PMOがやるべきこと─それはプロジェクト成功のために必要なことすべて

▲お客様からいただいた感謝状。はじめてのプロジェクトでPMOとして濃密な時間を経験した。

*内山ストーリー前編はこちらよりご覧ください

MSOLに入社して最初に携わったのは、複数社を巻き込んでの大規模なCRM系のプロジェクトでした。プロジェクトマネジメントはある程度理解していたものの、実際にPMOという立場で働くのは初めてでした。加えて当時のMSOLは、今よりも格段にベンチャー色が強い会社。右も左も分からない中で「ひとりで行ってきて」という状態でしたので、クライアントの期待に応えるため、毎日がむしゃらに働いていました。

ただ、このプロジェクト通して“PMOとしてやっていける”という手応えを感じることができ、さまざまな苦労もあってとても印象に残っているプロジェクトのひとつです。

このプロジェクトで得た一番の学びは、「なんのためにやるのか」と目的ベースで、自分で作業を定義することです。それまではPMOとしての経験がないため、“PMOとして何をしたら良いのか”といった点での悩みがありました。

しかし、そもそもPMO は、“~の作業をするのがPMO”と作業ベースで定義されるものではなく、プロジェクトを成功に導くという目的により組織されるものだと捉え直したのです。つまり、プロジェクト成功のために必要なことが、PMOとしてやるべきことだと捉えたのです。

たとえばプロジェクトを推進する上で、プロジェクト内の円滑なコミュニケーションは必須です。そのため、プロジェクト開始時にプロジェクトメンバ同士のコミュニケーションを円滑にするため、PMOとして飲み会を開催したり、朝会を毎日開いて日替わりでのスピーチを企画したりしました。極端な例ですが、こうしたこともプロジェクトの成功に必要だと考えれば、PMOとしてやるべきと考えたのです。

プロジェクト自体は1年ほどの期間でしたが、今思い起こしても濃密な1年でした。最終的には私を含めたメンバーの働きが評価され、先方から感謝状をいただくにいたりました。

後日談ですが、その後別件で8年ぶりにそのお客様先を訪れた際、当時のプロジェクトマネージャが偶然私をみつけ「PMOの内山さんだ!」と声をかけてくださったんです。昨日のことのように、当時のプロジェクトに対して感謝の言葉をかけていただけたのは本当に嬉しかったです。

抽象度と具象度を調整し徹底的に議論──そしてOne Teamへ

▲グローバルプロジェクト参画時にお客様より頂いた感謝状。苦労の連続だったが、素晴らしい方々と仕事ができ、良い結果を出せたことは今でも良い思い出。

また、日本を象徴する大手電機メーカーのプロジェクトも印象に残っていることのひとつです。

プロジェクトメンバは、日本、中国、香港、シンガポール、ベルギー、オランダに散らばっていました。そのためテレビ会議のほか、実際にベルギーや中国に何度も出張しながら現地メンバーと協業し、プロジェクトを推進していました。

しかし当初は、ヨーロッパ側のプロジェクトマネージャとプロジェクトの進め方について足並みがそろわず、意見が対立したんです。しかし、「このプロジェクトの目的はなんなのか」と一度抽象度を上げ、双方の意見が合致するポイントを確認。その後具体的にどの部分で意見の相違があるのかを客観的な観点で整理し、何度も議論を尽くし、少しずつプロジェクトメンバのベクトルが一致するように仕向けました。

日本側対ヨーロッパ側といった形から、プロジェクト全体として“One Team”になるように努めたんです。そしてなんとかプロジェクトの最終段階である、本番前のリハーサルまでこぎつけました。

リハーサルでは本番同様のオペレーションを行い、それぞれのオペレーションがうまくいったか写真をとり証跡を残します。日本側の確認から始まり、中国を経て、最後にヨーロッパ側の確認で終わる計画になっていました。リハーサルは順調に運び、最後のヨーロッパ側での確認の段になりました。

証跡となる写真が一枚あれば良いところ、プロジェクトに関わったメンバーひとりひとりの笑顔の写真に加え、ヨーロッパ側のプロジェクトマネージャとプロジェクトリーダの誇らしげな写真、日本側の推進メンバーに対する感謝のメッセージが添えられていました。

当初は対立があったものの、最後にプロジェクトが“One Team”になれたんだと実感し、熱い想いが込み上げてきたのを今でも鮮明に覚えています。その後、日本側のお客様からも感謝状をいたただきました。苦労の連続のプロジェクトでしたが、すばらしい方々とすばらしい経験ができたことは今も私の誇りです。

期待された価値を提供できるか──決めるのはお客様

▲2019年、MSOL主催フォーラムでの講演時。

私たちの仕事は、お客様に価値を提供することにこだわっていかなければいけません。お客様の立場で考えるとわかると思うのですが、お客様は支払った代金に見合った価値を受け取る権利があります。

仮に1カ月の自分の単価が100万円だとして、1カ月20日働くとすれば、1日当たり約5万円以上の価値をお客様に提供する必要があるのです。ビジネスというか、商売とはそもそもモノやサービスを提供し対価をいただくものなのですが、実はこのことを意識できていない人が多いのではと思っています。企業に勤め、企業から自分の口座に自動的に給与が振り込まることだけを見ると、この本質に気づき難いのです。

プロフェッショナルサービスは自分がどれだけ頑張ったかで評価されるものではなく、お支払いいただくお客様が提供された価値を基準に評価するものです。「自分が良いと思ったものだから良い」のではなく、あくまでお客様側が基準であり、お客様にその価値を認めてもらえるかが重要なのです。

簡単に言えば、学生時代は、正解のある問いにどれだけ答えられるかが判断の基準であったとします。プロフェッショナルサービスであれば自分が正解だと思って頑張って出した答えが、お客様が求めている正解でなければ、そこにいくら頑張ったという過程があっても不正解ということなのです。

これは何もお客様の言われるがままの仕事をするということではないのです。お客様との対話を通し、お客様の置かれている立場を理解すること。加えてお客様の直面している課題に対する対応、お客様自体も見過ごしている課題やひいては組織としての本質的な課題までを考え抜くこと。そしてそこにあるべき論を一方的に突きつけるのではなく、実際にお客様が納得して次の行動に進めるような手助けをすることだと私は考えています。

当たり前を大切に──社会のHappinessに貢献

▲2020年、現在の内山。

マネジメントコンサルティング事業はまだ立ち上がったばかりです。今は、とにかく事業としての形にするべく尽くしてしていきたいと思っています。

マネジメントコンサルティング事業部の目指すところは、昨年執筆した拙著「国際競争を勝ち抜くマネジメント」のテーマそのものでもあり、私はこの事業を通して「日本企業の国際競争力の向上」に貢献していきたいと考えています。

マネジメントの概念自体は難しいものではありません。簡単に言えば、成果を創出するために当たり前のことを当たり前にやることです。しかし、強い縦割り組織、合理性よりも事なかれ主義的な意思決定、無理なアサインメント、上位下達な一方的なコミュニケーション、高負荷によるパフォーマンス低下などさまざま要因によって、多くの日本企業では当たり前のことを当たり前にやることがとても難しいというのが実情ではないかと思っています。

これからもお客様の声に耳を傾け、日々勉強に勤めより良い価値を提供し、日本企業の国際競争力の向上に、ひいては社会のHappinessに貢献できたらと思っています。