公務員から不動産賃貸営業へ。根底には“学生時代の体験”にあった

▲株式会社エヌアセット 管理部・賃貸経営サポートチーム 部長代行 小山 貴之

大学に進学したタイミングで、出身地である長野県松本市から首都圏へと住まいを移した小山。ひとり暮らしの舞台となったのは、川崎市中部にある住宅街・梶ヶ谷でした。

小山 「渋谷・たまプラーザに大学があり、『東急田園都市線沿線なら、乗り換えなしで通学できる』と、利便性で選んだ街でしたが、まさかその選択が自分の将来に大きな影響を及ぼすなんて、当時は思いもよりませんでした」

大学卒業後、一度は公務員となるも水が合わず退職した小山。次に飛び込んだのは不動産業界でした。根底には、彼が生まれて初めて部屋探しをしたときに抱いた、不動産会社への“違和感”がありました。

小山 「不動産会社数社と接して『接客態度にばらつきがあるな』と感じたんです。丁重に接してくれた会社ももちろんあったのですが、20年以上経った今でも鮮明に残っているのは、『学生だから』と粗雑な対応をされた記憶。

そのときに湧いてきた『自分だったら、もっと丁寧な接客をするのに』という悔しさに似た感情が、ずっと心に残っていました」

小山にとって初の転職先となったのは、以前から好印象を持っていた総合不動産会社です。梶ヶ谷の隣駅、溝の口に店舗を構えていました。

小山 「学生の時に接客してくれた男性社員は、若いながらも豊富な知識があり、何を質問しても丁寧に、そしてスマートに答えてくれました。結局、契約にはいたらなかったのですが、『こういう社員が最前線で活躍している会社は、きっと顧客第一主義になんだろうな』という印象を受けましたね。

転職活動を始めたときに、たまたま友人から紹介されたのが、なんと、その総合不動産会社だったんです。面接官の印象もよく、『ひと』を大切にする理念にも共感できたため、即入社を決めました」

一生不動産業界で生きてゆく。その決意が人生における選択を変えた

▲エヌアセット創業当初は営業部に所属しながらも、オーナーフォローや入居者対応など、幅広い業務に従事してきました

2006年6月、小山は総合不動産会社に入社。賃貸仲介の営業として、三軒茶屋支店に配属されました。当時、会社は設立7年目。社員数を大幅増員し、拡大路線に向け突進している最中でした。

小山 「会社が成長フェーズだったことに加え、当時の風潮も影響していたと思うのですが、とにかく放任主義の社風……。『先輩の背中を見て覚えろ』という感じで、入社当初は苦労の連続でしたね(笑)。 

学生時代に小売り店でのバイト経験があったので、最低限の接客マナーはわきまえていたつもりですが、困惑した思い出が強く残っています。

とくに、この支店は他社の管理物件の仲介を専門としていたので、基本的には物件概要、間取り図、地図をまとめたマイソクしか資料がなかったんです。これをどのように読み解けばいいのか、初めは見当もつきませんでした」

小山が仕事に対して手応えを感じるようになったのは、入社から半年後。試行錯誤の末、お客さまのニーズに適した物件をうまくマッチングできるようになり、契約数を伸ばしていきました。

小山 「お客さまへのヒアリングの際に『優先順位を明確にする』こと、物件をご紹介する際に『エビデンスを示しながら理路整然と説明する』こと。

この2点を意識して取り組んでいたら、契約できる件数が徐々に増えていったんです。自信を持って提案できるようになったのも、プラスに働いていたと思います」

三軒茶屋支店に1年在籍した後、溝の口本店に異動。小山は、自社管理物件を中心に紹介できる恵まれた環境の中で、次第に営業としての頭角を現わしていきます。

しかし、異動から1年も満たないうちにリーマンショックが勃発。会社は破綻の危機に追い込まれました。2008年8月末、小山はある覚悟のもと退職を決めます。当時、26歳でした。

小山 「2年経験して、不動産業が自分の性に合っていると確信できたんです。それで『一生、この業界で生きていく』と腹を決め、会社を辞めて、宅地建物取引士の資格試験を受けることにしました。

試験は1カ月後。しかも、いったんは無職になるという、なかなか勇気のいる決断でしたが、とにかくそのときは勉強に集中できる環境をつくりたかったんです」

 猛勉強の末、無事に資格を取得した小山。不景気の嵐に見舞われる中、次のステップに向けて歩み出しました。

短期間で大小さまざまな会社に属し、自らの原点『顧客重視』に立ち返る

▲エヌアセット本社新社屋

宅地建物取引主任者の資格を手に就職した先は、いわゆる“町の不動産屋さん”。オーナー社長のもと、来店客の対応や物件への案内、賃貸借契約の作成・締結、不動産オーナーへの報告など一連の業務を任されました。

その膨大な業務量をひとりでこなすことに限界を感じた小山は、半年後、当時急成長を遂げていたアパート建築会社のグループ傘下である不動産仲介会社へ転職します。

大小さまざまな規模の企業で、顧客に対する考え方や業務プロセスの違いに触れ、“不動産業界に身を投じた自らの想いの原点”に立ち返っていたころ。小山がかつて在籍した総合不動産会社の元上司から、転職のオファーが舞い込みました。

小山 「それが、総合不動産会社のDNAを受け継ぐ『顧客重視』の不動産管理会社、エヌアセットです。2010年当時は、かつての仲間たちが破綻の余波を受けながら、立て直しに向け、尽力していました。『またみんなと一緒に仕事がしたい』と、喜んでオファーを受けましたね」

入社後、小山は賃貸営業部に配属。溝の口本店での接客業務にまい進しました。3年目にはチーム長に昇進し、部下のマネジメントにも関わるようになります。そして賃貸営業に従事してから丸10年を迎えた2015年8月、小山は自ら志願し、管理部への異動を果たしました。

小山 「自分の中で『一区切りをつけたい』『次のステップに移行したい』という想いが強くなり、異動願いを出したんです。管理は営業とはまったく違う業務ですが、『これまで培ってきた知識や対人スキルが活用できるんじゃないか』という自信も少なからずありました。

実際に、生かせる部分はありましたが、とくに異動1年目はオーナー・入居者双方からご指導いただくことの方が多かったです……」

部内を覆う「中堅社員の小山なら大丈夫だろう」という空気感や、トラブルの対処法を詳細まで聞きたいのに、誰にも聞けないジレンマ──。小山は、以前味わった放任主義に近い苦しさを味わいました。

優先順位をつけながら一つひとつの仕事を地道にこなしたり、不動産オーナー・入居者双方の立場になり迅速かつ的確に対応したりと、右往左往しつつも管理業務を身につけてきた小山。異動から6年が経った2020年9月現在、管理部・賃貸経営サポートチームのチーム長代行を務めるまでになりました。

管理業務は楽しい。そう感じてもらえるよう、多角的な取り組みを続けたい

▲沖縄へ社員旅行に行った時のヒトコマ。この小山の笑顔は、仕事とはまた異なる表情で、信頼につながっています

小山はマネージャーになって、即実行したことがあります。それは、若手メンバーに対するメンター制度。「誰にも聞けなかった自分の苦しみを、もう誰にも味わってほしくない」という想いから始めた取り組みです。

小山 「もうひとりのチーム長代行と、ふたりで担当を振り分けながら、メンターとして若手メンバーの助言役になったんです。普段から相談しやすい環境を整えておけば、疑問や問題を迅速に解消でき、業務効率化につながります。

相談されるのをただ待つだけでなく、私からも『この案件の対応進んでる?』といった声かけは、意識して行っています。その結果、問題が大ごとになるケースは非常に少なくなり、育成の観点から見ても、非常に意義があります」

オーナー・入居者への対応、空室対策や建物管理など、フォロー領域の広い管理業務。現在、小山が最も懸念しているのは、他部署の若手社員から「管理は辛い部署」と思われていること。

小山 「6年間従事し、不動産管理は非常にやりがいがある仕事だと感じています。だから、異動したいと思ってもらえるような人気部署になってほしいんです。そのために、若手社員もやりがいや楽しみを感じられるチームにしたいと思います」

小山は、オーナーから“賃貸経営パートナー”として認められることが、やりがいや自信につながるとも考えています。

小山 「オーナーからの相談は幅広く、また一つひとつの課題解決も決して簡単ではありません。ただ、当社にはあらゆる要望に応えられる部署があるので『相談されっぱなし』の状態にはなりません。何かしら提案できるのが強みだと感じます。全社の機能を活用して、お力添えできたときは、やはり嬉しいですね」

不動産業界に入り、15年。2020年現在、自分が所属するエヌアセットは、学生の頃に抱いた“違和感”とは無縁の会社であると、小山は言い切ります。

小山「今、賃貸営業の最前線にいる社員たちはみんな、お客さまのことを一番に考えて行動していますし、管理部もオーナーの資産を最大限生かせるよう、日々の業務に取り組んでいます。

あくまでも私見ですが、今のサービスクオリティを維持・向上しつつ、無理のない範囲で拠点を増やすのが、望ましい姿だと考えています。

このコロナ禍でしばらく不安定な時期は続くとは思いますが、こんなときだからこそ、会社、そして自らの成長のために絶えず挑戦していきたいですね」

日々、「バランス感覚」を意識する小山は、不動産オーナー・入居者両者の立場になって考え、ライフワークバランスを鑑みて行動しています。堅実かつフラットな小山の存在は、今後も会社の成長を力強く支えてくれるでしょう。