コベルコ建機では、ワークスタイルの変革活動に積極的に取り組んでいます。具体的な内容、これからの展望について、従業員エンゲージメント向上プロジェクトを担当している川中 岳穂が語ります。

コベルコ建機が取り組む「個人の幸せ、企業力向上」の実現


コベルコ建機では、2016年より、ワークスタイル変革活動に取り組んでいます。この活動の目的として、「『社員の幸せ』と『企業力の向上』を実現し【魅力ある会社】であり続けること」を掲げています。

この中で3つのプロジェクトを進めていますが、そのうちの一つが川中の関わる「従業員エンゲージメント向上」です。

川中 「狙いは、みんなが自分の能力を最大限発揮するとともに、会社に貢献しようという意欲的な気持ちになることです。『社員が前向きな感情を持ち、自ら積極的に仕事に取り組んでいる状態』、『従業員が会社との一体感を味わっている状態』になることを目指しています」

川中には、前職のグループ会社においても、こうした取り組みの経験がありました。また、シニア産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格も有しています。

川中 「前職でも、いろいろと勉強しながら取り組んできました。コベルコ建機でもその経験を活かしつつ、『健康でいきいき働ける職場づくり』に貢献したいと思っています」

前職の事業所では、2年を費やし改善に成功しています。

川中 「各部署と協力しながら、健康増進、キャリア開発、職場の活性化にいたるまでさまざまなことに挑戦しました。その結果、健康診断、ストレスチェック、エンゲージメント測定において良い結果が得られ、取り組み自体も社内で最優秀の活動として表彰されました。コベルコ建機でも、みなさんと一緒に活動を盛り上げていきたいと考えています」

プロジェクトの2本の柱「心身の健康増進」と「従業員エンゲージメント向上」 

本取り組みでは、社内向けにポップで親しみやすい資料を展開し、従業員への周知を促しています。

川中は、こうした活動を進める上で、「心身の健康増進」、そして「エンゲージメント向上」を柱として取り組むと説明します。

川中 「心身の健康増進では、専門のスタッフが職場のメンバーに親身になって寄り添うしくみづくりを進めています。エンゲージメント向上では、社内のコミュニケーションの活性化や人事施策の刷新に取り組んでいます」

心身の健康増進については、何よりも「健康的な生活習慣」の獲得に注目しています。

川中 「健康の基盤づくりとして、食、睡眠、運動など、生活習慣全般の改善を目指した保健指導、運動指導、栄養指導の強化に取り組んでいます。メンタルヘルスに関しては、厚生労働省の指針に従い、セルフケア、ラインケアに関する教育や健康管理サイト活用などの支援を充実させています」

その上で、従業員エンゲージメント向上については、従業員のやりがいと会社との一体感を高めるための職場環境づくりに取り組んでいます。

川中 「従業員のやりがいについては、毎年エンゲージメントにかかわる詳細なアンケート調査を行い、職場ごとに自分たちで分析して改善のPDCAを回すしくみをつくりました。会社との一体感を高めるために、経営者と従業員がフランクに対話する場もつくられています。経営者と腹を割って話をすることで、全社員が垣根なくコミュニケーションできるようになることを期待しています」

さらに、従業員が自分の将来の成長に期待できるように、人事制度についても新たなしくみを取り入れます。

川中 「たとえば人材公募制度であれば、これまでは社内イントラへの掲載だけでした。見直しを行った今では、説明会を開き、求人を行う部署の部長自らが説明会に登壇します。ラインマネージャーが、従業員の将来の可能性への期待、活躍への期待を訴えかけるしくみにしました。従業員が会社から期待されていると思うことで、会社全体の盛り上がりにつながります」

従業員エンゲージメント向上に取り組むコベルコ建機の今

本プロジェクトの現在について、川中は次のように語ります。

川中 「エンゲージメントという言葉自体、最近になって耳にしたという人も、社内にはまだ多くいます。そこに注力することでどんな利益があるのか、従業員にわかりやすくかみくだいて説明する努力をしています。まずは、エンゲージメントを高めることが『より良く生きることにつながる』ことを理解してもらうことに力を入れています」

エンゲージメント向上のキーパーソンとして、川中はラインマネジャーに注目しています。

川中 「私たちの会社のデータからは、マネジメントがエンゲージメントに大きく影響することがわかりました。ラインマネジャーのリーダーシップがとても重要だったのです。マネジャーには、職場メンバーが仕事に対して抱く『やりがい』に強く関心を持ち、関わってもらうことを期待しています」

ラインマネジャーの教育は、現在大きく見直しを進めています。このときに重要となるポイントについて、川中は次のように語ります。

川中 「客観的なデータを示して説明すると、腹落ちが早いですね。ラインマネジャーには、ストレスやエンゲージメントと職場のパフォーマンスに関する因果関係について、測定結果を丁寧に説明しています。『仕事での成果をあげるために何をすれば良いか』のヒントが見つかると、ラインマネジャーの目の色は変わります。

ラインマネジャーは日々悩み、苦労しています。このときに、マネジメントの改善につながるヒントを示すと、とても喜んでくれます。新任管理職研修では『マネジメントのいろは』を徹底的にトレーニングするしくみをつくりました。ライン長研修では、もっとも手強い『人間関係』の改善に関するワークショップを取り入れました」

取り組みを進める中で、ラインマネジャーの変化を感じる場面も増えてきたと川中は言います。

川中 「嬉しかった場面は、少なからずありました。部下の仕事のやりがいを高めることに最優先で取り組もうとするマネジャーや、仕事で成果をあげるためには心身の健康こそが大事だということに共感する声を寄せてくれる人も増えてきました。

また、ストレスチェックのデータを、自分のマネジメントの成績と捉えるマネジャーも増えてきています。多くのマネジャーがストレスチェックの結果に真剣に向き合っています」

今後、コベルコ建機のエンゲージメント向上活動が目指す未来とは

川中 「この取り組みのゴールは『健康でいきいきと働ける職場』の実現です。心と身体が健康であること、やりがいを持っていきいきと働いていると実感できること、お互いがお互いの仕事に関心を持ち支えあう職場であること、仕事だけでなく私生活も充実していること。欲張っているとは思いません。企業として目指すあたりまえの姿だと考えています」