法学部で徹底的に鍛え上げられた「発想力」
大学で法学部に進んだ松井は「勉強中心の学生時代を送った」といいます。
松井 「法学は単位を取るには、なかなか難しい学問で、しっかり勉強しないと簡単にテストに落ちてしまうんです。だから学生らしい遊びの経験は少ないほうです」
しかし、おかげで身についたこともあります。それは松井が自分のいちばんの強みだという「発想力」。松井曰く「法律はさまざまな解釈ができる学問であるからこそ、自由な発想が求められ、反対にいろいろな発想を受け入れる度量も必要」。大学で松井は、そのスキルを徹底的に鍛えられました。
松井 「こういった経験もあるので、私は、あまりひとつの考えに執着しないんです。自分とは反対の意見を含め、いろんな方の意見を聞いたうえで、考え、最終的に自分の意見を見つけていきます。
せっかくいろんな人がいて、いろんな考え方があるのだから、それらを知った方が自分にプラスだと思います。他の人に指摘されて、自分で気がつかない視点が生まれれば、自分の発想の新たな引き出しになります」
就職活動時、松井は高校教師という選択肢も持っていました。中学・高校と野球部に所属していた松井は「高校野球の監督」への憧れがあったのです。しかし大学で教職過程を学ぶなか、本気で教職を目指している友人を見るうちに「自分は本気で教員を目指していたのではない」と本心に気づく瞬間がありました。
あらためてこれまでを振り返ってみたところ、子どものころから工作や、ものづくりが好きだったことを思い出します。以来就職活動のキーワードは「ものづくり」に。業界研究をするなかで建設業界に進むことを決意します。
松井 「実は父が建設業を営んでいるんです。昔から夏休みに仕事にかり出されることがありました。父の姿を見ていたので、建設業に憧れはありました」
いくつもある建設会社のなかから京王建設を選んだのは、幼少期から京王線に慣れ親しんでいたことが理由です。
松井 「もともと京王沿線に住んでいましたし、学生時代も4年間京王線を使って大学に通いました。京王線にお世話になって育ってきたから、今度は自分が働いて京王沿線の人たちに還元したいと思ったんです」
学生に寄り添う立場で、採用活動に取り組む
2020年4月に入社し、総務人事課に配属になった松井は、2021年8月現在は2年目。1年目より担当する仕事の幅はグッと広がりました。庶務的業務のほか、社内報の制作をはじめとする広報業務、さらに採用活動業務も任されています。
採用活動では新卒採用チームの一員として、インターンシップや企業説明会を通じて、学生に対して会社説明などを行っています。学生と接するときに意識しているのは“ほどよい距離感”です。
松井 「学生とは“友人ではないけれど、企業の年齢の離れたお堅い採用担当でもない”、その中間のほどよい立ち位置を模索している最中です。『馴れ馴れしい』と思われてもダメだし『なんだか固い会社だな』と思われるのも違う。中間が難しいんですね。
私は入社2年目なので、学生に近い立場で物事を捉えたり考えたりできます。今は就職活動の形も急激に変わってきていますが、学生に寄り添っていきたいと日々心がけています」
そんな想いで採用活動に取り組んでいたある日。8社合同の企業説明会で、印象に残る出来事がありました。
松井 「就職活動をしている学生向けの合同イベントで参加者は8名という少人数。でもそのなかの3名が当社を選んで入社してくれることになりました。イベントでは、他に有名な大手企業なども参加していましたし、学生が当社に興味を持ってくれている感覚もあまりなかったんです。会社の魅力が伝わったかと思うと、すごく嬉しかったです」
松井が学生に寄り添い、京王建設とはどんな会社か、丁寧に話してきたことが伝わったと実感できた瞬間でした。
松井 「最終的に就職先を決めるのは学生なので、学生の立場に立って考えることを大切にしています。とはいえやはり選考のなかでお断りするケースも出てきます。ご縁がなかった場合でも『この会社っていいところだな』と思ってもらえるように、気持ちの良いコミュニケーションをとっていきたいと社内でも話しているんです」
自由な風土のなかで、ゼロからイチを作り出す
入社後、松井がもっとも驚いたのは「仕事における自由度」でした。
松井 「会社ってもっと細かくいろんなことが決まっているイメージがありました。どちらかというと、決められたことをやる、というか。ところが京王建設は良い意味で自由。新人であっても個人の考えを尊重してくれるんです」
それを印象づけたのは、入社後に松井が担当した販促品の企画の仕事。当時使用していた販促品の在庫が切れるので、新しい商品の企画が必要になり、その担当として松井が任命されたのです。
松井は「どういったものが喜ばれるか」「企業活動に適しているか」など、いろんな方に意見を聞き、予算内に収まるよう費用面の調査も徹底しました。そこで想定外の出来事が起こります。
松井 「販促品なのでデザインを作る必要がありますが、実はそのデザインをしたのも私。これまでにデザインの経験はありませんが、本当に良いものを作りたいと思って、『印象に残るデザインとは?』というようなことを、設計部のデザインの担当者に聞いたり、自分でいろいろ調べたりしたんです。それで結果的に私自身が考えたデザインにゴーサインが出たんですね。これまでは外部のデザイン会社に依頼していたのに……。びっくりしましたね」
こうして販促品として、マスクケースと小さなリングノートの導入が決定しました。
入社1年目の社員にここまで任せる。それも既存のやり方に縛られなくてもいい――。松井は京王建設の「すごく自由」な風土を感じたのです。
松井 「自由だからこその難しさもあります。でも、もし大きく道を外れそうになったら、上司がアドバイスして軌道修正してくれます。自分の考えに、経験豊富な上司のアドバイスがプラスされることで、さらにより良い形に昇華されるのがすごいですよね。これは京王建設で働いていて、本当によかったなと思う部分です。入社してから、自分の引き出しがかなり増えたと実感しています」
自由に発想し仕事をやり遂げられたのは、組織風土や環境だけが要因だったのではありません。松井の「発想力」という強みと、いろんな人の意見に耳を傾けながら、最適解を導き出していくチャレンジ精神が発揮されたからこその結果だといえます。
若い世代が本当にやりたいことを見つけるためのサポート役として
これまで松井が大切にしていたのは、色々な人の意見を聞く姿勢を持つこと。今後も軸はそのままに、その姿勢をさらに磨いていきたいと考えています。
松井 「いろんな人の意見を聞くなかでも、特に“好き嫌いなく”聞くことを、一層心がけていきたいです。かかわる人が増えれば苦手な人も出てくると思います。でも苦手な相手だからといって、その意見を聞かないのはもったいない。フラットにいろんな意見や情報を取り入れたいんです。
人生って1回きりだから、情報は遮断せずどんどん取り入れる。そうすることで、より豊かな人生を歩めたらいいなと思っています」
一方、2年目になり任される仕事が増えたことで、自分の課題を感じる場面もあるといいます。
松井 「仕事が立て込んでくるとパンクして、自分のなかでパニックになってしまったことがあります。ここを冷静に整理して、落ち着いて取り組めるようになるのが私のいちばんの課題ですね。そして総務人事課という会社の経営を支える部分の仕事を極めていきたいです」
また今後について、「ものづくりが好き」という意味では、いずれは営業の仕事にもチャレンジしたいという想いを持っています。
松井 「建設会社に入ったのだから、一度は、建物を受注して完成させるまでに携わりたいです。自分が会社に対してどれくらいの利益をもたらすことができるのか。ぜひチャレンジしたいです」
ともあれ目下は、採用活動の仕事に専念中。そのなかで松井が気になっているのは、就職活動もオンラインが増えてきて、入社してはじめて会社の社風や雰囲気を知るという学生が多いという話です。リアルに会社を知りたいという要望が強いのか、実際に京王建設で行っている学生向けの1日仕事体験などは、例年に比べて参加率がかなり高くなっています。
松井 「そういう話を聞くと厳しい環境だからこそ、やはり学生さんにはあまり妥協せず、しっかり自分の信念を持って活動してほしいと思いますね。最終的には自分の人生だから、やりたいことを思いっきりやってほしい。私もそのために学生さんに寄り添って、本当にやりたいことを見つけてもらう手伝いができたらなと思います」
いろんな意見をとりいれ、自身が最大限に活躍できる道を見つけ、着々と歩んできた松井。今度は、自分より若い世代がそれぞれの強みを発揮し、豊かな人生を選べるように、サポートする側として大きな一歩を踏み出しています。