建物や担当で意見を隔てない。朝のミーティングから始まった新たな試み

新宿にあるレディース商品専門のKOMEHYO SHINJUKU WOMEN。

昨年までそこの販売・買取りスタッフだった佐野は、時短勤務者として、同じ働き方をしているパートスタッフの教育担当や、新宿店全体のシフトの取りまとめを任されていました。

通常勤務の社員より1時間ほど前に出勤した佐野は、まず、その日の朝までに来ている通販の注文品を店頭からピックアップし、梱包する業務を行います。

KOMEHYOではその業務を『ピッキング』と呼びます。

佐野 「多い時で1日100点くらいの商品に注文が入るので、1点1点ピッキングを行います。KOMEHYO新宿店には、私がいたレディースファッションを扱う店舗のほかにも、宝飾・時計を扱う店舗と、メンズファッションを扱う館の、計3店舗が隣接しており、それぞれの店舗の在庫に注文が入ります。

以前はそれぞれの店舗で注文の処理を行っていました。いまはそれを効率的に行うため、状況に応じてどの店舗で注文の処理を行うか指示をしたり、1ヶ月に1回定期的に時短勤務者で集まって情報交換のミーティングを開いたりしています。

ミーティングでは、朝のピッキング、商品発送の効率化に関する話をしつつ、社員だけではなくパートスタッフなども含めて、業務の問題点がないかなどのコミュニケーションを取っていました」

こうしたミーティングは、直属の上司である副店長の”ある話”から始まったものでした。 

佐野 「2020年の移転リニューアルで新宿駅に近くなり、お客様には気軽に立ち寄っていただけるようになりました。ただ、以前は1つの店舗で一緒に働いていた時短勤務者が、3店舗に分かれることで、離れ離れになってしまいました。

そんな中、以前から時短勤務者の働き方を気にかけてくれていた副店長が『時短勤務者が集まりやすい時間帯を活用して、担当商材の壁を無くすためのコミュニケーションが取れないか』という提案をしてくれたんです。

そこから、時短勤務者で1回集まってみることになりました。その取りまとめを誰かしてくれないかとなった時に、元々女性スタッフの活躍や、店舗全体の業務効率化に興味があったので自ら立候補しました」

KOMEHYOでは最近、様々な商材を同じフロアに展示したミックスフロアを増やしています。

入社したスタッフは、買取担当者として専門性を高めるため、配属された担当商材を最初は重点的に学ぶ体制になっています。そんな中、佐野が取りまとめをする時短勤務者のミーティングを通して、新宿店では担当している商材だけでなく、他商材をマルチに販売・買取りしていくという次のステップへの動きが始まっています。

佐野 「私はバッグを担当しているのですが、ファッションなども置いているミックスフロアに配属されたので、ファッションを始めとした担当外の商材の勉強をしました。そうすることで、販売や通販業務でバッグ以外の商材も扱えるようになり、わざわざ他のスタッフに代わるためにお客様をお待たせするといったことも減りました。

なので、他のスタッフにも担当以外の商材を扱う機会ができるように、シフト組で勤務フロアを調整しています。たとえば、時計を扱う人がジュエリーのフロアで1日働くなど、その人の希望に合わせて3〜10回、社内の交換留学のような感じで、楽しく働いてもらっています」

それぞれの生活環境やスタイルがあり、勤務時間や業務の範囲が違うからこそ、その人にあった仕事のペースやキャリアパスを設計したいと佐野は考えています。

入社当初の学びを経て、転勤先では自分の意見を発信していけるように

短い勤務時間で抜群のパフォーマンスを発揮するため、周りの上司からも頼られる佐野は、コメ兵に入社する前、別の会社でジュエリー販売の仕事に携わっていました。

友人がKOMEHYOで働き始めたことをきっかけに、お店に足を運ぶようになり、楽しそうに働くスタッフの様子を見て、コメ兵に入社したのです。

佐野 「最初はアルバイトとして、地元にあったKOMEHYO神戸三宮店で働いていました。元々ブランドバッグは好きだったのですが、コメ兵では取り扱いのブランドもモデルも、とっても幅広く、覚えるのが大変でした!

お客さま側だったときは自分の好きな物だけ見ていればよかったですが、スタッフ側になるとお客様のご要望にあったものを提案しないといけないので……数多くあるバッグをモデルごとにノートに描いて、一つ一つ覚えていましたね。でも好きなことだったので、楽しかったです」

「KOMEHYO神戸三宮店」は、アルバイトスタッフがとても多く、バッグだけでなく時計やジュエリーも置いているミックスフロア。どの商材の知識も頭に入れる必要がありました。

しかし、佐野は大きな学びを得た期間だったと振り返ります。

佐野 「先輩たちがバッグのモデルに関するテストを作ってくれたり、学校みたいな感じで、とても楽しく学ぶことが出来ました。

その時一緒に働いていた人たちは今、別の店舗で活躍していますが、本当に面倒見が良かったです。誰もがとても丁寧に教えてくださって、それが今でも役に立っています。

当時は、様々なエリアから転勤で来ていた社員からも刺激を受けました。名古屋から転勤で来ていた社員が『名古屋本店で働いてみたら?』と言ってくれて、3日間だけ本店のバッグフロアで働かせてもらったことがあります。とても新鮮な体験でした。この会社にはこんなに大きい店舗もあるんだと思ったのが印象に残っています」

その後、佐野は正社員に登用され、KOMEHYO銀座店へ異動しました。

佐野 「実は、私は社内結婚なんです。まだ付き合っていたころ、夫が東京へ転勤になったことで、それを期に結婚して、一緒に東京に転勤させてもらったんです。優しい会社だなと思いましたね(笑)。

転勤先の銀座店では、こうしたらもっと作業が効率的になりそうと気づく点がいくつかありました。自分は何でも効率よく動きたいタイプで、新しいアイディアを何度も提案していきました。昔から、気になったことははっきり伝える性格だったからかもしれません」

同じ社内でも働きやすい環境とそうでない環境があることは良くない。もっと皆が働きやすい環境を創りたいと佐野は考え、実行し続けました。

佐野は銀座店での1年間の勤務を経て、4年ほど産休・育休に入りました。その後、新宿店で復帰することになります。

周囲の反応から生まれた高いモチベーション

▲時短勤務で働く、新宿店のミーティングメンバーと

佐野は、結婚して子どもを産んでも仕事を続けたいと考えていました。そうした想いから、銀座店で産休・育休前の挨拶をする際は、「絶対店舗へ戻ってくる。」と宣言しました。

佐野 「なかなか保育園が見つからないまま2人目ができたので、復帰したのは産休・育休に入ってから4年後でした。正直なところ、ブランクが長すぎて復帰に対する不安は大きかったです。レジ処理方法やシステムなど、あらゆることが大きく変わっていて、本当に驚きました」

店舗では先に時短で働いていたスタッフがいたため、佐野は時短勤務者の先輩スタッフからサポートを受けます。勤務中も、レジの操作方法など、マンツーマンで新入社員並みの手厚い指導を受けていくうち、徐々に以前の感覚を取り戻していきました。

佐野 「1年経ってようやく馴染んできたころ、視野が広がってきたのか効率的にできそうな作業が気になりだしました。無駄な作業を減らして皆が働きやすくできないかと考えるようになり、時短勤務者のリーダーを担当するようになりました」

商材やフロアにとらわれず、店舗全体の最適化をしていきたいと考える佐野。

佐野 「たとえば、お客様の視点に立って、どうしたら見やすく、手に取りやすく、お買い物しやすい環境を提供できるだろうかを考えて、すぐ行動に移しています。

長い間同じ店舗で働いていると、他店舗が取り組んでいることに気づかないこともあります。その際に、『その店舗ではどうやっているの?』『他のフロアではどうしている?』など周囲の方の話を聞くことも、とても勉強になります。私はその時間がとても好きなので、話し好きな性格が仕事にも役に立っていると思います」

効率のいい方法を周りのスタッフに共有して、皆から「すごくやりやすかったです」「こういう風にしてよかったです」と言われることは、佐野自身のモチベーションにも繋がっています。

その上で、お客様から、「このお店見やすい」や「コメ兵で買ってよかった」と言われることが本当に嬉しいのだと佐野は語ります。

誰しもが抱える不安に寄り添っていきたい──コミュニケーションの重要性

▲ポケットに忍ばせている勉強メモ

店頭での業務効率化を日々心掛けて行動している佐野が大事にしていること。それは、周りのスタッフとのコミュニケーションです。

佐野 「日頃から、立場や年齢が違う人たちと積極的にコミュニケーションを取ることによって、自分の話題の幅が広がります。色々な方と喋るのは自分も楽しいですし、そうすることで自然と周りの人が話しかけてくれる環境になっているのではないかと思ってます」

ミーティングの場以外でも、産休・育休から復帰したてのスタッフに「仕事はどうですか?」と積極的に声をかけにいく佐野。

そうした声かけは時短勤務をするスタッフだけでなく、フルタイムで働いているスタッフにも及んでいます。そこには、「個人的な悩みなどを誰かに聞いて欲しい時は誰にでもある」という佐野の考えがありました。

佐野 「家族の病気や風邪など、やむを得ぬ事情で職場を離れなければいけないことは誰にでもあると思います。そんなとき、『自分がこの店にとって必要な存在なのか』と自分を責めてしまう人たちをサポートしたいです。店舗ごとにルールや状況に違いはありますが、様々な事例を共有し、参考にし合えたらいいなと思っています」

自分自身の産休中に、人事企画部が発案したオンラインでの「ランチ会」を通して、休職中のスタッフが交流を図る機会を目にしていた佐野は、「新型コロナウイルスが流行している状況でも、コメ兵で働くスタッフ同士の交流の場をつくりたい!」と強い想いを持っています。

今では以前働いていた銀座店へと働く店舗が変わり、環境も変わったといいます。

佐野 「久しぶりに貴金属や時計の販売に携わるようになり、新鮮な気持ちで働けています。神戸三宮店で働いていた時に作成した勉強メモをポケットに忍ばせながら、接客に挑む日々です(笑)」

何年働いていても、商品にご満足いただけたり、メンバーズへの入会に繋げられた瞬間は「コメ兵ファンを増やせた!」と嬉しい気持ちになるのだといいます。

佐野 「銀座店では、より高額な商品に触れる機会が多くなり、自分自身の経験値を積めていると感じます。銀座というエリアは敷居が高く感じやすいですが、お買い物を楽しみたいお客様が多くいらっしゃるということも実感しています」

店舗が変わっても、店舗の生産性向上やスタッフのパフォーマンス向上など、新宿店で働いていた時の目標を持ち続けています。

佐野 「今は他店舗の時短勤務者とコミュニケーションをとり、キャリアプランや店舗の取り組みについての情報を共有しています。今後もお客様のためはもちろん、スタッフが意見を発信したり、共有、相談しやすい環境づくりのためにまい進していきたいと思っています」