待つ採用から攻めの採用へ。医療機関が抱える人と組織の課題にともに立ち向かう

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──はじめに、医療機関が抱えている人と組織の課題について教えてください。

医療系のテレビドラマなどで「大学医局」という言葉を耳にしたことがあると思います。大学医局は診療だけではなく、医学の研究や医師の教育、人事の役割を持つ組織です。大学医局に所属している医師は、医局と関わりを持つ他の医療機関に派遣され、勤務することもあり、そのような医療機関は自分たちで採用活動をしなくても医師を確保することができるんです。

これまでは待っていれば医師の確保ができていた医療機関も、近年は医師不足などさまざまな理由で大学医局が医師を派遣する余裕がなくなり、その結果医療機関は自ら採用を進めていく必要が出てきました。

自力で採用を進めるにあたり、まず知っておかないといけないのは医師の転職市場です。医療機関が出す求人の数よりも、転職活動をしている医師の数の方が圧倒的に少ないため、医師は勤務先をある程度自由に選べる状況です。医療機関は医師の採用成功のために、さまざまな工夫が必要になってきますが、紹介会社に求人を出す、医局に協力依頼をする、求人広告を出すなど応募を待つような採用手段しかありません。待ちの姿勢であるがゆえに、候補となりうる医師が転職市場に何人程度いるのか、どのように採用活動をしていくべきなのか、どのような改善が必要なのかがわからないという課題があります。

また、どの場所で医療を受けても平等になるよう診療の価格は国によってあらかじめ決められています。国の示す方針により医療機関は体制を変えていくことが基本なので、新しいことを自分たちで創っていきにくいんです。その上、人手不足で採用はもちろん、人材戦略や経営戦略、組織改善など手つかずの状態が多いという課題があります。

──その中でエムスリーキャリアはどのような価値を提供しているのですか。

待つ採用が多い中で、攻めの採用の手段としてM3 Career プライムを中心にサービス提供しています。エムスリーキャリアは転職希望医師の登録実績がNo.1(※)です。その強みを活かし、M3 Career プライムは転職活動中の豊富な医師情報を匿名化された状態で閲覧でき、気になる医師がいれば医療機関からオファーを送ることができます。

これまでの人材紹介会社に求人を出した後は応募がくるのを待ち、紹介を受けた医師としか接点を持てないという一方通行から、医療機関が医師の情報を見て自分たちからアプローチする「攻めの採用」が可能となりました。

ほかにも医師会員32万人以上を有する情報サイトに広告を掲載し、広く求人募集ができたり、ターゲットとなる候補者の希望条件や最新のマーケット動向を把握することで採用計画や人材戦略を立てられたり、そこから経営戦略を立てることにもつながっていきます。

医療機関はこれまでできなかった採用にチャレンジすることで可能性が広がり、医師は医療機関からオファーをもらうことで想像していなかったキャリアの選択肢が生まれるという双方にとって良い価値提供ができます。これらは医師のデータベースが豊富にある当社だからこそ実現できるサービスだと自信を持ってお伝えできます。
※m3.comCAREERでの医師登録数(2023年5月現在)

ただサービスを売るだけじゃない。課題解決の伴走者として選ばれるために

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──セールスコンサルタントの業務内容について教えてください。

顧客は病院やクリニックなど日本全国にあるすべての医療機関です。エムスリーキャリアの強みである人材紹介を通じて医療機関との取引や接点は豊富にあるので、医療機関の採用状況はほぼ把握できています。そこに公表されている行政のデータや、社内の人材紹介コンサルタントが持つ情報を加えて、医療機関の抱える課題の仮説を立てます。

その上で医療機関の担当者との面談を通じて課題を改めて確認し、その課題に対して何をすべきか共有して解決策を提案していきます。M3 Career プライムのサービス内容は採用以外にも多岐にわたるので、顧客ごとに異なる課題に合わせ、アレンジして提案していくこともセールスコンサルタントの役割です。サービスの利用開始後は、M3 Career プライムのカスタマーサクセスや他グループのコンサルタントが主に実行支援を担当します。

──どのようなところに仕事のやりがいを感じますか。

顧客自身が気づけていない課題を見つけて合意ができたときに「そうだったんですよね!」と担当者が心を開いてくれることや、自分が立てた課題の仮説が当たっていたときは嬉しいです。

当社のサービスを利用してもらう前に、顧客の課題整理をして、医療機関が変わらなければならないという意識改革が大切です。それができれば、あとはどんな解決策があるのかを私たちが提案して実行していくだけです。

実行した先には、医師採用の成功があり、地域住民の方々が適切な医療を受けられるようになる。そのような社会貢献につながる仕事ができたときは、非常にやりがいを感じます。

──つまずいたこと、難しさを感じることはありますか。

私自身は、入社半年くらいは成果が思うように出せませんでした。成果が出ていなかったときは、医療機関の困りごとを聞き、サービス内容を説明して、困っているなら当社のサービスを使いましょう!という話しかできなかったんです。本来であれば、困っている背景や原因を整理して合意し、何を変えるべきかを共有した上で支援策を提案することが必要だったのに、この段階を飛ばしていたんです。実際に自分自身で複数の医療機関の採用支援を行ったことで、意識の共有が不足していることに気づいてから結果がついてくるようになりましたね。

私たちのサービスは目に見える商品ではありません。実際の良さを直接見せられず、サービスを利用したときにどういう未来が待っているのかを想像してもらうことしかできないのはとても難しいです。しかし、医療機関をきちんと把握し、問題のある状況と未来のあるべき姿とのギャップを埋めるための手段として、M3 Career プライムを提案するよう心がけています。

今まで導入後に成功してきた医療機関を実際に見ていますし、エムスリーキャリアにしかできないサービスだと自負しているので、自信を持って伝えることができています。

営業を極めたプロフェッショナルになるために。全員でレベルアップを図る

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──なぜエムスリーキャリアを転職先として選んだのですか。

新卒でモバイルのコンテンツを企画・運営する企業に入社し、そこで営業を担当していました。私たちが携帯電話の販売店にインセンティブを支払うことでユーザーにコンテンツを案内してもらい、その後の月額利用料で利益を生み出すビジネスモデルでした。ただ、ユーザーはコンテンツに満足して利用継続しているのではなく、解約を忘れていることが大半だったので、自分の仕事に意義を感じられなくなったことが転職のきっかけです。

当時扱っていたモバイルコンテンツというものは、今の生活をより充実させるためのいわば“嗜好品”でしたが、生活の基盤となることを仕事にできたら社会的意義を感じられるのではないかと考え、医療系の企業にエントリーをしました。

私は福島県いわき市出身で、大地震で被災した経験があります。当時、医療の需要は高まっているのに、福島第一原子力発電所事故の影響で医師が被災地を離れ、適切な医療が受けられない場面を目にしました。さらに家族が医療従事者なので、被災地の医療機関で働く大変さを目の当たりにし、医療業界の課題に直面したことによって、この業界に貢献できたら社会的意義も高いと思ったんです。

営業職でいくつかの医療関連企業にエントリーをしていましたが、誰かが作った商品を営業するだけの仕事はただの物売りだと思っていたので、顧客の課題を聞いてその解決策を自分で作り出せるような営業をしたいという気持ちがありました。エムスリーキャリアは強固な基盤がある中でチャレンジができるので、さまざまな解決策をつくり出す営業ができると思い、入社を決めたんです。

──チームの雰囲気や活躍している方の共通点を教えてください。

20代半ば~後半の若いメンバーが多く、さまざまな業界・職種から転職してきているので、異なるカルチャーを受け入れるのが当たり前です。でも、みんな共通して営業を極めたいと思っているので、同じ方向を向いているチームだと感じています。

全員でレベルアップしてチーム全体で顧客に良い価値提供をしたいという想いから、成功と失敗の共有が自然とできていますね。いつもそんな会話が飛び交っているので、他のグループからは「にぎやかで明るい」と言われることが多いです。

活躍しているメンバーは共通して“自立性”があると思います。ちょっとした会話から情報収集する、自分から聞きにいく、調べにいくことが大事ですね。周囲に助けを求めたら何かしら提供してくれる環境があるので、自立性のある方は成長も早いです。

──メンバーをまとめる上で大切にしていることはありますか。

メンバーとの会話は基本的に未来の話で終わるようにしています。失敗は過去の話で、どうしたら良くなるかは未来の話。過去は一つの経験として捉え、その後の未来の話をしてこそ、成長につながると思っています。

私は決して、楽をしてマネージャーにたどりついたわけではありません。失敗を繰り返していたときの私を知らないメンバーが見ると、優しいだけのマネージャーでも結果は出せると思わせてしまうし、その結果、彼ら、彼女らの成長スピードを遅らせることになるかもしれない。メンバーを想うのなら、愛のある厳しさをもつことも大切だと思うようにしています。

めざすは医療機関のベストパートナー。医療を支える使命感、それが仕事の原動力

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──今後、実現していきたいことはありますか。

医療機関の抱える課題をワンストップで解決できる存在になりたいです。医療機関の担当者は日々忙しいので、抱えている課題に対してどのような解決策があるかを検討する時間はできる限り短くして、その分の時間を患者さんや医療従事者の方々に向けるべきだと思っています。1つの企業に悩みを話せば、なんでも解決できるという姿が理想です。M3 Career プライム以外にも、当社のサービスは多岐にわたります。

今はセールスコンサルタントが入口になり、M3 Career プライム以外のサービスが課題解決につながると思えば、他部門と連携した上で顧客を支援しています。今後はセールスコンサルタントが医療機関のパートナーとして、その時々の課題をワンストップで解決できるようになっていきたいです。


──最後に、どんな方とお仕事をしていきたいですか。

医療が身近な存在である人はそう多くはないと思いますが、医療サービスを受けたことがない人はいないと思います。誰にとっても必要不可欠なインフラとも言える医療業界に貢献できる仕事です。

私たちが良い仕事をすれば、日本の医療や、国民の生活を良くしていくことにつながります。使命感のある仕事がしたい、自分がいるからこそ生まれる価値を創っていきたいという方と一緒に働きたいですね。

この想いがあれば、辛いときにもマイナスをゼロに戻せます。そして、顧客のためにもっと良いサービスがつくれないかと考えれば、新たな創造も生まれるはず。そのような方がジョインしてくれたら、チームに良い影響を与えてくれるだろうし、会社も成長していけると思います。