方法論もフレームワークもない——手探りで答えを出すからこそ、おもしろい

▲Strategy & Insights部門マネージャーの松尾 由香里

私が従事しているCRM改革支援の特徴として、業務範囲がとても広いことが挙げられます。CRMの企画立案支援や、営業支援システムの導入サポート、BPOパートナー選定のお手伝い、マーケティングオートメーションの導入支援、ランディングページの改善など……いわば上流から下流まであらゆる工程が含まれます。

それぞれの工程を最適化していくことで、結果的に企業様のファンを増やし、売上拡大をはかるという大切な役割を担っています。

かつて、“顧客対応は大切ではあるものの、陰から主役を支えるような役割 ”という考え方がありましたが、今となれば過去のものになりつつあります。CX(カスタマーエクスペリエンス)やLTV(ライフタイムバリュー)といった顧客満足に関わる指標に関心が集まるようになって以来、営業支援システムとともに、CRMもまた、営業力強化を実現するための重要なソリューションのひとつと考えられるようになってきました。

たとえば、「BtoB向けの製造業においてブランドを立ち上げ、ファンを獲得し利益を拡大していく」という目標があるとします。当然、獲得したい顧客のターゲットや、達成したい売上目標などを持って施策に取り組むわけですが、そのとき、CRMの観点で行うべき施策は何なのか、そのためにはどんなインフラ構成が必要で、どんなデータを収集する必要があるのか……そういったさまざまな工程において課されるお題に一つひとつ答えを提案していかなくてはなりません。

企業の数、案件の数だけ答えがあるため、ケースごとに臨機応変な判断と最適解が求められます。すべての企業に当てはまる方法論やフレームワークがない中で、毎回手探りで答えを導き出していくところがCRMに関する仕事の難しさであり、同時におもしろさ、やりがいだと感じています。 

また、この業界には、日本固有のルールには縛られないという特徴もあります。おそらくどの業界にも、国内独自の“ローカルルール”や慣習があると思いますが、CRMの領域には、日本でしか通用しない決まりごとがほとんどないんです。

共通基盤となる規定や専門用語、基本的な考え方といったベースの部分は全世界共通で、違うのは言語だけ。業界に携わっている人であれば、初めて会う人同士でも国籍に関係なくすぐに仕事の話をすることができるんです。

そのため、活躍の場はおのずと海外へと広がります。私も前職時代含め、タイ、インドネシア、シンガポールなどさまざまな国で業務に携わってきました。アウトソーシングの国際団体のカンファレンスなどに参加するときなど、この業界のグローバルさを実感します。

課題解決のプロセスはチームや企業の枠を超えて。情報網と人脈形成が生命線

近年のCRM業界では、テクノロジーの積極的な活用や構築メソッドなどの開発が高速で進化していることから、日々の情報収集がますます重要になってきています。そんな中、より多くの、またより質の高い情報をキャッチし、好ましい成果を導き出すためには、チームの枠を超えたコミュニケーションが欠かせません。

たとえば、企業のCRM改革を支援する際、データサイエンティストのチームとプロジェクトを進める機会が多くあります。統計やアルゴリズムといったデータと共に施策を分析・活用することで、精度の高いプロセスやオペレーションが可能になるからです。

また、CRMのプロセスを進める中でトラブルや課題が生じたときは、社内だけでなくコンプライアンスに則った形で外部の有識者にアドバイスを求めることもあります。というのも、私がエル・ティー・エスに入社してから、社内ではなく、社外メンバーと一緒にプロジェクトに携わることが多いんです。

そのため、情報交換のためのネットワーク構築には日頃からとても力を入れています。実際、CRMシステムのベンダー様や、BPOを主軸にされているパートナー企業様のおかげで、私たちが追いきれない情報を得られているケースが少なくないんです。そうしたさまざまな立場でCRMに関わる社外の方とのコネクションや人脈作りが、プロジェクトの成否を分けるといっても過言ではありません。

CRM改革支援の業務領域は広く、またとても変化が激しい業界です。企業も社会もスピーディーに変化していくため、同じ進め方が通用するプロジェクトはふたつとありません。世界のトレンドを正確に把握したうえで、その一歩先を見越したアクションが常に求められます。いわば、“誰もやったことがないことに対して成果を出す”ことが私たちの役回りといえるかもしれません。

先入観を捨て、観察する——上流から下流まで目配りできるのが強み

CRM業界に長く在籍している私が大事にしていることがふたつあります。

ひとつは、“先入観を持たない”ことです。業界歴が長くなってくると、良い意味でも悪い意味でも経験を積み重ねることで、「こういう場合は、きっとこんな結果になるだろう」と結論を急いでしまいがちです。

しかし、実際には裏付けとなるデータをきちんとチェックして、本当のところはどうなのかを確認する工程がとても重要になります。言い換えれば、“常に答えを疑う”ことで、プロジェクトが向かうべき正しい姿が導かれると私は思っています。

もちろん、それを実現するためには、「これまでのやり方が間違っていた」と気づいたときに、そこまで積み重ねてきたものすべてを捨てる覚悟も必要です。

私が大切にしているもうひとつのことは、“現地での調査、観察を怠らない”こと。これは、経験から学んだ教訓です。インドネシアであるプロジェクトを担当した際、私たちにとって常識だと思っていた方法が現地ではどうにも受け入れられず、そのやり方では思うような成果につながらないと痛感したことがありました。

とくに海外案件の場合、電話やメールで説明してもらった内容と現場の状況が異なるのはよくあること。そのため、時間の許す限り足を運んで現地のメンバーと席を並べ、彼ら、彼女らが何を見て何をしているか……実際にツールやシステムを動かすメンバーの行動をよく観察することにしています。そうすることで、たとえば、あらかじめ規定されたプロセスやルールと異なるアクションを実行するメンバーの行動の背景にあるものが少しずつ見えてくるなど、課題解決につながることが少なくないからです。

こうした現場調査を非効率と思う方もいるかもしれませんが、プランの実現可能性に関わる重要な過程だと私は思っています。これまで10年間、誰よりも多く現場に足を運び、自分の目で現地の状況を見てきました。実際、現場でヒントを得ることは多く、そうやってCRMの領域の上流から下流までをしっかり見られることが、エル・ティー・エスのアドバンテージだと思っています。

CRM改革支援のリーディングカンパニーへ

DX時代を迎え、CRMが担う領域が急速に拡大すると共に、変化するスピードは激化するばかりです。

たとえば、ひとつの処理をするのに5分かかっていたものが、技術の導入によって自動化されるようなケースは枚挙にいとまがありません。システムやツールなどの規格も頻繁にアップデートされていくため、あらゆる方面にアンテナを張り巡らせておかないと、たちまち時代遅れのプロセスを作ってしまうことになります。

また、国内のトレンドだけを追いかけていては不十分です。アメリカやヨーロッパはもちろん、近年発展の目覚ましい東南アジアやアフリカでテクノロジーの進化が起こり、それにともなって新しいトレンドが生まれ、日本に入ってくるケースも少なくありません。

残念ながら、コロナ禍によって海外での案件の動きがいったん止まってしまいましたが、CRMの市場規模は今後ますます拡大することが予想されます。顧客とのエンゲージメントの自動化やパーソナライズの流れ、CXの改善への関心が高まり、CRMソリューションの需要は今後急激に上昇していくはずです。

そんな中で、私たちが業界内で存在感を発揮し続けるためには、先進的な取り組みをしている国々の事例の収集・研究が欠かせません。そうやってナレッジを蓄積・共有しながら、積極的にクライアントへ還元していくことが何より重要だと考えています。

数々のプロジェクトの成功を受けて、同領域でのエル・ティー・エス独自の取り組みは、業界トップクラスのクライアントからも評価・信頼を得ています。さらなる躍進のために、これからのCRM市場を私たちと一緒になって盛り上げ、共に成長していける方と出会えることを、楽しみにしています。