知らない世界の知識を取り入れたい── アライをテーマにした“Marble”に参加
2023年2月現在、関東支社量販営業四部に所属して、新潟の量販店を中心に菓子営業に携わっています。
私が当社のD&Iの取り組みに興味を持つようになったのは、同じく菓子営業を担当する後輩が食生活アドバイザーの資格を取得し、ドラッグストアへの営業戦略を成功させ、それが好事例として自社ポータルサイトに掲載され社内で好評を得たことがきっかけでした。営業担当者の知識の幅や、お客さまや社会に対するプラスアルファの取り組みが、営業活動の付加価値になると学んだことが、のちのD&Iの取り組みへの参加につながりました。
まずは資格を取得しようと、当社の資格取得支援を活用しました。選んだ資格は、eco検定(環境社会検定試験)。環境について学生のころから勉強していたのに加え、SDGsなど近年話題のテーマにも興味があったことが理由です。
2021年9月にeco検定に合格。その後、品揃えなどの面でサステナブルをテーマに量販店に提案するなど、資格取得のために学んだことを実務に活かせたことで、ますます自己啓発していきたいという想いが高まっていきました。
ちょうどそのころ、全社的にD&Iを推進していくとの発信がありました。そして、中でも目に留まったのが、会社公認のネットワークERG(Employee Resource Group)活動の一つである、LGBTQ+アライ(Ally=性的マイノリティの理解者・支援者のこと)ネットワーク“Marble(※)”です。LGBTQ+やアライは、それまでの自分にとって遠い存在。今まであまり考えたことがなかったのですが、LGBTQ+の当事者は左利きの人と同じ割合で身近にいると聞き、学んでみたいと考え“Marble”に参加しました。
※Marbleとは社内のLGBTQ+アライネットワークの通称で、アライメンバーで考えたネーミングです。Make a rainbow (虹を作る) + ble(できる:接尾語)の造語で、「アライ活動によって多彩な虹を描いていける」という想いを込めました。また、マーブル模様の混ざり合った画一的でない自由さや、明治商品のカラフルな「マーブルチョコレート」も連想させる親しみやすいネーミングとしました。
“人の数だけある多様なキモチ”を応援するチョコレート“CUBIE”ができるまで
Marbleでは、さまざまな勉強会に参加。「カランコエの花」をはじめとするLGBTQ+に関する映画や書籍に触れる中で、大いに刺激を受けました。LGBTQ+について自分なりに意見や考えを形成することにつながるなど、有意義な活動をさせてもらっています。
“アライ”という言葉を知ることができたのも大きな収穫でした。その概念を知る前と後とでは、世界の見方がずいぶん変化したように思います。
また、Marbleの一員として定期的に活動する中で、営業担当として、明治だからできること、明治にしかできないことをしたいと思うようになったことも大きな変化でした。
バレンタインデーに向けて進めている取り組みは、まさにそうしたMarbleの活動の成果のひとつだと感じています。きっかけは、Marbleのメンバーから「当社の商品を一度LGBTQ+の方々の目線で見直してみたい」という提案があったことです。
もともと当社でも多様な価値観の推進を図るべく、バレンタインデーを多様なキモチに寄り添う「より多くの人に楽しんでもらえる日」となることを目指したい、という想いがありました。そこで、2023年のバレンタインデーのコンセプトの一つとして「多様性」をテーマとして、商品を開発することに。LGBTQ+の当事者の方との座談会も実施してコンセプトを練り上げ、多様なキモチに寄り添う“明治ミルクチョコレートCUBIE Diversityパッケージ”の発売に至りました。
CUBIEには、LGBTQ+への尊厳の意味を込めた社会運動のシンボルであるレインボーフラッグにちなみ、レインボーカラーをグラデーションやハートモチーフにしてパッケージにさりげなく散りばめました。また「好き」というキモチ以外にも、同僚に送るエールや、家族への感謝など、自分のキモチに合ったパッケージを選んでいただけるよう、メッセージを5種類用意しました。「理想が日常になりますように!」という隠れメッセージも、背貼り部分をめくると出てくる仕掛けになっています。
またMarbleメンバーでも商品開発以外に、バレンタインデーに向けて何かできないかという話が持ち上がりました。Marbleメンバーは、本社や研究所、工場の方が中心。数少ない営業畑のメンバーとして自分ができることを考えるうちに、書店でLGBTQ+関連書籍とCUBIEをクロスMDで情報発信することを思いつきました。ミーティングで提案したところ、皆さんから支持をもらい現在に至っています。
CUBIE×書店のコラボレーション。書籍とともに伝えていく
LGBTQ+関連書籍は、地方では大きな書店でも在庫は数冊程度しかありませんが、テレビなどマスメディアではLGBTQ+関連の話題が増えつつあり、今後はニーズが高まっていくと思っていました。たとえば私が住む新潟でも、誰かに気持ちを伝えたいと考えているLGBTQ+の当事者の方はきっといるはずです。そのような背景で、バレンタインデーはちょうどいいタイミングだと考え、菓子など食品も扱っている書店のお客さまに、LGBTQ+関連書籍とCUBIEを一緒に展示してはどうかと提案をしました。
事前にバレンタインデー商談とだけお伝えしていたので、初めはこちらの提案に驚いた様子でしたが、関連書籍と商品のクロスMDに対して、スーパーなどの業態ではできない、書店ならではの情報発信のあり方としてすぐに興味を持っていただきました。
先方としても前例のない試みということでしたが、専用のコーナーを設置して大きく展開していただけることに。時間をかけて打ち合わせを重ねて売場をつくったので、商品がたくさん売れてほしいという想いは営業としてありますが、今回に限っては、たくさんの方にコーナーに立ち止まっていただいてPOPを読んでいただくこと、商品に手を触れていただくことを目標にしています。売場を訪れた方にとって、バレンタインデーが広く気持ちを伝える日になるきっかけになればと思っています。
これまで、営業として常に数字を追いかけてきましたが、今回の取り組みを通じて、新しい視点で仕事と向き合えるようになったと感じています。この経験を活かし、普段あまり菓子を食べたり、人に渡したりしない方に向けて、当社の商品を提供する機会を今後も模索していきたいですね。
働きやすい職場環境の実現のため、現場ベースでの認知向上に貢献を
Marbleの活動に参加していて思うのは、未知のことを自分の中に取り込んでいくためには、知識と時間のふたつの要素が欠かせないということです。たとえば、コロナ禍当初は、ライブ会場やスポーツ観戦時に声援ができないことについて反発や抵抗がありましたが、今では普段の生活でマスクの着用やアルコール除菌、黙食することが当たり前になるなど、ニューノーマルが定着しました。LGBTQ+についても同じことが言えると考えていて、LGBTQ+の方々が働きやすい職場環境を実現するためには、多くの方がLGBTQ+についての知識を深め、時間をかけて浸透させていく必要があると思っています。
LGBTQ+の当事者の方々が不安や悩みを抱えたり、苦しい想いをしたりしない職場づくりのために、今後もMarbleの一員として情報発信したり、啓蒙活動を行ったりしていきたいですね。たとえば、Web会議でのバーチャル背景や、社内のロッカーに貼れるマグネットなどを使ってアライであることを伝えていきたいです。
そして、今回のバレンタイデーの取り組みのように、営業担当として現場に近いところで、商品を買っていただくお客さまに対しても、 LGBTQ+の方々を含む当社のD&Iの姿勢をこれからも発信していきたいです。自分だからできることを今後も考えて、当社のD&Iの推進に携わっていきたいと考えています。