新サービスの立案・運用を担当。“インサイドセールス=テレアポ”の偏見を払拭したい
マーケットワンは創業以来、テレマーケティング事業を展開して多くのクライアントを支援してきました。クライアントの抱える見込み顧客への電話を代行してヒアリングを行い、確度の高い見込み顧客をクライアントのセールス部門へと連携しています。
加えて、2021年からは、「インサイドセールストレーニング(以後、ISトレーニング)」という新サービスの提供も開始しました。
並木 「テレマーケティング事業においては、インサイドセールスの業務代行を手がけてきました。一方、ISトレーニングでは、インサイドセールス業務に取り組む上での考え方や電話の掛け方などをクライアントにレクチャーしています」
ISトレーニングのサービス企画者であるだけでなく、トレーニング講師も務める並木。自身もインサイドセールスとしての経験を持つ身として、このポジションの「あるべき姿」を伝えています。
並木 「インサイドセールス=テレアポ、という誤ったイメージが残っているため、インサイドセールスの業務は軽視されがちです。しかし、この仕事は企業の売り上げの向上に大きく貢献できるものなんです。徹底したヒアリングによって顧客ニーズを引き出し、情報提供によって関係性を築き、適切なタイミングでフィールドセールスへとつないでいく。
そうした形で、企業の営業力を高め、成果につなげていくことこそが、インサイドセールスの役割だと捉えています。汎用性の高いスクリプトを作り、それを読み上げて、アポを取ることがゴールではありません。“ヒアリングによって顧客の状況や需要をしっかり把握した上で、最適なアクションを取ることが目的”という考え方を、浸透させていきたいと思っています」
ISトレーニングの特徴は、15年以上テレマーケティング事業を展開し、質の高いコールができるメンバーを多く育ててきたマーケットワンが、寄り添った支援ができること。
最近はインサイドセールスの知名度も上がり、研修やインサイドセールスのテクニックを書いた本もたくさん見かけますが、ほかのサービスやノウハウにはない、独自の価値を提供しています。
並木 「企業が抱えている課題はさまざまです。組織体制が障害となっているのか、それともコールのやり方がネックなのか……。課題のありかによって必要なアドバイスは異なるので、1社ごとの状況に合わせた支援ができる点が強みです。実際にお客様のコールを聞いた上でフィードバックを行うなど、きめ細やかな支援を心がけています」
営業スキルに磨きをかけたい。新天地で手に入れた、想像以上に大きなチャンス
大手IT企業の営業職からキャリアをスタートした並木。電話でアポイント獲得後に企業を訪問し、人事や会計のシステムを提案してクロージングするところまでを担ったと言います。
経営層へのデモンストレーションを担当するポジションやセミナー登壇なども経験した後、IT調査会社に転職。そこでも営業職に就きましたが、3カ月ほどで退職しています。
並木 「いわゆる既存顧客へのルート営業の活動がメインでしたが、自分がやりがいを感じるのは新規開拓営業だと気づいたんです。この先5年、10年とルート営業を続けて自分に何が残るのだろうかと考えても、イメージが沸かなかった。であれば、早めに次の仕事に移ったほうがいいと考えました」
営業の仕事を好んだ並木。営業スキルを磨ける環境を求めていて出会ったのが、マーケットワンでした。
並木 「マーケットワンでは、お客様の課題に応じて多種多様な商材を提案することができます。商材知識を深めたり、それぞれのお客様に合った売り方を考えたりできる点に魅力を感じました。また、若手メンバーが活躍しているところも惹かれた点です。この会社なら、いろいろな業務にチャレンジできそうだと思って入社を決めました」
入社後、テレマーケティング業務に2年半ほど従事していた並木。
そこで、インサイドセールスの魅力に目覚めていきます。
並木 「1社目でも電話で新規営業をしていたのですが、恥ずかしながらとりあえずアポを取ればいいという考え方だったんですね。そのため、電話で詳細なヒアリングをするという概念がありませんでした。
ただ、先輩方が取り組んでいる様子を見ると、そこで会社の状況や課題をしっかりと捉えていたんです。初回訪問を電話で実施しているんだと感じて、衝撃を受けました。
電話はフェアな営業で、30歳の自分が大手企業に努める50歳の部長に会いに行っても会ってくれません。でも電話であれば会うことができる。ただ難しいのは電話先の相手がどんな情報を提供してくれるか、この期待に応えなければ会話は続きません。それを先輩方は日々実践している。
これまでは実現することのできない機会を創出することができる、インサイドセールスの可能性を強く感じました」
自身が抱いていたイメージを一新することになった並木は、社内外からの学びを得ながら、インサイドセールスとしての実績を積み上げていきます。
そして2021年、マーケットワンだからこそ可能となる新サービスを検討するプロジェクトのメンバーに抜擢されたのです。
自分だから、寄り添える。マーケットワンに入社して知った、インサイドセールスの意義
新サービスの起案プロジェクトに参画した並木は、そこでISトレーニングを起案します。
並木 「以前から弊社には、インサイドセールスについて研修を行う単発型のトレーニングはありました。しかし、1日や2日の座学で学んだくらいでは、本質的なスキルが身につかないという思いがあったんです。だからこそ、長期的に寄り添うトレーニングのプログラムを作り上げたいと考えました」
ISトレーニングの構想を進める中で、内製化についても深く考えるようになったと言う並木。外部の人間としてテレマーケティング業務に携わる中で、もどかしさを感じる部分もあったと話します。
並木 「たとえば、私がクライアントに代わって電話でサービスを案内し、前向きに検討してくれそうな企業があったとします。その後、クライアントに情報を連携し、営業担当者に対応していただくのですが、情報連携のフローが冗長となるため、フォローしてもらうまで1週間ほどかかることもあったんです。
そうなると、どうしても相手企業の温度感が下がってしまいます。自社内にインサイドセールスの部隊がいれば、もっと連携もスムーズに行えるのにと、歯がゆかったですね」
また、コールを重ねていくことで情報が蓄積されて、各商材と相性の良い顧客層や顧客の抱える課題なども見えてきます。そうした情報をもとに、リアルタイムで施策や営業戦略を変えるためにも、内製化が理想だと感じていました。
並木 「『業種Aはこの課題を抱えがちだから、テーマBでセミナーを開催しましょう』、『業界Bに注力してコールしましょう』という具合に、蓄えた情報をもとに戦略を変えることもできますよね。インサイドセールスは、顧客の情報を拾うことができて、市場の傾向をつかみやすいポジション。その情報をリアルタイムで活用しない手はないと思うんです。
実際、いま内製化を目指す企業は少なくありません。ただ、インサイドセールスの正しい考え方やノウハウを知らないために内製化に踏み切れなかったり、内製化したもののうまく組織が回らなかったりと、悩みを抱える企業も増えています。そうした背景の中で、ISトレーニングの着想が固まっていきました」
ISトレーニングの企画を提案し、実現に向けて進めることになった並木。しかし、プロジェクトが動き出してまもなく、予期せぬ出来事に直面することに。
並木 「当時の上司とふたりでISトレーニングを進めることになったのですが、3カ月ほどしたタイミングで、上司が退職してしまって。チーム解散と共に、新サービスの話もなくなってしまうのだろうと思っていました。
でも、経営陣は『このサービスをぜひリリースしたいので、引き続き並木くんに進めてもらいたい』と言ってくれたんです。若手にチャンスをくれる会社だとは思っていましたが、想像以上でしたね」
期せずして大きな裁量を担うことになった並木。ISトレーニングを必ず形にしようと決意しました。
地道に営業活動を続けつつ、転機を迎えたのは、並木の取り組みを知っていた社内の営業メンバーが、インサイドセールス立ち上げ準備中の企業の案件を獲得したことでした。
並木 「『20名ほどの新卒社員をインサイドセールスに配属したいので、トレーニングをしてほしい』との依頼をいただきました。トレーニングの後、先方の重役の方から『アポを取ることが目的と考えていたが、顧客の状況を細かくヒアリングして適切なアクションを取ることが重要だとわかった』と言っていただいて。サービスに自信を持つことができました」
インサイドセールスの価値を正しく伝えるために。組織構築を支える長期的な支援を
学生時代から、人に何かを教えることが好きだったと言う並木。自らが講師となってトレーニングに携われることにも、大きなやりがいを感じています。
並木 「ISトレーニングは、一方的に知識を教える授業ではなくて、一種のエンターテインメントだと思っているんです。研修を受けている人に『おもしろい』と感じてもらえるような伝え方、表現、見せ方の工夫を考えることが楽しいですね。まずは研修を楽しんでもらって、『インサイドセールスは奥深いんだな』と気づきを得てもらえたらうれしいです」
幅広い仕事を手掛けながら、事業拡大にも貢献している並木は、2022年現在、32歳。マーケットワンでキャリアを積めていることが、財産になっていると言います。
並木 「若手にもチャンスが与えられる環境に身を置けたことで、主体性が身につきました。自分で考えて実行していく力が磨かれていると感じますし、広い視点で物事を考えられるようになったとも思います。
与えられた仕事をこなしているだけだと、どうしても『この範囲内でうまくやろう』という具合に、枠に収まってしまいがちです。ところが、今回のISトレーニングの立ち上げにあたっては、“新サービスをリリースして、事業を拡大する”という、そもそも枠のないところで自由に仕事ができていると思っています」
ISトレーニングは、リリースしてまだ1年ほど。現在は並木ひとりでサービスを担当していますが、今後は仲間を増やしながら、さらなる拡販を目指していきたいと話します。
並木 「営業活動を強化して、より多くの企業にトレーニングを受けてもらいたいですね。インサイドセールスは内製化するのが理想。そのための支援を続けていきたいと思います。
ただ、内製化には時間もお金もかかるので、今日明日というわけにはいきません。年単位の継続的なトレーニングや自己研鑽も必要になります。営業活動は日々進化していくため、必要なときに必要な分だけ、マーケットワンのテレマーケティングサービスを並行して利用していただければと思っています。
内製化と外注を、うまく使い分けることで双方の価値を最大化させることができると考えているんです。実際、テレマーケティングサービスを利用しながら、ISトレーニングを導入しているクライアントは少なくありません」
自らの経験をもとに、自ら生み出したサービスについて、自らの言葉で伝えている並木。
クライアントにとって必要なものを、必要なかたちで提供するために——インサイドセールスをあるべき姿へと導く取り組みは、これからも続きます。