社長補佐の業務に垣根なし。あらゆる課題を解決し、プロジェクトを前進させる
2017年にビジネスコンサルティング室(以下、ビジコン室)にジョインした岡林。さまざまなグループ企業の経営改善業務プロジェクトへの参画を経て、2022年6月現在は、グループ会社である物産フードサイエンスに出向しています。
岡林 「物産フードサイエンスは、糖アルコールの国内トップシェアのメーカーです。糖アルコールといわれても、あまりピンとこないかもしれませんが、砂糖や水飴と同じ糖質の仲間で、お菓子や飲料などの食料品のほか、化粧品、医薬品などにも使用されており、実は私たちの生活に根付いているものです。
物産フードサイエンスでのミッションは、社長補佐として、経営や事業戦略に携わりながら、収益性を向上させること。また、企業の体質や組織文化をより良いものにして、企業としての価値をより一層高めることも目指しています」
社長補佐という役職から連想される通り、幅広い仕事を手がけている岡林。
岡林 「社長や経営陣、または会社が困っていることをなんでも引き受けています。どの部門にも所属していないため、生産から営業まで、幅広い領域をサポートするのが仕事です。また、部門間でコンフリクトが発生して、なかなか物事が進まないときには、仲介役となって課題解決へと導くことも期待されています」
さまざまな部門の異なる意見を持つ人を巻き込みながら、組織を良い方向に導いていくために、岡林が何より大事にしているのが、信頼関係の構築です。
岡林 「信頼関係は、何をするにもベースとして必要だと思っています。とくに、私のような出向という立場の人間は、『あの人は誰?何をしに来たの?』という目で見られがちです。だからこそ、信頼関係をきちんと培いながら物事を前に進めていくことを意識しています」
出向によって企業経営に携われるチャンスがあることが、三井物産への転職の決め手に
岡林にとって最初の就職先となったのは、銀行でした。
岡林 「入行して最初の1年は支店配属で銀行業務全般を学び、その後、システム部門に異動になりました。若手のわりにいろいろな案件に携わらせていただき、満足はしていたのですが、どうしても大きな組織の歯車のひとつという感が拭えず、5年後や10年後、いったい自分はどんな実力を身につけられるのだろうかと悶々とするようになりました。
次第に将来、会社に縛られずに新しいことにチャレンジできるようになっていたい、そのために個人の実力をもっと高めたいという想いが高まり、転職を考えるようになりました」
転職先に選んだのは、外資系の大手コンサルティングファームでした。選考のプロセスで先輩社員の話を聞けば聞くほど、「こういう人たちと働きたい」「こういう仕事をやってみたい」という想いが強くなっていったといいます。
入社後は、アソシエイトのポジションからスタート。最初はデータ分析や資料作りなどを中心に取り組みながら徐々に仕事のやり方を学び、コンサルタントとして経験を積んでいきました。
岡林 「入社してまず思ったのが、仕事の進めやすさ。銀行時代は、何をするにしても、直属の上司、次にその上といった形で1人ずつ承認を得ないと物事が進んでいかないことに、もどかしさを感じていました。一方、コンサルティングファームには、プロジェクトのマネージャーに限らず、その上のパートナーともカジュアルに議論したり、全員が集まって一気に合意形成を図れる環境がありました。仕事は大変でしたが、楽しいと感じることが多かったですね。
入社3年目に大企業のターンアラウンドプロジェクトを支援する機会がありました。1年半に渡ってプロジェクトに携わる中で、会社がどんどん良い方向に変わっていく様子を間近で見ることができたんです。コンサルタントとして良い経験になりましたし、仕事に大きなやりがいを感じるようになりました」
その後、マネージャーに昇格するなど、順調にキャリアアップを果たした岡林。そのまま会社にとどまって上のポジションを目指すことも考えましたが、コンサルティングファームで培ったスキルを新たなフィールドで発揮していくことを選びます。
岡林 「マネージャーになった後、このままコンサルタントとして上を目指すのではなく、『一度外の世界を見てみたい』『より事業の当事者に近いところで仕事をしてみたい』という気持ちになったんです。
三井物産を選んだ理由は、海外に行けるチャンスが多いことに加えて、出向を通じて実際の企業経営にかなり近いところで仕事ができる機会があったこと。
コンサルタントは第三者的な立ち位置で経営に関わるのが一般的なので、もっと深く踏み込んで、事業側の人間として仕事ができるチャンスがあるのは魅力的でした」
入社当時、コンサルティングファーム出身者が全体の7〜8割を占めていたビジコン室は、岡林にとって培ったスキルを発揮しやすい環境でした。ただ、仕事の進め方が前職と大きく違ったことで、視野がさらに広がったといいます。
岡林 「コンサルティングファーム時代は、プロジェクトを発注してくれたオーナーに寄り添って、その期待に応えるかたちで仕事を進めてきました。一方、三井物産のビジコン室では、グループ会社の経営陣に加え、株主である三井物産の主管部署などさまざまなステークホルダーが存在し、各自の立場・意見を踏まえながら最適解を考えたり、周りを巻き込みながら変革を進めていかなければなりません。
コンサルティングファームにはない難しさがある反面、うまく回り始めると、想像以上にスピーディーでダイナミックな企業変革を起こせることもあると知りました」
また、コンサルタント時代はクライアントからの発注を受けて仕事をしていたため、プロジェクト期間の終了と共に、その後のクライアントの様子を追えなくなるのが普通。しかし、三井物産に転職してからは、そうしたもどかしさを感じなくなったといいます。
岡林 「フィーが発生しないため、フォローアップや事後の提案がしやすいんです。『その後どうなっていますか』『もう少しお手伝いするので、引き続き一緒にやっていきませんか』と気軽にお声がけさせてもらっています。長期的に寄り添って、コンサルティングファーム時代にフォローできなかった部分までやり切れる点も、三井物産のビジコン室で働く魅力ですね」
“第三者”ではない出向者。自身が主導してプランをやり切れるおもしろさも
入社以来、ビジコン室のメンバーとして、さまざまなグループ企業の再建や企業価値向上に携わってきた岡林。中でも印象的だったのが、入社してまもなく加わったあるグループ会社のプロジェクトでした。
岡林 「もともとは上場企業だった当社出資先の業績が悪化してしまい、それに伴って非上場化をした上で経営を立て直すというプロジェクトでした。
1年超の期間、会社のボトルネックの洗い出しやそれに対する打ち手の検討・推進をお手伝いさせていただきました。取り組みが進むにつれ、社内の雰囲気が徐々に良くなっていって、最終的に目標以上の業績を達成することもできたので、とても印象に残っています。
経営改善に携わる以上、売上の伸長や利益の増加などいわゆる定量面での貢献を図ることが最重要ミッションです。でも、働く社員の方の姿勢が良いほうへと変わっていくなど、定性的な変化を感じたときにも、大きなやりがいを感じますね」
2021年からは、物産フードサイエンスに社長補佐として出向している岡林。ビジコン室時代に、プロジェクトベースで経営改善を支援していたことがきっかけで声がかかりました。
岡林 「支援を進める中で、企業価値をさらに高め、業績を上げていくためには、人材を差し入れて内側から改革を行う必要があるということになったんです。『出向して本格的に企業経営に携わりたい』というのが、そもそも三井物産への入社理由でもあったので、声をかけてもらったときはうれしかったですね。
社長補佐は、企業内の困りごとや課題を見つけては解決していくのが仕事。これまでのコンサルティングワークで培ったスキルを存分に発揮できていると感じます」
支援するだけでなく、自らが舵取り役となれる点に、従来の仕事との大きな違いがあると話す岡林。
岡林 「コンサルタント時代やビジコン室では、解決策を提示するものの、実際にプランを実行してやり切るプロセスは、どうしても支援先の社員の方に頼らざるをえませんでした。ところが、今は社長補佐として会社の内部に入っているので、やろうと思えば自分が実行役を担えますし、現場のメンバーを巻き込みながら、取りまとめ役としてアクションを主導することもできます。責任を負って最後までやり切れることは、出向の大きなメリットだと感じています」
内側にいるからこそできることを。本当の意味で会社をより良くしていくために
実行部隊を担い、主体的に行動を起こすことで内側から変革を起こせる立場に身を置く岡林。ビジコン室として支援していたときと出向している今とでは、見える景色がまったく違い、社員とまさに “同じ釜の飯を食う”ような、貴重な経験ができていると話します。
岡林 「ビジコン室の立場からも多様な経営課題に取り組みましたが、内側に入り、社長補佐の立場で仕事をしていると、プロジェクト以外の経営課題やさまざまな背景なども見えてきます。例えば、『Aの取り組みより、先に根本のBの解決に取り組むべきでは?』と思ったり、やはり『組織の肝は人材育成だ』と改めて気づきがあったり、新しい発見が尽きません。
最近は、社員の方から抱いている想いや不満を率直に伺う機会も増えてきました。そうやって話してくれたことをきちんと汲み上げながら、表面上の業績だけではなく、本当の意味で会社をより良くしていきたいと思っています」
また、新たな経営・事業戦略の実現に向けて、未経験の業務にも意欲的です。
岡林 「今後は、新規事業開発やパートナー・営業先の開拓支援などに加え、より製造現場に近いところの改革に取り組む機会もあるかと思っています。そうした実業務の経験は、これまでほとんどなく、自分にとって大きなチャレンジであると同時に、貴重な成長機会に繋がると信じています」
コンサルティングファーム、ビジコン室、そして社長補佐と、立ち位置を変えながらスキルに磨きをかけ、経営業務への解像度を上げてきた岡林。当面は、社長補佐としてのミッションを着実に遂行して実績を上げ、将来的にはさまざまな会社の経営に携わっていきたいと胸を膨らませます。