語学力を活かしたいと〈みずほ〉へ。会社の留学制度に応募したことが転機に

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同じグループ企業とはいえ、それまで慣れ親しんだ持ち場を離れ、異なる組織で新たな仕事に取り組むことには、少なからず不安を覚える人もいるでしょう。

しかし、長いキャリアの中でみずほ銀行、みずほ証券、みずほ信託銀行と実際にグループ内の複数のエンティティを渡り歩いてきた先山の考えは違います。不安やリスクだけではないものが、そのキャリアをたどると見えてくるのです──。

もともと英語教師を志望していた先山でしたが、学生時代に参加した教育実習で周囲の学生との教育への熱量の圧倒的な差を実感。別のキャリアを模索する中で選んだのが〈みずほ〉でした。 

先山 「金融機関に惹かれたのは、幅広い仕事ができると思えたこと。また、外国語大学で語学を専攻し、イギリスに1年、中国に半年ほど留学していたこともあり、広い海外ネットワークがあり語学スキルが活かせる機会があると感じた、みずほ銀行への入社を決めました」

入社後、支店で営業担当としてキャリアを積んでいた先山に転機が訪れたのは入社6年目のこと。〈みずほ〉の制度を活用し、海外留学を果たします。

先山 「MBA取得のための留学制度に応募し続け、3度目で合格しました。当時、大きく変化する金融情勢にビジネスモデルを順応させていくことが商業銀行に求められていて、そうした転換期に貢献するため、幅広い知識を修得したいとの想いを面接で伝えた記憶があります」

シンガポールで2年間、先山はバンキング&ファイナンス課程を専攻。投資銀行業務を含むコーポレートファイナンスの分野への理解を深めましたが、文化も価値観も異なる周りの学生とコミュニケーションする力が身についたことが最大の収穫でした。

先山 「グループワークがほとんどでしたが、『何時に集合』『これを準備しよう』と呼びかけても、周囲の学生の中にはほとんど言うことを聞かないメンバーもいました。歩調を合わせるのに苦労しましたが、いかにやる気にさせて動いてもらうかを考えたことが良い経験になりました。

また、正解がない中、さまざまなフレームワークを使って物事を考え、最良と思える道を選んでいく過程から学んだことも大きかったです」

帰国後、みずほ証券に異動。文化の異なる組織で発揮したのは、銀行業務で培ったスキル

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帰国後、先山はみずほ証券に異動。先山本人が希望してのことでした。

先山 「留学先で、当時の米国投資銀行のひとつを退職した講師によるM&Aの授業を受けました。具体的な事例と共にしくみを学ぶ中でM&Aに興味を持ったことから、帰国後の人事との面談の際に、『みずほ証券でM&Aのアドバイザリー業務に携わりたい』と伝えました」

念願かなって異動を果たしますが、先山を待っていたのは修行のような日々でした。

先山 「コーポレートファイナンスの知識には多少自信があったのですが、M&Aにはコーポレートファイナンスだけではなく、会社法や会計や税務の基礎知識が欠かせません。会社法には詳しく触れたことがありませんでしたが、当時ちょうど商法改正で会社分割制度などができた時期ということもあり、新しい知識を大量に吸収する必要がありました。

そうした学びの大変さはありましたが、大規模な取引が成就すると新聞に掲載されることもあり、同僚と『今回は紙面のどこに載るかな』などと予想したりして、自分の仕事が形に残ることにやりがいを感じていました」

一方、異動先で先山が痛感したのが、エンティティごとの文化の違い。同じ〈みずほ〉と言えど、銀行と証券とでは雰囲気も仕事の進め方も異なっていたと言います。

先山 「細かいところだとデスクの施錠管理にも違いがあるなど、新しいルールになじもうと努めていたのを覚えています。証券では、本質を押さえてさえいれば仕事の進め方の自由度が高く、お客さまにとって最短で最適な道を自分で設定できることも驚いた点でした」

自身にとって初めて所属する組織であっても、6年間の銀行業務で培った経験を活かせる機会が多かったと語る先山。キャリアが積み重なっていく確かな感覚がありました。

先山 「M&Aのアドバイザリー業務においては、財務内容を含め企業の状態を知る過程が重要です。貸借対照表や損益計算書のどの部分を見るべきかがわかっているなど、限られた時間と情報の中で企業の状態の大枠を理解するスキルが大いに役立ちました」

真摯に人に向き合う姿勢。エンティティを渡り歩いてあらためて感じた〈みずほ〉の強み

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11年目に銀行に戻り、コーポレートアドバイザリー部の一員となった先山。業務内容は証券時代とほぼ同じでしたが、ここで逆カルチャーショックに直面しました。

先山 「証券と比べると銀行は情報管理により厳しく、当時は会社の業務端末でインターネットが自由に利用できませんでした。担当部署にかけ合って部署内に独自LAN設置を依頼。効率よく業務を進めるための環境を整えていきました」

17年間にわたりM&Aのアドバイザリー業務に関わったあと、先山は2018年に新橋支店新橋第二部へ。不動産系のお客さまを多く担当し、不動産リート投資法人との取引や不動産ノンリコースローンなど新たな知識を修得します。

その後、再びエンティティを超えた異動を経験。2023年5月現在は、信託銀行の信託総合営業第一部で、営業および拠点経営・管理業務に携わっています。

先山 「不動産業務や遺言関連業務、証券代行業務に加え、信託のしくみを利用した各種商品や企業年金なども取り扱っています。信託に来て約2年が経ちますが、業務内容が幅広く、今も苦労の連続です。また、今はコンサルティング業務に力を入れていて、コーポレートガバナンスコード改訂や東証再編とも相まってカバーする分野が多く、広範囲で新しい知識を学び続けています」

新しい分野に常に意欲的に取り組んできた先山。その背景には、お客さまを含め、周囲にとって役立つ存在でありたいとの想いがありました。

先山「大学時代の教育実習に参加した際、担当の教師から言われた、『教えるということは10を知って1を教える、ということ。1を知って1を教えることではない』という言葉を大切にしています。周辺を含め幅広く知って初めてひとつのことを伝えられると考え、それを実践するために学び続ける姿勢を貫いてきました」

そして、銀行、証券に続いて信託を経験し、それぞれ異なるカルチャーに身をおく中で先山が強く感じているというのが、〈みずほ〉のアイデンティティです。 

先山 「メガバンクの一角をなすみずほ銀行に比べると、信託は支店数も人数も少なく、こぢんまりとした組織です。そのぶん、コミュニケーションが活発で仲間意識も強いように感じます。付き合いの長いメンバーが互いに下の名前で呼び合うような文化があったのは新鮮でした。

一方、お客さまはもちろん、社内に対しても相手の立場に立って物事を考えられる人が多いことが、エンティティに関係なく〈みずほ〉全体に共通した魅力であり、強みだと感じます」

組織活性化のために。〈みずほ〉を盛り立てていくメンバーの育成や採用サポートに意欲

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社会人30年目を迎えた先山。キャリアを通じて大切にしてきたのは、自身の“好き・やりたい”という想いでした。

先山 「『海外勤務したい』という希望こそかなわなかったものの、留学はできましたし、M&A業務では海外の企業買収案件に携わることができました。それはまさに、好きなことに挑戦する機会だったと思います。

近年はキャリア自律への意識が高まり、自らキャリア形成に積極的に取り組むことがますます大切になってきています。その環境下では、まず主張することが大事。やりたいことがあれば、難しくても『やりたい』とまず声をあげる。もしそれがかなわなければ、方向転換してもいい。そうやって意志と現実に折り合いをつけながら生活することが必要だと思います」

複雑で答えのない課題に取り組む銀行の仕事と同様、キャリア形成にも唯一の正解はありません。実は先山にも、キャリアに迷った経験がありました。

先山 「M&Aアドバイザリーの業務をしていたとき、社外から魅力的なオファーを受けることもありましたが、『本当に自分がやりたい仕事か』と考えた結果、違うなと。2年間留学する機会をもらい退職するのは不義理だと感じたこともあり、〈みずほ〉で自分の『やりたいこと』に挑戦していく道を選びました。自ら選んだキャリアですので後悔はありません」

エンティティを超えてさまざまな経験ができたのは幅広いキャリアフィールドを有する〈みずほ〉にいたからこそ。今後は新たな人事運営により、今までよりさらにエンティティを横断した活躍の機会が増えていきます。先山はそうしたグループ企業間の異動に対して不安を抱える後輩に伝えたいことがあります。

先山 「『肩肘張らずに受け入れたらいい』と伝えたいです。もちろんエンティティごとに違いはありますが、〈みずほ〉という共通のプラットフォームの上にある組織なので、適応できないほどのギャップはありません。それよりも新しいことを学ぶことは楽しいもの。吸収するものが変わることで多様な考え方が身につくと思えば、決して恐れることではありません」

“好き・やりたい”を芯に持ちつつ、柔軟で前向きに仕事に取り組み、あらゆる分野での経験を糧にしてきた先山。広い視野で今後のキャリアを見つめています。

先山 「これからの〈みずほ〉を盛り立てる若い社員の育成や採用サポートに携わっていきたいです。最近は世間でも『やりたいことができないなら、外に出るべき』との風潮も広まっていますが、組織を盛り立てていこうという意志のある社員の数がそのまま組織力につながると思っています。〈みずほ〉をより良くしたいという想いを持った社員を増やす手伝いができたら嬉しいです」

銀行、証券、銀行、信託──そのキャリアの変遷を経て、「〈みずほ〉であれば、どのエンティティで働くのも不安を感じることはない」と語る先山が示したのは、“社内で転職するようなキャリア”の描き方です。そしてそれは、大きな環境の変化をともなわずとも新しい仕事に挑戦できる、という可能性でもあります。

今日も、働く彼の背中は、好きな方向へ、行ってみたい方向へキャリアの舵を切ることの大切さを物語ります。〈みずほ〉でキャリアを紡ぎ、変化を楽しんできたその背中で。