AIを用いた開発を担当するエンジニア、数理モデルの研究を支援

▲入社8年目 佐々木 悠

公共システムや金融システムなどの開発を手掛ける日本データスキル。2021年8月現在、佐々木が取り組んでいるのは「AI(人工知能)を用いた開発」です。

佐々木 「お客様先である研究所に常駐して、技術的な側面から研究支援をしています。基本的にはゲーム理論や金融工学、数学や工学分野が多いのですが、プラスアルファする形で、データサイエンス領域や機械学習、深層学習、パターンマッチなどを取り扱っています」

最新技術であるAIを用いた開発は日本データスキルでも珍しく、「“選ばれし者”にしか参加できないプロジェクト」と社内の人間から言われるほど、高度な技術と独創性が必要とされています。

佐々木 「今は数理モデルの研究支援をしています。具体的には、数理モデルを構築した後、それを研究所へ提案して、その数理モデルをどうアルゴリズム化し、どのように処理を実装するのかという話を進めています」

佐々木は単独で、2ヵ月~半年程度かかるアジャイル開発(小単位で実装とテストを行う開発手法)を行うケースも多く、企画・提案、設計、開発、試験、運用・保守など一連の流れをひとりでこなします。

佐々木 「担当している現場では、数学的な話や統計学、新しいアルゴリズムの知識を用いて開発しています。私が開発したプログラミングは、主に資源取引や気象関係で活用されています。

AIで需要と供給の予測をしているのですが、穀物や鉱物、エネルギーといった資源取引の供給予測をすることで、リスクやリターンを平均的にすることができるのです」

世界人口の急増に伴い、穀物や鉱物などの資源が全世界的に不足すると予想されています。だからこそ、限られた資源の供給や需要を予測する技術開発が求められているのです。

そんな開発に携わる佐々木の1日の業務の流れはどうなっているのでしょうか。

佐々木 「基本的にはアジャイル開発をしているので、そのときの状況によって仕事内容が変わってきます。また、プロジェクトを複数掛け持ちしているんです。ひとつのプロジェクトの場合は、実装が終わると実験~分析、検証を重ねますが、複数掛け持ちしているので『このプロジェクトでは実装』『こちらは検証』といったように、同時並行で進めています」

他人と違うことに悩んだ時期もある。実力を正しく評価する会社に望みを託す

▲根っからのモノ作り好きです/芝浦工業大学で開催されたロボット協議会にて(当時小学3年生)

今でこそAIを用いた開発に従事し、いかんなくその実力を発揮している佐々木ですが、学生時代は苦手な勉強で苦労をしたこともありました。

佐々木 「幼いころから数学や自然科学が好きで得意でした。でも、英語は今でもあまり話せないくらい苦手です。論文は英語のものが多くあるのですが、数学が得意なことを活かして、書いてある数式で理解しています。英語より数学の方が頭に入ってくるんです」

自分はなぜ他の人と違うんだろうと、悩んだこともありました。しかし、今携わっている仕事では同じように感じてきた人が多く、その経験が共感できる部分になっていると言います。

そんな佐々木が、新卒で日本データスキルに入社をした理由は、社風でした。

佐々木 「日本データスキルの会社説明会で話を聞いたとき、この会社は実力を正しく評価してくれる、と感じました。学生時代に人との違いに悩んだこともあって、『出る杭は打たれる』ということわざ通り、日本の社会では一風変わったものの見方、考え方をする人間は認められにくいと感じていたんです。

僕は実力には自信があったのですが、勉強が得意ではありませんでした。ですから、実力で見て欲しいと考えて、日本データスキルに一縷の望みをかけたのです。入社は正しい選択だったとずっと思っています」

入社2年目には、組み込み系開発を担当することになった佐々木。

組み込み系開発とは、対象となる機器に制御用プログラムを搭載し動かすためのシステム開発。熟練の技術が必要になるため、技術が優れていないと任されません。

「実力には自信がある」という自らの想いを、行動によって証明していったのです。

佐々木 「組み込みは、新人のころから任されていました。入社2年目に取り組んだ『フラッシュストレージ』のシステム開発はすでにひとりで行っていました。技術面に関しては、お客様や上長も評価してくださっていたと思います」

3年目には大容量ストレージシステムの案件で大抜擢。最も重要な機能を担当します。その仕事ぶりへの信頼もあり、お客様からは「指示がなくても動いていいから」と言われていました。

佐々木 「今までも自分で『やり方』を築いてきました。はっきりしたモデルがあるわけではないのでこれといった『やり方』が決まっていないのです。ですから、これからも自分で切り開いていかないと行けないと思っています。大変なこともありますが、これもやりがいのひとつですね」

“エレガント”と評価された、突破力が持ち前のフルスタックエンジニア

周囲から、大きな仕事を任されるほどの信頼を得ている佐々木。そんな佐々木を、周りの人間は『芸術家』『陶芸家』と評します。それは、佐々木の壁を壊してでも突き進む力、そして強い意志を持って開発する突破力をたとえたものです。

佐々木 「コーディングをするときは、通常なら少しずつ直していくのが基本かもしれません。ですが、私は一回全部削除して書き直します。そこが周囲から『芸術家』、『陶芸家』と言われる理由かもしれません。もともと書くのが早いこともあって書き直すのですが、これは一歩間違えるとリスクのあるやり方です。お客様から注意を受けたこともありますが、そうすることでどんなメリットがあるのか、どんな風に課題が解決されるのかを伝えることで、信頼を頂いてきました」

通常のエンジニアは分業が基本。しかし、データサイエンスやAIの領域では、企画・提案から開発、設計、試験、運用までこなせるフルスタックエンジニアが求められています。

佐々木 「スピード感とクオリティが重視されます。また、数理モデルも、専門書に書いてあるような内容で実装すると、結果的に普通のデータしか出てこないため、最新の論文を引用して、誰も作ったことのないプログラムを組まなければいけません。

その結果、研究者の方が考えているより少し上をいく成果物ができると、“エレガント”と評価してもらえるんです。それが嬉しくて。研究者の方にほめてもらえると、モチベーションが一層高まります」

仕事でも開発に精を出している佐々木ですが、趣味はプログラミング、そしてAIを作ることです。

佐々木 「趣味で培った知識を仕事に還元し、仕事で培った技術を趣味に還元する。そういうプロセスを踏んでいくと、相乗効果で能力が倍増することが肌感覚で分かるのです。その感覚が身に付いてくると、もっともっとクオリティを上げよう、という前向きな気持ちになります」

そんな佐々木は2021年現在、入社8年目。学歴や、持っている資格で人を判断する人がまだまだ多い中、入社したときと比べて時代の変化を感じているといいます。

佐々木 「実は私は、情報処理技術者などの資格は持っていません。もとは、ただただ数学が好きなだけでした。プログラミングコンテストには自主的に出場していますが、人から教えてもらうよりも、本来自分が持っている資質を活かしながら動くのが一番私にしっくりくるスタイルです。今担当しているお客様は、実力で見てくれています。もっと実力で判断してもらえる世の中になってほしいですね」

データサイエンティストの人材を育成していきたい

2021年現在は、第4次産業革命の真っただ中です。第4次産業革命とは、IoTやAIによる技術革新のこと。そんな変革の時代の中で、佐々木は日本データスキルの柔軟な環境に魅力を感じています。

佐々木 「上司もお客様も、もともとAIをやりたいと考えている人たちです。だからこそ、新しい技術に対して柔らかい発想を持っています。そういう環境はとてもありがたいです。自分で作ったAIの話なども、上司がよく聞いてくれます。AIのワークショップにも所属しており、そこで情報を共有することも多いです」

AIが主流となる時代には、数理関係や統計学に詳しい人材が不可欠です。だからこそ佐々木が次にやることとして考えているのは、社内での教育です。社内に統計学やAIの知識を広めていきたいと語ります。

佐々木 「統計解析や数理は、高校数学のⅠA~Ⅲまでの知識が前提です。人によっては前提となる知識がバラバラなこともありますが、私の活動をきっかけにして、今後AI領域などに社員教育が進んでいければと思っています」

佐々木は同時に、時流に適するデータサイエンティストのような人材を育てていくことが大切だと考えています。

データサイエンティストとは、ビッグデータから必要な情報を収集・抽出し、データに基づいて合理的な判断を行えるよう、意思決定をサポートする専門家のこと。統計解析やITのスキルなど、幅広い知識が求められます。

また、米国で学生に人気のある職業であり 、世界的に注目を集めています。多くの学生がデータサイエンスを専攻し、年間4,000人の統計学の修士が生まれているほど。しかし、日本ではまだまだスタートしたばかりの学問です。

佐々木 「AIは、ほかの分野と組み合わせてこそ価値が生まれる分野です。統計学の知識だけでなく、IT、ビジネスなど、知識の引き出しが多ければ多いほど仕事がしやすくなります。エンジニアからデータサイエンティストに移行する人材を増やし、会社の成長に貢献したいと考えています」

冷静さの中に熱い想いをのぞかせる佐々木。自社のデータサイエンスの先駆者としてこれからも日本データスキルを、そして技術者の考え方をも引っ張っていく可能性を秘めています。