転職して感じた、“ポジティブ”なギャップ
──これまでのキャリアと入社のきっかけを教えてください。
前職では、大学教員として働いていました。講義やゼミ指導など、教員と聞いて想像するような仕事に加えて、大学運営の業務も担っていました。
大学から民間企業へとキャリアチェンジした一番の理由は、分析の仕事に注力したかったからです。専門にしていた社会心理学の研究の中で、データを用いて人の行動を分析していました。
データ解析でよく使われる言語の中で、とくに自分にフィットしていたのがRという言語。Rのコミュニティでプレゼンをしたり、資料を展開したりと、名前もそれなりに広がって「この世界で受け入れてもらえるのなら、本職にしたい」と思うようになりました。加えて、故郷の福岡に帰りたい気持ちも芽生えていたときに出会ったのが、LINE Fukuokaでした。入社の決め手は、「一日中コードを書いて、一日中データをいじれるよ」という紹介者からの言葉です。教員時代と一転して、興味のある領域に打ち込むことのできる環境は非常に魅力的でした。
入社して感じた一番のギャップは、時間の流れ方です。プランからアクションまでのスパンが本当に短いことに驚きました。「やりたい」と思ってアクションをすると、それがすぐに形になる。前職では調整や承認までの時間が長かったので、入社直後からポジティブなギャップを感じました。
“データアナリティクス”と“AI活用”
──業務内容について教えてください。
LINEには多様なサービスと、多くのデータがあります。サービスのログや利用動向などのデータを横断的に処理し、高度なデータ分析や機械学習を活用することでLINEにおけるさまざまなサービス・事業の成長を強力に後押しする専門組織がData Labsです。
Data Labsの役割は大きく二つに分かれます。
一つ目は、データアナリティクス。たとえば、社内に蓄積されているデータを安定的に分析できる形にして、各事業・業務・部署において、KPIに設定している指標の推移をモニタリングをします。その上で、KPIを上げるために次はどんなことを分析すべきか、その要素を深く追究します。統計学なども活用しながら、次に取るべきアクションを提案し、PDCAをしっかりと回していくために、必要な情報提供を行っています。
二つ目はAI活用、機械学習を用いたモデルの構築です。代表的な例は、そのユーザー一人ひとりにあったものを提供する“レコメンデーション”です。過去の利用データを参考に、ユーザーにおすすめを提案するものです。ほかにも時系列データを元に将来予測をするモデルを構築したりします。
これらの役割を、データサイエンティストや機械学習 エンジニアが担っています。また彼らが十分に活躍するためには、データエンジニアリングやアナリティクスエンジニアリングなども必要で、これらのスキルを持ったメンバーも在籍しています。
私自身が印象に残っている仕事は、入社して間もないころ、とあるサービス成長に関する分析を担当したことです。その中で、主要な指標・KPIの時系列を予測するシステムを、実行環境の構築含めほぼひとりで組む経験をしました。実現するためには、統計学やインフラまで、多様な知識が必要でした。前職時代に趣味でやっていたことや、個人的に勉強していたこと、転職してから勉強したこと全てを組み合わせて実現でき、「データサイエンティストらしいことをやれた」という実感を得ました。
直近では、サービスの分析ではなく社内業務のデータ可視化プロジェクトにも大きなやりがいを感じています。本件には、開始時点からデータに関する技術側の専門家として参画しており、Data Labs以外のメンバーとも議論しながら、LINE Fukuokaの業務改善を目指して日々取り組んでいます。社内向けだからこそ得られる手ごたえや成果がありますし、この業務に興味を持ち入社する方も増えており、チームとしても重要視しているプロジェクトの一つです。
莫大なユーザーを有するサービスブランドと、社内の業務改善を一手に担う
──Data Labsの特徴や働く魅力を教えてください。
LINEが展開するサービスはユーザーが圧倒的に多く、得られるデータ量も膨大です。データエンジニアのキャリアを考える上で非常に魅力的な環境だと思います。また、特定のサービスのデータ分析を担う場合でも、サービスを超えて連携したり、他サービスのデータを参考にしたりと、LINE全体のノウハウや知見を活用できるのは大きな強みです。
また先述の通り、サービスの分析に留まらず社内の業務改善の両方を手掛けることができることは、稀な組織だと思います。業務改善は外部のコンサルタントに外注される企業も多いですが、そうすると、現場のニーズがわからなかったり、必要なデータが取れなかったりして、コミュニケーションコストがかかってしまいます。また、社内のメンバーではないので、ユーザーである社員とワンチームになりにくいという場面が多く見受けられます。
一方Data Labsは、あくまで社内の組織です。社員が普段どんな仕事をしているか理解しており、コミュニケーションも取りやすい。そして、同じ会社のメンバーですから、共通のゴールを立てられます。一体感を持って仕事ができることはもちろん、評価も実感しやすく、データサイエンティストとして非常に魅力的な環境です。
そして、LINE Fukuokaの仕事は“これから”の部分が多い。プロジェクトを自分の手でビルドアップしていくことができるのは、技術者としてとても学習機会・成長機会に恵まれていると感じます。
リスペクトし合い、ゴールを共有できるチームを目指して
──どんな人と一緒に働きたいですか?
何よりも共に働く人へのリスペクトを大切することが重要だと考えています。入社後は、知識、技術、文化、役割、ライフスタイル、環境、何もかも違う人たちと、一緒にプロジェクトを進めていく機会があります。部署や組織を超えて協業し、目的を達成するためには、根底でお互いに信頼やリスペクトを持つことが必要です。
また、Data Labsにおいて成長速度が速いのは、視野を広く持てる人です。LINEグループにはさまざまなサービスや部署があり、自分だけのルールや自分だけの観点では、根本的なイシューに対してアプローチするのが難しいと感じます。視野を自分の役割から少し広げたり、視座を高く持ったりして、普段より多い観点から自分の仕事を眺めてみる。そのように必要に応じて視野や観点を変えられる人は、今すべきことや必要なものが見えてくるので、成長します。
また、仕事をする上でヒントになるのが、“LINE STYLE”という11項目の行動規範です。これは、LINEグループの社員が仕事をする上で、意識すべき指針として置かれているもので、私がとくに好きなのが、“Enjoy the Challenges”です。
これから加わるメンバーにも、自分の置かれている環境を楽しんでほしいと思っています。そのために、チャレンジすることはとても良いスパイスになり、達成したときには、大きく成長します。仮に失敗したとしても、私たちはチャレンジしたことに対して「ナイスチャレンジ!」と返します。
私がData Labsでやりたいと思っていることの一つは、データに関するあらゆるイシューに対してソリューションを提供できるようなチーム体制を作ることです。データを使い、イシューを解決するための、総合的なチームを思い描いています。サッカーにたとえるなら、私たちの扱うデータはまさにボール。ゴールを決めるためには、データサイエンティストや機械学習エンジニアのようなフォワードだけでなく、全体を見通す司令塔、後ろ側で守りを固めるディフェンダーが必要です。あとは、相手チーム、すなわち案件に合わせて作戦を練る人も欠かせません。
“Data Labs”という名前を冠する以上は、データに関するあらゆることができる組織を名実ともにつくり上げていきたいと思っていますし、社内ではすでにその役割を期待される存在になっていると思いますね。