趣味はバイクいじり。機械に手を入れることのおもしろさに惹かれた学生時代
──小林さんは現在、生産本部 ものづくり推進部に所属しているとのことですが、もともと機械が好きだったのですか?
そうですね。クルマやバイクが好きで、学生時代にアルバイトして初めて買ったバイクを、趣味でいじっていました。アフターマーケットパーツが豊富な車種で、手ごろにカスタムを楽しめるので、アルバイトして得たお金は結構カスタムにつぎ込んでいました(笑)。
──当時の人気ドラマの影響を受けたのですか?
受けていたかもしれません(笑)。あのころは、ドラマの影響でミニバイクが流行っていたので、バイクを持っていることは一つのステータスという時代でした。
──アルバイト代はバイクのカスタムにつぎ込んでいたというお話でしたが、どんなアルバイトをされてたのですか?
焼き鳥居酒屋で働いていました。大学生にとって、居酒屋は時給の良いアルバイト先でしたから。この焼き鳥居酒屋でのアルバイトが、就職先を決めるキッカケになったんです。
──就職のキッカケについて、詳しく教えてもらえますか?
私が働いていたお店は、焼き鳥の肉を串に刺していく、いわゆる“串打ち”を手作業でやっているお店でした。あの作業はコツがいりますし、結構大変なんです。ところがあるとき、テレビで焼き鳥の串打ちを自動で行える機械が紹介されているのを見て、衝撃を受けました。
私が苦労していた仕事がものすごいスピードで行われ、きれいに串打ちされた焼き鳥が次々に作られていくわけです。「すごい!」という感動と、「おもしろい!」という発見でワクワクしました。もともと機械いじりが好きだったので大学も工学部知能機械工学科に進んでいたのですが、食品加工を行う機械に興味を抱いて、就職先を決めました。
──それが食品メーカーへの就職につながったわけですね。その食品メーカーではどんなお仕事をされていたのですか?
いろいろな仕事にチャレンジしてきましたが、最終的には生産技術職を任されていました。
──生産技術というと、「工場や生産現場において、生産ラインの設計や管理を行う仕事」ですよね?
おっしゃる通りです。生産ラインとは、原料や材料から目的となる商品を製造する一連の流れのことです。たとえば、パック入りフルーツを作る生産ラインなら、フルーツをカットする、カットしたフルーツを整える、パックに入れる、ラッピング、品質検査といった商品づくり一連の流れを意味します。これらを管理することによって、求められているコストと納期、品質の商品を生産する体制を構築していくことが、生産技術職の仕事です。
──希望していた仕事に就けた印象ですが、16年間勤めた後に転職を考えられたわけですよね。その理由は何だったのでしょうか。
ひと言で言えば、時代の流れと自分の成長のためですね。
新しい技術に触れられる環境を求めて、異業界への転身を決意
──転職理由として、「時代の流れ」と「自分の成長」を挙げられましたが、詳しく教えてください。
この10年、AI、ICT、ロボットといった分野が飛躍的に進化しました。もちろん、その恩恵を多大に受けた業界もあれば、影響がほとんどなかった業界もあったと思います。でも、テクノロジーの発展によって時代が大きく動こうとしているのは間違いありません。そう考えたとき、「新しい技術を駆使する環境に身を置きたい」という想いが湧きあがりました。
──それが、自身の成長にもつながると考えたのですね。
そうですね。自分がこれまで培ってきたものが、異なる環境でも通用するのか試してみたいという気持ちかもしれません。今、人生100年時代と言われていますよね。中高年のリスキリングの必要性もよく話題に出ています。私も、まだまだ仕事人生の第一線を走っていかなければならない身ですので、新しい環境で自分を成長させていく必要性を感じていました。
──そのように考えた結果、転職先としてコベルコ建機を選ばれたのですね。決め手はどのようなところだったのですか?
転職の決め手は、コベルコ建機が新しい技術の導入や取り組みを積極的に行っているところです。前職では、自動設備の立ち上げ、簡易設備の製作、ハンドリングロボットの導入などに取り組んできたので、転職先はその経験を活かせる仕事かどうかを軸に探していました。そのときに、コベルコ建機の募集を見つけたんです。でも実は、コベルコ建機のことは、数年前から注目していたんですよ。
──どんなところに注目していたのですか?
BtoB課題解決のためのビジネスポータルサイトに、コベルコ建機の事例が載っていたんです。移動する搬送ハンガーの予防保全という珍しい取り組みを紹介する内容が興味深くて、記憶に残っていたんですよね。自動化の改善事例として、新しい技術を積極的に取り入れていこうという姿勢がとても魅力的でした。その後、転職活動をしていく中で、コベルコ建機が募集していることを知り、応募してみました。
──まったく異なる分野への挑戦だったと思います。不安はありませんでしたか?
もちろん、不安がなかったと言えばウソになります。実際に、新しく覚えなければならないことはたくさんありますから。それでも、これまで16年間培ってきた知識や経験を活かして、何かお役に立てることはあるだろうと思っていました。残りの足りない部分は、頑張るしかありません(笑)。
異業界からの転職でも、コベルコ建機で早期活躍できた理由
──小林さんは即戦力として採用されて、入社早々、かなり大事なプロジェクトに配属されたと聞きました。
五日市工場のカウンターウェイト(CW)塗装ラインで動かす塗装ロボットの運用立ち上げプロジェクトですね。CWとは、つり合いを取るための重りのことです。建設機械は重いものを持ち上げたり、動かしたりするので、本体を安定させるために重りが必要になります。その塗装をロボットが担うラインが作られていました。しかし、塗装ロボットの量産での運用は保全(メンテナンス)や品質確保の面でハードルが高く、実運用できていない状況だったのです。
──業務効率アップを狙った塗装ロボットだったのに、本来の目的を果たせていない状態だったというわけですね。
その通りです。生産本部としては放置しておけない状況だったので、前職でロボット導入をしていた私に声がかかったのではないかと思います。
──ロボット導入の経験はあるといっても、目的も機械もまるで違いますよね。かなり大変だったのでは……と想像できます。
たしかに大変でした。建設機械の組み立てについて、ほとんど知識がありませんでしたから。そこでまずは、“建設機械がどうやって作られていくか”というところから勉強することにしました。各工程がどのように行われていて、ライン全体がどういう考えによって設計されているかを紐解いていく感じです。続いて、現状の把握。“本来行なわれるべき動きや得られる成果”と“実際行われている動きと生まれている成果”を確認。その上で、何が起きているのか、仮説を立てて1つずつ確認していくという感じですね。
これは、前職で保全の仕事を経験していたことが活かせました。保全とは、生産設備が正常稼働するように行う修理・メンテナンスのことです。機械に不具合が起きたときに、原因として考えられる仮説をいくつか立てて検証していくプロセスが、そのままこの仕事に活用できたんです。
──期間はどれくらいかかりましたか?
原因特定に2~3カ月かかりました。というのも、不具合の原因が複数存在していたためです。コベルコ建機は、わからないことは聞きに行けば親切に教えてくれる人が多いので、いろいろな人に聞いて回るうちに、塗装方法や塗料に問題があることがわかり、それが解決の糸口になりました。塗装ロボットの動作教示(ティーチング)、制御プログラム変更を行うことで、塗装ロボットの実運用化と塗装品質改善を実現することができました。
私一人で考えていたら、もっと時間がかかっていたと思いますし、もしかしたら解決できなかったかもしれません。関係部署の方たちには本当にお世話になりました。この経験を通じて、「異業界からの転職でもコベルコ建機の環境なら活躍できる」という確信を得ることができました。
異業界出身の生産技術職が、これからコベルコ建機でめざすこと
──小林さんが仕事をする上で大切にしていることは何ですか?
「個人の持つ知識、技量だけでは達成できないことがある。さまざまな部署の人とコミュニケーションをとることが最も大切」ということです。自分よりも詳しい知識を持っている人はたくさんいます。でも、その人たちにはない長所を自分は持っていたりする。それぞれが得意とする分野の知識や経験を連携させた方が、大きなことができると考えています。
──今のお仕事の難しいところ、おもしろいところを教えてください。
設備の知識だけでなく、法令、安全、品質、作業といった知識が必要な仕事ですから、勉強しなければならないことは、まだまだあります。また、自身の考えだけでなく、作業する方の意見、安全面の意見、メンテナンス面の意見など各工程に想いがあり、それをまとめていく調整に難しさを感じます。
でも、設備立ち上げ、現場改善は形となって残る仕事です。自分が携わった設備に、多くの方たちの意見が反映され、それがものづくりに貢献していると実感できたとき、この仕事のやりがいを感じます。
──最後に、これからの抱負を教えてください。
私の場合、食品メーカーからの異色の転職でした。安全のこと、現場のこと、製品のことなど覚えることが多く、大変な1年でした。まだまだ前職で培ってきたスキルを出し切るというとこまでには至っていないのですが、食品分野における品質改善のための自動化の取り組み、省力化改善などはある程度共通している部分があると感じています。
これまでのキャリアを活かし、さまざまな改善プロジェクトで活躍できるようになりたいです。また、より安全で利益の生み出せる生産ライン構築ができるように、チームで頑張っていきたいと思います。
──小林さんの活躍を楽しみにしています。ありがとうございました!
※ 記載内容は2023年5月時点のものです