昨今、セールス手法のひとつとして注目されているのが電話営業です。同じ“営業”でも対面営業とは似て非なる考え方やノウハウがあります。
今回、自身のキャリアにおいて対面営業・電話営業のいずれも経験を積んできた私が、電話営業ならではのノウハウとその可能性をご紹介したいと思います。
対面営業と電話営業の“違い”とは?
大学を卒業し、社会人としてのキャリアをスタートした商社では、アポイントを取っては顧客を訪問するいわゆる“対面営業”を行なっていました。その後、2014年にマーケットワンに入社し、テレサービス部門にて、当社のクライアントが営業対象とする企業のキーマンと接点をつなぎ、案件化を支援する“電話営業”を経験しました。
現在では部署を異動し、対面型の営業を主に担当しています。この対面型と非対面型の両方の営業経験があったからこそ、同じ営業でもこのふたつの手法がまったく別物であると実感することとなりましたので、今回この違いをまとめるに至りました。
その違い──。
それは顧客に対する姿勢です。
具体的に言うと、対面営業では「相手にこちらの考えを伝える」ことに重点を置きますが、電話営業ではむしろ「相手の考えを引き出す」ことが大切です。
たとえば、対面営業では顧客に会う時点である程度の課題やニーズが明確になっています。何らかの理由があるからこそ、会うことをすでに承諾してくださっているのですから。つまり、この場合に商談で求められるのは、こちらの考え方や提供できる価値を“伝える”ことで良いのです。
一方、電話営業の場合は、相手の興味・関心がどこにあるのかを読み取るのが大変難しいのがハードルです。電話がつながった時点では、相手に課題やニーズがあるのかどうかわかりません。
何か困っていることがあるのか、それはどんなことか、なぜそんな課題があるのか…。
こちらから何かを伝えるより先に、まずは相手の状況や悩みを引き出さなくてはなりません。
つまり、対面営業と電話営業では、顧客と接する時点での前提が異なるもの。それゆえに、電話営業でも対面営業と同じ発想・やり方で通用すると勘違いしていると、全然うまくいかないという事態に陥りかねないのです。
セールスパーソンが知るべき3つの注意点
どんなセールスパーソンも、自分のスタイルや勝ち筋である型を持っていると思います。それを武器にして現場で勝負していくことは、営業という仕事のやりがいや醍醐味にもつながります。
とはいえ、先に述べたように、対面営業と電話営業では必要となる姿勢やアプローチの手法が異なります。そこで、電話営業を行なううえで大切な3つの注意点をご紹介したいと思います。
1. 環境の変化が激しいビジネスシーンにおいては、自分を伝えるのではなく正しい情報を伝える営業を
言うまでもなく、市場や環境はめまぐるしいスピードで変化し、何事にも大量の情報があふれ、競合との差別化も難しいのが現状です。
かつては「人間力」がセールスの結果を左右する要だったことがありました。もちろん、今でも顧客との結びつきや信頼関係が重要なポイントであることは否定しません。但し、それだけで買ってもらえる時代ではなくなっているのは事実です。これまでの正解が今も正解とは限りません、正しく情報を聴きだし、正しい情報を伝えること。それが電話営業では重要となってきます。今や「御社のためにがんばります!」がセールスの武器になる時代は終わったといえるでしょう。
2.対面営業と電話営業は手法が違うだけ──重要性は同じレベル
以前ならば、電話営業は対面営業のためのアポイントを取る役割だという認識があったかもしれません。あるいは、経験的に対面営業は難しいから電話営業をする……といったことも。
しかし、そもそも対面営業と電話営業は顧客接点の性質が異なるものであり、目的もめざす成果も別物です。つまり、両者は手法が異なるだけで優劣はないのですが、セールスパーソンのなかには上記のような勘違いをしている人がいるかもしれません。
究極的に言えば、電話営業で顧客の情報やニーズをしっかりと掘り起こし、関係性をきっちりと構築すれば、商談を完結させることも可能なのです。
逆に、電話営業でも対面営業と変わらないのは、やはり「視点」です。計画や戦略に基づく考えを持って顧客と向き合う姿勢があれば、対面でも電話でも、商談成功に結びつけられるはずです。
3.電話営業では役職や年齢は関係しない──フェアな営業活動の展開が可能
当然ながら、電話でのやり取りは音声による対話が基本です。見た目や表情、所作などの視覚的な情報がない分、話すタイミングや言葉の選び方が重要になります。
裏を返せば、見た目や年齢などの影響を受けにくい電話営業はフェアだともいえます。スキルを高めれば20代前半のスタッフでも、40代や50代のベテランスタッフと肩を並べられるのです。
たとえば電話営業のテクニックとしては、あえて間を空けたり、無言の一秒を演出してみたり。電話では最初の数秒が成否の鍵を握っているといっても過言ではありません。対面営業とは異なる電話営業ならではの感覚とテクニックを身につければ、活躍の可能性は大いに広がります。
また、電話営業では、対面営業ではなかなか接点を持てないような役職者に直接商談を行なえることがあります。年齢や職位に関係なく営業のアプローチができるというのは、電話営業ならではの醍醐味かもしれません。
それぞれの営業のスタンスを理解し、脱・勘違いへ
私自身の感覚で言えば、対面営業のときと電話営業のときとでは、まったくの別人格になります。ある種、そのときどきで営業手法に応じた自分を演じているような感覚です。
たとえば、対面営業では必要に応じてこちらの熱意をアピールしたり、顧客の購買意欲を高めるような説明を繰り返したりすることがあります。でも、電話営業では私はやりません。なぜなら、相手がそれをポジティブ・ネガティブのどちらに受け取るか判断しづらいからです。
逆に、電話営業では事実が正しく伝わることを重視しますし、聞き取りづらくないように話し方も変えます。発する言葉数は、対面営業より圧倒的に少なくて良いのです。誤解されたり脱線したりするのを避けるため、ぐいぐい商談を進めるのではなく、小さな一歩を積み重ねていくイメージです。
ここまで説明してきたように、対面営業と電話営業は本質的に別物です。
しかし、どちらも企業としての目標達成をめざしていくために不可欠であり、だからこそお互いの連携が何より大切だと思います。
今回、電話営業の技術的なお話はできませんでしたが、この違いや特性を理解し、成果に結びつけていくためのヒントとして、この記事を役立てていただけるとうれしいです。
