個人邸の新築工事ではじめて得た「ありがとう」の重み

駅のような特別な建造物に携われること──。これが末髙の京王建設を選んだ理由です。

末髙 「転勤がないのも理由のひとつで、大学が京王沿線だったので馴染みもありました。会社説明会では、親近感があって会社の風通しがよさそうだというのが第一印象でしたが、実際イメージ通りでした」

入社後、配属されたのは建築本部の新築工事を扱う部門。最初に携わったのは、今ではほとんど扱っていない、個人邸の新築工事でした。新入社員の末髙は、現場の安全管理や書類関連の実務などを任されました。

末髙 「完成までは約1年。屋外の作業も多く、夏の暑い日や冬の寒い日、雨などが降ると、体力的にきつく感じることもありました。でも完成後の引き渡しで、お客さまから『ありがとう』とお礼の言葉をいただいたときは、すごく嬉しかったのをよく覚えています」

その後、入社3年目に入った頃、末髙に改修工事部門へ異動の辞令がおります。

末髙 「改修工事部門に若手がほしいということで、私が選ばれたようです。もともと改修工事にも興味があったので自然に受け止めました」

入社時から「現場監督として、ずっと建築でやっていきたい」と一貫して思い続けていた末髙。異動は、自分の成長の幅をひろげる大きなチャンスでした。

いろんなテナントの裏側を知る面白さも、改修工事の魅力

改修工事部門に異動して、現在、末髙が担当しているのはショッピングセンター。各テナントの店舗入れ替えや、ショッピングセンター自体の修繕や補修工事が多いといいます。

末髙 「いまは1店舗改修するとなると、現場の調査から図面のチェック、また最後の立ち会いに至るまで、お金の管理や現場管理もほぼ私ひとりに任せてもらっています」

末髙は、新築工事と違う難しさが改修工事にはあるといいます。

末髙 「すでに完成している建物なので、たとえば壁や天井内に埋まっている既存の電線を切断しないようになど見えない部分への配慮が必要です。まずは図面にない部分は現地調査しながら工事を進めます。なかには築年数が古くて図面が残っていないケースもあります。その場合は1から調査を行うのですが準備段階が重要になりますね」

新築工事にはない魅力もあります。テナントの店舗改修工事では、ふだんは見えない店の“裏側”を知ることができるのです。

末髙 「最近改修したアパレルメーカーの店舗も興味深かったです。バックヤードが独特な設計になっていて、『なるほどこんな風に工夫されているんだ』と発見がありました。テナントさんごとに独自の特殊なつくりもあるので、好奇心がくすぐられます」

もっとも印象に残っているのは、つい最近引き渡しが完了したばかりの案件。駅ラッチ外コンコースのテナントの解体をして新たな店舗に改修しました。

末髙 「図面のチェックなど大変な部分もありましたが、まさに0から100まで自分ひとりで任されたはじめての現場だったので感慨深かったですね」

こうして改修工事をひとりで達成できたのは、新築工事で培った知識が活きていると末髙はいいます。

末髙 「やはり建物が完成するまでの流れを知っていないと、既存の建物を改修するのは難しいと思います。私自身、現場監督としての基本は新築工事で学ぶことができました」

ひとつテナントの改修工事を終えるごとに、知識が蓄積されていく──。そんな感覚も末髙は味わっています。最近は、街中でふと自分がかかわった建物をみると、何か思い入れのようなものを感じることもあります。

現場監督同士、職人さん、職場──コミュニケーションが基本

末髙が日々の業務で大切にしているのは、担当者との連携です。

ショッピングセンターなどの大型施設の場合、場所によっては日中の工事が許可されないケースもあります。その場合、昼担当と夜間担当のふたりの現場監督で管理をするのが通例です。

末髙 「私は日中を担当することが多いです。夜間の担当者とは、基本的にメモの書き置きやメールなどで引き継ぎをしています。ポイントは、どれだけ相手にわかりやすく伝えられるか。文面ではどうしても伝わりにくい部分は写真に撮ったり、図面に直接マーキングしたり、誰が見ても理解できるように意識しています」

なかには連携がうまくいかず失敗したこともあります。末髙自身がよかれと思い、昼間に手配したことが、夜の実際の工事でうまくいかなったという経験も……。

末髙 「自分は夜の担当ではないから、夜の工事の詳細までは正直見ることができません。だからジレンマもあります。でもその分、二度と同じ失敗は起こさないように、心がけています」

仕事を円滑に進めるうえで、職人さんとのコミュニケーションも大切にしています。

末髙 「工事関連の仕事の話だけでなく、ふだんからプライベートな話題も職人さんとは話します。だんだん仲良くなって、仕事で失敗したなというときに、職人さんが助けてくれたこともあり、ありがたかったです。現場内でコミュニケーションをうまくとっていくことは重要だなと実感しましたね」

コミュニケーションについては現場だけではなく、職場でも大切にしています。

末髙 「職場は、正社員も派遣社員も区別なく、みんな仲がよく、和気あいあいとした雰囲気です。年齢もバラバラで今の事務所内だと私が一番年下ですが、プライベートで職場のメンバーとゴルフに行くこともあります」

コミュニケーションがとりやすい環境で仕事に力を注ぐなか、京王建設の“人”について、末髙があらためて感じるのは、「本当にお客さまに喜んでもらえるような現場にしたいという気持ちが強い人が多い」ことです。

末髙 「ひとつひとつの現場自体をどれだけキレイにおさめるか、というような気概をもっている方が多いんです。ある店舗の改修工事の段取りを私がして上司に報告したとき、『これじゃまずいだろう。店舗は見栄えも重要なんだ』と徹底的に細部まで詰めてくださいました。プロ意識というか、まだまだ自分には足りない部分があるなとひしひしと感じましたね」

現場が変わるたびに新鮮な気持ち、新たな面白さに出会う

いま末髙が取り組んでいるのが、図面チェックをメインとする現場力を磨くことです。

改修工事のなかで、「工程管理」はもっとも重要で大変なところだと末髙は考えています。その工程管理のおおもとになっているのが、図面チェックだからです。工事のスタートであるチェックが遅れると周辺工事も含めた全体の工期の遅れにつながってしまいかねません。

末髙 「以前、図面をチェックしていた時に、上司に『もっと深く見たほうがいい』と指摘されたことがあって、あらためて奥深さを感じました。とにかくわからないところは上司や周囲に確認しながら、地道に実践で経験値をあげていくように心がけています」

実際の業務を通して経験値をあげることと並行して、現場で何かトラブルなどが起こった時に、すぐ対応できる知識も身につけていきたいと末髙は考えています。

末髙 「いまちょうど1級施工管理技士の資格を取得のための勉強中です。仕事が終わったあとや土日を活用して取り組んでいます」

実践と理論で建築を学び、さらなる向上を目指す末髙。建築の仕事に携わり2021年9月現在で7年目ですが、日々、仕事の面白さを感じています。

末髙 「建築の仕事は、ひとつの建物が完成すると、そこでひとつの区切りがつきます。だからマンネリがないんです。毎回、新鮮な気持ちで、新しい現場に向かいます。その分、大変な部分もありますが、ずっとこの仕事を続けていきたいと思っています」

末髙が理想とするのは「このひとに聞けば、なんでもわかる」といわれるような“頼られる存在”。近い将来、実現できるよう、資格のための座学も、現場力をつける日々の実践的な学びもどちらにも取り組みながら、末髙は貪欲に成長を続けています。