「抽象論に逃げない、線を引かない」──企業変革のサポートで大切なこと

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▲2015年に新卒入社し、現在ではマネージャーを務める南場

エル・ティー・エスの関西事業部で、コンサルティング業務に携わる南場。関西事業部のマネージャーとして、現在は、大阪の化学系製造メーカーのコンサルティングを担当しています。

南場 「エル・ティー・エスは、デジタル時代における企業の変革活動をサポートする、コンサルティングサービスを提供しています。 コンサルタントとして私の主な役割は、お客様の企業のプロジェクトに入り、それを遂行する“デリバリ”です。具体的には、DXの導入・推進に際して、組織・業務・人をどう変えていくかともに考え、ご支援し、自走できる体制を整えます。そして、現在担当する大阪の化学系製造メーカーは、エル・ティー・エスと長いお付き合いのあるお客様です」

これまで、多くの企業変革の場を経験してきた南場が、企業のサポートにおいて大切だと考えていることは、ふたつあります。

南場 「ひとつめは“抽象論に逃げないこと”です。これは私の過去の経験からの教訓です。あるプロジェクトで私は、IT導入の企画・構想フェーズを担当しており、システム導入後のあるべき姿をクライアントに提示しました。その際はクライアントからよく整理できていると評価いただいたものの、後にプロジェクトが実設計に入った際、そこで描いた構想をうまく実現化させることに大変な苦労を要しました。

というのも、当初私の描いた構想は、見かけは綺麗であるものの、現場理解や情報収集が甘く、リアルな業務の姿をイメージできていないものでした。この経験を通じて私は、一見それらしく見える抽象的な言葉で資料をまとめるのではなく、現場を理解し、現場の声に裏付けられた、血の通った“あるべき姿”を描く必要性を痛感しました。そういった意味で“抽象論に逃げない・抽象論で終わらせないシステムづくり”にこだわります」

企業のサポートにおいて大切なふたつめは、横断する課題の解決に関わることです。

南場 「ふたつめは“線を引かないこと”。これは、自分の領域の仕事をしっかりとこなした上で、他の領域にも当事者意識を持つ、といった意味合いです。例えば、チームに分かれてプロジェクトを進める際、チームを横断する課題が発生することがあります。そういった課題への取り組みが曖昧になったり、放置されたりする事態は避けなければなりません」

企業変革のサポートに細やかな気を配り、労を惜しまない南場。そんな姿勢の裏には、若き日に採用説明会で聞いた“ある言葉”が関係しています。それは、南場がエル・ティー・エスへ入社するきっかけともなった言葉でした。

ちゃんとした“人格”を備えたコンサルであれ──入社を決めた言葉

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南場は、学生時代にコンサルタントの仕事に興味を抱きました。しかし、疑問を感じる点もゼロではなかったといいます。

南場 「コンサルタントの仕事に興味を抱き、書店で就活本などを見てみたところ、ロジカルさが非常に評価されている印象を持ちました。また当時、フェルミ推定など、論理的思考を意識した就活が流行していたのです。ロジカルであることはもちろん大切ですが、それと同時に、人として信頼される人間でありたいとの想いを抱えていました」

南場は、そんな気持ちを率直に就活サポート団体へ話します。すると「それならエル・ティー・エスっていう会社が合うかもしれない」と教えられました。

南場 「興味を持って採用説明会に参加したところ、社長のお話が非常に印象的で。『わが社は優秀なコンサルタントを目指すが、それだけではない。ちゃんとした人格を備えた“人間としての優秀さ”も目指したい』──そういった内容でした。この話に私は非常に共感・納得したことを覚えています」

ロジックだけでなく人間力も大切にするエル・ティー・エスの社風に心動かされた南場。さらに、面談・セッションを7〜8回も重ねたことで、人を大切にする企業という印象を強くしたといいます。面接を重ねた南場は2015年、エル・ティー・エスへ新卒入社しました。

南場 「入社後、グループ会社をひとつの会社に集約する業務を担当しました。各社の業務を、ひとつの拠点に集約して、効率化を図る業務です。まだ新人で、できることは限られましたが、実際の企業変革の場に立ち会い、どのようなサポートが必要かを知ることができた、貴重な経験でした」

次に南場が担当したのは、M&Aに伴う経営管理業務の再構築支援。企業に常駐し、社員たちと交流を深める中で、現場の重要さを強く意識するようになりました。

南場 「この案件は、買収先企業の内部統制や予算編成・分析といった経営管理制度を再構築するプロジェクトでした。そこで私は当初、毎月の滞留在庫の分析や経営層への予実差異のレポーティングといった、現場の実業務代行を多く担当していたのです。この仕事は課題の発見に役立った反面、現場の業務ばかりだったので、『コンサルっぽくないな』と感じる部分がゼロではありませんでした」

しかし、この経験を通じて現場業務を学びクライアントの信頼を獲得したことが、後に、経営管理の業務改革といった新たな支援獲得につながりました。

南場 「1年ほど実業務を担当できたことで、現場の業務を誰よりも詳しく理解することができ、同時に、お客様が何に課題を感じているかもよりリアルに把握することができました。上司の協力も得ながら、現場で感じた課題を整理して改善提案をまとめてクライアントに報告したところ、その内容を評価いただき、それが新たな案件(経営管理業務改革)をまかせていただくきっかけとなりました。

現場をちゃんと知った上でコンサル業務を考える、抽象論に逃げないという教訓は、このときに得られたのです。このことは、その後のコンサルタントとしての成長にもつながる重要な経験でした」

現場に飛び込み、抽象論に逃げない──これは、お客様へ寄り添うことにほかなりません。お客様に対し、さらに寄り添いたいと考え、後に南場は拠点を移すこととなるのです。

関西へ異動した理由は、「さらなるコミュニケーション」を求めたから

M&Aに伴う再構築支援の業務に携わった後、南場は2018年から現在まで、大阪の化学系製造メーカーのコンサルティングを担当しています。

南場 「M&Aに伴う再構築支援の業務では、主に業務サイドから改善のサポートを担当しました。一方、今回は、基幹システムの導入サポートを通じて、ITシステムサイドから改善のサポートを担当しています。具体的には、IT導入における会計領域のリーダーとして参加しているのです」

大阪の化学系製造メーカーのコンサルティング業務は、チームに分かれて進められました。そこで発生した問題により、南場はある気づきを得ます。

南場 「チームに分かれたことで、それぞれの領域の間で課題が溜まってしまったのです。そこで、私は1度会計領域から離れて横断チームを立ち上げ、領域間の課題に対処しました。

この経験により“線を引かない”という教訓が得られましたし、販売・生産など、会計以外の領域についても現場の業務や課題をより深く把握することができました。さらに、プロジェクト全体を俯瞰して見ることができるようになったのも大きな収穫です」

南場は当初、東京からプロジェクトに参加。しかし、2020年に自ら関西事業部への異動を願い出て、生活の場も大阪に移します。それは、メンバー、そしてお客様とのさらなるコミュニケーションを求めた結果でした。

南場 「週2回ほどは大阪に通い、あとはオンラインで業務を進めることもできました。しかし、オンラインでは現場の空気感が共有しきれない部分が正直なところあります。そうであれば、いっそ異動しようと決意しました。

ちなみに、エル・ティー・エスでは、社員の意志が尊重され、基本的に自分の希望で異動が決められるのです。実際に東京から来たほかのメンバーも全員、自分の希望・意思で、関西事業部へ異動してきています」

現地で現場の空気感をしっかりと共有し、さらにスムーズなコミュニケーションを実現したことで、プロジェクトの立て直しに成功。要件定義、データの移行を経て、システム導入の最終準備に入りました。この案件を通じて南場は今、新たな想いを抱いています。

コンサルはロジックだけじゃない。“他者に対する興味”が必要だ

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2018年から、大阪の化学系製造メーカーのコンサルティング業務を担当する南場。2020年には、お客様に近い関西事業部へ異動し、サポートに尽力した結果、2023年にシステム稼働の見通しが立ちました。

南場「今回の業務を通じて、最も感じたのは“お客様にとっての一番の課題、支援が必要な部分を考えた上で、柔軟に自分の役割を変えていくことが大切だ”という点です。立場に固執しすぎず、目まぐるしく変わる課題を察知して対処する。こうした姿勢は今後も忘れないようにしたいです」

変化する課題を察知するためには、“他者に対する興味が不可欠”だと南場は語ります。

南場 「お客様の考えや困っていることがわかれば課題解決につなげることができますが、それらを全て言語化していただくのは難しい。ですから、言語化されていない考えやお困りごとを、五感で察知することも非常に重要だととらえています。

だからこそ、型通りのロジックだけに頼らず、常に他者に対する興味を絶やさず、一歩踏み込んだコミュニケーションを続けていきたいですね」

一歩踏み込んだコミュニケーションはお客様のため、そして自分の成長のためにも必要だと考える南場。関西の事業部長と話した際に、その点で共通認識が得られて、嬉しかったといいます。さらに南場は、エル・ティー・エスの他のメンバーとも、多くの共通認識を持っていることに気付きました。

南場 「エル・ティー・エスは、20周年に向けた取り組みをしています。そんな20周年活動の中で、『あなたにとって成長とは』、そして『成長するために会社に求めることとは』という話題が出たのです。

私にとっての成長、と聞いてパッと思い浮かんだのは、『お客様の課題を解決できるようになること』でした。その場に15人ほどメンバーがいたのですが、私と同じ考えの人が多かったですね。一般に『成長』というと、自身のスキルや知識の向上をまずイメージすることが多いと思いますが、そうした自分起点ではなく、顧客や顧客の課題起点で成長を捉えているメンバーが多かったことが印象的でした」

また、「成長するために会社に求めることとは」という問いについても、メンバーで共通認識が得られました。その答えは、「場所」です。

南場 「会社に求めるものは『お客様の課題に触れ合う場所』『課題が得られる場所』という意見が多く挙がりました。そして、会社がさらに、そんな場所になるといいよね、とメンバーと話し合いました」

「お客様の課題に触れること=メンバー各自の成長」。そんな好循環を生み出すのが、エル・ティー・エスという“場所”です。南場は、今後もそんなエル・ティー・エスのポジティブな風土を担いながら、お客様のベストパートナーとなるべく、コンサルタントとして、また人間として、さらなる成長を目指しています。