CSR=「責任・義務・善行」だった時代は終わり、サステナビリティへ

企業に対する社会の期待・要請の変化

社会や企業の持続的発展を表す「サステナビリティ」。その概念には、社会課題に関する国際的な共通目標である「SDGs(持続可能な開発目標)」や、企業の社会に対する責任を表す「CSR(企業の社会的責任)」が含まれています。

日本では、2000年代初頭からCSRの概念が広がり、企業が社会貢献活動などに盛んに取り組み始めました。〈みずほ〉でも、2005年にCSR推進室を設置し、CSR推進をスタートさせました。

しかし当時と現在では、状況は大きく変わったと平野は言います。

平野 「企業においてCSRが謳われ始めた頃は、社会的責任が何なのかという明確な定義がないままに、ボランティアなどの社会貢献活動が盛んに行われていました。それが2010年のISO26000で社会的責任の手引きが示され、今度はその細かに示された責任にきちんと対応しているかどうかが求められるようになったのです。

こうした背景から、CSR=責任・義務・善行といったイメージが定着し、企業にとっては経営コストにしかならないと捉えられていた時期がありました。いわゆる“CSR疲れ”のような状態ですね」

それが、2015年のSDGs採択、パリ協定の採択によって、次第に変わっていきます。 

平野 「SDGsで、社会的課題を解決することがビジネスチャンスにつながるという考え方が出てきました。SDGsは事業環境変化になるのでもちろんリスクもありますが、それだけでなくビジネスチャンスと一体的に捉えながら、対応していこうと前向きに捉えられるようになったのです。

つまり、「責任・義務・善行」から「経営戦略」へと進化し、それとともに次第にCSRからサステナビリティへと言葉も取り組みも変わっていきました」 

〈みずほ〉も、こうした変化を捉え、2018年4月、これまでのCSR推進室からサステナビリティ推進室に形を変えて設置。そのサステナビリティ推進室で、平野は経営戦略と一体性のあるサステナビリティの戦略や方針の策定、取り組みの推進を担っています。

社会の変化とともに、お客さまも変化。レベルアップと想像力が求められる

CSRに携わりはじめた頃 子供と一緒に

平野がこの仕事に携わったのは2009年。当時は、ちょうどCSRがコストと思われていた時期で、CSRの推進には苦労が伴いました。

平野 「例えば、ESG評価機関が環境・社会・ガバナンスの観点で企業を評価するためのESG調査一つに対応するのも大変でした。幅広い評価項目について自社の対応状況を説明するなど、ESG調査に回答するのはけっこう手間がかかり、関係各部にも相当負担をかけます。

そのため、ESG調査に対応する重要性から理解していただけるように努めました。その頃の推進室は、余計な仕事を増やす面倒な存在のように思われていたかもしれません(笑)」

それが現在は、大きく変化。

平野 「社会の変化に伴い、〈みずほ〉でもサステナビリティを本格的に経営戦略の一丁目一番地として位置づけるようになりました。実際に現在走っている『5ヵ年経営計画』の中でも、サステナビリティ重点項目を定めて、経営戦略と一体的に推進しています。経営における本気度が高まったことは、大きな変化です」

同時に、〈みずほ〉のお客さまも変化しています。

平野 「ビジネスの最前線にいるお客さまたちは、サステナビリティに大きな関心を寄せています。ですから、そういったお客さまと相対する私たちも変化しなければなりません。例えば、気候変動についてお客さまと対話するには、今やお客さまの方が詳しいので相当の知識が必要になります。お客さまとの対話を通じて、課題やニーズを的確に把握できるぐらいに、私たちがレベルアップしなければなりません。

同時に、どんなお客さまにも環境・社会の課題やリスクは確実に存在します。それが今すぐではなくても、中長期的にどのような影響を及ぼすかという将来を見据えた想像力が非常に重要で、いままさに求められるところです」

そして、平野自身にも大きな変化がありました。

平野 「ちょうどCSR推進室に来る2年ほど前に、子供が生まれました。当初は何も知らずにCSRに来たので、まずは世界観を理解するところからのスタートでした。そしてCSRからサステナビリティへと取り組みを進める中で、子供の未来と重ねた中長期的な想像力を持ちながら、業務に取り組むことができました」

母親としての視点がまた、平野のサステナビリティ推進に深みを与えてくれたのです。

お客さまを通じて間接的なインパクトを創出。カギは「エンゲージメント」

サステナビリティ推進室のメンバーと共に

サステナビリティへの取り組みは、業界や企業によって様々。中でも〈みずほ〉は、金融グループとして、サステナビリティへの取り組みの方針を明確に定めています。 

平野 「〈みずほ〉は、長期的な視点に立ちサステナビリティに取り組むことで、様々なステークホルダーの価値創造と、〈みずほ〉の持続的かつ安定的な成長による企業価値向上の両方の実現を目指します。その結果、環境の保全と、内外の経済・産業・社会の持続的な発展・繁栄に貢献していくことを基本的な考え方としています」

さらに重点項目への取り組みについては、経済・産業・社会・環境に対する直接的・間接的なポジティブインパクトの拡大と、ネガティブインパクトの低減に努めることを明示しています。

平野 「特に〈みずほ〉は、お客さまを通じた間接的なインパクトを重視しています。お客さまの悩みや課題を総合的に解決していくための様々なソリューションを提供し、お客さまのSDGsやESGへの取り組みを多面的にサポートしていきます。具体的なテーマとしては、事業承継やイノベーション支援、気候変動への対応などがあります」

こうしたサステナビリティを推進していく上で活きる、〈みずほ〉の強みがあると、平野は言います。

平野 「まず、『社会に貢献したい』という想いを持った社員が数多くいること。サステナビリティを推進していく上で、そこを一つのドライバーにすることができると考えています。そしてもう一つは、〈みずほ〉の持つ顧客基盤。お客さまと一緒にインパクトを最大化していくという意味では、〈みずほ〉の顧客基盤は大きな力になります。

最後は、やはり金融としてファイナンス・資金の流れをつくる役割を担っていること。特に、SDGsや気候変動などの目標達成に向けて、いかにサステナブルな資金の流れを作っていくかについては、お客さまを始め各ステークホルダーからの大きな期待を感じます」

そして、〈みずほ〉がめざすサステナビリティ実現のカギとなるのが、「エンゲージメント」です。

平野 「私たちは、エンゲージメント=対話の意で用いています。お客さまとの深い対話を通じて、お客さまの多様な課題やニーズを深掘りすることが第一義。その上で、〈みずほ〉が持つ幅広いソリューションのラインナップから最適なものを提供していきます」

サステナビリティは全ての人につながる。広い視野と中長期の時間軸を手に入れる

「〈みずほ〉の力を結集し、持続的に成長できるより良い未来に貢献していきたい」と語る平野

今後〈みずほ〉が注力していく、サステナビリティへの取り組みとは。

平野 「エンゲージメントを起点としたサステナブルビジネスの推進強化を一つの軸としていきます。そして、いま一番ホットなのは、気候変動。気候変動は政府の政策も大きく動く中で、ビジネスチャンスとしては大きいですが、反面、金融市場の安定性に脅威をもたらすリスクがあります。

私たちは金融機関として、それをどうマネージしていくかが今後重要になります。気候変動は、ビジネスチャンスとリスクの両面で、スピード感をもって対応していかなければならない重要な課題です」

〈みずほ〉の取り組みが拡大していく中で、サステナビリティ推進室の役割も拡大しています。 

平野 「サステナブルビジネスに関連して、サステナビリティの専門家やグループ内での関係部署を紹介してほしい、という依頼をよくいただきます。お客さまとの具体的な案件の中で、『これはサステナビリティの観点ではどうでしょう』というようなご相談をいただくケースも増えました。また商品開発に、企画やPRの面からサポートすることもあります。色々な相談をいただくことは、とても嬉しいですね」

サステナビリティは、推進室だけで取り組むものではなく、〈みずほ〉の全役職員で取り組んでいくことだ、と平野は言います。

平野 「どんな業務をやっていても、サステナビリティに無関係な人はいません。自分の業務と社会のつながりを考え、そこに気づいたら、自分の業務がさらに意義深いものになると思います」

平野自身、サステナビリティを推進する中で、仕事の意義だけでなく、人生に対するポジティブインパクトが得られたと言います。

平野 「グローバルな動向を見るので、視野が広くなりました。また、目先ではなく先のことまで考える長期的な時間軸を手に入れたことは、私の人生に良い影響を与えてくれました」

そして一番の願いは、次世代を担う子供たち、そしてその先の孫たちの世代に向けて、より良い未来を創っていくことです。

平野 「〈みずほ〉の力を結集し、強みを活かしながら、持続的に成長できるより良い未来に貢献していくことをめざします」 

〈みずほ〉のサステナビリティの進化とともに、成長を遂げてきた平野は、これからも〈みずほ〉と自身の持続的な成長をめざしていきます。