金融機関だからこそ、できることがある。異業種から〈みずほ〉へ転職

article image 1

貧困のない世界。誰もが暮らしやすい社会。美しい自然環境──。

SDGsをはじめ、持続可能な社会を目指す活動が勢いを増す昨今、このような言葉が企業活動の一環としてよく掲げられるようになっています。このような活動は、事業外の「プラスαの活動」。そんなふうに思っている方も多いかもしれません。

しかし、〈みずほ〉の石塚は言います。

石塚 「『サステナビリティと事業は別物である』という認識があるのなら、それは違います。サステナビリティは、今後すべてのビジネスに組み込まれていくものなんです」

サステナビリティとビジネスは、切っても切り離せない関係になっていく──。その認識は今、〈みずほ〉をはじめとする金融業界に広がり始めています。

石塚 「当社は、お客さまである企業に対してご融資の審査をします。審査はご融資した資金がきちんと返済されるかどうか、すなわち財務内容の確認が主でした。

しかし昨今は、財務のみならず『非財務』と呼ばれる領域もこれまで以上に審査・評価をしていこうという流れがあります。『非財務』とは、ESGと呼ばれる環境や社会、ガバナンスの領域。ここへの評価の比重を高めることで、より本質的に企業価値を評価できると考えています」

〈みずほ〉以外の金融機関でも、同様の取り組みは加速。最終的に「環境や社会に配慮していない企業には融資しない」という状態を目指したいと明言している銀行もあります。

石塚 「これはつまり、これからの時代、たとえ利益を出す力がある企業であっても、環境や社会への配慮が足りない場合、金融機関からの支援が従来ほど期待できなくなるということです。〈みずほ〉は、企業が社会に対してポジティブなインパクトを出せるように支援していきたいと考えています」

主に中堅・中小企業のお客さまに対するサステナビリティ戦略を企画する立場として精力的に活動する石塚。

彼女は〈みずほ〉に入社する前には、青年海外協力隊やユニセフでの活動に力を注いでいたこともありました。社会課題解決の現場により近い世界にいた彼女が〈みずほ〉を選んだのには、ある理由があります。

石塚 「ユニセフのカンボジア事務所にいたとき、思った以上に『お金』という壁にぶつかったのです。国連の機関として規模や活動の幅は広いものの、寄付で動いているということに変わりはありません。

資金が続かない場合は、どんなに必要なプロジェクトをだしても継続が難しいという厳しい現実を見て、ハッとしました。世の中をより良くするための活動を持続させるには、必要なところにお金がしっかり流れる仕組みづくりが大切なのではないかと」

この気づきを経て、社会課題解決のために企業を支援する側にシフトすることを決断。帰国後は企業の非財務情報の取り組みや開示を支援する監査法人系コンサルティング会社に入社。コンサルティング業務に従事する傍らで「事業成長と社会課題解決の両立に努力する企業をもっと幅広く支援したい」という思いが募ります。

そして石塚は、次の舞台として、〈みずほ〉を選びました。

青年海外協力隊としてウガンダで活動。可視化されていない課題からの学び

article image 2

世界中の困っている人たちを支援することに強い思いを抱いてきた石塚。そのきっかけは、彼女が中学生のころに遡ります。

石塚 「教科書に『ハゲワシと少女』という題目の一枚の写真が載っていたんです。アフリカの貧困の実情を切り取ったものでした」

ピューリッツァー賞を獲ったその一枚を目にした石塚は、衝撃を受けました。

石塚 「自分は普通に学校に通っている一方で、世の中にはそれが叶わない子どもたちがいる。どうしてこのような状況が起きてしまうのか、貧困を解決する道はないのか……。そう思い、本を読んで調べたりして。そうしてたどり着いたのが、青年海外協力隊に入隊するという選択肢でした」

世界の貧困問題に取り組むために、まず「協力隊に入る」という目標に向けて、就職活動では地方自治体で働く道を選びました。

石塚 「インフラの確立や教育など、住民の生活を支える日本の自治体の仕事はかなり優れているものの、なかなかそのノウハウを途上国に輸出できないという課題を聞きました。それであれば、まず自分が国内で学んでみようと思ったのです」

入庁した市役所では、医療費助成の審査や子育て支援などを担当。総務省への出向を経るなど5年が経過した頃、青年海外協力隊の試験に合格。村落開発普及員(現:コミュニティ開発)という職種で、東アフリカに位置するウガンダ、ブタンバラ県庁への派遣が決まりました。

学生時代からの目標を叶えた石塚。自治体職員として住民の生活を支えるという点ではこれまでと共通の立場ですが、日本とウガンダでは地域の特性があまりにも異なり、彼女はあることに最も苦戦したといいます。

それは「本当の課題を見極めること」です。

石塚 「“住民の生活を改善すること”がミッションだったのですが、何から取り組めばいいのかすぐには分からなくて……。というのも、日本から来た人間から見れば、赴任した地域は課題だらけに見えるからです。

水道はなく、電気も満足に通っていない、道も塗装されていない。青年海外協力隊はボランティアという立場なので、金銭面で助けることにも限りがある中で、これだけ多くの課題を抱えている。赴任当初は途方に暮れてしまいました」

多くの課題解決に繋がる“カギ”となる課題が何かあるはず──そう思った石塚は、現地の人々の暮らしをつぶさに観察します。そして見つけたのが、「健康管理」というキーワードです。医療体制が整わずHIV/AIDSやマラリアのリスクも高い地域では、住民自身が健康管理に気を配ることが重要ですが、任地はそうした教育が十分に成されていない地域でした。

健康を維持できて初めて、継続した学校教育や労働が可能となり、貧困のループから抜け出せる可能性が出てくる。それを実現するため、県内の小学校や農家グループを対象とした、健康管理に関する包括的なプロジェクトを立ち上げました。

石塚 「可視化されない本当の課題を探すことが、いかに大切か。ウガンダでの活動は、そのことを身をもって学んだ貴重な経験でした」

転職して感じた〈みずほ〉らしさと、成長のための課題

article image 3

2年間協力隊で活動し、日本へ帰国した石塚。その後、ユニセフやコンサルティング会社での勤務を経て〈みずほ〉に入社しました。銀行という異業種への転職。周囲に銀行員がほとんどいなかった石塚にとって、それは緊張感のある選択でした。

しかし実際に入社してみて、〈みずほ〉で働く人々の、その人柄に安心したといいます。

石塚 「入社してみて思ったのは、すごく真面目で熱意のある社員が多いこと。想像していた“銀行員”のイメージよりも穏やかで、いい雰囲気だと思いました。

また、一人ひとりがお客さまへ強い思いを持っていることもひしひしと感じました。どうしたらお客さまに喜んでもらえるのか、といった話がよく出てくるし、お客さま目線を大切にしながら仕事をしている。きっとこれが〈みずほ〉らしさなのだろうなと、印象的でしたね」

一方で、複数他社を経験してきた石塚は、さらに改善できる点もあると感じています。

石塚 「私が以前勤めていた会社では、コロナ禍も後押しして働き方改革が一気に進み、より柔軟に働くための仕組みづくりや生産性向上につながる投資が迅速に行われていたと感じています。

〈みずほ〉は規模も大きく、また業務内容や部署によって難しい部分もあるとは思いますが、今以上に働く環境の整備が進めば、より生産性を上げられるのではないかと考えています。また、業務効率化を進めることで個人の特性や生活状況に合った多様な働き方が進み、一人ひとりが一層の成果も生み出せるようになれば、〈みずほ〉の新しい成長につながるのではないでしょうか」

石塚が感じたこれらの課題は、会社でも目下議論が進められているところです。

自分の想いを大切にして一歩動き出す。その行動が、ワクワクする未来を作る

article image 4

未来に向けて、企業に対して〈みずほ〉としてどんなことができるのか──。石塚は日々考えています。

石塚 「金融機関は、世の中の頑張っている企業や人を応援する立場です。だからこそ、どんな活動を積極的に応援するのかが問われている。私はぜひ、企業支援のための評価やルール作りに携わりたいと思っています。これまでの自分自身の知見を活かすことができれば、〈みずほ〉に入社した甲斐があると思いますし、採用してくれた会社への恩返しにもなると感じています」

並行して彼女は、社内メンバーに対するサステナビリティ教育も実施中です。

石塚 「私のチームでは、中堅・中小企業のお客さまにおけるサステナビリティ推進の企画を中心的に担っています。インパクト評価を要するサステナブルファイナンス商品の開発や評価、組成支援、本部関係部の連携強化など、業務は多岐に渡りますが、その一つとして特に社員教育に力を入れています。

お客さまのSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)推進をけん引するために、まずは〈みずほ〉社員に対して定期的な勉強会を開催したり、サステナビリティに関する外部資格の取得の支援などを実施することによって、社員の『サステナ力』を高めること。それが何より、お客さまとのより深い対話と信頼に繋がり、ひいては重要な経営課題に共に取り組んでいくことに繋がります」

法人業務部のサステナブルビジネス企画チームは、2021年6月に立ち上がったばかりの若いチーム。何ができるのかを、日々議論しながら取り組んでいます。

より良い世界を作りたい。中学生の時に抱いた思いを軸にして、ここまでひたむきに走ってきた石塚。

そんな彼女から、〈みずほ〉で働く仲間たちへ伝えたいメッセージがあります。

石塚 「自分が大事にしている想いがあれば、その視点を仕事に盛り込んでみるとよいと思います。私の場合はそれが『貧困を根絶したい』ということであり、職種や立場は変わっても、これまでのキャリアの中で一貫して抱えてきた思いです。

〈みずほ〉の中で経験を積んできた皆さんにとっても、個々人の大切にしている思いがある場合、それが一見、現業と離れているように思えても、具体的に取り入れようとしてみると意外に道が開けていくはずです。たとえばそのひとつはSDGsビジネスデスクでの兼業かもしれません。営業の方であればサステナの視点を持って情報収集してみることで、日々の業務に活かせるヒントが見つかる可能性もあるのではないでしょうか」

実際に、「ネットワーク・タスクフォース」という行内横断の次世代金融プロジェクトでも、誰かが課題を発信することで、他のエリアでの事例を共有してもらえたり連携先が広がったりと、話が前進することが多いと石塚は語ります。

石塚 「目の前の仕事ばかりに集中するとつい視野が狭くなってしまいがちですが、普段の職場以外の仲間など、外とのつながりを意識的に持っておくことで、色々な人の力を借りられたり、また自身が誰かの力になれたりして、世界は思いのほか広がるはずです。思い切って自分の想いを発信して動き出してみると、きっとおもしろくなると思いますよ」

自分の軸を持ち続け、世界の舞台から〈みずほ〉にやってきた石塚。

世の中の実情をその目で見てきた彼女とともに、「サステナブルな社会」を一緒につくっていきませんか。