予想外の出来事に見舞われた、銀行員人生のスタート

▲東京丸の内に勤務する松山

2007年。世界中に経済ショックを与えたリーマンショックが起こる前年、松山 綾乃はみずほ銀行に入社しました。

「世の中の役に立ちたい」

松山はこの思いを胸に、みずほの法人営業を志します。そして、東京のど真ん中に位置する市ヶ谷支店から、銀行員としてのキャリアをスタートしました。

ところが、予想外の事態に見舞われます。OJTも終わり、ようやく担当する企業をもち法人営業をスタートさせた矢先、世界は大きな経済危機、後のリーマンショックに襲われたのです。 

松山「法人営業として臨んだ最初の仕事は、取引先への企業再生支援でした。当時の支店長からは、『企業が痛んだ時にどう寄り添って対応するか。銀行員の資質はそこで問われる』と言われたものの、そもそも貸出実務もままならない中、再生の支援なんて右も左もわからず、かなり苦労をしました。

『銀行は雨が降ったら傘を取り上げるでしょう?』担当していた企業から言われた一言です。体力的にも精神的にもきつかったですが、企業の赤字や再建への仕組みを体感し、何でも吸収しようと思っていたためか、辛いとは感じませんでした。担当先の企業は自社も大変な環境の中、駆け出しの銀行員を叱咤激励してくれていると感じていました。」

一年目から悪戦苦闘しながらも、松山は持ち前の明るさとポジティブ思考で、銀行員としての基礎を学んでいきました。しかし、入社4年目で配属された荏原支店で、またもや予想外の事態に直面します。

荏原支店では松山の前任が15年目のベテランで、引き継いだ担当先が支店の根幹を成す上場企業を含めた大企業ばかりだったのです。

他行との競争も厳しい上、業務も企業の事業拡大に向けた設備投資資金や海外進出関連資金など、松山が初めて経験する仕事。初任店とは違った苦労を背負うことになりました。

松山「2カ店目は一人前扱い。異動先には、私より上の先輩はおらず……。『自分自身でなんとかしなくちゃ』という責任感から、オーバーワーク気味になることも。

でも、その時に気づいたんです。上司たちが、想像以上に部下の動きを見ていてくれていたことに。ヘルプを求めたら、すぐに強力なサポートをしてくれました。組織やチームで取り組むことの強さを学んだ瞬間でした。この経験のあとは、支店の一体感を感じ、営業にまい進できました」

貸出業務や国内外の為替取引をはじめ、みずほの機能を通してお客さまのお役に立ちながら、バンカーとしての成長を感じるようになった松山。しかし、そんな中入社7年目に、2度目となる異動の辞令を受けます。

想定していなかった異動先──そこが自身の運命を左右する転機となる

▲後輩とディスカッションする松山

松山にとって2度目となる異動先は、主に地権者のお客さまや、企業オーナーのお客さまに対する支援を行う本部部署でした。

そこは、プライベートバンカーも在籍する、個人営業の分野。これまでの法人営業とは一転した環境に松山も動揺しました。しかし、やっていくうちに自らの経験を活かせるようになります。

松山「最初のチームでは地権者のお客さまへの賃貸不動産向け貸出のサポートがメインでした。ただ、お客さまと接するうちに、資産の承継や不動産事業の承継のお悩みも課題として見えてきて、単なる貸出のサポートではなく、次第に総合的なコンサルティングもお客さまに提案するようになりました。法人営業時代にとにかくいろんな提案を心掛けていたので、その経験が生きたと思います」 

だんだんと慣れていくにつれ、松山はやりがいも感じるようになりました。

松山 「個人のお客さまに特化した営業店では、当時貸出業務を担う人材があまりいなかったこともあり、私がサポートすればするほど成果に結びついたんです。気づけば個人営業の分野でもものすごく充実した日々になっていました」

徐々に周りからも認められ始めた松山は、入社9年目に企業オーナーを担当するチームへ部内異動となります。それが、2021年の現在も行うプライベートバンカーとしてのキャリアの始まりでした。そこでは、法人営業ではできなかった体験をすることになります。

松山「銀行の法人営業担当は、企業のCFO(最高財務責任者)の方と会話することが多く、大企業のオーナーと単独で直接会話することはほとんどありません。営業店時代は、オーナーの相手は支店長、経理部長は自分という割り振りで、自分自身が大企業のオーナーに単独でお会いすることは正直なかったんです。

そんな中、プライベートバンカーになり、みずほ証券にもお取引いただいている上場企業オーナーのお客さまを担当させていただけるようになったことは、法人担当時代には考えられない、斬新な経験でした」

プライベートバンカーとして、企業のオーナーをはじめとする超富裕層を担当するようになった松山。そこで新たに知った事実は、これまでの考えを覆すものでした──。

法人営業、個人営業、どちらも活きてくるのが、プライベートバンカー

▲海外案件の相談をする松山

オーナーが頭の中で考えていることがわかる。これまでのお客さまは銀行向けの顔をしていただけなのか。

プライベートバンカーとして多くのお客さまに触れる中で、松山はそんなことに気が付きます。

松山「みずほ証券にもお取引いただいている上場企業のオーナーのお客さまを担当させていただいたときに、『そういうことだったのか』と感じました。お客さまは証券会社と取引があり、銀行には預金を置いている。すると、銀行から借入れしなくても取引が成立するんですね」

法人営業時代には、お客さまが考えている一部分しか見えていなかった事実を目の当たりにした松山。これまで担当した企業のお客さまは銀行からのお借入の兼ね合いもあって、あくまでも銀行に向けた説明をしていただけだったんだ、と気づかされたと言います。

松山「プライベートバンカーになり、オーナーと直に接するようになると、CFOや社員にも言っていないお考えを直接本音ベースで聞けるので、頭の中で考えていることがわかるようになったんです」

そんな松山が現在担当するお客さまは、企業オーナーの方がほとんど。事業や法人の資本政策にも非常に関心を持っていることが多いです。だからこそ、松山は、「法人営業の実務経験が活きている」と感じています。

一方で、日本を代表する企業オーナーを担当するプライベートバンカーとして、苦労も絶えません。 

松山「事業のことに加え、ご家族やプライベートなど、本当に色んなご相談をしていただきます。でも、聞かれた際に、瞬時に臨機応変に対応できないと、その時点でもう次がない……なんてことはよくあります。そのあたりはとてもシビアです」

そうした厳しさに対し、松山は自己研鑽を欠かしません。税務、承継、会計などの知識などはもちろん、お客さまの趣味に合わせ、時には絵画やワインの勉強もして、日々の会話に役立てています。

そんな松山がお客さまと接する中で意識しているのは、「最も身近な相談役であること」。 

松山「社内のだれにも言っていない事業の相談もされますし、お客さまから一番にいろんな相談がきます。だからこそ、個人営業だけの知識では対応できないし、法人営業の知識だけでもダメなんです。

そして、その知識と経験さえ企業オーナーの方にはどうやっても敵わないので、経験とスキルを日々、お客さまと接しながら磨いていくことを心掛けています」

自分次第で何者にでもなれる。お客さまの考えに触れる中で見出した挑戦

▲みずほ銀行 ウェルスマネジメント部 松山 綾乃

入社して15年がたった2021年の現在も、松山はさらなる研鑽を志しています。

そうした背景には、お客さまと日々触れる中で生まれてきたある思いがありました。

松山「お客さまとお話していると、自分のレベルが全然足りていないことに気づかされます。そんな中で、もっと経営の分野を学ばないとだめだと思うようになりました。

また、超富裕層の方は『事業活動≒社会課題の解決=自分の生きがい』と、考えられている方が多いんです。そうした方に触発され、私自身も何か社会に貢献できないか、と考え始めました」

そんな時に松山が見つけたのが、EMBA(エグゼクティブMBA)というプログラムでした。

松山 「MBAはよく知られていると思うのですが、EMBAは実務経験が15年程度必要となり、カリキュラムに参加されるメンバーも自然と各企業のミドルマネジメント以上の方が多いです。そのため、授業も、課程修了後に企業の中核的人材として活躍することを前提とした内容となっているんです。

もちろんチャレンジングな内容なのですが、ちょうど実務経験が15年に差し掛かるので、学んだことを会社、社会に還元させたいと思い挑戦を決意しました」

これからの未来を見据えた自らのあり方も、そうした松山の挑戦を後押しする鍵を握っています。

松山「純粋に〈みずほ〉のプライベートバンカーだけで生きていくのは、今の時代難しいと考えているんです。組織もどんどん変わっていきますしね。今の〈みずほ〉は本当にありがたいことに、副業も解禁されていて、色々なことにチャレンジできる仕組みが整っています。

そして、これから自身が40代、50代、60代となった時のことを見据えたときに、40代を前に、もう一度勉強しなおして基礎体力をつくっておきたい、プライベートバンカー+アルファを広げていきたいと、考え始めたんです。そういった自身のレベルアップがまわりまわって、お客さま、〈みずほ〉、世の中のためになるのかなと思っています」

松山の所属するウェルスマネジメント部は今まで以上にみずほグループの機能をフル活用できるよう、2021年7月より新たに組織名称をウェルスアドバイザリー部に変え、プライベートバンカーの呼称もウェルスアドバイザーへと変更になります。

しかし、組織が変わる中でも、松山のお客さま、会社、社会に貢献する考えは変わりません。

未来に向かって挑戦し続ける松山のような人材が、〈みずほ〉の未来を担っていきます。