり、たとえば当時流行していたプリクラの仕組みでは、撮影した写真を掲示板のようなところに貼り付けてオンラインで共有できる仕組みを初めて手がけ、台湾にも輸出しました。またこの頃、自動車のテレマティクスシステム開発にも関わりました。いまでは当たり前となったカーナビのことで、あるメーカーさんとともに、リアルタイムな情報サービスを提供するシステムの開発を担当。企業向けRIAシステムに携わり、かつて現Adobe社が提供していた動画やゲームなどを扱うための規格「Flash Player」を応用した業務システム開発をしたこともありました。

当社の大半の部署では、親会社であるNECから請け負うかたちで主に開発や保守などの業務を行っています。そういった部署では、特定のお客様と数十年にわたってお付き合いさせていただいているケースもありますが、私が初めに配属された部署では、製品開発に携わりながらも、こちら側からお客様に積極的に提案し、新しい領域を開拓することが求められていました。たとえば、自分たちの技術をソリューションというかたちにして営業担当の部署へと持ち込むうちに認知されて、「こんなサービスをやりたいといっているお客様がいるんだけど、検討してみませんか」という具合に声がかかるかたちです。そのため、早くから世の中の流れやお客様の課題に着目しながら仕事に取り組んできたところがあり、それが私の経歴の大きな特徴だと思っています。

技術者として一流でありたいとの想いで取り組んできたことが時代のニーズに合致

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インターネットプロバイダのサービス企画・開発に関わったり、大手ECモールが立ち上がった頃からECを手がけるなど、黎明期からインターネットに関わってきていることが自分の強みのひとつ。技術の変遷の中に身を置きながらノウハウを蓄積してきたという自負があります。もうひとつ、何もないところからつくりあげてきたところにもストロングポイントがあると思っています。現在のサービス開発は、フレームワークを使って進められることが多くなっていますが、当時の私がやっていたのは、そのフレームワークをつくる作業。まだかたちになっていないものを組み立てる方法論の確立・開発に長く携わってきたことは、いま取り組んでいるような新事業や新サービスを立ち上げる仕事に通じていると感じています。また、技術者として一流でありたいという想いを常にもっていて、周囲にわかるようなかたちでそれを積極的にアピールしてきたことが、仕事の幅を広げることにつながったと思っています。結果的に、さまざまな業種のお客様を担当することができました。だからこそ、いまの自分に見えているものがあるとも考えています。

「DX」という言葉が生まれたのは最近ですが、そもそも同じような提案は20年くらい前から実施してきました。ぶれない軸をもって技術を追求してきた結果、たまたま時代のニーズとうまく合致したのがいまの状況だと思っています。

これまでさまざまな事業ラインを経験してきましたが、エンドユーザーと直接の接点がある仕事にとくにやりがいを感じてきました。たとえば業務システムの場合、どんなに良い仕事をしても、反応をくれるのはごく限られた人だけ。家族や知人に自分の仕事について説明しても、ピンとこないのが普通です。一方、お客様と接点がある仕事の場合は、たくさんの人からダイレクトに反応が返ってきます。すると、おのずと常に提案する姿勢が生まれたり、自己探求したりするようになるんです。DX事業や共創はまさにそんな取り組み。大いにやりがいを感じることができています。

誰もがやりたいことに挑戦できる組織づくりを目指して

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これまでに培ってきたものを、今後は地元の会社に還元していきたいと思っています。私はもともと広島の事業所で採用されているにもかかわらず、入社してからこれまで全国のお客様を相手に仕事をすることが多く、自分が住んでいる場所に対して何もできていないという気持ちがありました。比較的大きな企業は持ちこたえていますが、小さい企業はどんどん淘汰されています。そんな現状を見て、自分が何か貢献できないかという想いがあったんです。そんなわけで、現在のポジションに移る前から、10年くらいかけて広島のお客様を増やしたり、営業さんの知り合いを増やしたりしてきました。

現在は自治体やインフラ企業さんとジョイントしていますが、こうした取り組みを今後はもっと増やしていきたいと思っています。個人的には、自分は生涯現役であれればと思っていて、勉強したいことや経験してみたいことがまだまだたくさんあります。好奇心をいつまでも忘れず、いま頭の中で描いていることを一つひとつ実現していきたいですね。また、育成にも力を入れていきたいと考えています。私は50歳を過ぎた頃から、誰に命令されるでもなく、自分がやりたいと思ったことをそのままのかたちでできるようになったと感じていていますが、もっと早くから、たとえば30代のうちからでも当社に入れば自由に挑戦できるような環境づくりを強化していくことがいまの目標です。目の前にある仕事を若手たちと一緒に経験しながら、考え方やマインドの部分を伝えていければと思っています。

そして、それを実現できるのがNECソリューションイノベータの魅力。1万2000人を超える社員の中には、さまざまな技術領域に詳しい人がたくさんいて、声をかければ快く参加してくれることが多いと感じます。とくに、コロナ禍になってからは広い範囲でのコミュニケーションの取りやすさが格段に向上し、この3年間で人脈が大きく広がりました。

そうやって他社にはない潤沢なリソースを使いながら、ベンチャー企業のように新しい事業やサービスを生み出していくことができれば、ますます良い会社になっていくと確信しています。