誰しもがD&Iの担い手。決して無関心ではいられない

▲2019年に初めて開催したM-DIMの様子

組織や社会で使われるダイバーシティという言葉にはどんな意味が含まれているでしょうか。

女性活躍、人種問題、LGBT……。

いずれも正しい回答かもしれません。

しかし、「正解が存在する世界でもなく、積極的に関わろうとする人だけのものでもない」とダイバーシティ・インクルージョン推進室(以下、D&I推進室)、M-DIMプロジェクト担当の原島 渚は言います。

原島「同じ組織に所属していても、バックグラウンドや歩んできた道は一人ひとり全く異なるもの。価値観も当然違うわけで、その異なる価値観が触れ合う時点でそこには多様性(ダイバーシティ)が存在します」

日々の仕事や何気ないコミュニケーションにも結びつきの深いD&I。

同じくD&I推進室、M-DIMプロジェクト担当の藤木 綾子は、〈みずほ〉を取り巻く環境の変化からD&Iの重要性を語ります。

藤木「金融業界を取り巻く外部環境は激変のさなかにあります。〈みずほ〉では、「次世代金融への転換」を5カ年経営計画として掲げました。コロナ禍の影響もあり、今までと同じ姿勢で同じ取り組みを続けていては、〈みずほ〉は生き残っていけなくなる。 

私たちは、従来の常識や概念に囚われることなく、もっと広く多様な業種とのつながりを育んだり、情報を取り込んだりしていかないといけません。D&Iは、5カ年経営計画が定める行動軸である「オープン&コネクト」「熱意と専門性」とも深く関わる部分だと考えています」

多様な社員を受け入れる「ダイバーシティ」だけではなく、多様な社員の個性が最大限に発揮される「インクルージョン」まで実現していくには、新たな体験・体感をきっかけに、日々の行動を変えてもらうことが大切です。

変化の時代だからこそ、社員が多様な知識を吸収し、多様な人とつながり、多様な意見を発信し議論することで、新しい価値創造につなげていかなければならない。その行動変革のきっかけをつくり、グループ全社員で集中的に実施することを目的に、2019年11月に初めて「M-DIM」を開催しました。

藤木「2019年は初めての試みだっただけに、手探りでの実施でした。特に、グループCEOと社員の双方向コミュニケーションに初めて挑戦したオープニングイベントでは、参加した約5,000人の社員からリアルタイムで意見を募ったのですが、これは新たなことに挑戦する『M-DIM』の象徴的なイベントになったと思います。

企画から開催まで、とにかく試行錯誤の連続でしたし、もっとうまくできたんじゃないかと悔やむ部分もありましたが、手ごたえは大きかった。D&I室がこれまで主催したイベントでは出てこなかった社員のリアルな声が上がってきたことや、事後アンケートでこうした新たな取り組みに挑戦したこと自体を評価してもらえたことが、ものすごくうれしかったですね」

反省点もたくさんあったと振り返りますが、それも改善のヒントとして取り込みながら、「M-DIM2020」はさらに工夫と進化を遂げています。

完全オンライン化で全社員を巻き込み、変化を加速へ

「M-DIM」は、社員に対し会社として変革の本気を見せるターニングポイントになりました。

原島「2019年の『M-DIM』では私は参加者側の立場でしたが、正直に言って、すごく興奮しました。『〈みずほ〉は本当に変わるのかもしれない』『本気で新しいことをしようとしているんだ』と、きっと大半の参加者の感じたところだったのではないかと思います。

例えばグループCEOセッションのように、全国5,000人の社員が生の声を発信してお互いの思いを知る機会というのは、これまでにない取り組みだったと思います。会社が新たなことに挑戦している姿勢が見えたことは、一社員として大きな刺激になりました」

2年目を迎えた「M-DIM」は、コロナ禍という未曽有の危機に直面しました。しかし、突然もたらされた制約の中、彼女たちは何ができるだろうと必死に考えたといいます。

藤木「オフラインとなると、どうしても本部ビルがある東京近郊で開催するイベントが多くなりがちです。昨年の反省でもありますが、物理的に参加できる社員が限られてしまったんです。

ところが、コロナ禍の影響で大規模なオフラインイベントは開催が難しくなりました。当初はどうしたものかと不安でしたが、逆に、オンライン化するメリットもあると気づいたんです。物理的な距離が参加の阻害要因ではなくなり、海外ともリアルタイムでつながれる。コロナで分断された世界中の社員もつながることができる、と」

昨年は世界の各拠点でのイベントは地域ごとにクローズドで行なわれていましたが、オンライン化によって全地域にオープンになりました。新型コロナウイルスの感染拡大で世界が同じ困難に直面している中で、M-DIMを通じて〈みずほ〉の社員同士をつなげたいという思いに国外の拠点も賛同してくれたのです。

2020年の「M-DIM」では、新たな手法を取り入れ、全世界を巻き込みながらD&Iの浸透と行動につなげるイベントが満載です。坂井グループCEOと社員の対話セッションを始め、著名な社外スピーカーによる基調講演や、各部室店が主催する次世代金融・デジタル関連のイベント、社員リソースグループ(ERG)による企画など、1カ月を通して、国内外で合わせて40件を超える多様なイベントが開催されます。

M-DIMで「コミュニケーションを力に」自発的な行動につなげる

▲M-DIM2020の運営を行うグローバルキャリア戦略部D&I推進室のメンバー

2020年のM-DIMのテーマは「コミュニケーションを力に」です。

当たり前で平凡な言葉に聞こえるかもしれません。 

でもあえてストレートに打ち出すからこそ意味があるとD&I推進室で考えて決めました。

原島「手垢のついたフレーズだとは重々承知しています。金融を取り巻く環境、お客さまのニーズは大きく変化しています。さらにコロナで不確実性の高まる世界で、これまで当たり前だった考え方や、過去の成功事例が通用しない局面も増えてきました。 

今だからこそ、コミュニケーションを通じて周囲の意見、自分の“当たり前”とは異なる意見も尊重し、自由闊達に議論し、変化への行動に結びつける必要があるのだと考えています」

「M-DIM」は、コミュニケーションを促し、多様な人材の多様な考えを掛け合わせることでイノベーションへの一歩を踏み出すきっかけの場。

藤木「コロナの影響で、直接顔を合わせる機会が減りました。お客さまや同僚とこれまでと同じつながり方ができないもどかしさを、私たちはこの数か月間ずっと感じています。コミュニケーションの機会が減った分、コミュニケーションの本質の重要性が更に高まっていると感じます。 

良質なコミュニケーションを力にして、自分は明日から何ができるのか。それを、1カ月かけて体感し、社員一人ひとりが考え、自分なりのビジョンを描く。M-DIMをそういう機会にしたいんです」

2回目となるM-DIM初日のオープニングイベント、グループCEOセッションでは、自ら手を挙げた社員とグループCEOが直接対話します。

原島「社内公募を元に9人を選出しました。グループCEOとの直接対話ということで、どれだけ応募者がいるのだろうと一抹の不安がありましたが、新入社員から部長クラス、海外の社員まで、幅広い層の社員がエントリーしてくれました」 

藤木「今回は『グループCEOと社員がしっかりと向き合って対話する』ということを重視しています。また、登壇社員の属性や年齢をばらつかせることで、視聴者が自分と近い価値観やキャリアの社員に自分を投影させながら、共感と親和性を持って参加できるようにすることにこだわっています」

「#自分をアップデートしよう」というテーマを掲げ、「インプット」に注力した2019年のM-DIM。2020年は「アウトプット」「コネクト」の意識を散りばめています。

藤木 「今回はイベント企画の公募も行いました。各部や営業店からの持ち込み企画が多く、イベントの種類も数も豊富になりました。イベントに参加“してもらう”のではなく、主体的に“伝えたい、自ら企画したい”という思いのもと、多様な発信が行われる。あらゆる意味でトライの場として『M-DIM』が進化しているのを感じます」 

異なる価値観を尊重し、自由闊達に議論し、行動に移す。それが、全社を巻き込み、変革を遂げる力になる。

M-DIMを通して、D&Iが起こす波が確かにみずほFG全体へ広がる兆しが見え始めています。

D&Iの実現が描く〈みずほ〉の未来

▲ダイバーシティ・インクルージョン室の原島 渚(左)、藤木 綾子(右)

D&Iの重要性は多くの方が理解している。でも日々の業務と比べて、すぐに会社がどうにかなるというものではありません。

藤木「〈みずほ〉では、外部環境の変化への対応に加え、次世代店舗への変革や新しい働き方への変換など、自らの存在意義を問いかけながら根本的な構造改革に本気で取り組んでいます。D&Iの推進というのは、効果がすぐに現れるわけではなく、浸透しにくいものです。

でも、D&Iに取り組んでいかなければいつか致命傷になる。今までの価値観や同質的なものの見方では、多様化するお客さまのニーズに対応していけません。今いる場所から一歩踏み出せば、新しい世界が見えるかもしれないという前向きな姿勢で、多くの社員にM-DIMに参加してほしいと思っています」 

普段の目の前の業務をやっていると世界が閉じがちになりやすい。

だからこそ、社員から寄せられた思いを受け止め、かたちにしていくことも、D&I推進室の担う重要な役割です。 

原島「2020年6月、従業員向けにコロナ禍を踏まえたコミュニケーションや働き方に関する意識調査が実施されたのですが、そこに寄せられた1万件を超える社員のコメントすべてを読みました。批判や不満の声も少なからずあったものの、それも『〈みずほ〉としてこうなりたい』との思いがあるからこそ。愛着や信頼の裏返しだと受け取りました。

グループCEOセッションも、こうした社員一人ひとりの声がちゃんと経営に届いている実感を持てる場としています。寄せられた声を受け止め、きちんと返す。もし、今はできないなら『今はできない』と答える。受け止め、返すというコミュニケーションの基本を真摯に実践していくことも『M-DIM』では大切にしたいと思っています」

一つ一つは小さくとも、自発的に行動したコミュニケーションの先に、D&Iの実現と〈みずほ〉が描く理想の未来がある。

今、それがすべてだと思っている世界や常識、現実の枠組みから飛び出して、全く新しい可能性に出会うチャンスを、「M-DIM」で見つけてほしい。

いつか、この新しい事業や商品が生まれたのは「M-DIM」で知り合った人、「M-DIM」で交わした意見がきっかけだったという未来が訪れたら最高です、と語る二人。

無限の可能性を生み、育む挑戦のプラットフォームとして、2020年「M-DIM」の幕が今、上がります。