「Social & Public」実現に向けて──ビジネス手法を学ぶため出向を決意

▲「Social & Public」チーム マネージャーの日野浦 弘樹

2002年の創業以来、順調に成長を重ね、企業の業務変革や働き方改革、DXの支援などを行なっているエル・ティー・エス。“可能性を解き放つ”というミッションを掲げ、それを社員に対しても、顧客に対しても徹底して実践してきました。

日野浦「エル・ティー・エスでは、契約期限が終了して顧客企業のもとからコンサルタントが離れた後も、顧客企業が自ら変化し続けていくための土壌をつくり、成長支援を行なっています。つまり変革の種を蒔いて、それを芽生えさせることに尽力しています」

2021年、社内に「Social & Public」というチームを立ち上げ、社会課題の解決に向けて活発に活動している日野浦。社会構造や出生の境遇など、個人の努力とは関係ないところで制約を受けている人々の“可能性を解き放つ”ことをミッションに、日々チームメンバーと議論を重ね、実現に向けた取り組みを行っています。

日野浦「そもそも、社会課題を解決するような事業を作りたいと思っていたんです。そして、志を同じくする同志と呼べる社員がエル・ティー・エスにはたくさんいるように感じたことが、入社の決め手でした。しかし当時、エル・ティー・エスには社会課題を解決するような事業・サービスがなく、それを実現するためのチームを自分で立ち上げたいという意気込みを持っていました」

日野浦は入社してまず、複数のコンサルティング案件を担当。これを成功させることで腕を磨き、同時に社内外の信用も勝ち取っていきます。ところが、そのままの延長線上でコンサルタントとして努力を続けても、すぐには自分が作りたいチーム立ち上げにはつながらないと感じたといいます。

日野浦「一定の力が身につき、マネージャーに昇格もしました。そこでいよいよ、チーム立ち上げに向けて加速したいという思いから、新規事業の創造や戦略立案について学ぶために、外部企業へ出向したいと申し出たんです。

ところが当時、出向の前例はありませんでした。社員を出向させるには、制度設計に始まり、細かな調整が数多く発生します。出向先に受け入れ態勢を用意してもらうのも大変ですが、出向させる側にとっても、所属部署の成長などを考えると、人を外に出すというのは勇気のいる決断だったんです。

それでも、多くの人に協力していただいたおかげで、出向が実現しました。その甲斐あって、出向先では実に多彩な学びを得ることができたと思っています」

メンバーが集結し、社会課題の解決につながる“場”の生成に手応え

▲RING HIROSHIMA(HIROSHIMA SANDBOX)事業プロセス

エル・ティー・エス帰任後に立ち上げたチームのメンバーは、当初、日野浦を含めてふたり。その後、経験値の高い人材を新たに採用したり、日野浦と同じ想いを持つ仲間を社内から招集したりするなどしてチームを大きくしていきます。

日野浦「メンバーの経歴、専門は本当にさまざま。ですから、日々、何かしらの新しい知見を得ることができています。皆が『社会課題を解決するため力を尽くしたい』という想いを共有し、そのために必要な力も持っている。もちろん、人間ですから強みや弱みといった凸凹はあるんですが、それらをうまく組み合わせて集合知によって天才になれる、そんなチームです」

チームとして最初に取り組んだのは、地方で立案された案件でした。社会課題を解決しようという意欲を持つ“挑戦者”と、それを支える“セコンド”を支援し、現地にイノベーションを起こしていくというプログラムです。日野浦たちが行なったのは両者のマッチング、それから彼らが両輪としてうまく走っていけるよう支援していくことでした。

日野浦「それはいわば、その“場”自体、コミュニティそのものをプロデュースする業務だったと感じています。関係する人それぞれのカラーを生かしつつ、社会課題解決に向けて動いていけるような環境作り。その点を最も大切にしていました。

通常、このようなシステムでは、挑戦者とセコンドが“1対1”でつながり、各チームが成長するという形態を取りがちですが、この案件での関係は“n対n”。挑戦者同士、セコンド同士も関係を持ち、全体で成長を目指すスタイルができ始めました。

つまり、私たちが案件から抜けた後も彼らの成長は続く。誰もが挑戦者になれるし、誰もが挑戦者を応援できる。つまり誰一人取り残さず、誰一人独りにしない、そんな理想的なシステムができあがっていったんです」

誰かが指導者になるのではなく、互いがパートナーとして活動を続ける。そのための力を引き出すためのサポートをするのが自分たちであり、それが高く評価されたと日野浦は語ります。

日野浦「実はそれは、私たちのチームにおいても同じ。それぞれが持つポテンシャルを高め、引き出し合い、仲間としてチームの質を向上させていく。時間はかかりますが、そのほうが将来的なインパクトは絶対に大きいと思います」

本当にやりたいことだけを。互いの想いをすり合わせ、目指す世界をひとつに

▲チームメンバーとのオンラインMTGの様子

チーム「Social & Public」は、2022年2月現在も新しい領域のR&D(研究開発)に取り組んでいます。

日野浦「正直なところ、R&Dの芽がいつ出るのか、まったくわかりません。先が見えない部分も多いのですが、このチームのメンバーだったら多分なんとかなる……そういう感触は持っています。事実、何かを芽吹かせる種は確実に増えていて。

だから悲観的に計画を立て、楽観的に行動をするのが常ですね。『絶対にこれはうまくつながる』と信じて行動すると、結局いい結果が生まれてくるというか。どんな案件であっても成功する、成長できるという確信が根底にありますし、自分のやりたいことをやれているので、メンタル的に辛いと思うことはないですね」

そしてそれは、他のメンバーも同じ。このチームでは、自分たちが「本当にやりたい」と思った案件しか取らないというルールを徹底しています。そうすることで、各々の持つ力が最大限に発揮され、成功へと導かれると信じているからです。

日野浦「一般には、10の案件があれば、そのうちひとつでも大きく成功すれば良しと捉えられるでしょう。しかし私たちは、100の案件があればそのすべてを成功させ、しかも皆が成長するという結果を残すことを目指しています。生き続け、成長し続けるコミュニティの構築。やはりそれが、理想形だと感じています」

日野浦のチームは、常に進化し続けています。立ち上げ当初と比べ、互いの想いのシンクロ度合いが格段に高まってきていることが、その何よりの証です。

日野浦「最初のうちは専門分野が違うこともあり、いわば異なる言語で話しているような感がありました。けれど、各人の持つ背景、将来的に目指すもの、今の考えに至るようになった原体験などを共有することで、共通言語のようなものが生まれ、チームとしての力も大いに磨かれた。“1+1=2以上”になる瞬間が得られる、本当にいいチームに近づいてきたと思います」

マインドの共有は意図的に、時間をかけて行なったという日野浦。各人が自分のすべてを開示して、ときに互いのプライベートな領域にも入り込みながら理解を深めていったといいます。このように、立ち上げ直後にチームビルディングをしっかり行ったことが、現在のチームの姿、実力を形作るひとつの要因になっているのです。

会社、社会にとって財産となる、社員が本当にやりたいことができる環境を

日野浦「社会課題を解決するには、公共、民間企業、非営利セクターなどがボーダーを超えて有機的に連携することがマストです。私たちはそのつながりを作るコンサルタント、ビジネスプロデューサーでありたい。ですから、セクターどうしを互いに連携させる作業はかなり意識的に行っています」

そうした連携を、今後はグローバルでも展開したいと日野浦はいいます。

日野浦「社会課題はグローバルに存在するものですし、世界にはいろいろな知見がある。そんな中、国内だけで動いていたのでは課題解決の力としては足りないし、解決策が見つかる可能性も低くなる。ですから、グローバルで民間企業や各セクターともつながり、その間を自由電子のように自分たちが飛び回って、何かしらの種を芽吹かせるための土壌を醸成していけたらと考えています」

そんな彼らの存在は、エル・ティー・エスにどんな貢献をもたらすのでしょうか。

日野浦「社会から求められる存在になることは、会社にとっても必要なことです。その意味で、社会課題に向き合う姿を見せていくこと自体が、チームの存在意義であり、会社への貢献になると思っています。また、社内的にいえば、社会課題を解決する力になりたいと望む人材が活躍する場を作ることができました。素晴らしい人財を引き付ける求心力が生まれていると思っています」

実は日野浦のチームがなかった時代には、社会課題の解決に力を尽くしたいと願いながら、社内に活躍の場がないことを理由に会社を去った社員もいました。別の場所で社会課題の解決と向き合い、よりいっそう力をつけたであろうかつての同僚たちに、今こそ日野浦は「その場ができた」ことを伝えたいと話します。

日野浦「社員が本当にやりたいことをできる環境は、社員の“可能性を解き放つ”ことに直結すると考えています。それができる会社はとても魅力的に映るはず。採用などの面でも、一定のメリットを提供できているのではと思っています」

日野浦が社内に作り出した、新しい“場”。それは、会社からも社会からも、渇望されていたものです。開かれた活路に、今後どんな仲間が集まるのか、楽しみでなりません。