地元企業で自動車を動かす機器の設計・開発を行なう

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カーハイドロリクス事業部 技術部所属 江末 健太

不二越のカーハイドロリクス事業部で働く江末は、自動車用の油圧機器であるソレノイドバルブの設計や開発をしています。ソレノイドバルブは電磁力を動かして油圧を調整する機器なので、正しく動かさなければ油が流れず、車は稼働できません。

きちんと車を動かせるよう、細かく解析し設計するのが江末の仕事です。案件ごとに担当者ひとりと評価者数名がつきますが、江末は設計のメイン担当者として責任を背負いながら働いています。

2015年に入社した江末ですが、実は大学時代は総合機械メーカーである不二越の方向性とは少々異なる電気を専門に学んでいました。同じ学部の学生が情報分野を得意とし、IT企業へ就職するなか江末が不二越を選んだ理由は、学んだことを活かしながら地元で働きたいと考えたからでした。

江末 「愛知県にある大学へ通っていましたが、就職は地元の富山県でしたいと思いました。富山県には製造業の会社がいくつかありますが、不二越ではロボット事業を行なっているので、電気分野の知識が活かせる可能性があると考えたんです」

さらに、不二越の特徴的な制度である新入社員の海外留学も、江末の目には魅力的に映りました。

江末 「海外へ行ってみたいという漠然とした気持ちはずっと持っていたんですが、なかなか1歩踏み出す勇気がありませんでした。会社の制度で留学できる機会があるなら、海外の文化に触れてみたいと思ったんです」

入社してから実際に海外留学を経験し、日本にいるだけでは知ることのできない海外の文化に触れることができた江末。その後、カーハイドロリクス事業部で、大変ながらも楽しさを感じられる設計の世界へと足を踏み入れていったのです。

時間をかけた設計が、突然白紙に──心を強く持って作り直しに挑む

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留学先の街並み

不二越へ入社してから、江末は経験を積むためさまざまな仕事に挑戦してきました。設計だけでなく、評価を中心に担当していたこともあります。そこから徐々に、設計担当者としての道を歩むことになったのです。

江末 「これまでに携わった仕事のなかで最も印象に残っているのは、ある車に使われるソレノイドバルブの設計と開発から量産に至るまでのすべてを担当したことです。入社後2年目からサブ担当者として関わり、徐々にメイン担当者となっていきました。担当になってから3年ほどかけて量産につなげられたので、思い出深い仕事ですね」

入社2年目に設計担当を命じられたときは、「自分にはまだ早いのではないだろうか」、「きちんとできるか不安だ」という想いも抱えていた江末。しかし、事業部には年齢の近い先輩が多く、わからないことがあっても聞きやすい環境が整っていたため、順調にプロジェクトを進められました。

ただし、最初から最後までスムーズに進んだわけではありません。プロジェクトが中盤から終わりに差しかかっていた頃、江末は突如として大きな壁にぶつかることになりました。

江末 「2019年にソレノイドバルブを量産したんですが、1年前の2018年には、製品の形がほぼ決まっていました。しかし、ほとんど形が決まった頃に不具合があり、設計を大幅に変更しなければならなくなったんです。

2〜3年かけて設計したものをほぼゼロから作り直すことになったので、相当大変でした。コストをなるべく安くしよう、設計はこうしようと細かく考えていたため、やり直しは精神的にも厳しかったですね」

しかし、量産がはじまる時期は迫り納期も決まっていたので、やるしかないと心を強く持ち、何とか量産につなげることができたのです。

ほとんどゼロからのやり直しという厳しい状況に直面しましたが、設計に関わった製品が量産までつながり、きちんと動いているのを見た江末は、喜びと達成感を味わいました。

未経験でのスタートから、設計の醍醐味を見出せるように

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自動車の油圧制御に利用されるソレノイドバルブ

不二越へ入社したとき、江末は自身が車の仕事をすることになるとは思っていませんでした。設計自体は自動車に限らずやってみたいと思っていたものの、学生時代は設計と無縁で、CADに触ったこともなかったのです。

江末 「何もわからないところからのスタートだったので、周りに聞いて実際にCADを触りながら、少しずつ設計を覚えていきました。入社5年目の今では普段の業務範囲のことは大体わかるようになりましたが、それでも特殊なことになるとまだわからない部分はあります。不足していると感じるところは、これから勉強していこうと思っています」

設計という仕事において、設計したモノが正しく動くかどうかは、作ってみないとわかりません。だからこそ、設計どおりに作ったモノで予想どおりの結果を出せたときは、喜びもひとしおです。

江末 「自分の考えたモノが実際に動くというのが、設計の醍醐味だと思います。自分の設計で作られたモノが動き、最終的には車やロボットに使われて製品を動かしていく。それを見ると、設計をやっていて良かったと感じますね」

また、江末は現在の部署に配属されるまで、車にあまり興味を持っていませんでした。しかし、ソレノイドバルブの設計をするようになってから、車に興味が湧いたのです。

江末 「自分が設計し開発した機器が使われている車を見かけると、やはり嬉しくなりますね。車に関わる仕事をしていると、世の中の生活者の移動を支えているという実感が得られ、社会のためになることをしていると感じられます」

「やってみないとはじまらない」精神で、新たなチャレンジを

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江末は、自分が担当したものでなくても過去に作られた設計について勉強しているので、特定の分野に関しては担当者のなかで1番詳しく知っています。そのため、他の社員から質問されることもめずらしくありません。

昔から勉強が得意で質問される機会も多かったので、江末は頼ってもらえることに喜びを感じています。

江末 「社内の方から教えてほしいと頼られると、信頼されていると感じて嬉しくなります。さらに、正しく答えられると自分の知識が増えていると実感できますし、一緒に働く人の役にも立てるので、今後も得意な領域は増やしていきたいですね」

変化が激しい世の中では、将来の予測ができません。自動車もEV化が進むことで、新たな商品を設計し開発する必要が出ることも十分に想定されます。そんななかで江末は、目の前のことを真面目に頑張りつつ新たな挑戦もしていこうと心に決めています。

江末 「今はトランスミッションにつけて動くソレノイドバルブを作っていますが、事業部では今後アクチュエータも開発しようとしているんです。現在担当しているモノとは大きく異なるので難しいと感じることもありますが、勉強になる部分も多くあります。

私は『やってみないとはじまらない』と常に考えていることもあり、いろいろなことに手を出したくなりますし、チャレンジ精神もあります。だから、既存のことをやり続けながら新しいことにも挑戦していきたいですね」

まったく知らなかった設計の世界に身を置くことになり、世の中や人に貢献できる楽しさを感じながら知識を身につけ、さらなる挑戦に向かう江末。

今後もチャレンジ精神をもとに、新たな道を突き進んでいくことでしょう。