地域の課題解決のために。部署横断で有志プロジェクトの立ち上げへ

▲「Road to 2025」プロジェクトメンバー(一部)

2019年7月。当時、関西では万博の誘致などを契機に、広域インフラ整備や再開発プロジェクトが加速していました。〈みずほ〉では『次世代金融への転換』を掲げた中期経営計画がスタート。みずほ銀行大阪営業第二部の山田 大輔は「次世代金融とは何か」を考える日々を送っていました。

山田 「SDGsやサステナビリティが浸透し、金融機関にも社会全体に対する目線が今まで以上に求められていると感じていました。今後、関西では幾つもの大型イベントが予定されていますが、これらは〈みずほ〉にとってビジネスチャンスであるとともに、社会とのつながりを見つめ直す絶好の機会になる。お客さまを含む地域社会の課題解決に貢献しつつ、金融機関としてのビジネスを創出する新たなモデルを構築できるのではと考えたのです」 

山田は関西の部拠点に声を掛け、有志のプロジェクト「Road to 2025」を立ち上げました。大阪・関西万博が開催される2025年をターゲットに、地域と〈みずほ〉にとっての新しい道を切り開く取り組みです。 

みずほ銀行大阪営業第二部で山田とともにプロジェクト推進を担う遠山 敬は「Road to 2025」の目標を次のように説明します。

遠山 「地域が抱える様々な課題を起点としてビジネスニーズを発掘・創出し、社会や産業の構造変化に対応した『お客さまの戦略的パートナー』となることを目指しています」

山田も遠山もプロジェクトの専任になったわけではありません。通常業務だけでも多忙な二人が、なぜ新たな取り組みを始めようと思ったのでしょうか。 

山田 「もともと学生時代から、まちづくりや地方創生に携わりたいと思っていました。業務で自治体を担当したこともあり、地域課題を身近に感じていたことも関係しています。ただ、一番の要因は、職場がずっと関西だということ。僕は運命論者なので、この地で何かを成し遂げろという天啓だと考えました(笑)」

遠山 「私は前任から引き継いでプロジェクトに参画したので、自分の意思だけではありませんでしたが、当時、仕事のやり方に限界を感じていたのは事実です。金融プロダクトに精通してお客さまに適時適切なご提案をする。今後もその重要性は変わらないと思いますが、一人のビジネスパーソンとして特色を出すため、〈みずほ〉として他社と差別化するためには、新しいことにも挑戦すべきと考えました」

熱意と専門性のシェア。広がるネットワーク

▲みずほ銀行大阪営業第二部の山田 大輔

「Road to 2025」は、3つのワーキンググループ(WG)を設置して活動しています。大阪・関西万博が開かれる夢洲を舞台に、スマートシティなど都市の魅力向上につながる案件を追う「夢洲・まちづくりWG」。産官学民の様々なプレイヤーとの共創による新産業創出を目指す「産業・イノベーションWG」。新たな観光の在り方と関連ビジネスを探求する「観光・インバウンドWG」。

WGの取り組みの中にはコロナ禍で方向転換を余儀なくされたものもあり、現在は食品ロスや廃プラスチックなど、SDGs起点の課題解決型ビジネスの検討、小規模農家の流通サポートなど地域特有の課題に向き合うプロジェクトも推進しています。

山田は従来の取り組みとの違いを次のように強調します。 

山田 「我々は今まで自分が担当するお客さまに対して何ができるかということを考えてきました。『Road to 2025』では、より広く、社会に対して〈みずほ〉ができることを考え、そこにお客さまを巻き込んでいくというアプローチを採っています」 

従来とは異なるアプローチには、従来とは異なる難しさが付きまといます。

遠山 「2025年をターゲットとしたプロジェクトですから、短期的に収益化が見込まれる案件ばかりではありません。頭では未来への種蒔きが必要だと理解できても、目の前に迫るタスクを優先してしまうのは人の性だと思いますので、正直に言って、社内理解・協力を得ることに難しさを感じることは多々あります。長期案件は進捗が見えにくいこともあり、メンバー自身のモチベーション維持も重要な課題でした」

山田 「部内にプロジェクトを統括する『MIRAIデスク』を設置して、できる限りプロジェクトの全体像や進捗状況の見える化を行っています。さらに、メンバーの情報収集や提案をサポートする体制を構築しました。『Road to 2025』を通じて獲得した知見を集約し、お客さまへの提案方法などとともに『MIRAI通信』としてまとめ、積極的に社内発信を行っています」

二人の奮闘もあり、「Road to 2025」は案件のアイデアを着実に積み重ね、支援者の輪を広げていきました。設立当時のメンバーのうち、6人が人事異動で転出しましたが、異動後も地域貢献への熱量を保持し、サポーターとして関与を続けています。さらに、転入メンバーの新たな視点が加わって、取り組みは加速。社外メンバーが30社37人になるなど、ネットワークは地域を巻き込んで拡大しています。

全国の“志士”たちをつなげる。全国規模のタスクフォース結成

▲毎週金曜日のネットワーキングタスクフォースの定例会。コロナ前よりオンラインで開催

活動を続ける中で、二人は自身の変化を感じているといいます。

山田 「『Road to 2025』の取り組みを通じて、様々なトピックスに対するアンテナが高くなった気がします。日々、たくさんの人とつながることで情報の幅が広がっており、お客さまへの提案の幅にもつながってきました」

遠山 「今までの働き方ではおそらく出会うことのなかった人たちと会話する機会が増えました。多様な業界の先進的なアイデアに触れることは非常に刺激的で、自分自身のモチベーションアップになっています」

折しも〈みずほ〉では、「次世代金融への転換」を目指す全社プロジェクト「次世代金融推進プロジェクト」の一環として、事業アイデアの社員公募プログラムが始まっていました。プログラムに参加した山田たちは、そこで、自分たちと同じく、まちづくりや地域課題解決に本気で取り組む仲間が全国各地にいることを知ったのです。

山田 「『Road to 2025』を始めたとき、こういうことをやりたいのは自分だけではないかと考えていました。ところが、『次世代金融推進プロジェクト』で同じような人がたくさんいると知り、とてもうれしくなりました。僕は彼らを“志士”と呼んでいるのですが、“志士”たちと出会えたからこそ、どんなに忙しくても頑張ろうと思えています」

山田たちは「次世代金融推進プロジェクト」の応募者たちとすぐにコンタクトを取り、活動を全国に広げるべく、「ネットワーキングタスクフォース」を結成しました。

「Road to 2025」と同様に有志が集まったタスクフォースでは、職務の違い、職位の違い、グループ内での所属会社の違いを超えて、どこまでもフラットに様々な案件が議論されています。

山田と遠山はコアメンバーとしてタスクフォースを牽引し、積極的に関西で得た知見の共有に努めるとともに、自らの行動に生かそうと貪欲に他のメンバーのノウハウを吸収しています。

二人の熱量は全国に共有され、現在、タスクフォースの参加者は50人を超える規模にまで成長しています。

〈みずほ〉の「次世代」、二人の「次世代」とは

▲大阪営業第二部の遠山 敬

順調にネットワークを拡大・進化させてきた二人ですが、今後の課題は案件の具体化と口をそろえます。

遠山 「やはり具体的なビジネスを生み出すことが課題です。案件を着実に前に進めて〈みずほ〉の取り組みをもっと大勢の人に知ってもらいたい。いずれは、社外から『『Road to 2025』をやっている〈みずほ〉だから一緒にビジネスをしたい』と言っていただけるようになりたいです」

山田 「関与いただいている大勢の人たちのためにも、形にしなければという気持ちは強いです。ただ、『ネットワーキングタスクフォース』で僕が感じているように、『山田たちも頑張っているから、自分もちょっと頑張ってみようかな』と、誰かが一歩を踏み出す後押しができればうれしいです」

そんな二人が思い描く、〈みずほ〉の「次世代」、さらには自らの「次世代」とは──。

遠山 「〈みずほ〉の『次世代』に一つの決まった形はないのかもしれません。この活動を通じて他者との共創に大きな可能性を感じましたが、〈みずほ〉はそうした可能性を最大限に引き出すフィールドのようなもの。様々なプレイヤーの挑戦を成功させるパートナーとして、まずはお客さまにとっての一番になることを目指します。また、私の原動力は『色々なことを知りたい』ということ。新しい世界を見て、地域社会、お客さま、そして〈みずほ〉の『次世代』を支えていけたらと願っています」

山田 「従来の金融機関とは一線を画す存在になっていきたいですね。『社会課題の解決といえば〈みずほ〉』というように、金融の枠を超えた位置付けになることが『次世代』の一つの在り方だと思います。僕は山口県の下関出身ですが、〈みずほ〉でまちづくりや地方創生に取り組んで培ったノウハウやネットワークを生かして、最終的には自分の生まれ育った街に貢献したいと考えています」

「Road to 2025」には、「みずほムーンショットプロジェクト」というサブタイトルが付けられています。ムーンショットとは、困難だが、実現すれば大きなインパクトをもたらす壮大な挑戦のこと。

実現が不可能と思えるようなことも、恐れず挑戦しようというメンバーの思いが込められています。笑顔で熱く未来を語る二人を見ると、その不可能が可能になる日は案外近いのかもしれません。