事業部でそれぞれ現場を経験。自身の介在価値の向上を求め、ビジコン室へ

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2020年にビジネスコンサルティング室(以下、ビジコン室)に参画した土居と宇佐美。どちらも新卒で三井物産に入社し、それぞれ違う領域で経験を積んできました。

土居 「2005年に入社して最初に配属されたのは、船舶海洋部。国内船主向けの船舶営業を担当する部署で、商社ビジネスの基本を身につけました。2年目にプロジェクト本部に異動になり、PFI事業や関連会社への出向を経験した後、修業生としてアルゼンチンでスペイン語を2年間学びました。

帰国後は金属資源本部に配属となり、約10年に渡ってチリの銅鉱山開発事業に携わりました。その内、6年はチリの鉱山会社に出向し、建設コストやスケジュール管理、事業計画の策定や予実管理を担当していました。建設期間の終盤には、約2年間標高4000mを超える現場での勤務を経験しました」

宇佐美 「私が入社したのは、2012年。弊社の経理・財務・審査をまとめたCFO部門の中のフィナンシャル・マネジメント部に配属され、モビリティ関連事業の経理業務を担当し、その事業部の決算、投資の際のフィナンシャルプランニング、会計・税務課題の対応などに3年間携わりました。

その後、CFO部門の研修員としてブラジルへ。ポルトガル語の研修を半年間受けた後、当社が出資している穀物のトレーディング会社に1年半勤めました。

帰国後はCFO部門を離れて、モビリティ第一本部に配属となり、建設機械の販売やアフターサービスを手がける事業を担当。アメリカを中心に、南米の事業も経験しました」

期せずして、同時期にビジコン室に参画することになった土居と宇佐美。異動の理由は異なりますが、それぞれ現場で感じた課題・葛藤を抱えていたという点は共通していました。

土居 「ビジコン室には自ら志願してやってきました。きっかけは銅鉱山開発の際、外部コンサルタントと一緒に経営改善に取り組んだこと。当時、操業開始にいたったものの生産量は計画に未達で、コストは想定以上にかかるという状況が続き、抜本的な対応として外部のコンサルに入ってもらったんです。

提案だけでなく、約20名のコンサルタントが事務所や鉱山現場に常駐して約1年半にわたって経営改善を行うプロジェクトだったのですが、私はコスト削減チームに入って彼らと協働しました。その協働を通じて、鉱山に関する専門的知識がない中、コンサルタントたちが複雑に絡んだ事象を整理し、優先順位をつけて実行計画に落とし込み、その遂行を粘り強くフォローすることで具体的な成果を上げていくことに新鮮な驚きを覚えました。

同時に感じたのが、『この業務を外部に頼っていてはいけないのではないか』ということ。当社は一般的に鉱山会社とのパートナーシップを組んでさまざまな資源プロジェクトに参画していますが、本来は商社がこの機能を担い事業価値の向上に貢献すべきだと感じ、グループ会社への経営改善業務に取組むビジコン室への異動を申し出ました」

宇佐美 「私はブラジルのグループ会社に出向し、目の前の課題・業務に対して自分なりに一生懸命取り組んだ一方で、その経験を振り返ってみると、もっと良いやり方があったのではないか?と、反省することの方が多くありました。自分に力があれば、より高い成果をあげられたのではないかと、自身の能力に課題と危機感を持ったんです。その反省を活かせるようにとモビリティ事業部門でも懸命に取り組みましたが、コーポレートから事業部門に異動すると、そこにはまた別の世界が広がっていて、ここでもまた自分の力不足、視野の狭さを痛感しました。

こうした経験を経て、『このままではいけない』と、煮え切らない気持ちでいたところに、運良くビジコン室という未知の領域に挑戦する機会をもらい、『学ばせてほしい』という思いでやってきました」

全社目線で多様なメンバーとともに。それぞれが強みを発揮し、知見を共有する文化を醸成

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三井物産グループの経営改善や改革推進支援を担うビジコン室では、業界を問わず、幅広い案件を手がけるのが特徴のひとつ。事業部を経験してきたからこそ、さまざまな領域の業務に携われるおもしろさがわかる、とふたりはいいます。 

宇佐美 「事業部だと、見渡せる範囲がどうしてもその業界に限られがちですが、いろいろな分野に幅広く関われるのが、ビジコン室の魅力。たとえばグループ会社のなかには、業界が違っても、同じ産業を顧客にしている企業が少なくありません。そうやって共通項のある業界同士を結びつけられる可能性もありますし、事業部単体では考えられないようなアイデアが自然と浮かんでくるんです」

また、支援先が同グループであるため、仲間意識を持って仕事に取り組めるのもビジコン室ならではという土居。

土居 「支援先がグループ会社なので、クライアント対コンサルという主従関係がなく、仲間としてプロジェクトをともに進めていく感覚があります。事業部とも協同して経営改善に取り組むので、成功したときの喜びもそれだけ大きいですね」

宇佐美 「たとえば、私が着任以来2年以上に渡って支援している案件では、徐々に信頼関係が深まっていくのを感じています。外部コンサルの場合、期限を迎えたところでプロジェクトから離れるのが普通。ひとつの会社との関係を中長期的に追求する楽しさがあるのも、ビジコン室の特徴ですね」

ふたりのようなプロパー社員に加え、コンサルファーム出身のメンバーも多く在籍するビジコン室。日々の業務の中で、キャリア人材が培ってきた豊富な経験から学ぶことが多いといいます。

宇佐美 「コンサルファーム出身の方は、総じて言語化能力に長けている印象があります。案件ごとのコンセプトに自分なりの解釈を与え、実務的なアプローチに落とし込んでいく力があるというか。コンセプトとして抽象化し、アイデアとして具体化していくプロセスを意識しながら頭を回していくのがとても上手だなと。自分もそういう思考ができるように、勉強しているところです」

逆に、ビジコン室において、プロパー社員だからこそ発揮できるバリューについて、ふたりは次のように話します。

土居 「まずは、知見の部分。事業部で実際のビジネスをやってきているので、業界・顧客情報だけでなく社内ネットワークや『案件を前に進めるためにどう進めていくべきか』といった実務上で必要となる知見の蓄積があるのは、プロパー社員だからこそだと思います。

また、“正論”が必ずしも正解でないことを知っているのも、現場で働いていた私たちプロパー社員の強み。事業部時代、外部コンサルの提案に対して、『確かにそれは正論なんだけど、実際にはそううまくいかない』と感じることがよくありました。事業の主体者として多くの経験を有しているからこそ、理解できる部分があると思っています」

宇佐美 「土居さんの言う通りですね。作り込まれた戦略そのものに大きな価値があると考えますが、商社やビジコン室の立ち位置からすれば、実際に施策を実践し、プロジェクトを動かすことができて初めて価値が認められます。

プロパー社員は、現場をうまく動かす役割、いわば提案と現場とを“つなぎ合わせる”ような機能を果たすべきだと思うんです。誤解を恐れずにいうなら、仮に100点満点の提案があったとしても、理想論過ぎて『それでは動かない』と判断すれば、あえて90点の提案をするという議論があってもいいと。そうやって提案と現場の均衡を取る立場から、コンサルファーム出身の方と議論することは、ひとつの融合のあり方として有意義だと思っています」

 ビジコン室は、コンサルファーム出身のキャリア人材とプロパー社員による混成チーム。互いを尊重し合い、知見を共有する風土が、シナジーを生み出す土壌となっています。

土居 「コンサルファーム出身の方が室内で研修を実施する一方、プロパー社員が出身本部の事業概要やこれまでの経験を共有するなど、知見を共有しようというマインドが浸透しているのを感じます。さまざまなバックグラウンドを持つ人が、各々の経験やスキルを惜しげもなく提供するカルチャーがあり、それがプロジェクトの雰囲気作りにつながる。結果的に良い効果を生んでいると思います」

事業部で得た経験や知見が、ファーム出身メンバーとのシナジーを生み出す契機に

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ビジコン室で仕事をする上で、事業部時代に得た経験や知見を生かせたケースもあるという宇佐美。ファーム出身者と協働する中、理想的なかたちで融合が生まれているといいます。

宇佐美 「モビリティ第一本部で担当していた案件と類似する販売事業のプロジェクトに関わったときのこと。ファーム出身者らと議論する中で、メンバーのひとりが、私の当時のアイデアやビジネスモデルに対する考え方を、紙に落としていってくれたんです。

それが言語化されていく過程で、『これこそまさに事業部にいたときに理解したかったことだ』と腑に落ちる瞬間がありました。最終的に提案内容として成果物となり、自分の経験や知見を活かしながら形にすることができた。事業部時代の自分にはできなかったことを、改めて見直す機会にもなり、個人的には収穫だったと思っています」

 一方、最近はグループ会社個社の改善業務を通じて見えてくる三井物産グループ共通の課題について、三井物産本体の経営に対して提言することも増えてきているという土居。プロパー社員と、課題を解決するプロであるキャリア人材のそれぞれが強みを生かすことが、三井物産の企業価値向上につながると考えています。

土居 「ビジコン室にいるプロパー社員は、それぞれの部署が抱える課題を肌で感じてきた人たち。『変えていかなければ』という思いを胸に秘め、三井物産が変わるためのヒントを現場でつかんでいるはずです。

他方、キャリア人材の方々は、第三者的な視点で『三井物産のこういうところって変わるべきだよね』と課題を抽出し、それを解決するための道筋を知っています。こうしたプロセスをワンチームで進められる総合商社は、他に例が無いのではと思います。コングロマリットとしてのポテンシャルを最大限発揮できるような提案を生むことを、今後目指していきたいですね」

そんなビジコン室で働くやりがいについて、宇佐美と土居は次のように話します。

宇佐美 「自分たちが提案した内容をもとに現場が動いてくれたときは、大きな手ごたえを感じます。良い提案を作ることもさることながら、大切なのは、実際に動いて成果を出すこと。そのためには、まず一歩を踏み出さなくてはなりませんからね。また、実際にプロジェクトが動き出した後、グループ会社の方から進捗状況を報告いただいて、実行支援のご相談を受けたときも、貢献できていることが実感できてうれしく思います」

土居 「改善提案が企業価値の向上につながったと思えたときの喜びは、やはり大きいですね。たとえば、イチから信頼関係を構築するケースでは、何をいっても相手に響かないところから、小さなことを積み上げていって、最後には頼られる存在になっていく。自分たちの手に負えず、グループ会社の方たちがあきらめていたようなことを変えられたときは、とくに大きなやりがいを感じますね。

また、三井物産全体でいえば、全社目線で真正面から総合商社としての価値の最大化に取り組めているビジコン室は、稀有な存在だと思っています。その点についても、やりがいを感じながら仕事と向き合えています」

働きやすさ=フレキシビリティ。さまざまなプレースタイルが許されるのが職場の魅力

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高い生産性を維持しながら多くのプロジェクトを推進しているビジコン室ですが、ワークライフバランスの充実にも力を入れています。2021年には、ともに育休を取得したという土居と宇佐美。三井物産やビジコン室の働きやすさについて、宇佐美はこう語ります。

宇佐美 「部長や室長は“ファミリーファースト”という言葉をよく口にしますし、ビジコン室に働きやすい環境があるのは間違いないと思います。子どもが生まれた際には皆さんに祝福してもらい、また育休に関しては早めに調整し、またチームの皆さんにも協力してもらって取得することができました。

うちは子どもがまだ1歳半で手がかかるのですが、時間の使い方を工夫して、できる日はお風呂に入れたりごはんを食べさせたり、ある程度柔軟に動けるのがうれしいですね。

とはいえ、室内にゆるい空気が漂っているわけではなく、仕事に振り切りたいときは、思う存分振り切っています。成果にコミットすることを前提に、いろいろなプレースタイルが実現できる環境、理解のある職場といったほうが正しいかもしれません」

外部のコンサルに頼ることなく、自分たちで経営改善をすべきという課題を感じてビジコン室の門を叩いた土居。今後は、さらに経験やスキルを身につけ、事業側から経営改善に取り組みたいという思いがあります。

土居 「いずれは、事業の最前線、あるいはグループ会社の一員として、経営改善を自ら担っていきたいと思っています。経営人材を志向する上で、今後、自分がどういう風に世の中に貢献してきたいか、キャリアの方向性を決断すべきときだと思っています」

宇佐美もまた次のように続けます。

宇佐美 「ブラジル時代や、その後の本店の事業部で感じた悔しさのようなものが、ビジコン室で仕事に励むモチベーションになっています。最近になって、『あのとき、こんな風にできたんじゃないか』と思えるようになるなど、少しずつですが、成長の手ごたえを感じられるようになってきました。

その感触を現場で確かめるという意味でも、次の一歩としては、やはり前線に。グループ会社への出向の機会をもらえれば、そこに全力を注ぎたいと今は考えています」

 “総合力”を強みとして掲げ、主体的な事業創出によって新たな価値を持続的に創造する組織を目指す三井物産。その鍵を握るビジコン室の未来を展望し、土居は次のようにいいます。

 土居 「三井物産は、もっともっといろんな可能性を秘めた会社。よく“総合力”といわれますが、社員それぞれの頭の中にイメージはあるもののフワッとしていて、社外の方々にその魅力や可能性がしっかり訴求できていないと感じています。“総合力”とは何か、それをきちんと言語化した上で、『三井物産にはこんなことができるんだよ』と、示していきたいと思っています。今の私たちの合言葉は、“コングロマリットプレミアム”。昨今コングロマリットは解体傾向にありますが、そんな中でも三井物産はコングロマリットプレミアムを体現できる、ということを世界に証明していきたいですね」