ライターが書く文章は、あくまでも手法のひとつでしかない
「ライターとはどんな職業ですか?」と質問すれば、多くの人は「文章を上手に書く仕事」と答えるはず。しかし倉持は、文章を上手に書いたり、自分の文章を確立したりするつもりが、一切ありません。
倉持 「ライターの仕事は、文章を書くことではありません。ライターには、商品やサービスなど、物事の本質を理解し、その魅力を伝えることが求められています。その手法として、文章を使っているだけなんです」
倉持がライターを続けているのは、あくまでも“物事の本質”を伝えるため。そのため「自分の文章」に対してこだわりが一切ありません。
倉持 「大学院で、文学の執筆・研究をする『文芸学』を専攻していました。小説家や脚本家を志す人に囲まれて、彼らが“自己表現”として文章を扱う中、自分にはそのような欲求がないことに気付きました。僕はライターです。ライターは『芸術家』ではありません。伝えたい内容に合わせて文章も変わる。“自分の文章”というものに執着しないことが大切だと考えています」
倉持の考えるライター像は、「みらいきれい」が求めているものと同じだった。PR記事の目的は消費者の購買意欲を高めること。だから“自己表現”だけではうまくいかないのです。
それゆえ、みらいきれいの社内には、感覚で文章を書くライターはいません。過去に反響の大きかった記事から分析を行ない、クライアント様の商品やサービスの魅力を最大限に伝えられる構成で制作していきます。
“納品して終わる記事”では、満足できない。倉持を魅了した“育てる記事”
ただ、物事の本質を伝える手法は、文章だけではないはず。なぜ倉持は、文章を書く仕事をしているのか?それは、倉持自身が文章を書くこと以外に、“逃げ道がなかった”からと言います。
倉持 「もともと僕は、ライターを目指していたわけではないんです。大学時代は、正直言うと、放送作家になりたかった。しかし、放送作家の仕事をこなしていくうちに、コンテンツの価値について考えるようになりました。重視されているのは中身ではなく、“パッケージ(外側)”なのではないか、と。特にエンターテイメントの世界では、“何をやるか”ではなく、“誰が、何をやるか”を重視されているように感じ、徐々に情熱を失っていきました」
放送作家の仕事をしながら、同時に記事のライティング案件を請け負うことに。すると次第に、放送作家業よりもライティングの比重が大きくなっていき、大学卒業後は「ライター」と名乗ることを決意。文章について改めて勉強するために、大学院へと進学するのです。
倉持 「大学院時代は『SEO記事』や『企業インタビュー記事』を書いていました。だけど、ライター業をはじめて1年くらい経った時に『あれ、面白くないな』と思ったんです。つまり、“記事を納品して終わり”の形だと、納品後の検証と改善ができていないじゃないですか」
24歳で大学院を卒業し、フリーライターとして活躍していた倉持は、書き終わった記事を使って、マネタイズする方法を模索していました。それと同時に、仕事を得るための“ある方法”を思いつきます。
倉持 「ライターを正社員で募集している会社に応募するんですよ、“入社しない”ことを前提に。そこで、相手側に“外部パートナー”として僕が参加した方がリスクが少なくすむ旨を提案して、業務委託の仕事をもらっていました。企業側は正社員を雇えば、社会保険など大きなリスクがかかりますからね、だいたいは契約できていました」
みらいきれいの面接を受けた時も、同じ方法で業務委託の仕事をもらおうと考えていた倉持。ところが、みらいきれいの「記事を納品して終わりではなく、納品後もCVR(購入率や申込率)をあげる記事をつくるために、改善を繰り返す」という仕事内容に魅了されます。
倉持 「僕は会社員になりたいわけではなかったけれど、この会社に入れば、僕が求めていた消費者の心を動かす記事のノウハウが学べる、そう確信しました」
そして2017年4月、倉持は“今の自分に必要な場所”として、みらいきれいにジョインします。
「納品して終わり」はつまらない。ただ、効果を追うことには終わりがない
無事、入社した倉持。そこから、苦労の日々がはじまります。みらいきれいでは、ライティング業務だけを担当すればいいわけではありません。広告運用はもちろん、クライアント様への営業提案やディレクション業務も行なうためです。
なれない業務に苦戦しながらも、任せてもらえる裁量の大きさにも気づく倉持。広告運用に携わる中で、彼が感じたこととはーー。
倉持 「消費者の心を動かすPR記事をつくるためには、ロジックがとても大切です。その型にパズルのように当てはめながら、記事を書いていきます。しかし、最初から完璧に書けることはそう多くありません。それだけ消費者心理というものは難しいものです。記事を公開して、その後に改善を繰り返す、だから終わりがないんです」
その作業について、「真ん中を狙って、ずっとボールの“壁当て”をしている感じ」と倉持は表現します。
倉持 「僕は“仕事だから”記事を執筆しているというわけではありません。クライアント様とお打ち合わせをしているうちに、商品や理念にとても感銘を受けるんです。その魅力をどうしても消費者に伝えたい!という思いに突き動かされて、ひたすら“壁当て”に挑んでいます」
みらいきれいには、仕事を“作業”としてこなす社員がひとりもいません。誰もが「クライアント様の想い」や「素晴らしい商品・サービス」を消費者に届けるために、常に当事者意識を持って働いています。
「Google」ではなく、「消費者」を動かすことだけを見つめて仕事した
幼少期は「CMプランナー」に憧れていたという倉持。Web広告業界でライターをする魅力について、このように話しています。
倉持 「Web広告のよいところは、すべてがデータとして数値化されて、現実が目の当たりになるところ。新しいアイデアを試してみて、仮に思惑が外れても、その結果が数値化されるため、新たな施策を考案しやすいんです。諦めない限り、確実に状況を好転させることができます。結果と原因がはっきりと見える、この仕組みが好きなんです」
記事の効果をデータとして可視化できる、広告運用という仕事。みらいきれいで広告運用にかかわることで、「こうすればターゲットに響く」という魅力的な伝え方が頭の中に蓄積されていきます。
倉持 「PR記事と同じように、SEO用の記事もデータを活用するので面白い。だけどSEO記事は、Googleが設けた基準に沿った内容が、検索結果の上位に表示されます。つまり、Googleがルールを決めて、それが正解になる。その一方で、PR記事でルールを決めるのは消費者。そこには、明確な正解がありません」
いくらデータを蓄積しても、消費者の求めることは常に変化していくーー。倉持は、PR記事について、「常に与えられ続ける課題を説いていく仕事」と表現します。PR記事は、それぞれのターゲットに合わせた内容で、商品の魅力を伝えていきます。
答えがないフィールドだからこそ、効果を検証していく楽しみがあり、ライターとしてのやりがいを感じる仕事なのです。