材料評価や製品テスト前後の性能調査を受け持ち、製品の問題発生を未然に防ぐ砦に

▲学生時代 ポスター発表時の一枚

鈴木は学生時代に材料工学を学び、2015年に不二越へ入社以降、軸受事業部産機技術部の商品開発部門で材料・熱処理に関する技術開発に携わっています。

鈴木 「機械の回転する軸を支えるベアリング(軸受)は、自動車・二輪バイク、鉄道車両などに幅広く採用される部品です。産機技術部では、産業機械、ロボット、市販向けなどの軸受の開発設計を手掛けています。私は、自動車部品を含むどのタイプの軸受にも使える材料や熱処理の技術開発を進めています」

競合他社との差別化を図るため、新しい鋼材、特殊熱処理技術の開発を行っている鈴木。その他の業務は、自動車・産業機械関連の顧客からの依頼で不二越が設計した新しいベアリングの耐久テスト後の材料評価や、トラブル原因の調査です。

鈴木 「加工途中で熱処理を終えた段階や加工後、試験後に性能を調査しています。また、設計前にも材料に問題がないかどうか調べ、品質管理と技術、材料研究のジャンルにまたがった業務をしています。最近だと、グローバル化に伴いベアリングの海外生産の割合が増えており、用途に応じて、現地材を使用してベアリングを製造する際の海外メーカーの材料評価も担当しました。

材料の硬さや疲労具合、熱などを総合的に判断するため、1件につき1~2週間ほどかけてデータを取っていきます。少人数体制のため、案件を同時に進めていたら『こっちを先に進めて欲しい』と急な依頼が来ることもあります。スケジュールが複雑化することも少なくありません」

 調査の結果、問題点が見つかった際には、設計担当者と相談したり、直接顧客に説明したりすることもあります。活動の場は幅広く、責任を感じる機会も多いと語ります。

鈴木 「設計の改善などに関わる調査をしているので、間違いがあるとお客様の開発が遅れてしまう恐れがあります。過去の事例に縛られず、そのときに出てきたすべてのデータを総合的に見て、主観を省いて判断しなければなりません。

トラブルの証拠を一つひとつ集めて原因を究明する自分の役割は、警察みたいな存在かもしれません(笑)。もちろん、設計担当者も同じように原因を探りますが、材料については私の調査結果に基づいて判断することになるので、審判をしている感覚です」

自己分析の徹底で、理想の就業環境がある不二越に入社。ルーキーから材料担当に

就職活動中は「身の回りに使われていて、人の役に立つ製品を手掛ける仕事に携わりたい」という思いを抱いていた鈴木。特殊鋼や、ベアリング・油圧機器などの部品、工具・ロボットなど最終的な製品の開発にまで携わることができる不二越を、就職先に選びました。

鈴木 「不二越は面接もすごくアットホームで、最終面接時に工場見学をお願いしたらすぐに手配して案内してくれました。展示場では実際に展示品のロボットのスイッチを押させてもらい『こういうものを作っているんだ』と実感でき、受けた説明もわかりやすくて。どこに何が使われているか、イメージを抱くことができたのはありがたかったですね」

入社後は、研修時から熱処理の品質管理を行うなど、材料・熱処理業務に専念。第一希望だった軸受事業部で、学生時代に習得した知識を活かしながら活躍し続けています。

鈴木 「当初は熱処理終了後の材料の硬さの確認など、先輩や上司から教わりながら進めていましたが、最終的には自分一人で担当できるレベルまで育ててもらいました。学生時代に学んだ鉄鋼材料を実際に使って仕事しているので、本当にやりたかった業務を担当できていますね。

今でも『こうしたら、今までやっていない観点でデータを取れるんじゃないか』と考えつくなど、学生時代の知識が仕事に活かされることが少なくありません。実際にトラブルのあった部品をチェックするときに、ごくたまに学生時代の教科書を読み返すこともあります(笑)」

他部門との連携、徹底して客観視する分析力──トラブルがポテンシャルを伸ばす

▲社内メンバーと会食の様子

社内の調査では、前例のない大きなトラブルに遭遇した経験もありますが、そういうケースにこそ、やりがいを感じる瞬間があると語ります。

鈴木 「材料の加工条件が悪く、熱による硬度の低下が原因でトラブルが起きたことがありました。しかし、今までの調査結果を見ても何も出てこなくて。硬度が低いのは『熱処理の時の条件によって、通常でも出る程度の差』という見方が示されていたのですが、納得できませんでした。そこで、サンプルをとってさまざまな調査をかけたところ、やわらかくなっている箇所だけ変な熱が入っていることがわかったのです。

非効率かもしれないですが、納得できるまで調べたくなるのが私の性分。ですが、おかげで加工条件のおかしい点を導きだすことができました。問題を改善してトラブルがなくなれば世の中にも役に立つはず。自分の考えたことが問題解決につながるとやりがいを感じます」

材料調査から報告書の作成まで一貫して携わる中で、スキルだけでなく、ものの考え方で自身の成長を実感したと、自身に起こった変化を語ります。

鈴木 「仕事以外の場面でもトラブルが起きて話し合いをするときに、『何がいけなかったか』『どういう問題が起きたのか』というポイントを冷静な視点で判断できるようになったと思います。『何がどう影響した』をとらえて、『どうしたら防げたか』を客観的に判断する考え方が身についたのは大きな収穫です」

社内外から頼られる材料のスペシャリストに。新材料開発分野に積極進出への誓い

新しいものを作った際や、トラブルがあった際に、「この人なら任せられる」と思われる存在になりたい。また、自分のアイデアを新しい技術として会社に提供できるようになっていきたいと願っている鈴木。想いの背景には、社内で活躍する多数のスペシャリストの存在がありました。

鈴木 「不二越にはいろいろな事業部があり、社内に各分野のスペシャリストがいます。設計者や試験担当者の意見を聞いて、自分たちが思っていた箇所とは違う部分が壊れやすいことがわかったケースもあります。また、装置に関する不明点があれば、社内の技術開発者にも気軽に質問できます。多方面から知識を吸収できる環境は私にとって大きな魅力です」 

海外の基準などに沿って材料の環境負荷度合に関するデータを揃えるなど、環境負荷物質の管理業務も担う鈴木。顧客や社内多方面の人たちと関わる機会も多いといいます。

鈴木 「環境負荷に関する基準の変更などで、今まで使っていた材料の物質が急に使用禁止になる際には、営業担当者とお客様への伝達、新しい材料の評価も行います。お客様にたくさん採用いただいていたベアリングの大きな部品の材料を変えなければいけなくなったこともあります。

ほかの部署に図面を変えてもらうなどサポートしてもらい、基準に違反することなく乗り切ることができました。大きなタスクを成し遂げるためには、周りの協力が必要になるし、うまくいかないこともありますが、みんなでやると状況が進展するのも早いです」

今後、出番が増えると予想されるのは、不二越が顧客に提案する、より高品質な新規採用材料・部品の品質調査・開発に関わる業務だと話します。「ちょっとしたことでも相談してアドバイスを受けている」という、目標とするチームリーダーの背中を追って、鈴木は開発の領域でも貪欲に活躍する材料の専門者を目指す覚悟で業務に取り組んでいます。