中国での生産拠点の立ち上げメンバーとして、生産と品質保証の仕組み作りに奮闘

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明治乳業(天津)有限公司は、2019年に設立された中国にある明治の牛乳・ヨーグルトなどの生産・販売会社です。

私は2019年の立ち上げメンバーに選ばれ、2022年5月現在、中国に駐在し、生産部門と品質保証部門の担当として働いています。

具体的な業務は、生産設備や検査設備の立ち上げ、それぞれの設備を動かす従業員の教育、生産する上で遵守すべきルールの制定、国から食品生産許可を取得するための準備などです。

明治乳業(天津)有限公司のメンバーは約50名ほど。今は立ち上げ段階なので、日本から支援にあたるメンバーが15名ほど入っていて、残り35名ほどが中国人のメンバーです。

日本における課長クラスのポジションを務める中国人のメンバーは日本語が堪能なので、彼ら、彼女らに指示を出してスタッフに伝えてもらうケースが多いですね。ただ、こちらの意図がきちんと伝わりきらないことも。

そのため、成果を確認した上でズレがあればフィードバックを行い、軌道修正を何度か繰り返していきます。また、「なぜ伝わらなかったのだろうか」と自分でも分析して、次のコミュニケーションに活かしています。

中国人に対して感心することは、自分の将来をより良いものにするために転職活動を繰り返し、自分がいる環境を変えていく積極性があることです。会社からすると、人間が定着せず業務理解度や技術レベルが向上していかないことは問題ですが、個人からすると理想を追い求める姿勢は見習うものがあると感じます。

希望叶って駐在員に。海外赴任への関心の起点は、中国人スタッフと“通じ合えた”こと

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大学院を卒業後、2011年に明治に新卒入社しました。茨城県の守谷工場に配属されて1年間の実習をした後、2年目以降は守谷工場で能力増強工事の担当をしたり、京都工場で新設備の導入を支援したりしていました。

2013年1月には、牛乳やヨーグルトを作っている神奈川工場の製造主任に任命されて、それから2019年3月末まで現場管理を担っていました。

学生時代から洋楽を聴くのが好きで、海外の文化にも興味がありました。英語の勉強もしていたので、「将来、海外と関わる仕事ができたらいいな」という気持ちはありました。

ただ、入社当時正直なところ、海外での活躍をイメージして明治に入社したわけではありません。海外駐在のビジョンも、まったく描いていませんでした。

海外で働くことを意識し始めたきっかけは、入社1年目のとき、中国人スタッフと一緒に仕事をしたこと。当時、立ち上げを控えていた明治乳業(蘇州)有限公司で働くメンバーが、実習のために守谷工場を訪問し、私たちが現場実習のサポートを担当することになったんです。

当時の工場長が、海外拠点設立の理由などとあわせて、「生産も販売も物流も、すべて中国で行う大きなプロジェクトなんだよ」と教えてくれました。明治が中国進出に力を入れていることを知り、とても興味深く思ったのを覚えています。

また、中国人スタッフと働くことも純粋に楽しかった。日本語が話せない中国人スタッフと懸命にコミュニケーションを取る中で、「通じ合えた」とわかったときは互いにテンションが上がって大喜びし合うほどでした。

明治では1年に1回、キャリアプランを上司と話し合う場が設けられています。その機会に、「海外事業に携わりたい」と希望を伝えていたんです。今回、自身の昇格と中国での新工場立ち上げプロジェクトのタイミングが重なったことで、明治乳業(天津)有限公司への配属が決まりました。

駐在だと知ったときは、とても驚きました。日本で働きながら、出張ベースで技術支援をしていた先輩が周りにいたので、上司から「海外事業に異動だ」と聞かされたときは、その先輩と同じポジションだと思い込んでいたんです。プレッシャーはありましたが、失敗を恐れずに粘り強くやるしかないと腹をくくりました。

配属が決まってから1年半ほどは、日本で工場や生産設備の設計などの立ち上げ準備を行って、2020年9月から中国で働いています。

駐在員は、品質や安全へのこだわりを守る砦。幅広い業務や人と関われるのがやりがい

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日本人と中国人とでは、仕事の進め方が大きく異なります。日本には、“段取り八分”という言葉があって、起こりうるトラブルを予測した上で別プランを用意するほど準備熱心なところがあります。一方、中国人は段取りがあまり得意ではなく、問題が発生したときは突破力をもって解決していく性質があるように思います。

たとえば、設備メーカーとのやりとりひとつとっても、日本とはまるで勝手が違います。資料が必要になっても、こちらから欲しい情報を事細かに伝えない限り、提示されることはありません。また、設備を出荷する前のチェックにも漏れが多く、こちら側がきっちり確認して不具合を一つひとつ指摘する必要があるんです。

日本人と中国人の仕事への取り組み方の違いには驚きましたし、苦労しています。設備メーカーに日本人の駐在スタッフがいる場合は、その方と直接話し合って改善をしていく場合もありますが、中国でうまくやっていくには、それぞれの強みを活かし、段取りが得意な私たちが一歩先回りし、要求を細かく伝えることが大切だと思っています。

中国で新しい生産拠点の立ち上げに携わってみて、業務範囲が広がりました。また、仕事を通して関わる人の数も増えました。

たとえば、業務の面でいえば、日本ではひとつの工場の現場管理業務が主でした。一方、明治乳業(天津)有限公司は生産会社なので、通常であれば明治の本社機能が担っている、サプライヤーの選定や包材の設計、品質保証などに関する業務を含め、幅広く担当することが求められます。それだけの業務をこなすのは簡単ではありませんが、ひとつ課題を解決するごとに大きなやりがいや達成感が得られます。

また、関わる人の面でいえば、原料や包材のサプライヤーの方、政府の役人の方など、多方面の方と話すことができます。日本では関わる機会がなかった方々なので、とても新鮮でおもしろみを感じています。

国内では、明治はトップメーカーと呼ばれていますが、中国においてはまだまだ中小企業です。さまざまな巨大乳業メーカーが名を連ねる中国市場で、どのように差別化して牛乳・発酵乳事業を伸ばしていくかという、ダイナミックなビジネス展開を間近で感じられることも、中国で働く醍醐味といえるかもしれません。

駐在するにあたって唯一の懸念事項だった中国での生活ですが、これといった苦労もなく快適にすごしています。ただ、言語の壁は感じていて、中国語を必死に勉強している最中です。

私がまさにその好事例ですが、明治では語学が堪能でなくても、海外事業に携わることができます。海外駐在メンバーを選ぶ上で重視されるのは、語学力よりも、異文化という状況においても、互いの違いを尊重した上で確実に業務を遂行する力があるかどうかだと感じています。

なぜなら、言語については、通訳を雇ったり日本語が話せる中国人スタッフを採用したりすることで、ある程度対応できますが、明治の品質や安全に対するこだわりを守る砦となるポジションは替えがきかないからです。明治では、品質や労働環境の安全を守るために、こだわりの詰まったルールを制定しています。こうしたルールを明治乳業(天津)有限公司にも適用して浸透させていくことこそが、私たち駐在メンバーの役割だと思っています。

信頼できる仲間と共に、これからも海外事業基盤の拡大に貢献していきたい

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中国に来て成長した部分は、意外な場面に出くわしても動じずに対処する力がより増したことだと感じています。悪い部分を見ようとすればキリがありませんが、なるべくポジティブな側面に着目し、冷静さを保つ習慣がより強固になりました。

海外拠点の立ち上げ業務には、国内では味わえないおもしろさを感じています。もちろん、うまくいくことばかりではありませんし、ときには大きな問題に立ち向かい、ひとりで不幸を背負っているような気分になることも。

しかし、冷静になって周りを見渡せば、「運命共同体だ」と思える駐在員の仲間や現地スタッフがいます。「チームが一丸となれば、どんなことでも乗り越えられる」と思えるんです。

海外拠点の立ち上げの仕事に、おもしろさと適性を感じています。これからのキャリアにおいても、中国はもちろん、ほかの国の新規生産拠点の立ち上げや海外事業基盤の拡大にどんどん携わっていきたいですね。

グローバルな仕事に興味がある方や、将来は海外で仕事をしたいと思っている方にとって、自己申告制度を活用して自分の意志を会社側に伝えておくことは大事だと思います。同時に、目の前の仕事に真摯に取り組んで成果を挙げることが、理想のキャリアへの近道になるはずです。

海外勤務に憧れがありながらも、「語学が堪能じゃない自分でも大丈夫だろうか」「海外で成果を出せるだろうか」などと気後れしてしまうようなときは、不安に思う理由を分析してみてください。すると多くの場合、なんらかの能力が足りていないことが原因になっていることに気づくと思います。

それさえわかれば、あとは目の前の仕事に打ち込みながら、自分に足りていない能力を補うために勉強をしたり、経験を積んだりすればいいだけです。目の前の仕事と将来を見据えた準備、その両方に並行して取り組めば、きっと理想のキャリアをつかめるはずです。