ミッションは成功事例を作ること。お客様の声を聞くために、今日も店頭に立つ

article image 1
▲SNEAKER MARKET by KOMEHYO 店長 濱野 了一

濱野が店長を務める「SNEAKER MARKET BY KOMEHYO」は、KOMEHYO初のスニーカー専門店。展示品を含め常時500点ほどをそろえており、百貨店内にありながら中古品を扱うという、珍しいコラボレーションでも注目されている存在です。

濱野 「当店では買い取りと販売を行っていますが、同じフロア内には、歴史的な一足を展示する『スニーカーミュージアム』や、修理・カスタムを手掛ける『スニーカーホスピタル』という店舗があります。また、スニーカーのペイントや、自宅でのメンテナンス方法を学べるワークショップを開催している『スニーカースクール』もあります。KOEMEHYOだけでなく、スニーカーを軸として他社と考えを共有しながら、みんなで“モノを大切に永く使う”社会を目指していけることが大きな特長です」

客層は男女を問わず、年齢も10代から60代以上と幅広いのが特徴。オフィスカジュアルが浸透した今、革靴やパンプスに縛られずスニーカーの着用を認める企業が増えたことも、多くの人から注目される背景になっています。さらに多くのお客様が「初めてKOMEHYOの店舗を訪れる」というのも同店ならではの傾向です。 

濱野 「百貨店にいると、従来のKOMEHYOの店舗では出会えなかったお客様とお話しできるんです。ですから営業時間内は可能な限り店頭に立ち、お客様の声に耳を傾けます。そのお客様が来店されたきっかけ、求めている商品、それ見つけたときの気持ちを伺って、当社初の試みである商材特化型の店舗を成功させることが私のミッションだと思っています」

オープン時には数多くのメディアに取り上げられ、お客様も「SNEAKER MARKET BY KOMEHYOでの買い物はステータスである」というイメージを持ってくれていると濱野はいいます。

濱野自身、スニーカー好きが高じて現在のポジションに就きました。その魅力は歴史やシルエットの美しさ、気軽に履ける間口の広さも人気の理由だと考えています。

 濱野 「“好き”よりも“得意”の方が合っているのかもしれません。スニーカーに興味を持つようになったきっかけは、20年以上続けてきたスケートボードでした。スケートボードに関連するスニーカーから入り、徐々に詳しくなったんです。2022年現在は、本当に気に入っている1980年代にアメリカで作られたVANS(バンズ)のシリーズだけ残していますが、以前は100足近く所有していました。中には中古市場で数百万円の値がつくモデルもあったので、いまも売らずに持っていたら…… と、少し惜しくなったものもありますね(笑)」

 豊富な商品知識をもとに、お客様に寄り添うことが濱野の信条。お客様一人ひとりの目的や用途をヒアリングし、「本当に似合うスニーカー」を勧めています。KOMEHYOには店舗の目標はあるものの販売ノルマがないことから、お客様への提案の幅を広げられることも楽しいと話します。


働き方、接客術、店舗運営の知識において、ステップアップを目指しKOMEHYOへ

article image 2
▲学生時代からスケートボード中心の生活。写真は、仲間の結婚式で組み立てたセクション(左)と当時の濱野(右)

濱野がコメ兵に入社したのは2016年。前職もスニーカーに特化した二次流通の店舗でした。そこで親しくなったお客様から「KOMEHYOは働きやすそうだよ」とアドバイスされたことを機に面接を受けました。

入社前、濱野がKOMEHYOに対して抱いていたイメージは「ハイブランドの洋服や時計、貴金属を扱うハードルが高い店」。しかし、転職活動を通じて調べるうちにカジュアルなアイテムも数多く扱っていることを知ります。「それならスーツを着ても自分らしく働けるだろうから、ここで力を発揮したい」と入社を決意しました。

濱野 「まず、企業規模の大きさに魅力を感じました。福利厚生の充実度はもちろん、従業員が多いためお互いにサポートし合えることもポイント。入社当時、私は31歳で、将来についても考えている時期だったため、会社の経営手法や規律を学べることも大きな魅力でした。実は、所有していたスニーカーを手放したのもこのタイミングだったんです。入社当初はスーツを着てネクタイを締めて店頭に立つことが多かったので、一段ステップアップする良い機会だと思いスニーカーからの“卒業”を決めました」

そもそも濱野がアパレルに興味を持ったきっかけも、スニーカーでした。スニーカーに関連したファッションに興味が広がり、大学卒業後は知人の紹介でアパレル企業に勤め、その後にスニーカー特化型の二次流通店へと移ります。いずれまた正規販売の店舗に戻るつもりでいたものの、気付けば二次流通の世界にのめり込んでいたのです。

濱野 「正規販売では、ひとつのブランドだけを担当するケースがほとんどで、今思えばアパレル業界の一部しか見えていませんでした。一方で二次流通はすべてのブランドを対象とし、買い取りを通じて次々と知識が深まっていくのが刺激的です。前職の経験は、もちろん現在の仕事に活きています。やはりスニーカーに関する多彩なストーリーやデザインコンセプトを知り得たことが一番大きいですね」

入社後はゼロからの再出発。謙虚に学ぶ日々の中、ついに白羽の矢が立った

article image 3
▲同じリユース業界でのステップアップを目指し、コメ兵に入社した濱野(右端)

KOMEHYOに入社した濱野は、売上の立て方や数カ月先までの計画の立案方法をはじめ、組織や店舗のしくみが整備されていることに驚きました。これまでも店長業務を担ってきましたが、「ここでは通用しない」と痛感させられたといいます。

濱野 「とにかく『これが業界最大手の企業なのか』と、すべてにショックを受けました。それなりに経験を積んできたつもりでしたが、従来の価値観や固定概念をすべて変える必要があったほどです。店長として働いてきたプライドも捨てなければ前に進めず、この点はかなり苦労しました」

KOMEHYOでのキャリアスタート時は、あまり接点のなかったハイブランドの洋服などを扱っていたため、過去の経歴をオープンにすることは控え、謙虚に学ぶスタンスで臨みました。

濱野 「前職の店はスニーカーマニアの間では相当有名だったので、採用してくれた面接官と、スニーカー好きの一部スタッフにだけは勤務経験があることを話しましたが、周りのほとんどが前職の会社の存在を知りませんでした。おそらく狭い世界だったんですね。ですから、店長だったことなどは前面に出さず、ゼロからの再出発だと考えて取り組みました」

やがて入社から6年がすぎたころ、社内でスニーカーの専門店を出店するという話が出てきました。上司に「スニーカーには詳しいの?」と聞かれ、これまで身近な仲間にも隠してきた過去の経験を伝えると、すぐに白羽の矢が立ちました。

濱野 「本当にラッキーでした。中古品の売買においてアプリも普及している今、コメ兵もリユース企業としての将来に目を向け、商材特化型の店舗という新しいチャレンジを考えていたのです。『KOMEHYOに来店したことのないお客様にも気軽にご利用いただく』ことが出店の目的であり、その想いが新店舗の入る阪急側の想いと合致しての出店でした」

希少で高額なスニーカーの売買に立ち会うこともモチベーションにつながるほか、接客業に就いて最も良かったのは、「濱野さんの顔を見に来たよ」と足を運んでくれるお客様がいること。前職からのお客様もいれば、最近つながったお客様まで。とくに目的もないのに、濱野と話すために立ち寄るお客様もいるといいます。

濱野 「こうして接客に専念できるのも、環境に恵まれているからだと思います。上司もよく相談に乗ってくれますし、KOMEHYOはサポート体制が万全。同僚からも信用されていると感じられて、心を落ち着けて働けるのは本当にありがたいです」

 

好きを活かして活躍する社員は他にも──誰もが新しいことにチャレンジできる会社

article image 4
▲「どんなにベテランになっても、店頭に立ち続けたい」と楽しそうに話す濱野

濱野はKOMEHYOで、自身の人間性が成長したと実感しています。視野が広がったことで、これまでのスケートボード中心の生活から、仕事での責任、社会のルール、家族に対しても満遍なく目が向けられるようになったといいます。

濱野 「自分の生き方が180度変わったといっても過言ではありません。わかりやすくいうと、これまでは仕事でもプライベートでも大雑把で本能に忠実でしたが、すべてにおいてまじめで規則を重んじるようになりました。おそらく、誠実さを大切にするKOMEHYOの社風が私をそう変えたんだと思います」

これから仕事で挑戦したいことは、SNEAKER MARKET BY KOMEHYOのような「専門店」を増やしていくこと。スニーカーが成功すれば次が続く。売上も大事ですが、ともにフロアを構成する他の店舗と、出店を歓迎してくれた百貨店との関係をどのように構築していくのかも今後を左右すると考えています。すでに結果が出ている新たな客層の獲得も含め、多くのメリットが掴めることを期待しています。

濱野 「かなうかどうかわかりませんが、何歳になっても、どんなにベテラン社員になっても、店頭での接客を続けたいですね。臨機応変なプレイヤーとして、たとえば新たな出店の話があれば『濱野を行かせるから大丈夫』と思われる存在になりたいです」

濱野のように“好き”を活かして活躍する社員は他にもいます。モデル志望の男性スタッフに会社公認のSNSアカウントが与えられたこともありました。そのスタッフは、商品を自らコーディネートして着用し、画像を公開してファンをつくるチャンスを得たといいます。

コメ兵への入社を考えている人には、やりたいこと、やってみたいことがあるなら積極的に手を挙げ、トライしてほしいと語る濱野。コメ兵は、前向きな姿勢に対して頭ごなしにノーを突き付けるような会社ではありません。提案次第で、誰にでも新たなチャレンジが待っているのです。