出向先の業態変革を目指し、CFOとして幅広い業務に取り組む

三井物産のビジネスコンサルティング室(以下、ビジコン室)は、同グループの多種多様な企業の経営改善を支援し、グループ全体の価値向上を担う部署です。山田は2017年から約4年間同部署に所属し、現在は株式会社保健同人社に出向しています。

山田 「保健同人社は、創業75年の歴史ある会社で、『家庭の医学』という家庭におけるセルフケアに着目した医学書を創刊したり、人間ドックを創案した会社、というとイメージしやすいかもしれません。
現在は第二創業期ともいえる大きな転換期をむかえており、各事業でデジタル化を進め、業態変革に取り組んでいます。

たとえば、健康保険組合や企業の人事部署が健康診断などのデータを一元管理し、自分の組織の健康課題を分析したり、社員の皆さんが自分や家族の健康に関する不安や悩みを医療専門職に相談したり、『家庭の医学』などの情報をアプリケーションで見られるような、健康を支える未病・予防サービスをワンストップで提供するデジタルプラットフォームを2022年の4月ごろにローンチする予定です」

出向先の保健同人社では、CFO兼経営企画部長として活躍。経営企画・財務経理・人事・総務・広報といった幅広い業務を担当しています。

山田 「保健同人社の事業・サービスのポートフォリオごとに求められる収益性はどれくらいか、また、収益性改善の為に何をすべきかということをCFOの立場から分析・提言をしています。経営企画部長の業務としては、経営企画、人事や広報の領域にも取り組んでいます。経営企画業務としては、中長期での経営方針・戦略策定やそれを踏まえた事業計画の策定や、一部署だけでは検討しきれない全社横断での課題解決を行っています。

人事業務では、今後当社が向かう方向性を考えるとIT・デジタル人材を強化する必要があるためどういう人材をどのように確保していくのか、広報業務では、新しいプロダクトを発表するときにどのような戦略で進めるのか、などを検討するのも私のミッションです」

会社が進もうとしている方向を的確に捉え、先を見通しながら、出向先での仕事に取り組んでいる山田。正確さと同時にスピード感も求められる、やりがいのある毎日を過ごしています。

経理部を経て、海外研修員としてペルーへ。手触り感のある仕事を求めて

2021年で、三井物産に入社して11年目を迎えた山田。就職の決め手は「なんにでもチャレンジできそうな会社」だと思ったことでした。

山田 「学生時代は、自分が一体何者になりたいのか、何がやりたいのか、明確なイメージがあまり持てなかったんです。また、学生の自分が得られる限られた情報の中で『自分はこれだ!』と決めてしまうことに漠然とした怖さも感じていたので、可能性を広げていける会社に入りたいと思っていました。三井物産は総合商社なので様々な事業があり、いろいろな国に行けるチャンスがあります。総合商社の中でも、特になんにでもチャレンジできそうな会社だと思ったのが、入社を決めた理由です」

山田が初任配属されたのは、経理部。もともと、財務や経理などの数字に関する知識は、どんなビジネスでも必要不可欠だと考えていたこともあり、前向きに取り組みました。

山田 「当時は、全社の連結決算業務を担当し、有価証券報告書のような開示資料の作成などを行っていました。100億、200億といったとても大きい数字を扱う重要な仕事で、貴重な経験でした。でも3年ほど経ったころ、自分がもう少し成長するためには、より現場に近い仕事を経験するべきなんじゃないかと思ったんです。

というのも、入社数年目の当時の私には、自分が扱っていた数字の背景にあるビジネスがどのように動いているのか、自分がやったことがどのように役に立っているのかが見えづらくて。だからあまり手触り感というか、自分が何かの役に立っているとか、動かしているという感覚を持ちづらかったんですよね。

そう思っていたとき、ちょうど年に1回の海外研修員募集があったので手を挙げました。その結果、希望通り現場のビジネスを学ぶために、2年間、ペルーの自動車系企業に出向することになったのです」

ペルーでは、自動車ディーラーや販売金融企業で財務経理や業務改善を担当。語学を学びつつ、求めていた実務経験を積み重ねた期間だったといいます。

山田 「私は研修員という立場でしたが、自分の小さな行動の積み重ねによって周囲の人たちの行動や考え方が変化したり業務が改善されたりすることで、最終的に会社の業績にも跳ね返ってくる、という手触り感のある業務を経験しました。現場ならではのおもしろさを肌で感じましたし、だからこそ将来的には、こういう現場で色んなことに挑戦し、自分で結果を出せるようになりたいと思うようになりましたね」

帰国した山田は、当時発足したばかりだったビジコン室に配属。少数精鋭の初期メンバーの1人として、新たな挑戦をすることになりました。

山田 「ビジコン室は、三井物産のグループ企業に対してコンサルティングをする部署です。今までは経理の仕事がメインだったので、コンサルという仕事自体あまりイメージがなかったですし、経営課題の解決、という問いも答えも定まっていないような仕事を担当するのはとてもハードルが高く、難しそうだなと、正直不安が大きかったです」

まるで転職したかのような環境……その中で見つけた自分だけの価値

活躍の舞台をビジコン室に移した山田を待っていたのは、コンサルティングファームなどで経験を積んできたプロフェッショナルなメンバーたち。当初はコンサルのスキルもなく、まるで別の会社に転職したかのような気持ちになったといいます。

山田 「初心に返って学ぼうと思いましたね。まずはチーム内で信頼される存在になろうと、プロジェクトマネージャーに依頼されたことはとにかくスピード重視で対応するようにしていきました。たとえ考え込んでも自分に最適な答えは出せないと思っていたので。 とにかく先輩たちの背中を見て、見よう見まねで吸収していきました。守破離の『守』の部分を強く意識して、スライドの作り方や、面談での課題や本音の引き出し方など、細かい部分も含めてまずは徹底的に真似しました」

そうして下地を身につけていく中で、チームに貢献できる自分の価値も徐々に見つけていったといいます。

山田 「先輩方は戦略コンサル出身の人が多いので、会計の領域では私が専門性を発揮できました。経理部での経験があったので、社内の決算の仕組みや各種経理・財務データの取得方法などを伝えたり、自分でそれらのデータを分析して色々な提案を行ったりしました。また、グループ全社の経理を担当していたので、どこの事業本部・国にどんな会社があるのか、どういう経営状態なのかを把握できていたことも役立ちました」

ビジコン室で約4年間経験を積み、三井物産の子会社である保健同人社にCFO兼経営企画部長として出向することになった山田。さらなる高みへの挑戦は、不安もあったものの、嬉しさや前向きな気持ちの方が強かったと語ります。

山田 「ビジコン室の仕事をする中で、次のステップとして、自分がチームをまとめて、意思決定を行うことができるようなポジションを経験してみたいなと思っていたんです。

出向が決まり、CFO兼経営企画部長というポジションについたときは、すごく嬉しかったですし、モチベーションがとても上がりましたね。ただ、広報や人事など、自分の専門ではない領域がたくさん含まれていたので、同時に不安も大きくて。保健同人社全体としても、経営企画部としても、自分よりもキャリアを長く積まれていたり、人生経験が豊富な方も多くて、年齢的にも若い自分がマネジメント経験もない状態で出向して、正直、本当に大丈夫なのか気がかりな部分もありました。

でもそれ以上に、そんな自分に任せてもらえたという嬉しさが大きかったです。任せてもらったからには絶対に保健同人社とそこで働く皆さんの役に立つ、という思いが強くなりました。また、こういう機会のために色々な勉強をしながら準備をしてきた部分もあったので、『よしやるぞ!』という気持ちになり、気合いが入りました」

ビジコン室で身につけた実行力。あの成長舞台があったから、今の活躍がある

山田 「現在の業務では、これまでの経験が活きていることをかなり実感しています。最も活用できているのは、一言でいうと課題解決力ですね。まず、課題そのものを可視化し、その上で課題を実際に解決する。この2つの能力を、ビジコン室でしっかりと身につけることができたのだと感じています」

ビジコン室にいたころに、グループ各社から、様々なテーマの相談を受けてきたからこそ今があるといいます。山田は、どのような相談を受けても、その人との会話やインタビューの中から、課題を瞬時に可視化する力を培ってきたのです。

山田 「先輩たちの優れたやり方を、一緒に仕事をする中で学ぶことができました。経験を積むと、個別の案件であってもそれを上手く抽象化し、いくつかのパターンに分類できることもわかってきます。だから今は、自分があまり経験したことのない業務についての相談内容であっても、それを応用し、課題を見つけ、解決策を提示することがある程度できるようになってきていると思っています。もしビジコン室での経験がなかったら、今のポジションでの業務に思うように対応できていなかったと思います」

さらに、グループ会社とのプロジェクトの責任者を経験したことで、案件の組成から完了まで、色々な人を巻き込みながらプロジェクトを推進する、プロジェクトマネジメントの力も身についていました。

山田 「ビジコン室時代は、何社ものグループ企業とプロジェクトを組ませてもらいました。そこで身についた、ヒアリングの中で真の課題を引き出しながらプロジェクトを設計したり、関係者の利害や期待値を調整しながら進行したり、プロジェクトチームをマネジメントするスキルは、今とても役に立っています。また、ビジコン室は社内組織なので、プロジェクト期間が明確に決まっている社外のコンサルとは違い中長期で支援ができ、さらに支援先の会社の方々と一緒にプロジェクトを進め、施策を実行するところまで経験できます。

このような、グループ会社の現場の方々と協働する経験は、特に今の出向先でも活きていると感じます。出向して10ヵ月。色々と悩みながら進めてきましたが、一緒に働いている皆さんのご尽力のおかげでようやく成果が出始め、少しずつ基盤が整ってきたという感覚がありますね。来期以降は、事業戦略の策定や会社の方向性への提言など、さらに一歩踏み込んだ仕事をやりたいと思っています。

ビジコン室という成長の舞台を経て、出向先という新たなフィールドでも手応えを感じ始めた山田。経営人材としてのキャリアを歩み始めた彼に、今後のキャリアビジョンを聞きました。

山田 「今、ダイレクトに経営に関わることができているのが、とても面白いんです。まだ今の自分は力が足りていない部分ばかりですが、こういうポジションでしっかり結果を出せる人になりたいと日々感じています。

また、もっと自分の力を磨いていく必要がありますが、将来的には、CFOやCSOといったCXOポジション、経営者として活躍できるような道を歩みたいという想いも強くなっています。三井物産グループの中だけでもさまざまな規模、業種、フェーズの会社がありますし、それらの会社に経営の立場で関わることで、自分の経験がさらに深まり、よりエッジが立ってくるのではないかと想像しています。

ビジコン室にいたころは、グループ会社各社への支援だけでなく、三井物産グループ全体での価値をどのように上げられるかを考え、解決に向けた施策の検討と実行も担当した経験も、今の仕事に活かされていると感じています。今後は、もし許されるのならグループ会社単体と、三井物産グループ全体を対象にするような仕事を行き来しながら、キャリアを築いていくのも面白いと思っていますね。

目の前の課題に対する実行力と、グループ全体を広く見渡す視点。両方を併せ持ち、新たなキャリアを目指す山田。

どの舞台、どんなポジションで活躍を見せてくれるのか、これからも目が離せません。