海にもぐることも、魚を捕まえることも食べることも好き。魚から広がった私の世界
好きなものが仕事へとつながっていく──。そんなふうに私を今の仕事へと導いたのは、水の世界を生きる“魚”でした。
もともと生き物に興味津々だった私は、親に連れられてキャンプにもよく行くなど、自然と接する時間が多い幼少期を過ごしました。そして自然の中でもとくに好きだったのが海。海にもぐることも、魚を捕まえることも食べることもどれもが、好きでした。
高校生のころに抱いた、「水の世界で生活する生き物はどんな行動をしているのだろう?」という興味は、海で過ごした時間の積み重ねから育まれたと思います。
こうして大学では水中の生物を学べる学部を選び、鮎の病気を研究。多摩川で鮎を何匹も捕り、検査をして病気の広がり方などを調べていました。
その後就職活動で志望していたのは、水産の養殖関係の仕事。仕事の体験をするため、鰻やブリを扱う水産業者さんの会社へインターンシップにも行きました。実は、日清丸紅飼料に出会ったのは、そのインターン先でした。
偶然、日清丸紅飼料の営業担当が職場へ訪問に来ていて、“生産者以外にも、餌などのサポートとして養殖や水産に関わる方法があること”を知ったんです。仕事の体験をする中で、生産者として働く難しさを感じたこともあり、生産者をサポートできる仕事へと関心が移っていきました。
そうした中で、最終的に日清丸紅飼料を就職先に選んだ決め手は、水産業の飼料でトップクラスのシェアを誇ること。それから、インターンシップなどで関わった生産者の方々が口を揃えて「あそこの餌は一番いい」「魚が大きくなりやすい」と言っていたことです。
使う人から評判の良い飼料を扱う会社なら、営業として自信を持って売っていけるだろうと思い、入社を決意しました。
2019年に入社後は、まず水産業務部へと配属。いろいろな営業部の会議に参加して営業部の業務や当社の事業の構造を学んだり、人手の足りない事業の仕事に携わったり。また、営業のサポートや生産者さんからのお問合せの対応なども行うなど、仕事の基本を学び、社内との関係を築いた期間だったと思います。
そして1年後に、東日本水産営業部 営業課へと異動が決まりました。
銀鮭の養殖事業と飼料の営業を担う。魚との相性を見ながら、飼料を提案する仕事
2023年1月現在、私が所属する東日本水産営業部 営業課は、魚に与える飼料の販売や、養殖関連事業を手掛けています。
この部で最も大きい仕事は、銀鮭養殖に関連する事業。飼料販売はもちろんのこと、「発眼卵」と呼ばれる生まれたての卵を淡水種苗養殖業者へ販売し、その約10カ月後、淡水種苗養殖業者からの種苗買取および海面養殖業者への種苗の販売を行い、銀鮭が産まれてから海に出ていき成長して出荷されるまでを、トータルでサポートしていきます。
この銀鮭の養殖事業にも携わりつつ、鱒類、鯉、鮎その他諸々の飼料を販売することが私の仕事。生産者様のもとへ直接足を運び、飼料の提案・販売をしています。
飼料の提案では、基本的にお客様と一緒に給餌状況を見ながらヒアリングをした上で、魚や養殖池に合った飼料をご提案しています。
ただ、飼料は原料の状況からそのときどきで変化しますし、時期や魚のサイズによる相性もあります。そのため、まず試してもらい、課題が見えてきたら、提案して変えていくような流れです。
また、実際に魚に触れることもあるのが、この仕事の特徴。魚が病気になることが多いときには、どういう病気かを調べるために、検査したり、自分で診断したり。銀鮭では、採血することもあります。選別作業の応援なども行いますから、魚に触れる機会は多い仕事です。
私が担当しているエリアは、北は岩手、南は北関東、西は新潟と広範囲。お客様である生産者様は山間で魚を育てているので、自分で車を運転し、あちこち回って営業をかけます。20〜30軒くらいのお客様を、定期的に訪問していますね。
義理人情で通じ合う世界。相手の事情、背景を理解し、関係性を紡ぐ
この仕事で私が大切にしているのは、お客様に親近感を持ってもらうこと。
作業応援に行ったり、笑顔で元気なあいさつを心がけたり。また、生産者様に気を遣わせないよう、スーツなどのフォーマルな服装ではなく、会社支給のジャンパーやスキニーパンツなどのラフで動きやすい服装選びを心がけています。
この仕事では、お客様との会話の中で、情報交換を多くしていくことが大切。こうした日々の言動から距離を縮めることで、困りごとからポジティブな感想までお聞きできる関係が築けますし、寄り添った提案がしやすくなります。
こうした関係づくりが通じてか、過去には、お客様から「新しく鱒を育てようと思っている」という相談をいただいたことがあります。
聞くと、新しく漁場を作るそうで、ゼロから始めるやり方を教えて欲しいとのこと。そこで、私の担当している別の「漁場を立ち上げた経験を持つ方」をご紹介し、一緒に話を聞きに行き、見学をしました。
相談をしてくださったお客様からは、「ありがとう、尾川さんだからつなげてもらえたよ」と、言ってもらえました。このような相談を受けたことも、お客様同士をつなぐことができたのも、関係性ができているからこそですし、感謝の言葉を聞けるのはやはり嬉しい瞬間でもありますね。
また、お客様の声から、改めて当社の飼料の良さを感じることも少なくありません。「日清丸紅飼料さんの餌をあげると魚の成長が早く、大きくなりやすい」という話も耳にします。
ただ、生産の現場は、明るいことばかりではありません。実際に生業として魚を育てている生産者さんたちの苦労を、たくさん目にしてきました。
最近では、飼料の価格改定も大変だった出来事のひとつ。お客様に事情を説明して回りました。納得してもらえるように説明を重ねていくものの、お客様にも生活がかかっていますから、もちろん良い顔はされません。こちらとしても、お客様が苦しいのは想像に難くなく、心苦しくなります。
ただ、事情を理解して、「しょうがないもんね」とやり取りしてくださる生産者さんもいらっしゃいます。そういうときには、「困ったときはお互い様」として相手の事情を汲み取る、義理人情のような関係性を感じますね。
もっと性別関係なく活躍できる業界へ。その土台を作ることが、ひとつの目標
これから目指したいのは、性別に関係なく、営業担当が活躍できる土台を作ることです。飼料メーカーで、水産業の営業を女性が担当するケースは珍しいのが現状。まだまだ環境的に、女性が飛び込むには敷居が高いです。
そうした環境を変えていく一歩として、改善点や不満な部分は、伝えるようにしています。もちろん仕事なので、ただ「嫌です」と伝えるのではなく、日頃からコミュニケーションを取り、関係を築きつつです。今の部署は、自分の気持ちをかなり言いやすい環境だと感じますね。
また、女性営業担当が多くない現状でも、私が自由に仕事をできる環境を与えてくれているので、当社には性別に関係なく任せるようなカルチャーがあるとも思っています。そして実を言うと、私自身は、そういう整っていない状況を楽しんでいます。
お客様からしたら、私の話が新鮮に映るようで、日頃のちょっとした雑談も結構楽しそうに聞いてくださるんです。雑談のバリエーションを広く持っておくことで、話も広がりますし、私だからできる関係づくりにもつながっていきます。
そんな私から今、入社を考えてくださっている方々に伝えたいのは、当社が後輩や新入社員に優しい会社であること。協力して仕事に取り組む文化があり、何かあれば、みんなが助けてくれます。
私も、わからないことがあれば、先輩によく電話をかけていて、忙しくても優しく答えてもらっています。これからは私も先輩として、後輩が困っていたら察したいと思っていますし、後輩の育成面にももっと力を入れたいですね。
連携という面では、過去には私がお客様から寄せられた相談で、別の営業部の人に声かけて、別のお客様とそのお客様をつないだことで、養殖の生産量UPにつながったことも。
協力的かつコミュニケーションが取りやすいので、働きやすいです。飼料に興味がある方はもちろん大歓迎ですし、当社にはさまざまな部門がありますから、ぜひ興味のある分野を探してみてください。一緒に働くことができたら、嬉しいです。