2年目のタイミングで、入社のきっかけでもあったクレド委員会に参加
KOMEHYO名古屋本店本館は6つのフロアに分かれていますが、常田はメンズカジュアルファッションを扱う5階のフロア運営と販売・買取り業務を主に担当。アルバイトを含めたスタッフの業務管理や指示・教育をはじめ、フロアのレイアウトや企画などにも携わっています。
常田 「5階はカジュアルな商品が多いため、若いお客様も入りやすいフロアです。そのため、フロアの展示はファッション感度の高いお客様がお探しのトレンドアイテムを全面に押しだし、セレクトショップのような構成を心がけています。
また、定番アイテムなどは、量感を伝えられる場所を作るよう構成しています。そのようなフロア構成に対する意識をスタッフと共有できるように、コミュニケーションを密に取って、レイアウトを一緒に考えることも徹底しています」
売れ筋の多くが定番商品であるハイブランドファッションとは異なり、カジュアルファッションブランドは流行の移り変わりが激しいことが特徴です。そこで、ファッション好きでトレンドに詳しいアルバイトスタッフの声を取り入れたり、ファッションに関するSNSやファッションメディアなどを見たりして、情報のキャッチアップを図っています。
常田 「リユース品は1点ものです。そのため人気アイテムをどれだけ揃えられるかは買取の状況で変わるため、商品の展示を工夫する必要があります。アウトドアやストリートなどのカテゴリーで分けたときに、有名なブランドや定番のアイテムをしっかりと押さえつつ、他のアイテムを組み合わせてフロアをどう魅力的に見せられるかを考えることが楽しいですね」
また、鑑定士としてファッションアイテムの買取りも担当していると言います。
常田 「買取りはファッションアイテム全般なので、メンズ、レディース問わずすべて担当します。持ち込み内容はカジュアルブランドからハイブランドまで幅広くありますので、豊富な商品知識を身につけることは普段から意識していますね」
店舗での業務と並行して活動しているのが、クレド委員会です。クレドとは、従業員が仕事をする上で大切にする考え方、行動指針です。就職活動中にクレド委員会があることを知って以来、いつかは自分も加わりたいとチャンスを狙っていました。
常田 「会社としてクレドを大切にしているというのを知ったことが、コメ兵に入社を決めた理由の一つでした。入社2年目になるタイミングでクレド委員会の新規メンバー募集があったので、ぜひやりたいと手を挙げました。クレド委員会では事務局と合わせて10人ほどのメンバーで、会社にクレドを浸透させる活動を行っています」
委員会の中で最年少だと言う常田。全国の委員会のメンバーとオンラインも活用しながらミーティングを行います。クレド委員会の取り組みのひとつに、クレドに基づく行動をした人を称賛し共有するしくみ作りがあります。
常田 「さまざまなクレドに基づく行動をした人たちのエピソードが集まり、その中から厳選された5人が『クレドファイブスター』としてして年一回表彰されます。その候補者を選ぶのも、クレド委員会の重要な仕事です。
現在は紙だけでなく、オンラインのフォームを利用した投票ができるようにして、投票しやすい環境を作りました。そのため、2021年度は3000枚だった投票数が、2022年度は投票枚数が年間で1.4倍と増加しました。集計するのは大変ですが、気軽に投票してくれる雰囲気ができつつあると思うので、うれしい悲鳴ですね」
NPOでの活動を通して、既存資源を利用するビジネスへの関心が高まる
常田が大学時代に専攻していたのは教育学。母親が教師だったことから、自然に興味を持ったと振り返ります。将来は教師になるつもりで、小・中学校の教員免許も取得しました。
常田 「勉強以外にも何かやりたいと思っていたときに、子どもや若者への支援を行うNPO法人を立ち上げた先輩がいて、そこに加わり活動していました。母子家庭や生活困窮世帯の子どもに対して、塾のように勉強を教える活動や、空き家を活用した子ども食堂の運営といった活動をしていました」
運営のために、行政を含めたさまざまな人と関わるうちに、学校の教師のように一人で大勢の学生を相手にするのではなく、より多くの人と仲間になって、チームで働ける場所を求めて企業への就職に方向転換しました。
常田 「NPO法人の活動で空き家を利用していたこともあり、今ある資源を有効活用するビジネスをしたいという漠然とした想いがありました。地元の長野で、夏のスキー場活用を企画している企業などを見ていく中で、今ある資源を活用するリユース業界に興味を持ちはじめました」
大学時代から愛知県に住み始めた常田は、大須の街を歩いていたときに、ふとしたきっかけで購入するつもりはないもののKOMEHYO名古屋本店に入ったことがありました。
常田 「地元のリサイクルショップしか知らなかったので、店内にある商品が非常にキレイなことに驚いたことを覚えています。単に中古品を安く売るのではなく、良質な商品の価値を見いだしているところや、スタッフの丁寧な接客や誠実そうな人柄などが印象的でした。就活中に合同説明会でKOMEHYOを見つけ、話を聞いてみようと思いました」
常田には就職活動の軸として、自分の価値観や生き方を大切にしたいという考えを持っていました。その点においても、KOMEHYOの企業姿勢が自分に合っていると感じられたのです。
常田 「実際に働いてみると、自分よりも上の立場の人が仕事を持ち込まずに休憩している姿を見せることで、みんなが安心して休憩できる文化ができています。年間休日数は115日と小売業の平均よりも多いですし、残業時間に関しても入社前の情報と違いがなく、自分の時間をしっかり取ることができる職場環境です」
コミュニケーションをとることが好きな人たちが集まっていることもあり、スタッフ同士で本当に楽しく話ができて、職場には常にいい空気が流れていると言います。
さまざまなブランドを横並びにできるリユースのおもしろさを、イベントで表現
入社以降ハイブランドメンズファッションやレディースファッションの売場を経験しながら、1年目の終盤から買取り業務にも携わっていた常田。お客様からかけられた言葉で、KOMEHYOの良さを再認識したことが何度もありました。
常田 「買取りをご利用のお客様が、『KOMEHYOは置いてあるものがきれいだね』とおっしゃってくださることがよくあります。モノに敬意を払いながら取り扱っていることを、お客様にも感じ取っていただけているからこそ、大切にされてきたものをKOMEHYOに売ってくださるのだと思います」
あるとき、自ら買取りした商品が、担当フロアに入荷してきたことがありました。全国の店舗内で買取りした商品は、商品センターにすべて集まり、在庫状況などによって各店に振り分けられます。自分が買取りしたものを売るのは初めてでした。
常田 「自分が買取りしたものがフロアにきたときは、なんだか嬉しかったですね。さらにそれを、自分で接客したお客様に買っていただけたので、すてきな商品を次の人に引き継げたという嬉しさがありました」
常田は、ポップアップイベントなどのフロア企画にも参画しています。1年目のころは企画が上がってきたものに対して、レイアウト変更などの実行部分だけに携わっていましたが、2年目では提案から行いました。
常田 「ゴアテックスなどの機能性が高い『テックウェア』を集めたイベントの企画提案を行い、実施までつなげられました。『テックウェア』というカテゴリーで集めると、ルイ・ヴィトンのようなハイブランドと、ノースフェイスなどのアウトドアブランドが横並びにできることが、リユースならではのおもしろさですね」
お客様からも「いろんなブランドがあって見比べられるね」と声を掛けられ、ポップアップイベントの狙いを理解していただけたという感触が得られました。
常田 「アルバイトスタッフとファッションのトレンドについて話しているうちに、『こういうものを集めたらおもしろいのでは』というアイデアが出てきて、それを形にしたのが『テックウェア』の企画でした。日々スタッフから聞いた声を、自分の中で企画になるまで練り上げて、それを上長にしっかりと伝え、他部署とも連携していく横断的な立ち回りを意識できるようになったのは、入社して2年間の自分の成長だと感じています」
「微力だけど無力じゃない」という言葉を忘れずに、大切な価値観を広めたい
常田は、2023年4月からマーケティング部へ異動となりました。入社以来、さまざまな場面で、多くの人に、自分がKOMEHYOでやりたいことを話していました。
常田 「価値あるモノを、次の人へつなげていくというKOMEHYOが大切にしている『リレーユース』という考えに共感してくれる仲間を増やすことが、自分のミッションだと思っています。もちろんフロアでもお客様への販売を通してKOMEHYOの良さを知ってもらうこともできますが、マーケティング部としてKOMEHYOに来店したことのない人にも良さを知っていただきたい、社内のさまざまな立場の人と一緒に働きたいという気持ちがありました」
とくに自分と同世代に向けて、「リレーユース」という言葉を広めていきたいというのが常田の今の想いです。
常田 「KOMEHYOが扱っている商品の中には、自分が産まれた年よりも前に作られたものが少なくありません。それが非常にきれいな状態だと、これまでに使っていた人が本当に大切にしていたことがわかりますし、受け継いだ自分も大切にしようと思います。手元にくるまでの時代の流れを感じられるのが、新品にはないリユースの価値の一つです」
リレーユースへの想いや、クレドへの共感など、自分が良いと思うことを発信できる存在になりたいと語る常田。その原動力となるのはNPOで活動しているときに伝えられた「微力だけど無力じゃない」という言葉です。
常田 「どれほど小さなことでも誰かのためになっているという肯定的な捉え方ができる言葉です。また、ひとりでできると思ってしまう楽観的な自分に対して、微力でしかないと内省させる言葉でもあります。いろいろな経験をして反省したことを、学びとして次に活かしてこれからも進んでいきたいですね」
自らの想いや信念をKOMEHYOの業務に反映させながら、常田は新しいステージへと足を踏み出します。