経営と現場の間で事業を見つめる、業務監査部にやってきた二人

▲同時期に業務監査部に異動した蒲澤(左)と小川(右)

2019年秋、みずほフィナンシャルグループの業務監査部に二人の女性が着任しました。

一人は、みずほ銀行の国内支店でローン営業を専門に経験を積んできた小川 聡子。

もう一人は同じくみずほ銀行の国内支店でお客さまサービス課の管理主任を務めていた蒲澤 真由美です。

二人とも、特定分野のスペシャリストを目指す特定職として10年以上の間、銀行窓口でお客さまと接する第一線に立って働いてきました。

そう、二人は支店から本部へキャリアチェンジし、新たなチャレンジとして業務監査部に異動してきたのです。

小川「現在、私は市場・流動性リスク監査チームで、金融規制・制度に関する情報の収集と発信を主に担当しています。国内外の関連情報にアンテナを高く張り、部内に展開する役割です。

海外の情報もカバー領域に含まれるので、様々なウェブサイトの情報や記事にも目を通さなければなりません。外国語はAI自動翻訳ツールを活用しながら、AIと一緒に私も学習する日々を送っています」

同じ業務監査部ですが、一方で蒲澤は全く異なる種類の業務に携わっています。

蒲澤「私が所属しているのは、営業部店監査チームです。営業部店の業務の経常モニタリングと臨店監査を行っています。営業部店との面談では支店時代の経験を生かして、経営が知りたいことや、現場の社員が経営に伝えたいことをヒアリングしています。

『現場と経営をつなぐ架け橋となれるように』という思いを持って、日々業務に取り組んでいます。」

業務監査部は、内部監査業務を通じて各業務や会社全体がより良くなるよう、執行部門の内部統制の構築を支援・助言する部署。経営と現場から独立したところに立ち、客観的に全体を見るポジションです。

社会の重要なインフラとしての銀行だからこそ、考え得るリスクをしっかりと見定め、評価し、経営に生かす。中立的な目線で経営と現場を見つめる独立した存在があるからこそ、社会から信頼される存在としてみずほフィナンシャルグループが事業を展開できるのです。

それにしても、現場の第一線にいた二人にとって、業務監査部の仕事は近しいものではなかったはずです。

彼女たちの選択、そして行動の背景には、どんなストーリーがあったのでしょうか?

変化の渦の中、自分と仕事と会社を見つめた先にあった挑戦の決断

▲支店勤務の最終日、お客さまサービス課のメンバーに囲まれる蒲澤(後列・中央)

蒲澤は、社会に貢献できる仕事として銀行に就職したいと考えていました。

蒲澤「みずほ銀行を選んだのは、率直に言って直感でした。就職活動を始めたとき、ぴったりのタイミングで募集を見つけたんです。これはご縁があるんだという気持ちもあり、そのまま選考にエントリーし、入社することができました。

入社後はいくつかの支店や出張所を経験しつつも、一貫して預金業務に携わってきました。子どもを授かって2回産休・育休を取得し、復職後に自分のキャリアを考える中で、マネジメントを目指す特定職エキスパートという社内制度に挑戦。無事に合格し、異動する直前の支店ではお客さまサービス課の管理主任を務めていました」

一方の小川も、「銀行は身近な、社会に役立つ仕事だと思って選んだ」と振り返ります。

小川「私は営業コースで入社して以来、同じ支店でローンの提案営業を担当してきました。社会情勢の変化により、ローン業務の専門セクションが立ち上げられたり、ローンに加えて資産運用提案もミッションに加わるようになったりと会社の方針変化を何度か経験してきましたが、私自身はローンを提案し、しっかり案件を仕上げるという仕事がとても好きで、誇りを持って日々取り組んでいました。

例えば、住宅購入の際に多くの方はローンを利用されます。そこにはお一人お一人に異なる事情や思いがあり、中にはスムーズにローンをご利用いただけないケースも少なくありません。そんなときに、自分が工夫を凝らすことでお役に立てるなら……。お客さまに寄り添い、思いを形にするお手伝いができるやりがいは大きかったです」

それぞれがそれぞれの場所で、仕事で、やりがいを感じながら働いていた二人でしたが、一方で社会環境の変化と今後の会社の方向性と自分自身の間に、ギャップも感じるようになっていきました。

現在、銀行業界ではテクノロジーの進化に合わせて店舗の在り方も変化しています。〈みずほ〉では、デジタル技術を活用し、口座開設や日々の決済などはタブレットで完結するデジタルサービスと、銀行・信託・証券一体によるお客さま一人ひとりの様々なニーズに対応する対面コンサルティングを提供する次世代店舗へと変革が進んでいます。そこで働くメンバーの役割や業務にも大きな変化が訪れています。

小川「提案した内容に責任を持ち、保証会社と交渉しながらローン案件を成立させるという仕事が好きだったからこそ、テクノロジーの進化などによる役割期待の変化に、少しずつモチベーションが下がっていってしまったことは否めません。もちろん、ローンの仕事に携わり続けていくという選択肢もありましたが、必ずしも自分の求める働き方ではなくなってしまったというか」

仕事と子育てを両立する蒲澤も、自らのキャリア形成と求められる仕事や役割の間を埋めるための“何か”を、模索し始めていました。

蒲澤「新卒で入社し、産休・育休取得後も働き続けているので、心情としては『自分は〈みずほ〉に育ててもらった』『ずっと〈みずほ〉で働いていきたい』と思っていました。

その一方で、店舗運営の姿勢や方法はどんどん変化し続けていく。もしかすると、いずれ自分の今の業務や役割はなくなるかもしれないと思うのは、正直不安でした。だったら他に、自分が会社に役立てることはないか、と考えるようになったんです」

そんな二人の前に現れた可能性こそ、「本部ジョブ公募制度」でした。

自らの可能性を信じれば、どんな場所でも、どんな仕事でも挑戦できる

▲新しい職場でも持ち前の笑顔を絶やさない小川

みずほフィナンシャルグループでは、自律的な人材の育成やグループ内の人材交流を活性化するために、会社の枠を超えて、グループ各社から毎年200以上の部署が社内人材の公募を定期的に行う「ジョブ公募制度」があります。社員は公募に手を挙げることで、希望部署へ異動し、やりたい仕事や新たなフィールドに挑戦することができるのです。

ジョブ公募の一つである「本部ジョブ公募制度」は、次世代店舗化が進む支店の業務に長年従事してきた社員にも、まったく馴染みのない本部コーポレート部門の仕事に挑戦してほしいとの会社の思いの詰まった特定職のための公募制度です。

「実を言うと、本部の業務については何も知らなかった」と、小川は言います。決断の理由は、「新しいチャレンジができる場所だったから」。

小川「むしろ、何も知らないからこそ飛び込みたいと思いました。私は、ローンの提案営業のときから変わらず、物事を考えて組み立てながら進めていく仕事に魅力を感じています。具体的な業務内容より、自分らしくいられる働き方を模索し続けてきました」

銀行は、組織や業務が細分化し、独立性の高い業種です。それは、地域社会やお客さまと真摯に向き合うという特性も関係しているでしょう。

自分の働いている場所だけが世界のすべてではない。

もっと視野を広げ、未知なる領域に挑もうとする心が、小川を後押ししたのです。

ワーキングマザーの蒲澤は、決断の際に現実的な課題をクリアすることを迫られていました。

蒲澤「実は、子どものお弁当という問題があって(笑)言葉にするとおかしな感じですけど、本部勤務になると通勤時間の都合上、中学生になる娘のお弁当を準備するのが物理的に難しかったんですよね。これはかなり悩みに悩みました。

でも、母親が自分のお弁当のためにキャリアをあきらめたら娘はどう思うだろう?って。それで、別に母親がお弁当をつくらないといけない理由はない。できそうなことは子供本人にさせてみよう、と発想を転換したんです。

実は、本部ジョブ公募に合格したことを家族に伝えたとき、一番喜んでくれたのはその娘でした。『お母さんすごいね、私も頑張ろう』と言ってくれて。やっぱりすごくうれしかったですね」

この経験から、蒲澤自身がある固定概念に縛られていたことに気づきます。

蒲澤「ごはんをつくる、掃除する、洗濯する。それは“お母さんがやって当たり前”と思うことが、仕事を持つ身としてすごく大きなプレッシャーになっていたんだな、と。

例えば娘が社会に出て、仕事と家庭や子育てを両立することになったとき、同じような思いを抱えてほしくない、と思いました。負のプレッシャーはいらないし、断ち切りたい。今回の公募は、期せずして自分自身の働き方や考え方を根底から見直すきっかけにもなりました」

不安や葛藤を抱えながらも、乗り越えて挑戦する道を選んだ小川と蒲澤。

「本部ジョブ公募制度」によって、彼女たちの望む可能性、新たな仕事という実体を得たのでした。

新たなフィールドで成長し、〈みずほ〉に貢献し続けていく

▲職場がある小舟町は、みずほ銀行のルーツの1つである安田善次郎が両替商を開いた歴史ある町

異なるキャリアを歩み、異なる立場にある小川と蒲澤ですが、二人には“お客さまを見つめ、接してきた”という共通点があります。

現場と経営の間で客観的な立場を保持する業務監査部に移ったからこそ、現場を知っていることが大切にすべき視点になるはずだと、二人は感じています。

蒲澤「施策の中の表現一つをとっても、支店の現場ではどう感じるだろう?お客さまだったらどんな反応をするだろう?と考える自分がいるんです。でも、それはある種の本音やリアルな声でもあり、支店経験が長い自分だからこそ発信すべき情報だと感じています」

小川「今まで大勢の上司や先輩方に多くのことを教えていただいてきましたが、同時にみずほ銀行を信頼し、ご利用くださるお客さまに育てていただいた、という思いが強くあります。だからこそ、部署や業務が変わっても、お客さまを見つめ、想う心は変わらず大切にしていきたいですね」

「本部ジョブ公募制度」は、二人にどんな思いをもたらしたのでしょう?

小川「大げさではなく、ここには新しい世界があった、と感じています。〈みずほ〉のように、大きな組織で働いているからこその経験でもあり、本当に貴重な機会だと自信を持って言えます。

人によって多様な働き方や価値観がありますが、新しい世界を知ることの価値は非常に大きいはずです。業務に取り組む上でも、自身のキャリアを考えていく上でも、支店・本部どちらも経験することで、考えに幅を持たせ、自分の世界に広がりをもたらすことができると確信しています。

私も、本部での仕事を経験した上で、今後どのような働き方をしていきたいのか。自分自身と真摯に向き合い成長し、これまで以上に組織貢献していくためにも、業務監査部でしっかり頑張っていきたいと思います」

蒲澤も、自らの経験に照らし合わせながら「恐れず挑戦することが大事」と言います。

蒲澤「新しい部署で新しい業務に挑戦するのって、すごく勇気がいること。でも、着任先の部署では、そういった不安も含めてきちんとサポートしてくれる体制が整っています。

私も、公募に合格してから基礎的なパソコンスキル研修などを受け、配属後もきっちりとレクチャーを受ける機会がありました。もし、不安が理由で公募への足踏みしている方が社内にいたら、大丈夫だよと言ってあげたいです。

先のことはわかりません。でも、これからも〈みずほ〉で働きながら、貢献していきたい気持ちは変わらない。今、自分の立っている場所で可能性を模索しながら、進み続けていきたいです」

挑戦への一歩を踏み出した二人。

その先の道を拓くのも自分自身なのだという矜持は、揺らがぬ道しるべとして行く先を照らし続けていくでしょう。